平成２５年度帯広市ばんえい競馬開催に関する陳情書回答【陳情要旨】昨年度廃止となった荒尾競馬に続き、今年度を以って福山競馬の廃止が決定するなど、地方競馬を取り巻く環境は一段と厳しいものとなってきております。現在、地方競馬１４主催者のうち５主催者が、前年度の売得額を上回っており、中でもばんえい競馬が一番の伸びを示していることは明るい兆しではありますが、その内容を見ると収益率が悪化しており、ばんえい競馬においても依然厳しい経営状況が続いています。この背景には、電話、インターネット発売が予想以上に伸びている一方で収益性の高い、本場、直営場外での発売額の落ち込みがあります。加えて、今年度、これまで出走手当の予算超過状態が続いたことにより、更に収支の状況が悪化しているものと推察します。これらの状況から、本来、今年度から固定制となったはずの報償金の基準額が、年度途中において減額見直しを余儀なくされ、加えて競走馬確保の施策を進めながら、一方では出走資格頭数を抑制するなどの場当たり的な措置は、馬主の参加意欲を削ぐものであり、先行きに不安を覚え、今後その影響が懸念されるところであります。どのような理由があるにしても、当初の計画が甘かったと言わざるを得ませんし、この期に及んで計画と実績との大幅な乖離は、即存廃が危ぶまれる重大な問題に繋がるものと私ども危機感を募らせています。貴市はその現況をしっかりと認識し、主催者として進むべき方向性を今一度関係者に明確に示すとともに、来年度に向けては同じ轍を二度と踏まないためにも、一層緻密に慎重な計画づくりとリスク回避の方策を検討されたい。現在、経営改善のため、昨年３月に策定された「帯広市ばんえい競馬運営ビジョン」に基づき、具体的な取り組みを実践されているところですが、今後ばんえい競馬の経営改善に向けて、関係者が共通認識に立ち一丸となって意識改革を推し進める環境をつくり、常に危機感と緊張感をもって全員が一つの気持ちになって存続に向け各種施策を実践していくことが、今、最も重要であります。つきましては、何卒、陳情の趣旨をお汲み取りいただき、次の事項について特段のご配意を賜りますようお願いします。【陳情事項】１．報償費と競走馬確保について現下において、ばんえい競馬存続には、競走馬の安定的確保は不可欠であり、そのため優先的に報償費を確保するのは勿論、開催計画及び予算編成にあたっては、収益優先のための適正な競走数、出走頭数を厳格に見極めるとともに、年度当初設定した賞金、諸手当の支給基準については途中で見直しすることのないよう慎重に設定していただきたい。【回答】平成 25 年度は地方競馬における中央競馬発売がスタートするなど、流動的要因に大きく影響を受けることも想定されますため、ばんえい競馬を継続開催することを最優先に、適正な競走数、番組編成頭数を随時見極めつつ、柔軟に対応してまいります。また、賞金、諸手当支給基準については極力年度途中に見直すことのないよう、収益確保に最大限努めてまいります。２．新馬導入助成推進事業について新馬確保の施策として良質な２歳馬の早期入厩促進のため、２歳競走馬に付加賞金を助成する「新馬流通促進対策事業」については、過去二箇年に亘り地方競馬全国協会の助成により実施され、その効果がようやく顕れてきております。しかし、当該事業は、当初より二年間の時限的な措置であり本年度で終了となりますが、今後も安定的に新馬を確保するため、主催者として平成２５年度以降もこれに代わる事業新設の重要性について関係各所に強く要請していただきたい。【回答】競走馬の生産に資するとともに地方競馬における競走用馬の流通を促進するため、平成 23 年度及び平成 24 年度の 2 か年の時限制度として、地方競馬全国協会の助成を受けて実施をしてまいりました。他の地方競馬の主催者とともに地方競馬全国協会に対し助成事業の継続を要請しておりましたところ、平成 25 年度も臨時的に継続をいただける見込みと伺っております。３．ネット発売手数料率改善など勝馬投票券の電話、インターネット発売会社の手数料率は、平成２５年度より１％減額になると伺っておりますが、更に発売会社に対して減額交渉やばんえい競馬の電話、インターネット発売推進のためのキャンペーン等側面的な協力、支援について、帯広市からも積極的に連携を図る提案を独自にするなど、引き続き粘り強い交渉を続けていただきたい。【回答】インターネット発売額増の取組として、ばんえい競馬においても特区認定を受け、7 重勝単勝式の発売を開始しました。引き続きインターネット発売会社との連携を強めていきます。また、これまでもオッズパーク参画主催者による、ネット発売手数料率の減に向けた交渉を続けておりますが、今後も他主催者とともに粘り強く申し入れていきます。４．公正確保対策の体制強化昨年度の陳情において、「競馬の公正確保と規律の徹底」について、貴市に対して提言、改善を求めてまいりましたが、結果として、これを活かすことができず、競馬ファンの信頼を損なう大きな事案に至ったことは、極めて遺憾であります。信頼回復のため、主催者として二度とこのような事が起こらぬよう改めて危機管理体制の強化と厳格に指導徹底を図るとともに、一方で関係者のモラル向上のため、お互いが共通認識に立って改善すべく話し合いのできる環境づくりを早急に進められ、更に公正確保対策の取り組みを強化していただきたい。【回答】競馬開催において公正性の確保は根幹を成すものであり、帯広市といたしましても最も重要な業務として取り組んでまいりましたが、残念ながら、昨年４月の調整ルームでの暴行事件が発生や、適切ではない騎乗方法など、レースに対する苦情が寄せられることがありました。こうした状況を踏まえ、調整ルームの管理体制の見直しや開催中の騎手所有携帯電話の管理強化のほか、不適切な騎乗に対する処分の厳格化など、再発防止策を実施するとともに、関係者の意識改革に努めてきたところであります。公営競技は、お客様の信頼により成り立っているものでありますことから、ばんえい競馬を応援していただいている多くのファンの信頼に応えられるよう、今後も公正確保には最大限取り組んでまいります。５．違法行為の防止策八百長疑惑や名義貸借問題など違法行為の噂が常態化しており、これらの風評等によるファン離れも懸念されるところでありますが、勝馬投票券購入に関わる違法行為防止のため、主催者として情報提供も含め積極的に内部調査や関係者に対する注意喚起など、ファンに誤解を招かないような対策が不可欠であり、警察等関係機関とも連携を強化し新たな取り組みの指針を示すなど徹底していただきたい。【回答】ファンの皆様に誤解を与えるような行動を厳に慎むよう、これまでも厩舎関係者に再三再四、注意及び指導を行ってきました。帯広市は、地方競馬全国協会、競馬保安協会と密接に情報交換を行うなど、引き続き違法行為の防止策に努めてまいります。また、ファンに誤解を与える騎乗などにつきましては、今後とも厳しい処分を下していきます。八百長疑惑や名義貸しなどにつきましても、馬主の皆さんのご協力が必要なことであり、噂のある行為に対しては自助努力もお願いするものであります。６．収益性確保とコスト削減ばんえい十勝となり、報償費変動制の導入やコスト削減等様々な運営改善策を講じながら、これまで６年間に亘り収支改善に向け努力されておりますが、未だ構造的な赤字体質は解消しておらず、ばんえい競馬存続のためには、この赤字体質からの早期脱却と安定的経営基盤の確立が急務であります。そのためにも、今後においては、開催日数、開催曜日、開催時間、レース数など細部について、他地方競馬、中央競馬の開催状況なども踏まえながら、収益性確保を前提とした計画を策定するとともに、計画の実施にあたっては状況に応じて柔軟に対処するなど環境変化に即応できる体制を構築していただきたい。また、過度なコスト削減による収支の悪化とならないよう、常に損益分岐点をしっかりと意識し先行きを慎重に見極め、一方で経費構造の徹底した見直しとコスト削減を図っていただきたい。【回答】昨年３月に策定いたしました「帯広市ばんえい競馬運営ビジョン」では、ばんえい競馬の安定的な継続開催のための収入増加・確保やコスト削減の方策を示しております。本年度は、この運営ビジョンに基づき、ナイター開催日数の増加や、新設場外発売所の開設、７重勝単勝式の導入、他主催者との相互発売の拡充など、収入の増加に努めたほか、警備体制や清掃業務体制などの見直しによるコスト削減を実施いたしました。しかしながら、勝馬投票券発売における収益性の低下により、厳しい経営状況となっております。来年度につきましては、ナイター開催日数のさらなる増加や直営場外発売所の新規開設、ばんえい競馬における中央競馬の発売などを実施し、収入の増加・確保に努めるほか、全ての経費対象としたコストを削減を実施するとともに、発売状況に応じて、開催日数や開催日、レース数などを柔軟に対応することも検討してまいります。また、開催ごとや１ヶ月ごとの収支状況を分析するなどして、常に経営状況を把握した運営をしてまいります。７．競馬番組の充実競馬番組は馬券購入の根幹であり、購買意欲を掻き立てるような魅力ある番組（レース）をいかに提供できるかが、積年の課題でもあり、安定的競馬事業の運営には不可欠であります。現状のように、出走させるレースを幅広く選択できないばんえい競馬では、馬齢や通算収得賞金順などある一定の法則に基づき番組編成するのが慣例となっておりますが、編成条件のバリエーションや出走回避馬を抑制し、又は補充が出来る仕組みをつくるなど、既存の枠組みに捉われることなく、柔軟な発想で購買に繋がる魅力ある新たな番組を創造するなどの改善を図っていただきたい。【回答】限られた競走馬で、番組編成せざる得ない状況のもと、競馬番組が単一化し、結果、単調なレースを繰り返し行うことで、ばんえい競馬の魅力が伝わらなくなってしまうことから、新たな競走条件の一つとして「軽量戦」を導入し、ファンにバリエーションある競走を提供することに努めてきました。今後もばんえい競馬独自の魅力を提供できるよう、既存の枠組みのみならず、新たな競走条件を取り入れてまいります。８．ばんえい競馬振興基金の使途ふるさと納税（おびひろ応援寄附金）でご寄附をいただき積立てた、ばんえい競馬振興基金については、ばんえい競馬の振興に使われるということですが、これまで計画から実施に至るまでの意思決定方法や仕組が明確でなく、基金の具体的使途については曖昧な部分もありますので、今後においては、関係者による意思決定機関を設置し、そこで有効な活用方法や事業終了後に検証・評価を行ない、その過程や結果については、ホームページ等でも公表するなど、更に透明性を図っていただきたい。【回答】おびひろ応援寄附金のうちばんえい競馬の振興へ活用として前年度までに寄せられた寄附金の範囲で、ばんえい競馬振興に寄与する事業を帯広市が指定し、活用させていただいております。寄附金を財源としたばんえい競馬振興基金の具体的使途を周知することで、透明性が図られ、寄附したくなる基金を PR することが可能であることから、内容についてホームページ等を利用して積極的に周知していきたいと考えております。９．競馬事務委託内容の透明性帯広市は、今年度より競馬の実施事務委託会社を変更するととともに委託業務内容についても大幅に見直しされました。昨年度までは委託事務の内容がまったく開示されず、そのことが関係者等の不信感を招くこととなり、結果として今日の状況に至ったのだと思いますので、今後、関係者が一丸となって存続に向っていくためには、お互いに痛みを分かち合い現状認識を共有しながら前に進んでいくことが肝要であります。このことから、委託事務の内訳及び予算の概要について、関係者に説明するなどご開示願いたい。【回答】本年度より、競馬事務委託会社を㈱コンピューター・ビジネス社として新たなスタートを切りました。コンピューター・ビジネス社とは競馬開催業務はもとより、予算の執行状況についても定期的に情報交換をしており、透明性という点におきましては、相当改善されているものと考えております。今後も互いの信頼関係のもと、情報を共有しながら安定的な継続開催に向けた取り組みを進めてまいります。なお、委託事務の内訳及び予算の概要につきましては、委託会社の協力を得て、関係者への説明をいたしたいと考えております。 10．ＡＴＭ（現金自動預け払い機）の設置帯広競馬場における勝馬投票券購入の利便性向上のため、場内にＡＴＭ（現金自動預け払い機）の設置についてご検討願いたい。【回答】帯広市の指定金融機関である帯広信用金庫に対し要請を行いましたが、金融機関内の基準（利用者数、利用金額等）に見合った場所でコストとの折り合いがつく場合でなければ難しいものであるとのことであります。正式に設置が可能か返事をいただいておりませんので、検討をいただけるようさらに要請をしてまいります。 11．緊急雇用創出委託業務当協会は、過去三箇年に亘り貴市から緊急雇用創出事業の委託を受け、新規雇用創出とともに、ばんえい競馬や馬文化の魅力、更には北海道開拓の歴史をより多くの人々に伝えるため、観光交流拠点施設「とかちむら」、「ＮＰＯ法人とかち馬文化を支える会」など、これまでも地域と連携しながら競馬場に住民や観光客が訪れやすい環境づくりのため、広報活動・イベント等幅広く事業展開を図ってまいりました。今後においても、競馬場を観光スポットとしてより多くの人達に認知、来場してもらうことは極めて重要であり、この役割を引き続き担っていくために、新年度においては、これに代わる新規事業の委託をご検討願いたい。【回答】貴協会に対する緊急雇用創出委託業務は、ばんえい競馬を観光拠点の一つとし、観光客誘致などの事業に対する委託業務として、帯広市観光課から委託し、実施をされてまいりました。この委託業務は国からの助成を受けて実施されてきたものであり、期間の制約があるものであります。帯広市といたしましても、ばんえい競馬を貴重な観光資源ととらえており、新年度につきましても新たな形で事業を実施していくこととしております。しかしながら同様の内容をいくつも実施することは困難であり、平成 25 年度以降については、貴協会に新たな事業委託の依頼ができないことをご理解ください。なお、国の雇用創出等の助成事業が新たに創設され、貴協会に委託することが可能となった場合は、ご協力をいただきたくお願い申し上げます。