研究課題(PDF:75KB)

【研究課題1】水稲大規模経営の栽培技術に対応した生育診断技術の開発
【現況・課題】
TPPの合意等今後ますます厳しくなる農業情勢の中で,農地の集積・集約化と大規模な経営体
の育成は喫緊の課題である。近年,農業従事者の高齢化や減少により中核的担い手への農地集積が
急速に進み, 30ha 以上の大規模経営体が増加している。大規模経営体では,圃場の分散化や作期
の拡大,品種数の増加など,栽培管理の多様化から,収量・品質のばらつきが大きくなっており,
生育診断や生育予測に基づいた綿密な栽培管理が求められている。一方、生育診断や生育予測に当
たって,その判断基準となる生育調査を圃場毎に行うことは困難であり,水稲栽培全体をカバーで
きる効率的な栽培管理を支援する生育診断技術の開発が急務となっている。
そこで,大規模経営体の栽培体系(早生・中生・晩生の多品種構成と幅広い作期、直播栽培)に
対応した栽培管理の目安となる生育診断技術として,ドローンを利用したリモートセンシングによ
る生育診断技術と水管理や収穫など作業計画の作成に役立つ予測技術を開発し,これらを広く活用
できるような栽培支援ツールとして普及させる必要がある。
【研究内容】
1 大規模経営体の作型に対応した生育診断・予測技術の開発
(1)収量と品質に影響が大きい穂肥施用前(幼穂形成期)の生育指標の作成
(2)周到な中干し,穂肥判断に役立つ短期生育量予測モデルの作成
(3)出穂時期や収穫時期を把握できる発育予測モデルの作成
(新たな早生・晩生品種に対応したDVR・DVIモデルのパラメーター追加)
2 効率的な生育把握技術の開発
(1)生育データ(診断指標)とドローンに搭載したマルチスペクトルカメラから取得した植生
指数などとの関係解析
(2)的確な撮影を行うための飛行高度や撮影角度などの検討
【期待する効果】
作期と品種構成、直播栽培に対応した生育診断・予測技術が大規模経営体に活用されることで,
収量・品質の安定化に寄与するとともに,省力・低コスト化技術の導入促進も期待される。また,
現在,普及しつつある,分散した多数の圃場の場所や作業記録等をスマホ等で行う「ICTを活用
した圃場管理システム」に本研究成果(生育診断技術,予測モデル)を組み込むことで,効率的な
圃場毎の栽培管理システムの構築が期待できる。
【募集分野】
農学等
※問い合わせ先
茨城県農業総合センター農業研究所 研究調整監 平山正賢
TEL 029-239-7211
水田利用研究室長 田中研一
TEL 0297-62-0206