中小企業診断士|2015年度1次試験対策「基本講義」 企業経営理論~経営戦略論~ 担当講師:古森創 科目概要 資金面以外の経営に関する基本的な理論の習得 ■ 戦略論 各種戦略フレームワークおよび技術経営(MOT)、グローバ ル戦略、CSRの知識 ■ 組織論 組織形態・組織運営に関する理論および人事労務管理の知識 ■ マーケティング論 市場の分析や市場に対するアプローチ方法 (P.コトラー マーケティング・マネジメント) 2次試験との関連性 組織論 組織論 事例Ⅰ 組織・人事 マーケティング論 店舗販売管理 事例Ⅱ マーケティング・流通 戦略論 生産管理 事例Ⅲ 生産・技術 財務・会計 事例Ⅳ 財務・会計 勉強のコツ 講義を受講する テキストをざっと読む。 過去問でテキストの内容がどのように問 われているかチェックする。 過去問で問われているポイントをテキス トに下線を引いたり、余白に書き込む。 復習する。(知っている内容だからといっ て講義を聞き流さない。) ■ カンニングペーパをスキマ時間に読む。 次の講義 マネジメント・サイクル P(目標設定) 計画 統制 調整 動機づけ 組織化 A(是正・ 適切性維持) D(目標遂行) C(達成度の測定評価) 組織管理の原則 ■ 指揮・命令の一元化 ■ 専門化の原則 ■ 統制範囲の限界 ■ 権限・責任一致の原則 経営計画の分類 対象範囲 期間 総合計画 部門計画 ・長期計画 (5~10年) ・中期計画 (3~5年) ・短期計画 (半年~1年) 部門計画 ・事業(部)別計画 (製品別、顧客別、地域別) ・機能別計画 (生産、販売、人事、財務) 内容 ・戦略計画 ・戦術計画 短期・中期・長期計画 到達度 目標 ビジョン (ゴール) 経営戦略 現在 時間 経営計画の策定方式 ■コンティンジェンシー・プラン ■ローリング・プラン 長 1 初年度 2 期 計 画 3 第1次中期計画 1 初年度 2 3 第2次中期計画 1 初年度 2 3 第3次中期計画 経営計画の策定手順 理解のツボ 経営企画部門による環境分析 トップマネジメントによるガイドライン 事業部門による事業計画 経営企画部門による取りまとめ 経営計画の策定上の留意点 ■ 明確でわかりやすいビジョン ■ 現場の声によく耳を傾ける ■ 顧客ニーズ、競合他社、社会情勢など 分析に基づいた計画 ■ 社会的責任を考慮 経営計画の効果 ■ 経営資源の合理的な配分と活用が全社 的に確保される。 ■ 会社の方針や目標を示し、全社的な方 向性を定めて総合力を発揮させることが できる。 マネジメント・システム TQM 品質 ISO9001 シックスシグマ バランス・スコアカード 経営 マルコム・ボルドリッジ国家品質賞 ジャスト・イン・タイム(JIT) 生産 かんばん方式 意思決定のレベル トップ マネジメント 戦略的 意思決定 ミドルマネジメント 管理的 意思決定 ローワーマネジメント 業務的 意思決定 非定型的 意思決定 定型的 意思決定 意思決定のプロセス 情報活動 目標100万円に対して、現状80万円の売上 ①品ぞろえが足りない、②営業員が足りない、③営業員の能 力が不足、④ 認知度が低いなど、 問題点を洗い出す。 設計活動 品ぞろえが足りないのであれば、①新商品開発を強化する、 ② AとBを抱き合わせで販売する(セット販売)③目玉商品 を作って販売量を稼ごうなど、解決策を考える。 選択活動 ①新商品開発を強化する、② AとBを抱き合わせで販売す る(セット販売)③目玉商品を作って販売量を稼ごう、の内、 費用対効果が一番高いモノを実行する。 検討活動 結果、90万円を売り上げた。10万円不足だったのは、選択 した策だけでは不足だったのか・・・。やり方がまずかったの か・・・ 事実前提・価値前提の例 価値前提 重要なのは1時間あたり何杯の飲み物を作ったのか ではなく、完璧な飲み物をつくることなのです。 ハワード・シュルツ (スターバックスCEO) 事実前提 ・全米7100全店舗を閉鎖して、全バリスタの再教育 ・コーヒーの香りを妨げる商品は廃止 ・コーヒーマシンを改良するための企業買収 意思決定の基準 満足化基準 満足化基準とは、 ①満足できるかどうか、②どちらがベターか の2つで決定する。 最適化基準 最適化基準とは、ベストの案を選ぶこと。 不可能 ① すべての情報が収取され、全ての代替案が作成されること。 ② それぞれの代替案の結果を完全に予測すること。 ③ 予測された結果を単一の価値体系で評価し最適案を一つだけ選ぶこと。 分析型戦略論とプロセス型戦略論 分析型戦略論 (アプローチ法) 1960~1980年代 分析を中心して戦略をたてる方法。 代表的分析手法 | PPM (論点12) 問題 ・安定している環境では過去の分析が有効であるが、不確実性 の高い環境では過去の分析はあまり役にたたない。 ・経営企画スタッフが策定して、現場と乖離した計画となる。 ⇒ 分析麻痺症候群 プロセス型戦略論 1980年代半ば以降 トップマネジメント・経営企画スタッフだけで戦略を考えるので はなく、組織全体から戦略は生み出される。 戦略立案プロセス 企業共通の 価値観 SWOT分析 経営理念 内部環境・ 外部環境分析 事業領域(ドメイン)の設定 経営戦略代替案の策定 経営戦略代替案の選択 経営戦略の実行 成果フィードバック 全社戦略(成長戦略) 事業戦略(競争戦略) 機能戦略(人事・財務など) 内部環境分析・外部環境分析 内部環境 ビジネス環境 外部環境 マクロ環境 政治、法律、経済、社会、技術 ミクロ環境 業界、競争、消費者、供給 SWOT分析 好影響 悪影響 内部環境 S 強み W 弱み 外部環境 O 機会 T 脅威 内部環境分析のツール コアコンピタンス (論点15) ■ 多様な市場へのアクセスが可能 ■ 最終商品が消費者利益へ貢献 ■ 競争相手に模倣されにくい 外部環境分析(マクロ環境)のツール PEST分析 Political 政治的環境要因 法規制(規制強化・緩和) 税制 判例 政治団体の傾向 Economic 経済的環境要因 為替 株価 金利 景気 Social 社会的環境要因 人口動態 流行 治安 教育水準 自然環境 Tchenological 技術的環境要因 新技術の普及度 特許 外部環境分析(ミクロ環境)のツール ファイブ・フォース分析 (論点13) 新規参入者 新規参入の脅威 供給業者 競争業者 (競争の強さ) 売り手の支配力 顧客(買い手) 買い手の交渉力 代替品の脅威 代替製品 外部環境分析(ミクロ環境)のツール 3C分析 3C分析 顧客 Customer 競合他社 Competitor 自社 Company 環境分析のポイント MECE (Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive) 漏れなく、ダブりなく、分析する 成人女性 OL 主婦 成人女性 OL 主婦 学生 戦略立案(クロス分析) 強 み(S) 機 強みを生かし事業機会を 会 つかむようにする施策 弱 み(W) 弱みで事業機会を 逸しないようにする施策 (O) 強みで脅威を回避する、 脅 威 または脅威の影響を (T) 最小限にする施策 撤退策 ドメイン ■ 競争相手と戦う「土俵」と「自社の アイデンティティ」の規定 ■ 企業ドメイン(全社ドメイン)と事業 ドメインの設定 ■ ドメインは戦略の前提 ■ ドメインは「誰に」、「何を」、「どの ように」で定義 H14年 第9問 (設問2) 次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。 企業が外部環境で直面するのはライバル企業だけではない。企業は原材料や経営資源 を調達し、それを製品に加工し、完成した製品を市場に供給するまでの①すべてのプロ セスで様々な影響要因にさらされている。企業が戦略的に適応を図らなければならない のは、こうしたすべての環境要因についてである。 したがって、注意しなければならないことは、現在の事業活動の中で対応を迫られる要 因だけに目を奪われて戦略を策定すると、②近視眼的な戦略に陥りやすいことである。 特にドメインを製品のモノとしての側面に注目しすぎて設定すると、顧客が製品に求める ニーズの意味を理解できなくなり、ドメインは膨らみをもたないものになりやすい。それば かりではなく、③既存の技術を破壊するような新しい技術が登場したとき、その製品は一 挙に市場を失うことになる。 文中の下線部②で指摘される近視眼的な戦略にあてはまるものとして最も適切なもの はどれか。 ア わが社は、あらゆる仕様に応えるLSI向け高精度金属部品の微細加工会社である。 イ わが社は、業界屈指のハイテク設備でサービスの無人化・自動化を誇る都市型ホテ ルである。 ウ わが社は、情報通信機器の生産販売を通じて顧客の業務ソリューションに奉仕する 会社である。 エ わが社は、熱器具メーカーとして顧客に熱交換の技術コンサルテーションを提供する 会社である。 企業ドメイン決定の意義 ■ 企業の意思決定の範囲や焦点を絞ることができる。 ■ 必要とされる経営資源が明らかになる。 ■ 企業の内外に自社のアイデンティティを示すことが できる。 ■ 他社のドメインと比較分析することで、自社の競争 優位性を分析できる。 留意点 ■ 広すぎても狭すぎてもダメ ■ ドメインは将来の企業存続に影響 ■ ドメインコンセンサスの必要性 ■ 環境変化に応じて再定義 階層別戦略の位置づけ 全社戦略 (成長戦略) 事業戦略 (競争戦略) 事業ドメイン 機能戦略 企業ドメイン 事業戦略と機能戦略の位置づけ (事業別戦略) ( 機 能 別 戦 略 ) A競 事争 業戦 略 生産戦略 マーケティング戦略 財務戦略 人事戦略 B競 事争 業戦 略 C競 事争 業戦 略 成長ベクトル 製品-市場マトリックス 市場 現在の製品分野 新しい製品分野 現在の市場 市場浸透 新製品開発 新しい市場 市場開拓 多角化 製品・ 市場分野の選択 製品 成長ベクトルの 検討 シナジーの 測定 販売シナジー 生産シナジー 財務シナジー 管理シナジー 競争優位性の 判断 多角化 ■ 多角化戦略の分類 水平的多角化戦略 既存製品と同タイプの顧客に新製品を販売 垂直的多角化戦略 既存製品の生産や流通段階に進出 集中型多角化戦略 既存製品と新製品間でマーケティング・技術に関連 集成型多角化戦略 既存の製品と市場に関連のない新分野に進出 ■ 多角化の理由 ①成長機会の追求 ②収益の安定化 ③リスクの分散 ④余剰資源の有効活用 ■ 多角化の手段 ①内部成長 ②外部成長 ■ 多角化の注意点 ①環境分析不足 ②経営資源以上の事業拡大 ③競合会社の多角化
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