特集安全・安心なケアを目指して！ 1 1 イラストで理解！ IABP の仕組み ICU・CCU の ME 機器を理解する！特集安全・安心なケアを目指して！ ICU・CCUの ME機器を理解する！イラストで理解！ IABPの仕組み IABP の原理 IABP は機械的補助循環の 1 つです。薬物治療が自己心拍出量が著しく低下している場合，効果は奏功しないような心不全などに対し，経皮的に胸低いです。バルーンの膨張・収縮は，駆動装置か部下行大動脈内に挿入したバルーンを駆動装置にらのヘリウムガス（メモ 3）で制御されています。接続し，心拍動に同期させて膨張・収縮を行います。圧補助効果で不全心を回復させます。PCPS（メモ 1）心臓の拡張期にバルーンが膨らむことで，冠動脈の血流が増加する！ ● 心臓の収縮期にバルーンが縮むことで，心拍出量が 10 ～ 20％増加する！ ● IABPは適切なタイミングで駆動しないと，心負荷となって逆効果！はじめに PCPS メモ経皮的心肺補助装置（percutaneous cardiopulmonary support）のこと。IABP とは違い，遠心ポンプと人工肺により流量補助効果があります。心拍出量増加効果は 50 〜 70％程度です。大動脈内バルーンパンピング（intra-aortic 収縮期には後負荷を軽減することによって，心機 balloon pumping；IABP）とは，30 ～ 40mL の能を補助することが可能です。大動脈内バルーン（以下，バルーン）を胸部下行本章は，IABP の一般的な原理から効果，適応，大動脈に留置し，心電図または動脈圧に同期させ合併症などの基礎的な知識について，イラストをて膨張・収縮させることにより心機能を補助する用いることで視覚的に学習でき，さらにあらため圧補助循環装置です。IABP の心拍出量増加効果て基礎を見直すことで，新たな気づきや復習にもは，10 ～ 20％程度とそれほど多くはありません。役立つように構成しています。 2015/6 Vol.5 No.6 ヘリウムガスが利用される理由ヘリウムガスは気体のなかで水素ガスに次いで軽い気体であり，ガス移動時の抵抗が少なく応答性がよいため使用されています。また，引火による爆発の危険性がありません。動脈圧波形，バルーン内圧波形などが表示されて IABP は，主に駆動装置とバルーンから構成されおり，モニタリングが容易になっています（ています（・・図1 ）。液晶画面には，主に心電図波形，バルーン収縮期：収縮させて後負荷の減少を図る拡張期：膨張させて冠血流量の増加を図る・バルーンカテーテルヘリウムガスやガイドワイヤーが通る管。下肢虚血などの合併症に注意する図3 図2 ）。液晶表示部心電図と動脈圧などをモニタリングできる圧バッグ操作パネルドプラ血流計駆動装置内蔵のコンプレッサーの圧力によりヘリウムガスを動かすことで，バルーンの膨張・収縮を行う心電図ケーブル・動脈圧入力トランスデューサー接続部図1 ・ 3 各部の名称とその特徴を以下に示します。しかし，心臓の拡張期には冠動脈の血流を増やし， 4 VAD 各部の名称 point ● 1 2 心室補助装置（ventricular assist device）のこと。体外式や植込み型のものが開発されており，流量補助効果があります。心拍出量増加効果は 90 〜 100％です。や VAD（メモ 2）のように流量補助ではないので，メモ辻本雄大（奈良県立医科大学附属病院看護部 C 棟 3 階 ICU，急性・重症患者看護専門看護師）松葉晃平（奈良県立医科大学附属病院看護部 C 棟 3 階 ICU）メモこのようなバルーンの動きによって生み出される外部入力心電図・動脈圧ヘリウムガスボンベ（CS100/300TM 〔マッケ・ジャパン株式会社〕） IABP 装着中の全体像 2015/6 Vol.5 No.6 ・ 5