8‐5 monteplase が著効した大動脈基部置換術(Cabrol 法)後の急性心筋梗塞 の1例 獨協医科大学越谷病院 ○新 藤掛 健太郎、小松 高柳 彰則、由布 孝昭、千田 哲夫、瀧澤 瑞穂、中村日出彦、蟹江 圭、谷口 勲、酒井 禎子、 良彦、 寛 66歳男性.意識消失にて入院.完全房室ブロックを認め,心室細動へ移行した.除細動後心 電図上Ⅱ,Ⅲ,aVF で ST 上昇を認めたため,心原性ショックを伴った急性下壁心筋梗塞と 診断. PCPS,IABP,体外式ペースメーカーを挿入し,緊急冠動脈造影を行った.既往として, 大動脈弁閉鎖不全症,大動脈基部の解離に対して大動脈基部置換術(Cabrol 法)を施行して いたため,冠動脈造影に難渋した. 責任病変である右冠動脈は直径8mm の人工血管に端々吻 合され,人工血管より右冠動脈にかけて多量の血栓を認めたため,血栓吸引後バルーンで血 栓破砕を行った.右冠動脈末梢まで造影されるようになったものの,残存血栓は多量であっ たため,マイクロカテーテルを用い血栓付着部位に monteplase を40万単位冠注し,TIMI Ⅲ得られたため終了とした.第2病日に PCPS は抜去し,第3病日に確認冠動脈造影施行. 人工血管内には残存血栓を認めたが, 右冠動脈内の血栓は完全に消失していたため, 同日 IABP も抜去した.ワーファリンを再導入し,第45病日に再度確認冠動脈造影施行.右冠動脈内, 人工血管内ともに血栓が完全に消失していることを確認し得た.今回の急性心筋梗塞の原因 はワーファリンコントロール不良によるものと考えられ,Cabrol 法のような人工血管を用い た手術では術後の管理,加療が重要と考えられた.本症例は人工血管内の多量血栓による急 性心筋梗塞に対して,monteplase が著効したと考えられた. ‐90‐
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