C-5)CFDの基礎 - RIAM

CFDの基礎
九州大学 応用力学研究所
内田 孝紀
非定常・非線形風況・拡散シミュレータ
RIAM-COMPACT
Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University,
COMputational Prediction of Airflow over Complex Terrain
数(十)km以下の局所域スケールに的を絞り,時々刻々と
変化する,風に対する地形や建物の効果を高精度に
予測する九州大学応用力学研究所数値モデル(CFDモデル)
最大の特徴
非定常に変化する風況特性をアニメーションとして視覚化できる
風洞実験の代替ツールとしてのCFD
ーCFD(Computational Fluid Dynamics)ー
風洞実験
◇模型製作を含めて高価である
◇膨大な時間を要する
市街地
◆風洞実験を補完する数値シミュレーション(CFD)
◆風洞実験を先導する数値シミュレーション(CFD)
http://www.takenaka.co.jp/
◆風洞実験に代わる数値シミュレーション(CFD)
実地形
◆数値シミュレーション(CFD)による実験(数値実験)
→風工学の分野:
CWE(Computational Wind Engineering)
CFD技術(ソフト)
コンピュータ(ハード)
急速な進展
風洞実験の様子
風洞実験から数値実験(数値シミュレーション)へ
ー数値風洞NWT(Numerical Wind Tunnel)の確立ー
http://www.allamericanracers.com/
http://www.compusys.co.uk/
http://www.advantage-cfd.co.uk/
http://www.nrel.gov/wind/
http://www.risoe.dk/
CAE:コンピュータによる設計製造支援
CAE(
CAE Computer Aided Engineering)...
コンピューター上で仮想的にモノを作り,様々な条件下での仮想実験を行うシミュレーション技術のこと.
仮想実験を繰り返すことで,試作品製作や実物モデルでの実験回数を減らすことができ,モノ作りの開
発期間短縮,コスト削減に大きく貢献している.
自動車メーカは運輸省の衝突安全基準に基づいて,コンピュータ・システムをフル活用した衝突シミュ
レーションや実車衝突実験を行い,衝突安全性の向上を目指している.
http://www.subaru.co.jp/
http://www.jmf.or.jp/
実車試験
オフセット衝突実験
コンピュータシミュレーション
オフセット衝突実験とは・・・
実際の衝突事故では,ドライバーは衝突を避けようとするため,障害物に対して全面ではなく部分的
に衝突することが多くなる.そうした状況を想定したのがオフセット衝突実験.
流体力学(Fluid Dynamics)の分類
★ 数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)
コンピュータを用いて流れを解明しようとする方法
★ 実験流体力学(Experimental Fluid Dynamics)
風洞実験や水槽実験などの室内実験において
流れの速度や圧力を計測し,流れを解明しようとする方法
★ 理論流体力学(Theoretical Fluid Dynamics)
数学的・解析的に流れを解明しようとする方法
http://weather.is.kochi-u.ac.jp/
レオナルド・ダヴィンチによる渦のスケッチ
済州島の下流に形成されたカルマン渦
CFDにおける計算手法の分類
(有限)差分法 FDM
◆
(Finite Difference Method)
対象とする領域を格子(セル,メッシュ)に分割し,支配方程式を離散化し,格子点上の値
を未知数とする連立代数方程式を解くことで解を求める方法.使用できる格子は構造格
子のみで,プログラミング化が容易であること,高次(4次,5次)の差分スキームが使用
できること,ベクトル化が容易であるという利点がある.その反面,複雑な形状に対して
は非構造格子が使用できないため,適用が困難という欠点がある.
→RIAM-COMPACTで採用している計算手法
有限体積法 FVM
◆
(Finite Volume Method)
対象とする領域を格子(セル,メッシュ)に分割し,個々の格子において支配方程式を積
分して全領域において保存則を満たす離散化式を導く手法.使用できる格子は構造,非
構造格子で,高次(4次,5次)の差分スキームの使用は困難であるという欠点がある.し
かし,複雑形状に対して適用が可能であるという利点があり,現在の流体解析では主流
となっている方法である.商用コードのFLUENTやSTAR-CDでもこの有限体積法が使用さ
れている.
有限要素法 FEM
(Finite Eelement Method)
◆
構造力学などの分野において,構造物の変形や応力解析にも広く用いられている.解析
対象物や対象とする流体領域を,三角形や四角形,六角形などの細かい「要素」に分割
して全体の挙動を求める手法.
差分法(FDM)の考え方
①微分方程式(支配方程式)
2
d T
0
2
dx
100℃
(境界条件)
(境界条件)
T1
②差分方程式
Ti 1  2Ti  Ti 1
0
2
x
Ti 1  2Ti  Ti 1  0
T2
離散化
T4
T3
T5
T6
0℃
100℃
x
未知数
④行列の解法
◆直接法 : ガウスの消去法
③連立代数方程式
1 0 0 0 0
1 2 1 0 0

0 1 2 1 0

0 0 1 2 1
 0 0 0 1 2

0 0 0 0 0
0℃
連続体
0  T1  100 
0  T2   0 
0  T3   0 
   
0  T4   0 
1  T5   0 
   
1  T6   0 
◆緩和法 : ヤコビ法,ガウスザイデル法
SOR法 etc
→流体解析ではこちらが一般的
⑤解の取得
T2=80℃,T3=60℃,T4=40℃,T5=20℃
計算格子(グリッド,メッシュ,セル)の種類
◆構造格子(Structured grid)
整然と配置されて「i,j,k番目」などと指定可能
1)直交直線不等間隔スタガード格子(Orthogonal non-uniform staggered grid)
2)一般曲線座標系コロケート格子(Generalized curvilinear collocagted grid)
◆非構造格子(Unstructured grid)
風の流れ(流体)の支配方程式
我々が対象にする流れ→非圧縮・粘性流体
◆非圧縮とは...圧縮も膨張もせず,密度(質量)が変化しない.マッハ数M<0.3
◆粘性とは...実在する流体(水,空気etc)は全て粘性の影響は無視できない.
u i
0
x i
連続の式
u i
u i
p
1 2ui
 uj


t
x j
x i Re x jx j
時間項
圧力
対流項
(非線形項) 勾配項
粘性項
時間項+対流項(非線形項)
Navier-Stokes方程式(運動方程式)
Re:Reynolds(レイノルズ)数
非常に重要な無次元パラメータ
時間項+粘性項
f 時間とともに波形が変化,高周波の生成
Time
f
時間とともに波形が減衰
Time
レイノルズ数とは
レイノルズ数 (Reynolds number) とは...
慣性力と粘性力との比で定義される無次元数.
イギリスの物理学者・技術者オズボーン・レイノルズ (Osborne Reynolds) が定義した.
代表速度スケール
代表長さスケール
物
性
値
物体が大きいほど・速いほど・粘性
が小さいほどReの値が大きくなる.
風力発電で対象にする複雑地形を
過ぎる風の流れは,高Re数の複雑
乱流場である.
乱流とは
◆不規則性
瞬時の運動度捉えるのは困難
◆散逸性
粘性に伴う運動エネルギー散逸のため,エネルギーの供給がなければ,乱れは
完全に減衰
◆連続性
大きな渦から小さな渦まで連続的に存在
◆拡散現象
運動量,物質,エネルギーの移動に大きく寄与
◆高レイノルズ数
一般的にレイノルズ数の増加に伴い,流れは不安定になり層流から乱流へ遷移
Navier-Stokes方程式の対流項(非線形項)が卓越する.
◆3次元的な渦運動
回転を伴う3次元運動する渦の集合体
代表的な乱流場
http://www.nagare.or.jp/docs/
gallery/gallery_1998_0.html
一様等方性乱流
◆乱れの大きさが空間的に一様,
等方である.
◆実現象としては起こりにくい,
理想的な乱流場.
http://www.lstm.uni-erlangen.de/SFB603_C3/
applications/channel/index_e.html
壁面せん断乱流
◆固体壁に接する乱流場.
自由せん断乱流
◆空間的に拡散する乱流場.
http://www.efluids.com/
efluids/gallery/
複雑乱流場
http://www.cfd.tu-berlin.de/start.html
God made structure
Man made structure
鈍頭物体:ブラフボディ(Bluff Body)
複雑乱流場
乱流CFDの戦略①
風の流れ(流体)の支配方程式:
Navier-Stokes(ナビエ・ストークス)方程式
何のモデル化も施さず,人工的な数値拡散成分などを
一切付加しない手法
DNS (Direct Numerical Simulation)
http://www.jma.go.jp/
計算メッシュの例
現在の計算機環境では不可能
◆一般的にDNSに必要な格子点数NはRe9/4
◆Re=104の場合にはN=109,1辺に103点が必要
http://www.adpltd.uk.com/
http://www.beilke-cfd.de/html_home.htm
http://www.risoe.dk/
http://www.lcp.nrl.navy.mil/cfd-cta/CFD3/
乱流CFDの戦略②
何らかのモデル化が必要!
時間平均(アンサンブル
平均,レイノルズ平均)
RANS (Reynolds Averaged
Navier-Stokes eq.)
流体力学モデル
LAWEPS工学モデル,
MASCOT
気象モデル
LAWEPS気象モデル, LOCALS,
MM5, RAMS, ARPS, WRF
時間平均を施したN-S方程式には,非線形であ
るため二重相関項であるレイノルズ応力が含
まれる.これを知るためにはその輸送方程式を
解かなければならない.ところが,そこには三
重相関項が含まれ,三重相関項の輸送方程式
には四重相関項が含まれる,といったように方
程式が閉じることはない(クロージャー問題).
→レイノルズ応力,あるいは,レイノルズ応力の
輸送方程式中の未知項のモデル化が必要.
→高次相関項を低次の物理量(既知量)でモデ
ル化する必要がある(渦粘性モデルなど).
→RANSのモデル化は全ての乱流成分に対し
て行なわれる.
→流れ場の形状や境界条件に大きく依存する.
空間平均
LES (Large Eddy Simulation)
流体力学モデル
RIAM-COMPACT
LESでモデル化されるSGS成分は,小スケール
の等方的な変動である.
→流れ場の形状や境界条件への依存性は
RANSに比べて小さい.
乱流CFDの戦略③
◆DNS(Direct Numerical Simulation)
★厳密な支配方程式を直接的に解く手法.物理モデルは適用しない.
★計算コストが非常に高く,複雑形状への適用も困難なため,現在でも基礎研究の分野での活用
に留まっている.将来的にも実用化の可能性はかなり低い.
◆LES(Large Eddy Simulation)
★空間的に平均化(フィルタリング)された支配方程式を数値的に解く手法.大きな渦は直接計算
され,フィルタ幅よりも小さな渦は物理モデル(Subgrid scaleモデル)でその影響をモデル化する.
★DNSに比べて計算コストは低い.3次元非定常解析が前提条件である.
◆RANS(Reynolds Averaged Navier-Stokes eq.)
★アンサンブル(集合)平均された支配方程式を解く手法.乱れ成分(乱流成分)は全てモデル化.
★定常解析も可能なため,産業分野で一般的に活用されている.
【DNS研究の一例】
直接測定できない情報を得る
§瞬時の3次元流れ場,渦度場,圧力場
§高次の統計量など
http://www.galcit.caltech.edu/Seminars/Fluids/
PastFluids/2004-2005/Kaneda_abs.html
乱流CFDの戦略④
Model
Dependency
Grid
Dependency
Computer
Dependency
DNS
Negligible
Essential Very
Large
LES
Small
Large
Large
RANS Large
Small
Small
LESはDNSとRANSの
中間的な手法
急激な進展
実用計算
RANS(Reynolds Averaged Navier-Stokes eq.)
◆
ほとんどの乱れスケールをモデル化する(平均成分+乱流成分).
◆
LES(Large Eddy Simulation)
小スケールの等方的な乱れのみをモデル化する(GS成分+SGS成分).
◆
DNS(Direct Numerical Simulation)
乱れのエネルギーのほとんど全てを計算する.
基礎研究
乱流CFDの戦略⑤
RANS
乱れの効果は乱流
応力(turbulence
stress)という形で平
均流れの支配方程
式に現れる.この応
力を何からかの形
で近似することを乱
流モデルと言う.
LES
(渦粘性型モデル)
(レイノルズ応力輸送型モデル)
☆モデル化の容易さから代数近似型モデルが主流
DNS
1)SGS応力:GS成分の速度勾配に比例すると仮定
2)SGS渦粘性係数:解く程度に応じて分類される
・0方程式SGS渦粘性モデル
(平均流れ場(GS成分)の情報だけで決定:Smagorinskyモデル)
乱流解析法の分類
・1方程式SGS渦粘性モデル
(SGSエネルギーの輸送方程式を解き,その平方根で与える)
乱流CFDの戦略⑥
◆
DNS(Direct Numerical Simulation)
・スペクトル法
・擬似DNS(風上差分による数値粘性の導入)
◆
LES(Large Eddy Simulation)
・渦粘性モデル(Smagorinskyモデル:代数近似(0方程式モデル))
・スケール相似則モデル(Bardinaモデル)
・Smagorinsky/スケール相似則混合モデル
・混合時間スケールモデル(渦粘性モデル)
・1方程式SGS渦粘性モデル(SGSエネルギーの輸送方程式を解く)
・ダイナミックプロシージャーに基づいた各種SGSモデル
◆
RANS(Reynolds Averaged Navier-Stokes eq.)
・0方程式渦粘性モデル(プラントルの混合距離モデル)
・1方程式渦粘性モデル(Prandtl model,Spalart-Allmaras model,
Baldwin-Barth model)
・2方程式渦粘性モデル(k-εモデル,k-ωモデル,k-lモデル)
・応力方程式モデル
乱流解析法の分類
乱流CFDの戦略⑦
低波数でエネルギーの供給
LES
DNS
高波数へ輸送(非線形効果)
いわゆる,-5/3乗則
熱エネルギーとして散逸
RANS
【エネルギー保有領域】
乱流が作られて,エネルギーの
大部分を保有する領域.
【慣性小領域】
慣性力による波数間のエネル
ギー伝達が支配的で粘性の作
用を含まない領域.エネルギー
カスケードが主要な現象であり,
乱流エネルギーの生起や消失
はない. 渦の分裂・合体のみ.
【エネルギー散逸領域】
粘性摩擦により運動エネルギー
が熱に変換される領域.
or 普遍平衡領域
3次元乱流のエネルギースペクトル
波数空間での乱流解析法の分類
【コルモゴロフの第一仮説】
小さな渦運動の統計的性質は
乱流エネルギー散逸率εと動粘
性係数νのみで決定される.
【コルモゴロフの第二仮説】
慣性小領域:-5/3乗スペクトル
乱流CFDの戦略⑧
乱流エネルギー
のスペクトル分布
渦 の 大 き さ
E(k)
E(k)∝k-5/3
局所平衡領域(小さい渦は等方的)
エネルギー散逸領域
慣性小領域
(渦の運動エネルギーが粘性
摩擦で熱エネルギーに変換)
(エネルギーの生成も
散逸もない平衡領域,
渦の分裂・合体のみ)
ke
エネルギー生成領域
(平均流からエネルギーの注入)
kd
k
コルモゴロフの散逸スケール
コルモゴロフの散逸スケール
:最小の渦スケール
:最小の渦スケール 3
1/4
:長さスケールη=(ν
3/ε)1/4
:長さスケールη=(ν/ε)
:波数k
:波数kd=1/η,ε:乱流エネルギー散逸率,ν:動粘性係数
=1/η,ε:乱流エネルギー散逸率,ν:動粘性係数
d
乱流CFDの戦略⑨
Flow
η
L
エネルギーカスケード
Injection of energy
L
Large-scale
eddies
η:コルモゴロフの最小渦スケール
Dissipation of energy
Flux of energy
Dissipating
eddies
η=L/Re3/4
L
Resolved
DNS
ΔDNS
Modeled
Resolved
LES
七ツ釜五段の滝(山梨県山梨市)
http://www.ringwander.ne.jp/
~taro/tabi/siryouko/taki100.html
ΔLES
Modeled
RANS
ソフトウエアRIAM-COMPACT
の実行手順(フローチャート)
前処理
国土地理院の50m
標高数値データなど
ソルバー
DXF形式の
CADデータなど
(乱流モデルLES)
後処理
(共通)
実地形版
(中型・大型風車用)
市街地版
(小型風車用)
実地形版リアムコンパクトソフトウエアの操作手順
Windows搭載のPC1台で動作可能
前処理
Pre-processing
格子生成(RC-Elevgen)
ステップ1
ステップ2
風車図挿入のための作業(RC-WindmillMaker)
ステップ3
ソルバー(RC-Solver)
ステップ4
後処理
Post-processing
流れの可視化(RC-Scope)
ステップ5
年間発電量の評価(RC-Explorer)
前処理(プリプロセッシング)
計算対象領域を選定し,計算格子(メッシュ)を生成するソフト
RC-Elevgen
地形表面に沿った計算格子
◆国土地理院の50m標高データ,北海道地図(株)の10m標高データが利用可能
◆紙地図やDXF形式のCADデータから作成した2~5mの高解像度標高データが利用可能
◆格子節点上の公共座標(緯度・経度情報)を出力可能
◆水平方向および鉛直方向のメッシュ幅の編集が可能(可変メッシュ)
◆任意地形の削除が可能(地形干渉などの調査に利用)
◆公共座標を十進経緯度で指定することで,風力タービン位置を表示可能
前処理(プリプロセッシング)
計算結果に挿入する風力タービン線図を作成するソフト
◆最大60基まで設定可能
◆10進経緯度による立地点の指定
◆風向,ブレード直径(ローター直径),タワー(支柱)高さ,表示色を設定可能
RC-WindmillMaker
風力タービン線図を実際に挿入した様子
ソルバー①
複雑地形上の大気乱流場
:複雑乱流場
:大小様々な渦の流れ
:大規模非定常渦が本質的
Large-Eddy Simulation
ui
:複雑乱流場に適した次世代モデル
粗視化
(Coarse graining)
ui  ui 
'
ui
非線形相互作用
ui
u 'i
格子で解像される,格子に引っかかった大規模渦
ふるい落とされた細かい小規模渦(乱れの影響)
グリッドスケール(GS)⇒直接解く
サブグリッドスケール(SGS)⇒モデル化する(SGSモデリング)
ソルバー②
大まかな流れの抽出
フィルター操作
SGS成分
GS
成分
瞬間値
SGS成分
GS成分
Δ
Δ
フィルター幅
ソルバー③
乱流モデルの必要性
カットオフ波数:計算で捉えられる最小渦の大きさ
Re数の増加とともに
波数帯は広がる.
ui
u 'i
非線形相互作用
コルモゴロフ相似則
粗い格子での小規模変動(u’ i )を
無視したナビエ・ストークス方程
式 の 直 接 計 算 は 大ま かな 乱 流
(ui)の計算ではない.
基礎式は,計算格子捉えられな
い小規模変動(u’i),すなわち,乱
れの作用(非線形相互作用)を含
んだものでなければならない.
ソルバー④
LESの物理的背景
カットオフ波数:計算で捉えられる最小渦の大きさ
小さい渦は等方的であり,
統計的な性質は流れ場
全体の特徴に拠らず普遍的
『局所等方性の仮説』
E(k)∝k-5/3
大きい渦は流れ場の形状,
レイノルズ数に依存する.
◆LESの理論的根拠
コルモゴロフ相似則
(コルモゴロフの第二仮説,-5/3乗則)
◆物理的考察に基づいて
モデル化が可能!
GS成分
(直接計算)
SGS成分
(モデル化)
コルモゴロフ相似則
◆普遍性のある慣性小領
域にフィルタを置くこと
で普遍性の高い物理
モデル構築の期待!
ソルバー⑤
フィルタ操作
により新たに
生じた項
LES(Large-Eddy Simulation)の支配方程式
:非定常解析が可能な乱流モデル
【Filtered Navier-Stoke方程式】
【連続の式】
ij
u i
u i
 2 ui
1 p
 uj



t
x j
 x i
x jx j x j
u i
0
x i




“R”と称する
ij  u i u j  u i u j  u i u 'j  u 'i u j  u 'i u 'j
Leonard項Lij
Cross項Cij
基礎式の
完結(close)
SGS Reynolds Stress項Rij
【スマゴリンスキーモデル(LESと同一視される代表的モデル)】
→局所平衡と渦粘性(分子粘性における類推)を仮定
2
1 ' '
' '
SGS  Csfs S
ij  u i u j  u k u k ij  2SGS Sij
b
3
Lij+Cij=0,SGS Reynolds stress項Rijのみをモデル化
d
S  2 SijSij
i
1/ 2
Sij
1 F u
 G
2 H x
i
j
基礎式4
vs
未知変数4
I

J
x K
u j
i
乱流モデル
(SGSモデル)
R=R(ui,p)が必要
g
e
j
fs  1  exp  z  / 25
代表スケール
d
  hxhyhz
i
1/ 3
Cs :モデル定数
ソルバー⑥
スマゴリンスキーモデルの有次元のまとめ
【連続の式】
u i
0
x i
【Filtered Navier-Stoke方程式】
u i
u i
 2 ui
1 p
 2

k
2
S
 uj






ij
SGS ij
SGS

t
x j
 x i
x jx j x j  3

u i
u

 uj i  
t
x j
x i
 

p 2

   SGS  Sij 
  k SGS   2 
 x j

 3

 

u i
u i
P
 uj

 2
   SGS  Sij 
t
x j
x i
 x j

スマゴリンスキーモデルの有次元のまとめ
【連続の式】
u i
0
x i
但し, k SGS 
d
i
1
1
u k u k  u k u k  u 'k u 'k
2
2
【Filtered Navier-Stoke方程式】:SGS渦粘性が付加されたNS方程式
   1
u i
u i
P
 
 uj

 2
 SGS  Sij 

t
x j
x i
 
 x j  Re
ソルバー⑦
市街地版
実地形版
CodeⅠ
CodeⅡ
Coordinate System
Cartesian Coordinate
System
Generalized Curvilinear
Coordinate System
Variable Arrangement
Staggered Grid
Collocated Grid
Discretization Method
Finite-Difference Method (FDM)
Coupling Algorithm
Fractional Step Method
Time Advancement Method
Euler Explicit Method
Poisson Equation for Pressure
Successive Over Relaxation (SOR) Method
Convective Terms
3rd-order Upwind Biased Scheme
based on an Interpolation Method (α=0.5)
Other Spatial Derivative Terms
2nd-order Central Scheme
SGS Model
Smagorinsky Model + Wall Damping Function
ソルバー⑧
RC-Solver
ユーザーは,計算格子と数個の計算パラーメータを
指定するだけで計算がスタート!
後処理(ポストプロセッシング)
膨大な数値データの羅列を人間が見て分かるように視覚化するソフト
RC-Scope
◆計算格子(計算メッシュ)
◆速度ベクトル
◆等値線,等値面
◆カラーシェーディング
◆流線,流跡線,流脈線,粒子追跡
◆サーフェスパスレンダリング
◆ボリュームレンダリング
◆グラフ表示
などの種々の可視化技術が標準実装