実践応用化学第一 問題(桑田) 2015.5.8 1.つぎの核

2015.5.8
実践応用化学第一 問題(桑田)
1.つぎの核反応式を完結させよ.
(1) 147N + 10n →
12
6C
(3) 146C → + (2) 105B + 42He →
13
7N
+ + e– + ν(ニュートリノ)
2.原子軌道に関するつぎの問に答えよ.
(1) 主量子数 n = 4 の原子軌道についてとり得る方位量子数 l を全て示し,それ
ぞれについて原子軌道の記号を示せ(例:「l = 0,1s 軌道」).
(2) f 軌道には最大でいくつの電子が収容されるか.
(3) 主量子数 5 の原子軌道には最高でいくつの電子が収容されるか.
3.希ガスの閉殻構造を使う方法と,使わない方法の両方を用いて,つぎの原
子またはイオンの電子配置を示せ.ただし,d ブロック元素のカチオンでは,原
子軌道のエネルギーは 3d < 4s と再逆転することに注意せよ.
(1) Cl–
(2) V3+
(3) Fe2+
4.水素の 1s 軌道のエネルギーと等しいのは,次の(a)–(d)のどれか.理由とと
もに答えよ.
(ヒント:軌道のエネルギー0の基準は束縛されていない自由電子)
(a) 水素の第一イオン化エネルギー (b) –(水素の第一イオン化エネルギー)
(c) 水素の電子親和力 (d) –(水素の電子親和力) 5.リチウムとベリリウムの 2p 軌道のエネルギーはどちらが大きいと考えられ
るか.理由とともに答えよ.
E
2p
6.次の原子またはイオンの電子配置を右図(B の電子配
2s
置)にならって示せ.
(1) N
(2) S
(3) Ti2+
(裏へ)
1s
7.教科書付録4ページを参考にして,96Cm の原子価殻の電子配置を,問題6
と同様に示せ.また,パウリの排他原理,構成原理,フントの規則に反してい
る箇所があれば指摘し,これらの規則に反した電子配置となる理由を説明せよ.
8.V,Cr,Mn の第二イオン化エネルギーはそれぞれ,1414,1592,1509 kJ/mol
である.つぎの問に答えよ.
(1) V の第二イオン化エネルギーが Cr より小さい理由を説明せよ.
(2) Cr の第二イオン化エネルギーが Mn より大きい理由を説明せよ.
9.有効核電荷を計算する近似則である Slater の規則を用いて,以下の問いに答
えよ.
Slater の規則
有効核電荷 Zeff の値は,原子番号 Z から,つぎの規則によって見積もられる
遮蔽定数の総和 S を差し引いた値となる.すなわち Zeff = Z – S
まず,軌道を次のようなグループに分ける
[1s],[2s, 2p],[3s, 3p],[3d],[4s, 4p],[4d],[4f],[5s, 5p],[5d],[5f],…
①全てのグループについて,それより右側のグループの電子は遮蔽に寄与し
ない.
②[ns, np]の電子に対する遮蔽定数
同じグループの電子:0.35(ただし 1s は 0.30)
n – 1 のグループの電子:0.85
n – 2 のグループの電子:1.00
③[nd],[nf]の電子に対する遮蔽定数
同じグループの電子:0.35
左側の全てのグループの電子:1.00
例えば F 原子の 2p 電子が受ける有効核電荷 Zeff はつぎのようにして求められる.
F 原子の電子配置は(1s)2(2s)2(2p)5
2p 電子の主量子数 n は2.n – 1 のグループの 1s 電子が 0.85 × 2,同じグルー
プの 2s 電子(2個),2p 電子(自分自身を除く4個)が 0.35 × 6 の遮蔽をする
ので,Zeff = Z – S = 9 – 0.85 × 2 – 0.35 × 6 = 5.2
(1) Na 原子の電子配置を示せ.
(2) Na 原子の(a) 2p 電子,(b) 3s 電子が受ける有効核電荷を求めよ.
(3) Na 原子の 2p,3s 電子のどちらが原子核に近い位置に分布していると考えら
れるか.(2)の(a),(b)の値に基づいて考察せよ.
(4) 原子から電子を1つ取り除いてカチオンにするのに必要なエネルギー(第一
イオン化エネルギー)は,リチウムに比べてフッ素の方が大きい.Slater の規則
によって考察に必要な有効核電荷を求め,理由を説明せよ.