講義スライド8 2015年11月16日

2015年度開講 基礎化学(担当:阿部二朗)
2015年11月16日(月)
第8回「電子配置と周期性」
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【多電子原子における軌道のエネルギー準位】
水素原子 :エネルギー準位は主量子数 n だけで決まる。
多電子原子:殻だけでなく、副殻(方位量子数 l )に依存する。
副殻のエネルギーの違いは電子-電子反発に由来する。
外殻電子は内殻電子によって原子核から遮蔽されている:外側の殻にある電子
は原子核から遠く、原子核によるクーロン引力も弱いので、外殻電子に対する
原子核の引力の一部は内殻電子によって相殺されている。電子が実際に感じる
原子核の電荷を有効核電荷(effective nuclear charge, Zeff)という。
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【方位量子数 l が異なる軌道間のエネルギーに差が生じる理由】
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【方位量子数 l が異なる軌道間のエネルギーに差が生じる理由】
2s軌道と2p軌道:2s軌道は球形で、原子核の近くに大きな確率密度をもつの
に対して、2p軌道は亜鈴型で、原子核のところに節面をもつ。2s軌道にある
電子は原子核の近くにある確率が2p軌道にある電子よりも高く、したがって遮
蔽が少ない。2s軌道は2p軌道よりも大きな Zeff を感じ、原子核により強く引
き付けられていて、よりエネルギーが低い。
3p軌道と3d軌道:3p電子は3d電子よりも大きな Zeff を感じ、原子核により強
く引き付けられていて、よりエネルギーが低い。
一般的には、どの殻においても、方位量子数が小さいほど Zeff が大きく、
エネルギーが低い。
多電子原子
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【多電子原子の電子配置】
構成原理(Aufbau principle)
1. よりエネルギーの低い軌道が先に占有される。
2. パウリの排他原理(Pauli exclusion principle):一つの原子中のどの二つの
電子も4種類の量子数の組み合わせが同じになることはない。どの軌道にも
逆向きのスピンをもつ2個の電子しか入れない。
3. フントの規則(Hund’s rule):二つ以上の軌道が同じエネルギーをもつ場合
(縮退している:degenerate)、そのすべてに電子が1個ずつ入った後に2
個目の電子が入る。
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【多電子原子の電子配置】
構成原理(Aufbau principle)
1. よりエネルギーの低い軌道が先に占有される。
2. パウリの排他原理(Pauli exclusion principle):一つの原子中のどの二つの
電子も4種類の量子数の組み合わせが同じになることはない。どの軌道にも
逆向きのスピンをもつ2個の電子しか入れない。
3. フントの規則(Hund’s rule):二つ以上の軌道が同じエネルギーをもつ場合
(縮退している:degenerate)、そのすべてに電子が1個ずつ入った後に2
個目の電子が入る。
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【多電子原子の電子配置】
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【多電子原子の電子配置】
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【多電子原子の電子配置】
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【多電子原子の電子配置】
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【多電子原子の電子配置】
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【元素の原子半径(pm単位)】
周期表で左から右にいくにしたがっ
て原子半径は減少する。これは、原
子核中の陽子数が増すとともに、有
効核電荷が増大するためである。
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【元素の原子半径(pm単位)】
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【第1イオン化ポテンシャル】
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【安定な電子配置】
価電子(valence electron)
原子内の最外殻の電子殻(原子から最も離れた電子殻)にある電子。原子価電子
ともいう。価電子は化学反応に重要な役割を果たす。
ただし、最外殻電子がちょうどその電子殻の最大収容数の場合、または最外殻電
子が8個の場合、価電子の数は0とする。
内殻電子(core electron)
最外殻電子(価電子)がある軌道より内側の軌道にある電子。通常の化学反応に
は関与しない。
オクテット則(octet rule)
八隅説(はちぐうせつ)ともいう。原子の最外殻電子の数(価電子数)が8個あ
ると化合物やイオンが安定に存在するという経験則。
18電子則(18-electron rule)
18個の電子を最外殻にもつ電子配置(価電子数=18)は比較的安定であり、こ
の電子配置は18外殻電子配置(18-outer electron configuration)とよばれて
いる。一般に、ns2 np6 nd10 型の外殻電子配置が特に安定であることを、簡単に
18電子則といい、イオンの安定性の予測にしばしば用いられる。
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【ルイス記号(Lewis electron-dot symbol)】
価電子は化学的に重要な電子であるが、元素記号のまわりに価電子を点で表し
た表記法をルイス記号という。1916年に米国の化学者ルイス(Gilbert Newton
Lewis)によって導入された。また、分子の価電子を点で表した化学式をルイス
構造式(Lewis structure)という。
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【ルイス記号(Lewis electron-dot symbol)】
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【ギルバート・ニュートン・ルイス(Gilbert Newton Lewis, 1875-1946 )】
アメリカ合衆国の物理化学者。共有結合の発見(ルイスの電子式)、重水の単
離、化学熱力学を数学的に厳密で普通の化学者にも馴染める形で再構築、酸と塩
基の定義、光化学実験などで知られている。1923年、電子対に着目した酸と塩
基の定義を発表。「ルイス酸」は電子対を受け取る物質、「ルイス塩基」は電子
対を供与する物質と定義された。晩年には、最後の教え子 Michael Kasha と共
に有機分子の燐光が三重項状態によるものだと解明し、三重項状態の磁気特性を
測定した。
1946年、ルイスがバークレーの研究室で死んでいるのを大学院生が発見した。
液体シアン化水素を使った実験をしていて、極めて毒性の強い気体が室内に漏れ
出していた。検死官は死因を冠状動脈の異常としたが、自殺だと信じる者もいた。
ルイスが亡くなった日、アーヴィング・ラングミュアとルイスが昼食を共にして
いたことを Michael Kasha が数年後に思い出した。ルイスとラングミュアは長
年のライバル関係にあり、それはラングミュアがルイスの化
学結合理論を発展させたころから続いていた。ルイスが何度
もノーベル賞候補といわれながら受賞を逃してきたのに対し
て、ラングミュアは1932年にノーベル化学賞を受賞してい
る。昼食から戻ってきたルイスは暗かったという証言もある。
彼が死んでいるのを発見されたのはその数時間後だった。
(Wikipediaより)
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【高校化学の教科書に
記述されている内容】
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原子価殻電子対反発理論(VSEPR理論)
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