vol.237 住生活基本計画の見直し始まる 今年10月に改正案

 vol.
237
ハウジング・トリビューン【ウィークリー】
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2015 年 4 月24 日号
http://www.sohjusha.co.jp
今週のトピック解説
住生活基本計画の見直し始まる 今年10月に改正案
国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会(座長:
浅見泰司 東京大学大学院教授)は21日、
「住生活基本計画
(全国計画)
」の見直しの議論を始めた。同計画は今後10年
程度の国の住宅政策の方向性を示すもの。今回見直しを開始
した全国計画を受けて、都道府県計画、市町村計画が策定さ
れる。社会情勢の変化などから、おおむね5年ごとに見直し
が行われることになっているが、今年がちょうどその年に当
たる。今後、月一回程度の頻度で見直しに向けての議論を行
国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会は21日、
「 住生活基本計画(全
国計画)」の見直しの議論を始めた
い、今年10月に改定案を示す。そして、パブリックコメン
社会的課題となっている空き家について、除却を促進しつつ
トなどを実施したうえで、来年3月には改定案をまとめ閣議
賃貸などとして利活用を進めていく必要性を指摘。ただし、
決定する方針だ。
委員からは「空き家の利活用は思っているより実際には簡単
少子高齢化や空き家対策、地方創生、
コンパクトシティ化への対応盛り込む
ではない。特に郊外のものはどうにもならない」
(同)や、
「具
今回、見直しに当たり、
「人の住まい方」
、
「住宅供給のあ
り方」
、
「都市・地域のあり方」
、
「住宅の意義の再検証」を4
つの柱に論点を整理した。
体的な空き家率の削減目標を掲げた上で、利活用できるもの
とできないものをしっかり分けて取り組んでいくべき」
(東
洋大学理工学部教授 野澤千絵氏)といった意見が挙がった。
また、
「都市・地域のあり方」については、国が進めてい
る地方創生やコンパクトシティ化といった政策の視点から、
「人の住まい方」については、多様化する居住ニーズに対
住宅施策を行っていく方針を掲げている。その中で、スマー
応した住まいの供給を進めていく必要性を論点に盛り込ん
トウェルネス住宅・シティの実現やUR団地の再生・活用も
だ。特に、少子高齢化に対応した住まいという観点で、子ど
検討課題として盛り込んでいる。また、
「地方では人口減少
も、若者、高齢者の居住ニーズに応えた住まいの実現が必要
などにより、住宅の資産価値の低下が非常に深刻な状況。二
であるとしている。このうち、若者の住まいについては、
「若
地域居住などの様々な住まい方の促進を検討課題としていく
者の所得減が進んでいるため、高齢者からの所得移転を進め
ことが重要」
(日本大学経済学部教授 中川雅之氏)という
るような住宅施策が必要」
(
(一社)不動産協会理事長 木村
委員からの指摘もあった。
惠司氏)といった委員からの意見が出た。
この他、
「住宅の意義の再検証」に関して、住宅すごろく
「住宅供給のあり方」については、新築からストック活用
が終焉した中で“そもそも住宅とは何か”といった、住宅の
へという点に加えて、住生活関連サービスの充実を図ってい
新たな価値を検証していく必要性も論点に盛り込んでいる。
く必要性を議論の方向性として示した。例えば、中古流通を
こうして論点を見てみると、少子高齢化や空き家対策、地
促すインスペクションや瑕疵保険、医療・介護・福祉・子育
方創生、コンパクトシティ化といった大きなテーマが並ぶ。
て支援サービス、リバースモーゲージやリフォーム一体型ロ
住生活基本計画については、具体的な目標数値も示すため、
ーンといった住生活関連サービスの充実を図っていく必要が
こういったテーマを盛り込み住生活基本計画が改正されれば、
あるとしている。一方でストック活用という点では、近年の
今後の住宅政策にとって大きな影響を与えそうだ。
今週の主なニュース
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・トヨタホーム、パナホーム、住友林業 震災集団移転エリ
アのスマートタウンが街びらき 先進の技術を盛り込む
・クリナップ シンクの清掃性の向上を図ったシステムキッ
チンを開発 キッチン作業で使う水の力を最大限活用
・ミサワホーム KDDI と被災度判定計を開発 震度 ・
被災度を迅速に把握し素早い復旧対応が可能に
・長谷工コーポレーション 総合地所を子会社化 分
譲マンションの管理戸数は35万戸に
・三協立山 三協アルミ社 高い断熱性能を確保した断熱玄関ド
アに採風タイプを追加 ドアを閉じたまま通風・換気が可能
・鶴弥 粘土瓦の製造技術を応用した陶板壁材を開発
焼き物特有の優れた意匠性を付与