地方創生に向けて - ローカルファスト研究所

地方創生に向けて
平成27年3月27日
内閣府 大臣補佐官
伊藤 達也
1.背景と課題
1-1 人口減少と東京一極集中
1-2 地域経済の課題
2.まち・ひと・しごと創生の方向性
2-1 長期ビジョン及びまち・ひと・しごと創生戦略の概要
2-2 地域経済分析システムについて
1
1-1
人口減少と東京一極集中
2
日本の出生数・出生率推移
○ 日本の人口減少には歯止めがかかっていない。
○ 合計特殊出生率は、2005年の1.26から2013年の1.43までやや回復するも、出生数は1970年代半
ば以降減少傾向。
○ 第2次ベビーブーム世代は40歳代となり(第3次ベビーブームは発生せず)、このまま推移すれ
図1 出生数及び合計特殊出生率の年次推移
ば、今後子どもをもつ可能性のある若い世代の人口が傾向的に減少していくことが確実。
出生数及び合計特殊出生率の年次推移
(昭和22~平成25年)
第1次ベビーブーム
万人
(昭和22~24年)
300
最高の出生数
第2次ベビーブーム
(昭和46~49年)
2 091 983人
2 696 638人
5
昭和41年
ひのえうま
1 360 974人
出
平成25年
最低の出生数
1 029 800人
200
平成17年
最低の合計特殊出生率 1.26
生
数
100
4
合
計
特
3
殊
出
2生
率
1
平成25年
1.43
出生数
合計特殊出生率
0
22
・
30
・
40
・
50
・
60
2
平成・年
昭和・・年
(出典)厚生労働省「人口動態統計」
7
・
17
・
25
0
8
3
日本の将来人口動向
○ 人口減少は世代別の異なる動きの中で進む。
○ 日本の将来人口動向は、第1段階:高齢人口が増加する時期、第2段階:高齢人口が維持・微減
となる時期、第3段階:高齢人口さえも減少する時期、に大きく分けられる。
将来推計人口【中位推計-合計特殊出生率1.35】
2010年
2040年
2060年
2090年
2110年
総人口
12,806万人
10,728万人
8,674万人
5,727万人
4,286万人
老年人口(65歳以上)
高齢化率
2,948万人
23.0%
3,878万人
36.1%
3,464万人
39.9%
2,357万人
41.2%
1,770万人
41.3%
生産年齢人口(15~64歳)
8,174万人
5,787万人
4,418万人
2,854万人
2,126万人
年少人口(~14歳)
1,684万人
1,073万人
792万人
516万人
391万人
(備考)国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口
(平成24年1月推計)」より作成
4
東京への一極集中
○ 2013年の転入超過数の状況を見ると、東京圏では10万人超の転入超過。
○ 特に、若年層を中心に東京圏は転入超過、地方圏の転出超過となっている。
(単位:人)
62
69
77
87
98
東京圏への転入超過の
大半は若年層
(出典)総務省「住民基本台帳人口移動報告」をもとに国土交通省国土政策局作成。
(注)上記の地域区分は以下のとおり。
東京圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
名古屋圏:岐阜県、愛知県、三重県
地方圏:三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)以外の地域
大阪圏:京都府、大阪府、兵庫県、奈良県
5
人口減少の要因(地方と3大都市)
○ 三大都市圏、特に東京の出生率は極めて低い。
○ 地方から三大都市圏への若者の流出・流入と低出生率が人口減少に拍車。
1.00
(出所)日本創成会議・人口減少問題検討分科会
「ストップ少子化・地方元気戦略」より。
全国
北海道
青森
岩手
宮城
秋田
山形
福島
茨城
栃木
群馬
埼玉
千葉
東京
神奈川
新潟
富山
石川
福井
山梨
長野
岐阜
静岡
愛知
三重
滋賀
京都
大阪
兵庫
奈良
和歌山
鳥取
島根
岡山
広島
山口
徳島
香川
愛媛
高知
福岡
佐賀
長崎
熊本
大分
宮崎
鹿児島
沖縄
1.10
1.20
1.30
1.40
1.50
1.28
1.40
1.33
1.33
1.31
1.47
1.80
1.90
2.00
1.53
1.42
1.43
1.41
1.44
1.43
1.49
1.44
1.47
1.49
1.32
1.31
1.60
1.54
1.45
1.26
1.70
1.46
1.34
1.35
1.13
1.60
1.43
1.53
1.53
1.42
1.52
1.49
1.43
1.47
1.45
1.52
1.62
1.65
1.57
1.56
1.59
1.59
1.56
1.64
1.65
1.63
1.72
(出典)厚生労働省「平成25年人口動態統計月報年計」
1.94
6
出生率低下の要因
○ 出生率低下の要因は、「未婚率の上昇」と「夫婦の子ども数の減少」。
○ 未婚率は、2010年は一部に下降がみられるものの、1970年代以降男女とも上昇傾向が続いてお
り、晩婚化(あるいは非婚化)が相当程度進行。
○ 結婚した夫婦からの出生子ども数が1990年代以降減少傾向。かつて2.2程度で安定して推移して
いた完結出生児数(夫婦の最終的な平均子ども数)は2010年には1.96と2を下回った。
出生率低下の要因
(%)
80
完結出生児数、夫婦の平均出生子ども数(妻の年齢別)
年齢別未婚率の推移
2.50
70
男25-29歳
64.4
66.9
69.3
66.9
2.18
60.4
60
50
59.0
55.1
46.1
45.7
46.5
48.3
20.9
18.9
18.1
9.9
11.0
11.6
9.4
9.0
20
10
21.5
7.7
9.1
2.16
2.16
2.16
2.14
2.15
1.99
1.99
1.99
2.17
2.00
1.87
1.97
1.90
1.85
1.74
47.1
44.5
42.9
1.50
1.41
1.61
1.36
1.28
1.52
1.32
32.6
32.0
男30-34歳
26.6
1.09
32.5
0.72
0.69
0.68
0.85
0.64
女30-34歳
0.96
1.36
1.11
0.93
20~24歳
25~29歳
30~34歳
35~39歳
0.84
19.7
13.9
1.08
0.95
1.00
完結出生児数
1.47
37.3
0.75
10.4
2.18
2.06
40.2
28.1
14.3
2.18
2.00
24.0
21.6
2.21
1.76
48.0
30.6
30
57.8
2.18
54.0
女25-29歳
40
2.35
71.4
40~44歳
0.50
0.50
7.2
2.20
2.19
2.23
2.19
2.21
2.21
2.23
2.09
1.96
1972
1977
1982
1987
1992
1997
2002
2005
2010
0.00
19
60
19
65
19
70
19
75
19
80
19
85
19
90
19
95
20
00
20
05
20
10
0
資料:総務省統計局「国勢調査報告」
※ 「完結出生児数」は、結婚持続期間(結婚からの経過期間)15~19年夫婦の平均出生子ども数で、夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされている。
資料:国立社会保障・人口問題研究所「出産力調査」、「出生動向基本調査」
7
未婚者の結婚の意思等、夫婦の理想・予定子ども数
○ 未婚者の結婚意思は、男女ともに「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合が9割程度で推移。
○ 理想の子ども数は2人以上。一方で、合計特殊出生率は1.43となっており、理想と現実のギャップ
が存在。
未婚者のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合
(%)
未婚者の希望子ども数、夫婦の理想・予定子ども数
(人)
100.0
91.8
92.9
90.0
90.0
90.2
85.9
89.1
87.0
88.3
87.0
90.0
86.3
希望子ども数(未婚男性)
2.90
89.4
希望子ども数(未婚女性)
理想子ども数(夫婦)
2.70
80.0
70.0
予定子ども数(夫婦)
2.50
60.0
男性
50.0
2.30
女性
2.10
40.0
30.0
1.90
20.0
1.70
10.0
1.50
0.0
1987
1992
1997
2002
2005
未婚者の結婚の意思
いずれ結婚するつもり
男性
一生結婚するつもりはない
不詳
いずれ結婚するつもり
女性
一生結婚するつもりはない
不詳
1987
91.8
4.5
3.7
92.9
4.6
2.5
1992
90.0
4.9
5.1
90.2
5.2
4.6
1997
85.9
6.3
7.8
89.1
4.9
6.0
2002
87.0
5.4
7.7
88.3
5.0
6.7
1982
2010
2005
87.0
7.1
5.9
90.0
5.6
4.3
(%)
2010
86.3
9.4
4.3
89.4
6.8
3.8
1987
1992
1997
2002
2005
2010
未婚者の平均希望子ども数、夫婦の理想・予定子ども数
(人)
1982 1987 1992 1997 2002 2005 2010
希望子ども数(未婚男性)
2.34
2.30
2.23
2.15
2.05
2.07
2.04
希望子ども数(未婚女性)
2.29
2.23
2.17
2.13
2.03
2.10
2.12
理想子ども数(夫婦)
2.62
2.67
2.64
2.53
2.56
2.48
2.42
予定子ども数(夫婦)
2.20
2.23
2.18
2.16
2.13
2.11
2.07
資料:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」
※ 年次は調査年。未婚者については18~34歳の者を対象に集計したもの。夫婦の理想・予定子ども数は妻が50歳未満の
夫婦に係る調査で回答者は妻。
8
1-2
地域経済の課題
9
非製造業の労働生産性の国際比較
日本の非製造業の労働生産性は、米国の半分程度の水準となっている。
【労働生産性水準の対米比(米国を100とした場合)】
120.0
100.0
米国 100
ドイツ 87.6
80.0
フランス 76.2
英国 67.9
60.0
日本 53.9
40.0
韓国 36.6
20.0
0.0
出所:通商白書2013
10
中小企業の競争力強化に向けて
 ドイツの中小企業は付加価値額、ROAが高く、Hidden Champion 企業の数も多い。
<産業における中小企業の比重>
ドイツ
日本
(%)
アメリカ
< 中小企業の業種別ROA >
(%)
10.0
9.0
企業数
雇用者数
付加価値額
99.5
62.2
53.8
99.7
62.8
49.3
99.7
49.1
43.9
(資料)欧州委員会’SBA Fact Sheets’,経済産業省「通商白書」
(社)
<隠れたチャンピオン企業の数>
8.0
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
製造業
建設業
日本
卸売業
小売業
ドイツ
(注)2004年~2007年の平均値。中小企業の定義は、日本は資本金1億円未
満、ドイツは売上高5,000万ユーロ未満)。
(資料)財務省「法人企業統計」、European Committee of Central Balance
Sheet Data Offices, “Bach Data-base” によりみずほ総合研究所作成
(注)製品の世界シェアが3位以内か大陸シェアが1位の中小企業(資料)Herrman Simon’Hidden Champion of the 21st century’
11
外国人旅行者受入数の国際比較(2013年)
日本は世界27位。アジアで8位。
フランス (France)
米国 (U.S.A.)
スペイン (Spain)
中国 (China)
イタリア (Italy)
トルコ (Turkey)
ドイツ (Germany)
英国 (U.K.)
ロシア (Russia)
タイ (Thailand)
マレーシア (Malaysia)
香港 (Hong Kong)
オーストリア (Austria)
ウクライナ (Ukraine)
メキシコ (Mexico)
ギリシャ (Greece)
カナダ (Canada)
ポーランド (Poland)
マカオ (Macau)
サウジアラビア (Saudi Arabia)
オランダ (Netherlands)
韓国 (South Korea)
シンガポール (Singapore)
スウェーデン(Sweden)
クロアチア (Croatia)
ハンガリー (Hungary)
日本 (Japan)
モロッコ (Morocco)
アラブ首長国連邦 (U.A.E.)
南アフリカ共和国 (South…
エジプト (Egypt)
チェコ (Czech Republic)
スイス (Switzerland)
インドネシア (Indonesia)
デンマーク (Denmark)
ポルトガル (Portugal)
台湾 (Taiwan)
ベルギー (Belgium)
ベトナム(Vietnam)
★アイルランド (Ireland)
0
84,726 1位
69,768
60,661
55,686
47,704
37,795
31,545
31,169
28,356
26,547
25,715
25,661
24,813
24,671
24,151
※1 : 外国人旅行者数は、各国・地域ごとに異なる統計基準により算
出・公表されているため、これを厳密に比較する際には統計基準の
違いに注意することが必要である。
(例:外国籍乗員数(クルー数)について、日本の統計には含まれな
いが、フランス、スペイン、中国、韓国等の統計には含まれている)
※2 : 外国人旅行者数のうち、隣国から陸路により入国する旅行者数
が大半を占める国・地域も数多く存在しており、例えばフランス、イタ
リア、英国といった受入数上位国でも、空路による旅行者数に限定
すれば、概ね2000万人強となっている。
(島国である日本は、約95%が空路による入国者である)
17,920
16,588
15,800
14,268
13,213
12,782
12,176
11,899
11,635
10,955
10,675
10,364
10,046
9,990
9,537
9,174
9,004
出典: 世界観光機関(UNWTO)
作成: 観光庁(JTA)
8,967
注1: 本表の数値は2014年9月時点の暫定値である。
8,802
注2: ★印を付したアイルランドは、2013年の数値が不明であるため、2012年の数値を採用した。
8,557
注3: アラブ首長国連邦は、連邦を構成するドバイ首長国のみの数値が判明しているため、その数値を採用した。
8,324
注4: 本表で採用した数値は、韓国、日本、台湾、ベトナムを除き、原則的に1泊以上した外国人旅行者数である。
注5: 外国人旅行者数は、数値が追って新たに発表されたり、さかのぼって更新されることがあるため、数値の採用時期によって、そのつど順
8,016
位が変わり得る。
7,642
7,572
(7,550)
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
10位
20位
30位
40位
90,000
12
千人
観光GDP比率の国際比較
日本の観光GDP比率は1.8%(2012年)となっており、国際的に見ても低水準。
観光GDP比率(GDPに占める観光GDPの割合)
出所:観光庁 旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究
13
地方への対内直接投資の活性化
 2020年までに対内直投残高の倍増(18兆円→35兆円)を目指す中、現在、対日投資
の7割が東京に偏在。地方にはまだまだ、医療、介護、観光など、大きな潜在的外資誘
致ニーズあり。
 地方に外国からの投資(対内直投)も最大限に呼び込むため、外国企業の誘致に熱心
な自治体を引き連れてのトップセールスの場を、今後、積極的に作っていく。
(%)
対内直接投資GDP比率
国際比較(2013年末)
262.3
100
対内直接投資残高
/ GDP
EU域外からの対内直接投資残高 / GDP
80
60.1
日本は199か国中196位。197位以下
はネパール、アンゴラ、ブルンジ。
60
36.6
40
28.3
20
12.9
3.8
26.1
16.5
6.5
7.6
0
14
2.まち・ひと・しごと創生の方向性
15
2-1.長期ビジョン及び
まち・ひと・しごと創生総合戦略の概要
16
「長期ビジョン」と「総合戦略」の全体像
【機密性 2 情報】
長期ビジョン
中長期展望(2060 年を視野)
総合戦略(2015~2019 年度の5か年)
基本目標(成果指標、2020 年)
「しごと」と「ひと」の好循環作り
地方における安定した雇用を創出する
Ⅰ.人口減少問題
の克服
◎2060 年に1億人程度
の人口を維持
◆人口減少の歯止め
・国民の希望が実現した
場合の出生率(国民希望
出生率)=1.8
◆「東京一極集中」の
是正
Ⅱ.成長力の確保
◎2050 年代に実質
GDP
成長率 1.5〜2%程度維
持
(人口安定化、生産性向上が実
現した場合)
◆若者雇用創出数(地方)
2020 年までの5年間で 30 万人
◆若い世代の正規雇用労働者等の割合
2020 年までに全ての世代と同水準
(15~34 歳の割合:92.2%(2013 年)
(全ての世代の割合:93.4%(2013 年)
◆女性の就業率 2020 年までに 73%
(2013 年 70.8%)
農林水産業の成長産業化
6次産業市場 10 兆円:就業者数5万人創出
訪日外国人旅行消費3兆円へ(2013 年
1.4 兆円):雇用数8万人創出
地域の中核企業、中核企業候補 1,000 社
支援:雇用数8万人創出
地方移住の推進
:年間移住あっせん件数 11,000 件
地方への新しいひとの流れをつくる
現状:東京圏年間 10 万人入超
◆地方・東京圏の転出入均衡(2020 年)
・地方→東京圏転入 6万人減
・東京圏→地方転出 4万人増
若い世代の結婚・出産・子育ての希望を
かなえる
◆安心して結婚・妊娠・出産・子育てできる社会を
達成していると考える人の割合
40%以上(2013 年度 19.4%)
◆第1子出産前後の女性継続就業率
55%(2010 年 38%)
◆結婚希望実績指標 80%(2010 年 68%)
◆夫婦子ども数予定(2.07)実績指標
95%(2010 年 93%)
好循環を支える、まちの活性化
時代に合った地域をつくり、安心な暮らし
を守るとともに、地域と地域を連携する
◆地域連携数など
※目標数値は地方版総合戦略を踏まえ設定
主な施策
主な重要業績評価指標(KPI)(※1)
企業の地方拠点機能強化
:拠点強化件数 7,500 件、雇用者数4万人増
加
地方大学活性化:自県大学進学者割合平均
36%(2013 年度 32.9%)
若い世代の経済的安定:若者就業率 78%
(2013 年 75.4%)
妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援
:支援ニーズの高い妊産婦への支援実施
100%
ワーク・ライフ・バランス実現:男性の育児
休業取得率 13%(2013 年 2.03%)
「小さな拠点」の形成
:「小さな拠点」形成数
定住自立圏の形成
:協定締結等圏域数(140 圏域)
既存ストックのマネジメント
:中古・リフォーム市場規模 20 兆円
(2010 年 10 兆円)
※1 Key Performance Indicator の略。政策ごとの達成す
べき成果目標として、日本再興戦略(2013 年6月)でも
設定されている。
①地域産業の競争力強化(業種横断的取組)
・包括的創業支援、中核企業支援、地域イノベーション推進、
対内直投促進、金融支援
②地域産業の競争力強化(分野別取組)
・サービス産業の付加価値向上、農林水産業の成長産業化、
観光、ローカル版クールジャパン、ふるさと名物、文化・芸術・
スポーツ
③地方への人材還流、地方での人材育成、雇用対策
・「地域しごと支援センター」の整備・稼働
・「プロフェッショナル人材センター」の稼働
① 地方移住の推進
・「全国移住促進センター」の開設、移住情報一元提供システム整備
・「地方居住推進国民会議」(地方居住(二地域居住を含む)推進)
・「日本版 CCRC※2」の検討、普及
②地方拠点機能強化、地方採用・就労拡大
・企業の地方拠点強化等
・政府関係機関の地方移転
・遠隔勤務(サテライトオフィス、テレワーク)の促進
③地方大学等創生5か年戦略
①若者雇用対策の推進、正社員実現加速
②結婚・出産・子育て支援
・「子育て世代包括支援センター」の整備
・子ども・子育て支援新制度の円滑かつ持続的な実施
・多子世帯支援、三世代同居・近居支援
③仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現(働
き方改革)
・育児休業の取得促進、長時間労働の抑制、企業の取組の支援等
①「小さな拠点」(多世代交流・多機能型)の形成支援
②地方都市における経済・生活圏の形成(地域連携)
・都市のコンパクト化と周辺等のネットワーク形成
・「連携中枢都市圏」の形成、・定住自立圏の形成促進
③大都市圏における安心な暮らしの確保
④既存ストックのマネジメント強化
※2 米国では高齢者が移り住み、健康時から介護・医療が必要となる時期まで継続的なケアや生活支
援サービス等を受けながら生涯学習や社会活動等に参加するような共同体(Continuing Care
Retirement Community)が約 2,000 カ所ある。
17
地方公共団体の戦略策定と国の支援
国の長期ビジョン:2060年に1億人程度の人口を確保する中長期展望を提示
国の総合戦略:2015~2019年度(5か年)の政策目標・施策を策定
地方人口ビジョン:各地域の人口動向や将来人口推計の分析や中長期の将来
展望を提示
地方版総合戦略:各地域の人口動向や産業実態等を踏まえ、2015~2019年度
(5か年)の政策目標・施策を策定
<地方公共団体の戦略策定と国の支援>
・地方が自立につながるよう自らが考え、責任を持って戦略を推進。
・国は「情報支援」、「人的支援」、「財政支援」を切れ目なく展開。
情報支援
○「地域経済分析システム」
・各地域が、産業・人口・社会インフラ
など必要なデータ分析を行い、各地域
に即した地域課題を抽出し対処できる
よう「地域経済分析システム」を整備。
財政支援
人的支援
○「地方創生人材支援制度」
○「地方版総合戦略」
の策定・実施の財政
的支援
・小規模市町村に国家公務員等を
首長の補佐役として派遣。
○「地方創生コンシェルジュ
制度」
・府省庁職員を相談窓口として選任。
18
18
地方への財政支援の概要
 平成26年度補正予算において、地方の積極的な取組を支援する交付金を先行的に創
設。28年度以降に向けて新型交付金の制度設計を行っていく。
緊急的取組
27年度
28年度以降
経済対策(まち・ひと・しごと創
生関連)
総合戦略に基づく取組
総合戦略に基づく取組
○国: 27年度を初年度とする「総合
戦略」を推進。
○地方: 国の総合戦略等を勘案し、「
地方人口ビジョン」及び「地方版総
合戦略」を策定し、施策を推進。
○総合戦略の更なる進展
○地域住民生活等緊急支援
のための交付金(仮称)
地方創生先行型の創設
○地方の積極的な取組を支援する自由度の高い交付金を、26年度補正
予算で先行的に創設。地方版総合戦略の早期かつ有効な策定・実施に
は手厚く支援。対象事業は、①地方版総合戦略の策定、②地方版総合
戦略における「しごとづくりなど」の事業。メニュー例:UIJターン助成金、
創業支援、販路開拓など。
地域消費喚起・生活支援型
メニュー例:
プレミアム付商品券
低所得者等向け灯油等購入
助成
ふるさと名物商品・旅行券 等
新型交付金の本格実施へ
○地方版総合戦略に基づ
く事業・施策を行う
○客観的な指標の設定・
PDCAによる効果検証を
行う
税制・地方財政措置
○企業の地方拠点強化に関する取組を促進するための税制措置
○地方創生の取組に要する経費について地方財政計画に計上し、
地方交付税を含む地方の一般財源確保
等
19
<政策の企画・実行に当たっての基本方針>
従来の政策の検証
(1) 府省庁・制度ごとの「縦割り」構造
特に地域の経営・事業人材の育成確保に関して、各府省庁で政策手法が似通うこと
が多く、重複、小粒な事業が乱立する傾向。
(2) 地域特性を考慮しない「全国一律」の手法
地域特性や地域の主体性が考慮されないことが多い。また、プロジェクト事業では、
全国から多数の申請が出され、「小粒で似たような」事業が全国で多数展開される
傾向。
(3) 効果検証を伴わない「バラマキ」
財源が限られている中、政策検証を客観的・具体的なデータに基づいて行う仕組み
が整っていない、政策目的が明確でない、適切かつ客観的な成果検証と運用の
見直しのメカニズムが伴っていない施策に対して「バラマキ」との批判。
(4) 地域に浸透しない「表面的」な取組
対症療法的なものにとどまり、構造的な問題への処方箋としては改善の余地があっ
たものも多い。「深み」のある政策パッケージを立案・推進する必要。
(5) 「短期的」な成果を求める施策
政策が成果を出すためには、一定の時間が必要。それにも関わらず、中長期的な展
望やプランを持たずに、モデル事業という形で単年度ベースの政策や短期間で変 20
更・廃止を繰り返しているケースが多い。
<基本的な考え方>
「まち」「ひと」「しごと」の創生と好循環の創出
 「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を地方に確立す
るとともに、その好循環を支える「まち」に活力を取り戻し、人々が安心して生
活に営み、子供を産み育てられる社会環境を作り出す。
「ひと」の創生
・若者の地方での就業促進
・地方移住・定着を推進
・結婚・出産・子育てまでの
切れ目のない支援
「しごと」の創生
好循環
「相応の賃金」
「安定した雇用形態」
「やりがいのあるしごと」
の3要件を満たす雇用を創出
「まち」の創生
・地域の特性に即した地域課題の解決
21
<政策の企画・実行に当たっての基本方針>
まち・ひと・しごとの創生に向けた政策5原則
(1) 自立性(自立を支援する施策)
一過性の対処療法的なものにとどまらず、地方公共団体・民間事業者・個人等の自
立につながるものであること。
(2) 将来性(夢を持つ前向きな施策)
地方が主体となり行う、夢を持つ前向きな取り組みに対する支援に重点をおくこと。
(3) 地域性(地域の実情等を踏まえた施策)
国の施策の「縦割り」を排除し、客観的なデータにより各地域の実情や将来性を十分
に踏まえた、持続可能な施策を支援するものであること。
(4) 直接性(直接の支援効果のある施策)
限られた財源や時間の中で、最大限の成果を上げるため、ひとの移転・しごとの創
出・まちづくりを直接的に支援するものであること。
(5) 結果重視(結果を追求する施策)
目指すべき成果が具体的かつ適切な数値で示されていること。また、その検証や継
続的な取組改善が容易に可能であること。
22
地方に仕事をつくり、安心して働けるようにする
 地域経済に根付いた個別産業分野の生産性向上や、地域経済や雇用の核となる地域
中核企業の創出、地方への人材還流システムの構築等を通じて地域産業の競争力を
強化し、地域における「しごと」と「ひと」の自立的好循環を生み出していく。
 地域産業の競争力強化(分野別取組)
<サービス産業>
・付加価値向上策の先進事例の抽出と横展開
・「消費者志向ブランド」への需要拡大
・ヘルスケア産業の創出支援
等
 地域産業の競争力強化(業種横断的取組)
・包括的創業支援(創業・第二創業)
・地域を担う中核企業支援
・新産業を生み出す地域イノベーションの推進
・外国企業の地方への対内直接投資の促進
・産業・金融一体となった総合支援体制の整備
・事業承継の円滑化、事業再生、経営改善支援
等
<農林水産業>
・農林水産業の生産現場の強化
・バリューチェーンの構築(6次産業化)
・需要フロンティアの拡大(輸出拡大、食文化の
海外展開)
等
<観光産業>
・広域観光周遊ルート形成・発信
・地域資源を活用した「ふるさと名物」の開発
・日本版DMOの普及
等
 地方への人材還流、地方での人材育成、地
方の雇用対策
・「地域しごと支援センター」(仮称)設置
・「プロフェッショナル人材」の地方還流
・地域における女性の活躍推進
・大学・高専等における地域ニーズに対応した人材育成
支援
等
 地域経済雇用戦略の企画・実施体制の整備
 ICT等の利活用による地域の活性化
23
ローカル企業活性化パッケージ

ローカル企業は、人手不足の中、必要に応じ集約化を図りつつ生産性・効率性の向
上を図っていく必要。
※ 生産性・効率性向上を目指す企業へのカネ・ヒトの流れが促進されることは、地域の雇用・賃金の改善に繋がる
 官民一体となって「ローカル企業活性化パッケージ」に掲げた施策を推進し、
様々なライフステージにある企業の経営課題解決に向けた自主的な取組みを積
極的に支援。
企業のライフステージと経営課題(イメージ)
売上高・
利益額
経営改善・生産性向上・体質強化
事業転換・M&A・会社分割
成 熟
成長鈍化
成 長
抜本的な事業再生
(過剰債務の解消、事業の再構築)
生産性の向上
成長のための資金調達
新 興
創業・起業
衰 退
専門人材・資金の確保
円滑な退出(事業整理)
時間
ローカル企業活性化パッケージ
埋もれている地域資源の事業化
サービス産業を中心とした生産性向上等
円滑に退出できる環境整備
24
プロフェッショナル人材の地方還流
 地方の中堅・中小企業における経営サポートを担うプロフェショナル人材を都市部から地方へ還流さ
せる仕組みを構築。
 具体的には、都市圏のプロフェッショナル人材の発掘、地域の中堅・中小企業等の相談窓口となる
「プロフェッショナル人材センター」の整備、地域経済活性化支援機構(REVIC)の子会社を活用した
経営人材のマッチング等を行う。
25
観光産業の活性化に向けて
 ビックデータの活用により、人の流れや観光産業の波及効果を「見える化」することで、
地方自治体の観光戦略や広域観光戦略を支援。
 広域的な観光周遊ルートの形成・海外発信の強化により、外国人観光客の訪問地を地
方各地に広げていく。
 欧米では主流となりつつあるDMO(Destination Management Organization)等の運営手
法も参考にしつつ、観光分野にマーケティングやマネジメント等の経営手法を普及させ
ることにより、観光産業の生産性を向上させ、域外需要の獲得と良質な雇用を創出して
いく。
<DMOによる事業推進イメージ>
観
光
マ
ー
ケ
テ
ィ
ン
グ
調
査
観
光
戦
略
の
立
案
・
目
標
設
定
ブ
ラ
ン
デ
ィ
ン
グ
・
プ
ロ
モ
ー
シ
ョ
ン
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
評
価
分
析
・
P
D
C
A
サ
イ
ク
ル
26
地方への新しいひとの流れをつくる
 東京圏への人口集中の是正に向けて、移住のワンストップ支援を行う「全国移住促進
センター(仮称)」の設置や政府機関・企業の地方拠点拡大、地方大学の活性化等を通
じて、地方への新しいひとの流れを創出していく。
 地方移住の推進
・「全国移住促進センター(仮称)」の設置、「全国移住ナビ」の整備
・地方居住の本格推進(都市農村交流、二地域居住、住み替え支援)
・日本版CCRC(Continuing Care Retirement Community※)の検討
※大都市の高齢者が健康時から移り住む地域共同体
・「地域おこし協力隊」と「田舎で働き隊」の統合拡充
等
 企業の地方拠点強化、企業等における地方採用・就労の拡大
・企業の地方拠点強化税制の創設
・政府関係機関の地方移転
・サテライトオフィス、テレワークの推進
等
 地方大学等の活性化
・知の拠点としての地方大学強化プラン(地方大学等の地域貢献に対する評価とその取組の推進)
・地元学生定着促進プラン(地方大学等への進学、地元企業への就職等の促進)
・地域人材育成プラン(高等学校の人材育成機能の強化、地域産業の振興を担う人材育成)
等
27
地方への人材還流システムの構築
 移住を検討している方々には、「全国移住促進センター」にて各地域のしごとや生活に関する情報を
提供。「全国移住ナビ」を整備し、関連情報の一元的な収集・提供体制を構築。
 移住候補となる地域が確定した利用者には、「地域しごと支援センター」が、各省庁の関連事業も含
めた地域レベルの詳細な情報を一元的に提供。
全国
移住促進センター
(東京)
地域しごと支援センター
(各都道府県)
ハローワーク
都
市
部
(
ポ
ー全
タ国
ル移
サ住
イナ
トビ
)
一
元
的
情
報
提
供
新規就農相談センター
地
方
の
企
業
福祉人材センター
大学・高専
地域中小企業人材バンク
(若者・女性等)
28
○地方創生のためには地方で生まれ育ち、そこで働きたい若者のための「しごと」の創出が不可欠。
○そのため、今国会に提出する改正地域再生法に基づき自治体が作成する計画に沿って、地方拠点の強化・拡充を行う企業に対
する税制等の支援措置を創設。
(事業税(移転型のみ)、不動産取得税、固定資産税について、自治体が課税の減免をした場合に、地方交付税による減収補填措置を併せて創設。)
※適用期間:平成29年度末までに投資計画が承認された事業者について、承認日より2年間に実施した投資が対象
拡充型(含対内直投)
移転型
地方の企業の拠点拡充
地方にある企業の本社機能(※)等の強化を支援
※ 本社機能とは、経営意思決定、経営資源管理(総務、経
理、人事)、 各種業務統括(研究開発、国際事業等)などの
事業所をいう。工場及び当該地域を管轄する営業所等は含
まない。拡充だけでなく新設も含まれる。
東京23区からの移転の場合、
拡充型よりも支援措置を深堀り
大都市等
以下の要件を満たす自治体が計画を策定し国が認定
1. 地域要件:右記の移転型の要件に加えて、単独自治体、又は
地域連携により、概ね人口10万人以上の経済圏を構成し、
一定の事業集積が認められる地域
オフィス
減税
《新設》
(措置対象:建物、建物附属設備、構築物)
(取得価額要件:大企業2,000万円、中小企業1,000万円)
雇用促進
税制
①増加雇用者1人当たり50万円を税額控除
《従来の40万円に、地方拠点分は10万円上乗せ》
②法人全体の雇用増加率10%未満の場合でも、
1人当たり20万円を税額控除
《新設》
東京23区
以下の要件を満たす自治体が計画を策定し国が認定
1. 地域要件:東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く全地域
2. 本社機能の受入促進策を講じていること
企業の地方拠点強化に関する計画(知事認定)
地域
企業の地方拠点強化に関する計画(知事認定)
オフィスに係る建物等の取得価額に対し、
特別償却15%又は税額控除4%(※)
※計画承認が平成29年度の場合は2%
東京一極集中の是正
地方移転の促進
オフィス
減税
オフィスに係る建物等の取得価額に対し
特別償却25%又は税額控除7%(※) 《新設》
※計画承認が平成29年度の場合は4%
(措置対象:建物、建物附属設備、構築物)
(取得価額要件:大企業2,000万円、中小企業1,000万円)
雇用促進 ①増加雇用者1人当たり最大80万円を税額控除
《拡充型50万円に、地方拠点分は更に30万円上乗せ》
税制
②①のうち30万円分は、雇用を維持していれば、最大3年
間継続 《新設》
③②は法人全体の雇用増がなくても、東京から地方へ
の移転者にも適用 《新設》
<活用例>
 東京23区からの本社機能の移転により、5億円投資し、税額控除(7%)を選択した場合、オフィス減税分として法人税額負担は3,500万円
減。
 この地方移転に伴い、30人が転勤し、地方で20人を新規雇用した場合、雇用促進税制の特例として最大5,500万円の法人税額控除。 29
 したがって、合計9, 000万円の税負担軽減。
日本版CCRCについて
 アクティブ(活動的)に生活し続けたいという高齢者の希望を実現するとともに、地方への新しいひとの流
れをつくって地方創生の実現に資するため、日本版CCRCの取組を推進。
※日本版CCRC(Continuing Care Retirement Community):都会の高齢者が地方に移り住み、健康状態に応じた継
続的なケア環境の下で、自立した社会生活を送ることができるような地域共同体
①自立した生活を安心して送れる住宅を提供した上で、②各種活動への参加を推進するとともに、
③必要なケアが提供される体制を整備。
地域
地域住民
(若年層等)
地方大学
(空き教室等)
CCRC
地域交流
生涯学習
店舗等
(地域住民も利用)
社会活動
(ボランティア等)
参加
住民協議会
(住民自治)
*サービス付高齢者向け住宅の要件
・原則25㎡以上の居住面積
・バリアフリー構造
・安否確認・生活相談サービスの提供等
ケアが必要になった場合は
介護事業所
介護
サービス付き高齢者
向け住宅*
病院・診療所
医療
※事業の安定性・質の確保のための方策:情報公表、第三者機関による格付認証、市町村との密接な連携等
30
 地域産業の担い手となる若者の定着を促進するため、大学進学時に、日本学生支援機
構が優先枠(地方創生枠(仮称))を設けて無利子奨学金を貸与する措置を講ずる。
 地方企業等への就職時に、奨学金の全額又は一部の返還を支援する基金を地方公共
団体と地元産業界が協力して造成する取組に対して、特別交付税措置により総務省が
支援を行う。
【事業イメージ】
地元産業界
一般の寄付等
道府県等
出捐
出捐
総務省
道府県等の基金への出捐額
に特別交付税措置
「○○県人口減少対策・就職支援基金」
①対象学生を推薦
文科省
独立行政法人
日本学生
支援機構
対象者の要件
④要件を満たす者に対して奨学金
の全部又は一部を負担
・「地方経済を支える基
幹産業」や「戦略的に振
興する産業分野」に係
る地元企業に就職 等
③奨学金返還
②奨学金貸与
無利子の優先枠
を設定
(地方創生枠(仮称))
大学生等
※ 地方公共団体と地元
産業界が合意して設定
地方大学等への進学、地元企業への就職や、都市部の大学等から地方企業への就職を促進
31
地方版総合戦略に関する具体的取組の支援
地域再生計画や地方創生先行型交付金は、地方自治体による地方版総合戦略に関す
る具体的な取組を支援する強力なツール
地域再生計画
・地域再生法に基づく総理大臣認定
・本年1月に地方版総合戦略の核とな
る全国21件のプロジェクトを認定
・地域再生戦略交付金による支援
地方版総合戦略
・まち・ひと・しごと創生に関する
目標や施策に関する基本的方向
・地域の実情に応じた施策について
の基本的な計画
具体的
取組を
支援
地方創生先行型交付金
・地方版総合戦略に関する先行的な
取組に対して、本年3月に、全国12,355
件、1,344億円を交付決定
・さらに先駆的な事業等について、上乗
せ交付を実施予定
まち・ひと・しごと創生関連予算
・26年度補正予算: 3,275億円
・27年度予算:
7,225億円
32
地方創生先行型交付金の具体的事例(群馬県安中市)
2市1町の広域観光周遊ルート造成によるおもてなしサービスの見える化事業(33,823千円)
事業の概要等
○安中市・富岡市・軽井沢町の隣接する2市1町が連携
して、広域の観光ルートを造成し、モニターツアーを
行うとともに、DMO創設の基盤とする。
○また、セルフガイドアプリや、スマートフォン用のデ
ジタルコンテンツを開発し、地元産品や飲食店等の消
費喚起を行うとともに、エリア毎の消費額や人・車の
動き等も含めた情報を観光統計として活用する。
重要業績評価指標(KPI)
○安中市観光客数:105%
○着地型観光ツアー催行数:年間10件
ポイント
○県域をまたぐ広域連携によって、新たな観光需要の創
出、DMO創設の基盤づくりなどの観光施策に取り組んで
いる。
○観光情報を統計として活用し、データに基づく施策づ
くりにつなげようとしている。
33
地方創生先行型交付金の具体的事例(高知県大川村)
大川村土佐はちきん地鶏生産技術向上事業(交付金:12,065千円)
事業の概要等
重要業績評価指標(KPI)
○人口411名(平成22年国勢調査)と、離島を除き人口が
最少の高知県大川村では、人口減少に歯止めがかから
ない状況である。そのため、中長期での基幹産業の振
興と雇用創出による人口対策として、平成21年からブ
ランド鶏「土佐はちきん地鶏」の生産拡大に取り組ん
でいる。
○交付金を活用して、鶏舎環境や給餌等に関する飼育
データを踏まえた高度な生産管理など、飼育ノウハウ
を持つ人材育成を実施することで、取組を加速し、若
者のUIターンなどによる人口増加を目指していく。
○平成27年度生産羽数:6万羽
(平成26年度見込み5.2万羽)
地方版総合戦略に盛り込む予定の基本目標等
・基本目標
「土佐はちきん地鶏」の生産出荷羽数の増加等による
新たな村内雇用の創出を目指す。
・数値目標
2020年までに土佐はちきん地鶏産業での新規雇用12名
ポイント
○人口減少が大きな問題となっている中、村の基幹産業
になる「土佐はちきん地鶏」という地域資源を創出
し、その生産拡大による雇用創出にターゲットを絞っ
て取り組んでいる。
生産現場風景
若手職員による作業状況
※生産現場ではUIターンで帰村
した20代の若者も多い。
○雇用が生まれることで若者が戻ってきた実績があり、
取組を加速することで地域の活性化が見込まれる。
34
2-2.地域経済分析システムについて
35
地域経済分析システムについて
○人口減少、過疎化が構造的に進展し、疲弊する地域経済を真の意味で活性化させていくた
めには、地方自治体が、地域の現状・実態を正確に把握した上で、将来の姿を客観的に予測
し、その上で、地域の実情・特性に応じた、自発的かつ効率的な政策立案とその実行が不可
欠。
○このため、国が、地域経済に係わる様々なビッグデータ(企業間取引、人の流れ、人口動態、
等)を収集し、かつ、わかりやすく「見える化(可視化)」するシステムを構築することで、地方自
治体による、真に効果的な「地方版総合戦略」の立案、実行、検証(PDCA)を支援する。
2009
2010
2011
2012
2013
36
産業マップ
■全産業花火図
(出所:経済センサス、帝国データバンク)
【用途】自らの行政区域の経済を支える主要産業の全体像を把握するとともに、域外からお
金(「外貨」)を稼ぐ産業等を特定することで、支援・強化していくべき産業を特定する。
【機能】企業間取引のネットワークから、ある行政区域内の主要産業の全体像を時系列で可
視化する(ex. 従業者数、売上高、付加価値額、取引流入額)。
37
産業マップ
■企業別花火図
(出所:帝国データバンク)
【用途】①自らの行政区域やその周辺自治体にどのようなサプライチェーンが広がっているかを
把握することで、複数自治体間での政策連携を検討できる。②具体的な企業間取引ネッ
トワークから、効率的かつ効果的な企業誘致も可能となる。
【機能】産業別に、行政区域を超えたサプライチェーンや企業間のつながりを可視化する。
<石川県・福井県の産業別花火図(繊維工業)>
資料:(株)帝国データバンク調べ
2009
2010
2011
2012
2013
38
産業マップ
■地域中核企業候補の抽出
(出所:帝国データバンク)
【用途】地域経済を支える「地域中核企業」候補を把握することで、どこの企業を重点的に支援し
ていくかの検討に役立つ。
【機能】コネクター度、ハブ度、雇用貢献度、利益貢献度という4要素の重視する割合に応じて、
上位50社・下位50社をリスト形式で表示
(ex. 企業名、資本金額、従業員数、売上高、当期純利益)。
39
人口マップ
■人口流出
(出所:総務省「住民基本台帳人口移動報告」)
【用途】自分の市町村から、どこの都道府県・市町村に移動しているかを知ることで、効果的
な人口流出防止対策を検討することできる(「人口ダム論」の検討)。
【機能】時系列で、ある市町村からどこの市町村へ、どれくらい人口流出があるのかを表示。
石川県輪島市からの流出
赤:県内への流出
黄色:県外への流出
輪島市
小松市
大阪
名古屋
金沢市
市区町村
人数
金沢市
○○人
小松市
△△人
名古屋市
○○人
大阪市
△△人
東京都
港区
○○人
富山市
△△人
・・・
・・・
東京
40
人口マップ
■人口流入
(出所:総務省「住民基本台帳人口移動報告」)
【用途】自分の市町村には、どこの都道府県・市町村から流入しているかを知ることで、効果
的な人口流入促進策を検討することできる(「人口ダム論」の検討)。
【機能】時系列で、どこの市町村からある市町村へ、どれくらい人口流入があるのかを表示。
石川県金沢市への流入
赤:県内からの流入
黄色:県外からの流入
金沢市
市区町村
人数
加賀市
○○人
小松市
△△人
輪島市
○○人
富山市
△△人
新潟市
○○人
福井市
△△人
・・・
・・・
41
観光マップ
■From-to分析(滞在人口)
(出所:株式会社Agoop)
【用途】自らの行政区域にどの都道府県、市町村から来ているかを把握することで、どの地域に観
光パンフレットを配布するかなど観光戦略の立案に活用できる。
【機能】ある都道府県、市町村に2時間以上滞在した人が、どこの都道府県・市町村から来たかを
平日・休日別に表記。
西区, 0 .6 , 1 .6 %
滞在人口
その他
0.4
20.5%
柏崎市, 0 .7上越市,
, 1 .8 % 0 .6 , 1 .6 %
中央区, 0 .7 , 1 .9 %
小千谷市, 0 .9 , 2 .3 %
千葉県
0.1
4.4%
その他, 2 .8 , 7 .4 %
長岡市, 2 8 .0 , 7 3 .2 %
見附市, 1 .5 , 3 .9 %
群馬県
0.3
12.8%
富山県
0.1
5.4%
燕市, 1 .1 , 2 .9 %
三条市, 1 .3 , 3 .3 %
東京都
0.4
19.0%
福島県
0.1
5.5% 神奈川県
0.1
5.8%
北海道
0.1
6.6%
長野県
0.2
8.5%
埼玉県
0.2
11.4%
42
観光マップ
■ラウンドトリップ分析
(出所:ゼンリンデータコム)
【用途】①自らの行政区域への訪問者が、どの都道府県から、どの市町村を経由して来ている
のかを把握することで、行政区域を超えた広域観光連携や観光ルート開発につなげる。
②ルートから外れた市町村は、いかにこのルートを引っ張って来れるかを検討できる。
【機能】季節(春・夏・秋・冬)×休日・平日別×「宿泊地 or 立寄地別」×「出発地」の上位5ルート
を表示。
43
自治体比較マップ
■創業比率
(出所:経済産業省・総務省「経済センサス」)
【用途】自らの行政区域における創業比率の把握、目標(KPI)の設定や創業比率の高い自治体
がどのような施策を行っているかを把握できる(「施策マップ」との連携)。
※「施策マップ」→ https://www.mirasapo.jp/measure_map/
【機能】市町村単位かつ時系列で、創業比率を表記。他の市町村との比較も可能。
産業
自治体
観光
人口移動
市区町村別創業比率
創業比率
福岡市
地域指定
順位
<県内>
2位
<全国>
135位
福岡県
福岡市
福岡市
福岡市
新潟市
北九州市
久留米市
古賀市
金沢市
長岡市
8
7
福岡県福岡市
6
石川県金沢市
5
4
3
比較
金沢市
大牟田市
福岡県大牟田市
2
長岡市
1
新潟県長岡市
大牟田市
0
比較
01~04年
04~06年
06~09年
09~12年
注)06~09年の値は、開業事業所の定義が異なるため、過去
の数値と一概に比較できない。
44
自治体比較マップ
■経営者平均年齢
(出所:株式会社帝国データバンク)
【用途】自らの行政区域の経営者の平均年齢を把握することで、事業承継支援など講ずべき施
策の立案に役立つ。
【機能】市町村単位かつ業種別に、時系列で、経営者平均年齢を表記。
産業
自治体
観光
人口移動
経営者平均年齢
経営者平均年齢
東京都渋谷区
地域指定
順位
<県内>
8位
<全国>
876位
石川県
輪島市
金沢市
七尾市
小松市
野々市市
輪島市
64
62
石川県輪島市
62.0
62.1
62.2
62.8
60.3
60.8
61.3
54.3
54.4
54.5
54.5
54.5
54.5
55.0
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
60
58
56
54
52
50
比較
東京都渋谷区 2014年年代構
成
20代
80代
渋谷区
比較
60代
24%
3% 1%
30代
70代
11%
10%
50代
27%
石川県輪島市 2014年年代構成
70代
19%
80代 90代 30代
5% 1% 4%
40代
6%
50代
25%
40代
24%
60代
40%
45
本システムにより得られる効果
(1)【中立性・客観性】データに基づく政策意思決定
経験や勘に基づく、旧来型の意思決定システムから、データや「見える化」された企業間取
引等に基づく、より客観的・中立的な政策意思決定システムへの転換が促進される。
(2)【ベンチマーク・比較】立ち位置の確認、他の自治体と比較
全国平均や他の自治体と比べ、自らの「立ち位置(ランキング)」を確認できる。また、講じた
施策の効果を時系列で追いかけることも可能。他の自治体と比較することもできる。
(3)【重点化・効果的支援】「地域中核企業」の候補企業の抽出
地域経済を支える「地域中核企業」の候補企業を、自治体の判断基準で自由に抽出するこ
とができる。これにより、より効率的かつ効果的な政策資源の投入が可能となる。
(4)【スピード】施策のPDCAサイクルの加速化
自治体が講じた施策の効果をより短期間で把握すること(政策評価)ができるため、施策の
PDCAサイクルをより加速化することで、より効率的かつ効果的な政策立案につながる。
(5)【ギャップ】地域経済の現状と施策のギャップの把握
国・都道府県・市町村の施策を一覧できる「施策マップ」と一緒に見ることで、地域経済の
現状と自治体が講じている施策の「ギャップ」を把握できる。
(※)施策マップ → https://www.mirasapo.jp/measure_map/
46
最終的に目指すべき姿
(1)【国】 必要なデータ整備・提供とアドバイス(活用支援)
国は、今後、地方自治体が「地方版総合戦略」を立案する際に必要となる、幅広いデータ(地
域経済循環、財政、産業、観光、消費、農業、医療福祉、教育等)を整備するとともに、毎年の
データ更新とシステム更新が可能な基盤(予算面・体制面)を確立し、地方自治体に対して、
持続的かつ安定的にデータ提供及びアドバイス(活用支援)を行う。
(2)【自治体】 自由に使いこなせるようになる、先進的な取組・経験の共有
地方自治体は、「地方版総合戦略」の立案・実行・検証時のみならず、毎年の産業政策や観
光政策、少子高齢化対策、過疎化対策等の立案・実行・検証時には、どの自治体も自由自在
に、本システムを使いこなせるようになることを目指す。また、本システムを活用して、データに
基づく効果的な政策立案・実行をしている自治体の先進的取組等を他の自治体と共有する。
(3)【国と自治体】 「共通言語」となる
本システムにより、経験と勘に基づく政策意思決定から客観的・中立的なデータに基づく政
策意思決定に変わっていくとともに、本システムが国と地方自治体との「共通言語」となること
で、今後、国と地方自治体は、より実態に即した現実的な政策対話ができるようになる。
47
地方創生の実現に向けた3つのキーワード
1.「地方創生」は「日本創生」
 地方の問題は日本の問題。地方が変われば、日本が変わる。
 地方創生を実現することは、まさに課題先進国日本の新たな成長モデルを実現していく
こと。
2.「全員参加型」の国民運動へ
 国民一人一人が、他人事ではなく自らの問題と捉えることが地方創生の第一歩。
 地方自治体のみならず、産業界、教育・研究機関、金融機関、労働団体、言論団体等、
国民各層の参画を促し、住民の参加意識を高め、全員参加型の国民運動へ。
3.「ゼロサム」から「プラスサム」へ
 東京と地方、地方と地方でパイを奪い合う「ゼロサム」ではなく、外から需要を取り込むこ
とでパイを拡大する「プラスサム」へ。
 地域資源のブランド化や外国人観光客の地方への誘客、グローバルニッチトップ企業の
海外展開等により、地方が海外の需要を取り込んで成長する自律的好循環を実現。
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