人口減少時代における 自治体のあり方 - 分権型政策制度研究センター

RCD Report 19
人口減少時代における
自治体のあり方
分権型政策制度研究センター
人口減少時代における
自治体のあり方に関する研究会
2015年3月
目次
Ⅰ 研究の目的
3
Ⅱ 政策・事業の実施構造の見直し
4
Ⅲ 都市計画の見直しと将来構想
7
Ⅳ 自治体間の補完・協力・連携システム
8
Ⅴ 地方創生について
9
11
おわりに
2
Ⅰ 研究の目的
Ⅰ‐1 日本の総人口は 2010 年に 1 億 2800 万人であったが、2050 年には 9700 万人、2100
年には 4950 万人と予測されている(国立社会保障・人口問題研究所)
。凄まじい減少予測で
ある。すでに地方都市や農山村では人口の減少がすすんでいるが、大都市圏においても人口
減少が重要な問題として浮上してくるであろう。
Ⅰ‐2 こうしたなかで日本創成会議は、2014 年 5 月、2040 年には全国の約半数におよぶ
896 市区町村の存立が難しくなるとした。自治体の「消滅」は、いわゆる過疎地域のみなら
ず東京 23 区でも起こりうるとした。この報告(
「増田リポート」)は、大きな衝撃を社会に与
えた。この報告と連動しているか定かでないが、安倍政権は 2014 年 9 月の内閣改造にあたっ
て「地方創生」を重要課題と位置づけ、地方創生担当大臣を設置した。また首相を本部長と
する「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、2015 年度予算において「地方創生」に重点
的に取り組むとしている。
Ⅰ‐3 「増田リポート」のいう「自治体消滅」とそれへの対応策、内閣の地方創生施策へ
の評価はのちに述べるが、高度経済成長以降、人口の増加を前提として構築されてきた社会
資本や土地利用政策、都市政策をはじめとする自治体政策は、少子高齢化社会がいわれるな
かで見直しがすすんでいるものの、より根本的な再構築を求められていよう。
Ⅰ‐4 本研究では、
人口減少時代を見据えつつ、
持続可能な地域社会を実現するためには、
自治体政策はいかにあるべきか、また、中央―自治体関係は、どのように構想されるべきか
を、自治・分権の観点から追究する。
3
Ⅱ 政策・事業の実施構造の見直し
Ⅱ‐1 社会資本整備
Ⅱ‐1‐1 人口増加を基本としていた時代においては、各種の公共施設・道路・橋梁の整
備・増設が当然視されてきた。もともと、この時代においても事業の必要性について疑問視
する声がなかったわけではないが、建設事業による地域経済の活性化などの要求に押されて
少数派にとどまってきた。
Ⅱ‐1‐2 これら公共施設や道路・橋梁などは、維持・補修費などの多大な費用を要する
ばかりか、
人口減少時代に入るにしたがって、
存続の必要性が議論される状況となっている。
政府は 2015 年度予算において公共施設等総合管理計画にもとづき実施する公共施設の集約
化、転用、除去のために必要な経費として地方財政計画の投資的経費に「公共施設等最適化
事業費」を 1000 億円計上し、維持補修費も増額している。また公共施設等総合管理計画にも
とづき実施される既存公共施設の集約・複合化事業であって全体として延床面積が減少する
ものに、
「公共施設最適化事業債」を創設するとした。さらに転用事業についても地域活性化
事業債の拡充をはかるとしている。
Ⅱ‐1‐3 今後、各地の自治体でこれらの特例的な地方債の発行のために、公共施設等総
合管理計画が策定されていくと予想される。だが、留意されねばならないのは、この総合管
理計画がいかなる基準、手続きのもとで策定されるかであるといえよう。
<提言>
1 公共施設の「濫設」は、高度経済成長期に問題視された。だが、平成の市町村合併にお
ける新市建設計画の策定にあたって住民の合意を調達するために、公共施設の建設が行われ
た。その一方で、合併の結果、多くの自治体は市域を拡大し、周辺部に小規模集落が散在す
るところも少なくない。総合管理計画の策定にあたっては、財政効率のみを優先させ中心部
への公共施設の集約化をはかるのではなく、小規模集落といえどもその存続と文化的住民生
活の持続を判断基準として重視すべきである。
2 集会施設などは施設ごとに活用状況、維持費用などを詳細に明らかにして住民と徹底し
た討論に付す。また、維持管理の方法や隣接自治体との共同管理などの代替案ないし選択肢
を明示する。
3 一般道は高齢化時代の医療・保健・福祉を考えるならば、集落から中心部への生活道路
として確実に維持管理されるべきである。産業用道路である農道や林道は、総合管理計画の
直接的対象ではないが、それらの存置は、コメ一辺倒の農業(減反・休耕田に換えた飼料米
4
作付をふくむ)からの脱却、付加価値の高い林業などの明確な将来像の策定とあわせて議論
することが重要である。
Ⅱ‐2 教育
Ⅱ‐2‐1 小中学校の整理・統合が各地ですすんでいるばかりか、文部科学省は 6 クラス
に満たない学校の統合を提起している。
スクールバスでの通学の利便性の確保がいわれるが、
そこではコミュニティの持続への視点は稀薄ではないだろうか。
Ⅱ‐2‐2 農業高校、
工業高校、
商業高校などの実業高校の統廃合も各地ですすんでいる。
一方で、地域経済の再生や地域の人口定住化が議論されているが、整合性のある議論が展開
されているだろうか。
<提言>
1 子どもの数が少ないから小中学校の存続は財政のロスであり、統廃合は当然だとする意
見には強いものがある。
また子どもたちが少人数で同じ子どもとばかり付き合っているのは、
学力の向上や社会性の涵養にそぐわないとの議論がある。だが、小中学校の廃校は確実にコ
ミュニティを崩壊させる。なぜなら、ここで子どもを生み育てようとする若者を失う。地域
内の多世代間交流を学習の場に取り入れる。周辺の多数校との交流や合同授業、都市部の学
校との宿泊も含めた交流など、教育メニューはいくらでも工夫できる。多世代が共に暮らせ
る地域社会を維持するために、小中学校の統廃合は市町村の判断にゆだねるべきである。
2 小中学校教員の人事権は府県教育委員会にある。人事権のあり方についての議論は擱く
が、現行制度のもとで府県教育委員会は、市町村の意思を最大限尊重した人事政策を展開す
べきである。
3 地域の持続・再生を重視するならば、安易な農業高校、工業高校などの統廃合は見直さ
れるべきである。地域の産業の特性などを考慮しつつ、他方において先端的な科学・技術に
配慮した教育プログラムを準備し、地域の将来に有能な人的資源を養成する。また、それに
よって地域に若者が集まってくる条件をつくる。
Ⅱ‐3 保健・福祉
Ⅱ‐3‐1 高齢化社会の進展のなかで自治体は、保健・福祉事業を否応なく重点事業とせ
ざるをえない。介護保険事業のうち要支援1・2の対象者にたいする事業の一部は、市町村
事業とされる。また介護保険関連施設の運営は厳しさを増していくと予想される。こうした
なかで自治体の保健事業の充実による高齢者の健康維持が問われている。
Ⅱ‐3‐2 地方自治法の改正によって特例市は中核市に移行する。逆にいうと中核市の要
5
件は人口 20 万人以上となる。中核市は市立保健所を設置することになるが、人材の確保が課
題となる一方で、一般市や町村を管轄する府県立保健所の充実や中核市立保健所との連携が
問われる。
Ⅱ‐3‐3 住まいから医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシス
テムの実現が強調され、それらをコーディネートする地域包括支援センターの設置・充実が
課題となっている。だが、理念は評価されるものの、それを実現する施設やサービスは、整
備されているとはいえないだろう。
Ⅱ‐3‐4 かかりつけ医をもつことや地域の病院との連携、さらに病院間の機能がいわれ
るが、一方において公立病院や診療所の統廃合がすすんでいる。また、医療従事者の確保が
困難な地域も少なくない。
Ⅱ‐3‐5 人口減少社会への対応、女性の社会進出の確保の観点から保育所の充実がいわ
れる。ただし、これは地域間でかなりの程度事情を異にしている。この問題は、提言にくわ
えないが、地域の社会構造、家族構成などを勘案して、それぞれの自治体がもっとも地域に
適合する保育の機能と施設を選択していくべきであろう。
Ⅱ‐3‐6 「社会保障と税の一体改革」が掲げられ、消費税率の引き上げがおこなわれた。
だが、実態からいえば、地方の財政需要に応えているとはいい難いであろう。生活のセーフ
ティネットをいかに作り上げるかは、残されている重要課題である。
<提言>
1 保健機能の充実や地域包括ケアシステムの構築には、保健師、看護師、社会福祉士など
の人的資源を不可欠とする。高齢化社会への突入がいわれた 1990 年代以降、府県は競って保
健・福祉の人材養成のために府県立大学を設けた。府県はここで養成された人材が地元に定
着するように、地域の実情にあったインセンティブを多種多様に工夫する。
2 保健師・看護師の資格を持ちつつも、現場からリタイアしてしまっている者も多い。府
県はこれらの人材を市町村と協働して発掘し、再就業を働きかける。再就業にあたっては府
県費での有給による研修を施し、その後の就業を援助する。
3 「かかりつけ医」をもつことを言うのは簡単だが、現実に開業医は減少の傾向にある。
小規模の公立診療所の廃止がすすんでいるが、決して望ましい方向ではない。公費を投入し
て地域の公立診療所を存続させる。また、
「足」の確保に向けてNPOとも協力して移送サー
ビスの網の目を充実させる。
4 公立病院の統廃合もすすんでいるが、二次医療・三次医療圏間の機能連携を明確にする
とともに、すくなくとも二次医療圏内の公立病院については、保健と医療を機能的に統合し
た医療施設として存続させていくべきである。
6
Ⅲ 都市計画の見直しと将来構想
Ⅲ‐1 人口減少時代を迎えて従来の拡張・分散型の都市計画(まちづくり)から、
「コンパ
クトシティ」への指向が強まっている。だが、この概念はかならずしも定まっておらず、都
市中心部へ諸機能を集約するといった思考もみられる。はたして、それは妥当なのか。
Ⅲ‐2 都市の拡張とともに、郊外型の大規模集客施設が多数立地してきた。だが、人口の
減少とともに閉鎖するところも現れている。他方において従来の中心市街地は、まさに「シ
ャッター通り」となり衰退の傾向にある。こうした状況は大都市圏への人口の移動を、促進
してしまうであろう。
Ⅲ‐3 政府あるいは「増田リポート」は、地方中枢拠点都市、あるいは地方中核都市を掲
げて、一定規模の都市に「ダム機能」をもたせ、人口の東京集中を防ぐことが構想されてい
る。だが、これは農山村部の中小規模自治体の自壊をうながす政策のようにみえる。府県域
全体をみわたした自治体の存続の道が探られるべきではないだろうか。
<提言>
1 自治体の人口・面積規模にもよるが、
「コンパクトシティ」は、都市中心部に政治・行政
機能のみならず経済的・社会的諸機能を集約し、都市を小さくしてしまうことではない。都
市内の地域ごとの機能を有効に連結し、住民の生活が相対的であれ完結する都市を造ること
である。
2 既成市街地を再生・維持するためには、多世代が居住し憩える空間を積極的に創ること
が不可欠である。こうしたまちづくりにとってとりわけ重視されるべきなのは、若者の知恵
と感性である。都市内あるいは近隣自治体の大学や専門学校、高校などの学生に地域への関
心を持ってもらうために、積極的な協力を依頼する。
3 府県域全体をみわたしたとき、中心的都市は当然存在するが、それに人口流出の「ダム
機能」を求めるのではなく、それらを取り巻く中小規模の自治体・地域の条件に応じた産業
の振興政策を同時に展開することが重要である。
7
Ⅳ 自治体間の補完・協力・連携システム
Ⅳ‐1 規模が大きく異なる基礎自治体レベルにおいては、人口の減少とともに、従来の総
合行政型の事務執行が難しくなる問題が生じる。平成の市町村合併は、そのような状況に対
する一つの解答であったともいえるが、問題を根本的に解決するものではなかった。地域の
自治、市町村の自治を維持するのを基本として、自治体間の協力のシステムを多様に考えね
ばならない。
<提言>
1 国の施策として定住自立圏、地方中枢拠点都市、自治体間の連携協約、一部事務組合、
広域連合などがあるが、それらをどのように組み合わせ、中小規模の自治体の存続を図るか
を、住民の討論を踏まえて構想することが重要である。
2 生活圏を同一とする近隣市町村間で定住自立圏を形成し、行政執行の共同処理のための
協定は、今後とも進められていくべきだが、何を共同処理の対象とするかについて、行政担
当者のみではなく、住民による議論の場を広く設ける。これは自治と行政のあり方を住民が
学ぶ場となる。
3 特例市の中核市への移行にともなう保健所の設置にあたっては、府県は既存の府県立保
健所からの支援を積極的に行う。ケースによっては、人員の身分移管もあってよい。特例市
内に府県立保健所がある場合、それを市立保健所へと移管することが考えられる。ただ、府
県立保健所が従来管轄してきた地域の保健機能の維持のために、中核市と周辺市町村の連携
協約を強化する。
4 各種の公共施設とりわけ図書館や集会施設などは、立地条件を考慮して、共同利用・共
同管理が構想されてよい。その際、自治体職員による管理運営から住民によるそれへと切り
替え、地域の自治と施設の意義が広く認識される工夫もあってよい。
5 府県レベルでは、関西広域連合の取り組みがあるが、広域的な行政課題にいかに連携し
て対応するかが、問われている。一部に依然として道州制論があるが、これが地域のデモク
ラシーに寄与するものであるかどうか、熟考する必要があろう。
6 府県による広域連合には、関西広域連合に続く動きがみられないが、府県はその属する
地域ブロックの状況を見据えながら、広域自治体として高次の行政機能を発揮するために、
広域連合などの連携システムを追求することが求められている。
8
Ⅴ 地方創生について
Ⅴ‐1 この研究会をスタートさせた 2014 年 4 月段階においては、「地方創生」は内閣の掲
げる目標ではなかった。ところが、安倍政権は 2014 年 9 月の内閣改造にあたって地方創生を
重点政策とするとして、地方創生担当大臣を設置した。また首相を本部長とする「まち・ひ
と・しごと創生本部」を設けた。そして、2014 年 12 月には、地方創生に関する「国の長期
ビジョン」
(2060 年に 1 億人程度の人口を確保する中長期展望)と「総合戦略」
(2015~2019
年度の政策目標・施策)を決定するとともに、自治体に「地方版総合戦略」
(2015~2019 年
度の 5 か年の政策目標・施策の策定)をもとめた。
Ⅴ‐2 国の「総合戦略」に掲げられた基本目標と主たる施策のほとんどは、
「地方」を冠し
ているが、きわめて広範囲におよぶ(総花的)。さらには、国家戦略特区の増設に並んで地方
創生特区の創設、地方への人材の支援として小規模町村への国家公務員等の派遣、地方の相
談に応える府省職員による地方創生コンシェルジュ制度の創設などがかかげられている。
Ⅴ‐3 2015 年度予算においては、地方創生関連の予算として 7225 億円が計上された。ま
た地方財政計画には「まち・ひと・しごと創生事業費」として 1 兆円が計上されている。普
通地方交付税の算定にあたって、自治体がまち・ひと・しごと創生に取り組むための財政需
要に対応するとして、既存の「地域の元気創造事業費」および新たな「人口減少等特別対策
事業費」によって算定するとしている。このほか、総合戦略では特別交付税で措置するとす
るものもある。
Ⅴ‐4 各府省は思いのままに施策を掲げ、
同時に業績評価指標を示しているともいえよう。
たとえば、農林水産業の成長産業化による5万人の就業者の創出、企業の地方拠点強化によ
る4万人の雇用者増、地方大学の活性化として自県大学進学率を36%へといった目標であ
る。だが、一向に明確でないのは、中央政府の責任と改革方策ではないか。企業の地方拠点
強化として本社機能の強化と移転企業への特別税制の適用をいうのは簡単だが、その程度で
経済のグローバル化が進行するなかで可能か。自県の大学への進学率向上もそれ自体として
は望ましい。だが、1県に少なくとも1大学ある国立大学への運営交付金を次々と削減する
なかで、いかにして大学の魅力を高めていくのか。同時に、就職の場をいかに確保するのか。
アベノミクスといわれる政権の経済政策との整合性がかならずしも明確ではない。
Ⅴ‐5 自治体はこれまでにも人口の減少や地域の再生に務めてきた。地方創生の地方版総
合戦略の策定に多くの自治体が取り組むことだろうが、これまでの実績を踏まえて住民との
徹底した討論の上に策定することが重要である。安易な交付金の獲得を目指した戦略であっ
てはなるまい。同時に、府県の総合戦略に求められるのは、地方中枢拠点都市(総務省)、高
次地方都市連合(国土交通省)
、地方中核都市(増田レポート)といった周辺部切捨・核とな
9
りうる都市への集中投資といった「選択と集中」路線を避けることではないか。
Ⅴ‐6 政府の一部には地方版地方創生戦略の実績に応じてペナルティを科す動きもみられ
る。だが、これは国の責任の放棄=地方への押し付けであって、あってはならないことを強
調しておきたい。
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おわりに
日本は急速な人口減少傾向にあることに加えて、少子高齢化の進行という経済社会構造の
大転換期を迎えている。これにいかに対応するかは、国民国家全体の課題であるが、自治体
は人々の生活に密着しているゆえに、個別具体的に問題に対応せざるをえない。
本研究会では、社会資本整備、教育、保健・福祉、都市計画における課題の分析と将来方
向を示すとともに、自治体間の連携の可能性と課題を探ってみた。もちろん、これらは人口
減少社会を見据えた自治体のあるべき姿に関する素描にすぎない。より地域の実態に立ち入
った調査・研究を必要とする。ただし、人口減少社会への対応プログラムを描く基点とされ
ねばならないのは、あくまで地域の自治の充実でなくてはなるまい。
本文中でふれているように、安倍政権は 2014 年 9 月以降、「地方創生」を重要政策課題と
して掲げている。政府が 2014 年 12 月に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は、
きわめて包括的であり、明確な機軸を示すものではない。これまで自治体が取り組んできた
施策・事業のほとんどがメニューとされているともいえる。他方で詳細にみるならば、アベ
ノミクスのいう成長戦略、
「岩盤規制」の徹底した解体、国家戦略特区の設定などとの整合性
が疑問視される側面もある。
自治体は 2015 年中の「地方版総合戦略」の策定を求められているが、包括的な政府のメニ
ューに応えて財源獲得を目指すのではなく、従来の総合計画にもとづく施策や事業などを住
民との討論のもとで総点検し、戦略的に重点となる施策・事業を選別し、人口減少社会への
対応プログラムを策定する必要があるといえよう。それが住民に最も身近な政府である自治
体の責任であることを強調しておきたい。
なお、本報告書の現状に対する所見や提言は、当センターを構成する知事・市長の意見で
はない。府県・市の職員、研究者、ジャーナリストによる研究会の議論を、最大公約数的に
まとめたものである。
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分権型政策制度研究センターとは・・・
2005 年 7 月発足。第 2 次分権改革に向けて志を同じくする首長、研究者、ジャーナリストによって設立され、
政策・制度設計の研究とそれにもとづく提言活動等を通じて、分権型社会の構築に資することを目的としている。
提言、声明の発表の他、センター参加府県の職員・研究者・ジャーナリストによる研究会を毎月1回開催。
2014 年 4 月からは「地方分権改革と地域民主主義の発展に関する研究会」
、
「人口減少時代における自治体のあり
方に関する研究会」を行い、分権型社会にふさわしい姿を追究してきた。
◆分権型政策制度研究センター構成員
達増 拓也
(岩手県知事)
石井 隆一
(富山県知事)
新藤 宗幸
(センター長:(公財)後藤・安田記念東京都市研究所
三日月大造 (滋賀県知事)
浅野 史郎
(神奈川大学教授)
山田 啓二
(京都府知事)
池上 岳彦
(立教大学教授)
平井 伸治
(鳥取県知事)
佐藤
(早稲田大学教授)
理事長)
滋
伊原木隆太 (岡山県知事)
神野 直彦
(東京大学名誉教授)
湯﨑 英彦
(広島県知事)
高橋
滋
(一橋大学教授)
山口 祥義
(佐賀県知事)
西尾
勝
(東京大学名誉教授)
森
(長岡市長)
松本 克夫
(ジャーナリスト)
山口 二郎
(法政大学教授)
民夫
(2015.3.31 現在)
◆これまでの主な活動
声明・提言
『三位一体改革』に関する緊急提言(2005/10/20)
、
『三位一体改革』に関する政府・与党合意に対する緊急
声明(2005/12/1)
、
『骨太の方針・2006』に関する声明(2006/6/1)
、地方分権改革推進委員会と安倍政権へ
の緊急提言・
『地方分権改革の着実な進展を求める』
(2007/4/27)
、地方分権改革推進委員会「第 1 次勧告」
を受けた声明・
『地方分権改革の確実な一歩を』
(2008/6/6)
、地方分権改革推進委員会「第 2 次勧告」に関
する声明(2008/12/11)
シンポジウム
『新政権に注文する!第2次地方分権改革』
(2006/11/11)
『新政権のもとで分権改革をいかに進めるか』
(2007/11/16)
『2011 年度予算と地方分権改革』
(2010/12/9)
『府県と大都市制度』
(2011/12/13)
研究会報告書
「地方分権型の教育行政制度に向けて」
、
「分権型の生活保護行政に向けて~選別型サービスからユニバーサ
ルサービスへ」
(2006.8)
、
「分権型社会へ向けた国・地方権限配分構想」
、
「地方分権と施設整備基準のあり
方」
(2007.8)
「分権型社会へ向けた財政調整システムの改革」
、
「分権型社会へ向けた府県と市町村間の権限
配分のあり方」
(2008.8)
、
「分権型社会の自治体公務員制度」
、
「分権型社会の土地利用政策」
(2009.8)
、
「自
治体における行政委員会制度のあり方」
「地方分権型社会における公共事業のあり方」
(2010.8)
、
「子どもの
安定した生活と成長を願って」
(2011.3)
、
「地域交通体系のあり方に関する提案」
、
「地方政府体系と権限配
分のあり方」
(2012.3)
、
「再生可能エネルギーの普及と自治体の役割」
、
「広域連合のガバナンス-その課題
と方向性」
(2013.3)
「広域行政課題への対応と地方政府体系のあり方」
、
「分権型社会における公務員制度と
人材育成のあり方」(2014.3)、「地方分権改革と地域民主主義の発展」、
「人口減少時代における自治体のあ
り方」
(2015.3)
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RCD Report 19
人口減少時代における自治体のあり方
2015 年 3 月 31 日発行
分権型政策制度研究センター
人口減少時代における自治体のあり方に関する研究会
〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園 1-3 市政会館
TEL 03-3591-0566 FAX 03-3591-0567
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