中間テスト解答

材料力学 II 中間試験
2015.6.1 実施
【1】考えている物体の体積を V ,表面積を S ,物体表面面素に立てた単位法線ベ
クトルを n j ,応力テンソルを ! ij ,物質点の変位を ui ,ひずみテンソルを ! ij と表し,
仮想(架空の)量の前には記号 ! を付けて表現するものとする. 以下の問いに答
えよ.
(1) 物体が表面力 Ti (単位面積当たり)と物体力 fi (単位体積当たり)を受け
て静止状態にある.Newton の第2運動法則を元に静的問題に対する「応力
の釣合いの式(平衡方程式)」を誘導せよ.
[10 点]
(2) 応力テンソルが対称( ! ij = ! ji )である理由を述べよ.
[10 点]
(3) 物体が表面力 Ti を受けて釣合っている状態にあるとする(物体力は無視す
る).今,その状態からさらに任意の仮想変位 ! ui を加えたときの仕事(仮
想仕事)を想定することを出発点として,
「仮想仕事の原理式」を誘導せよ.
[10 点]
(4) 架空の表面力 ! Ti が実変位 ui と協働してなす仕事(補仮想仕事)を想定する
ことを出発点として,
「補仮想仕事の原理式」を導け(架空の物体力は考え
ないものとする).
[10 点]
(5) はりの力学問題において,任意の1点のたわみ(変位)
( ! )を求めるため
の「ダミー荷重法」として知られる式を,補仮想仕事の原理に基づいて誘
導せよ.ただし,はりの長さ方向に沿って座標 x1 をとり,架空のダミー荷
重によって生じる曲げモーメントを m(x1 ) ,実荷重によって生じる曲げモー
メントを M (x1 ) とし,はりの全長は L であるとする.また,はりはヤング
率 E の線形弾性体でできており,断面二次モーメントは I で与えられるも
のとする.
[10 点]
【2】下記のはりの問題を,補仮想仕事の原理(ダミー荷重法)を用いて解け.解
法の手順が分かるように解答せよ.ただし,はりの曲げ剛性 EI は一定とする.
(1)下図に示す等分布荷重 w1 を受ける長さ L の片持ちはりの (a) 先端 A のたわ
み !A , ならびに,(b) 先端 A のたわみ角 ! A (符号の定義,回転の方向等を明
確にすること),を求めよ.
[30 点]
L
w1
A
B
(2)下図に示すような上端部に集中荷重 Q1 を受ける支間長 L のコの字型はりの
(a) 点 C の垂直方向たわみ !C ,ならびに,(b) 支点 A のたわみ角 ! A (符号の
定義,回転の方向等を明確にすること),を求めよ.
[20 点]
材料力学 II 2015 中間試験
解答例
【1】についての解答は,テキストの本文にあるので,ここへの記載は省略する.
【2】
(1)先端 A から右向きに x 座標をとるものとし,右側断面で反時計回りの曲げモーメントを正とする.
実荷重による曲げモーメント: M = !
w1 2
x
2
先端 A に下向きにダミー単位荷重を付加した場合の曲げモーメント: m = !x
先端 A に時計回りにダミー単位モーメントを付加した場合の曲げモーメント: m = 1
以上より,
!A = *
L
( "x ) # $&% "
0
w1 2 '
x )
2 (
EI
dx =
4
w1L
;
8EI
!A = *
L
0
$ w '
1# & " 1 x 2 )
% 2 (
w L3
dx = " 1 (負=反時計回り).
EI
6EI
(2)題意より,架空荷重として,点 C にダミー単位荷重,支点 A にダミー単位モーメントを考えることに
なる.いずれの架空荷重もはりの AB 区間以外に曲げモーメントを発生させない.よって,本問題において
は,AB 区間のみにおける積分計算を考慮すればよいことになる(∵ 架空荷重による曲げモーメント m が零
である区間は,実荷重による曲げモーメント M との積が零になるので,長さに沿う積分もゼロになる.)
実荷重による反力を計算すると,支点 A,B ともに上向きに Q1 / 2 の反力が生じる.支点 A から右向きに x 座
標をとるものとし,右側断面で反時計回りの曲げモーメントを正とすると,実荷重による AB 区間の曲げモ
ーメントは, M =
Q1
x と求まる.
2
点 C にダミー単位荷重(下向き)を作用させたときの曲げモーメントは,
i) 0 ! x ! L / 2
ii) L / 2 ! x ! L
1
x,
2
1
L
m=" x+ .
2
2
m=
よって,
!C = )
L
2
0
L % " Q1 %
" 1 % " Q1 %
" 1
$# x '& ( $# x '&
$ * x + '& ( $# x '&
L #
Q L3
2
2
2
2
2
dx + ) L
dx = !! = 1
0
EI
EI
32EI
2
支点 A にダミー単位モーメント(時計回り)を作用させたときの曲げモーメントは,
m = 1!
1
x
L
よって,
!A = )
L
0
" 1 % " Q1 %
$# 1! x '& ( $# x '&
Q L2
L
2
dx = !! = 1 (正=時計回り)
EI
12EI