木質バイオマス発電事業の取り組み

H27.5.13 村民説明会資料
はじめに ~木質バイオマス発電とは~
太陽光、風水力、バイオマスなど『再生可能エネルギー』への取組みは、東日本大震災以
降特に注目され、電力の固定価格買取制度が開始されたこともあり、全国でその動きが加速
しました。関川村においても、太陽光発電所を誘致することができ、今年 1 月から 3 箇所の
発電所で送電を開始したところです。
再生可能な、生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)をバイオマスと呼び、このうち木
材からなるものが『木質バイオマス』です。本事業は、これまで有効な利用がなされてこな
かった間伐材や根本(根曲り部)
、不良木などの『木質バイオマス』を原料として、発電を
行うものです。
関川村における木質バイオマス発電事業
① 事業の概要
現在準備・検討を進めている事業の概要は、次のとおりです。
事業主体
株式会社 パワープラント関川(代表取締役社長 永井伸治)
資本金
600万円(うち595万円が関川村)※増資を予定
建設予定地
関川村大字土沢地内 村有地
平地面積
約26,000㎡
操業開始
平成29年4月予定
発電量
2,000kWh 未満
売電単価
1kWh あたり40円+税※
事業費
約18億円
木材使用量
年間 約10,000トン
従業員数
約20名
※ 間伐材等由来の木質バイオマスの場合。
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② 施設の概要
木質バイオマス
破砕しチップ加工
超高圧蒸気ボイラー
(原木)を搬入
業
スターリングエンジン
発電機
送電(売電)
敷地内へ搬入した木質バイオマスをチップ加工し、これを燃料とするボイラーで熱した
高温高圧の水(蒸気)によりスターリングエンジンを動かし、発電機を回して発電する仕組
みです。
ガソリン等を爆発させて動かすエンジン方式とは違い、温度差を利用して回すので爆発
音はしません。なお、水は循環させて使います。
木質バイオマス発電に取り組む理由
エネルギー問題の中で、とりわけ再生可能エネルギーは今日的なテーマの一つです。木質
バイオマス発電は、当村及びその周辺に多く存在する森林資源が、有効に活用される事業
です。この事業は、単に木材を燃料として発電し利益を得る、というものではありません。
未利用木材に価値が生まれることにより、林業の振興、山主の利益となり、森林の整備に
つながります。また、直接的・間接的な雇用が生まれることも期待されます。発電所では、
機器の運転や管理運営スタッフ等で 20 人程度の雇用を見込んでおり、この他にも生産、流
通等の現場において雇用が生まれることが予想されます。村内の働き先が確保され、地域
活性化に大きく寄与するものと考えています。
木材の調達
木材は、未利用材を中心に年間約 10,000 ㌧の使用を見込んでいます。
材の調達につきましては、県内の木材需給の調整役を担っている新潟県森林組合連合会が
その窓口になっていただけることとなり、村内外から必要な量を間違いなく調達する準備
が整っています。このことについては覚書を締結しており、今後は具体的な項目を定めた
契約・協定などにより、さらに堅実な材確保の準備を進めていきます。
なお、専門家らで構成した「新潟県木質バイオマス発電等検討会」が昨年まとめた報告書
によれば、県内の未利用木材の年間供給可能量は 75,000 ㎥、将来的には 185,000 ㎥とされ
ています。
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排出物・副産物・公害関連など
最初の工程で原木を細かいチップにするので、砕くときの騒音が予想されます。よって、
日中のみの作業とするとともに、一般住宅からの距離や建屋内での作業など、徹底した防音
対策に努めます。
木を燃やすことで発生する煙は、環境基準を遵守した内容となるよう、常時チェックが可
能な設備を用意します。また、原木を搬入する際には、放射性物質の線量についても監視し、
基準値を超える材については受け入れしません。なお、使用する材は未利用材及び一般木材
のみとし、建設廃材は使用しません。
同様に発生する灰は、肥料業者への販売などを含め、適正な処理を行います。
木に含まれる水分が作業の過程で一部排出されるため、安全性を確認した上で、排水処理
を行います。
これまでの取組み経過と現在の状況 ①
当初、村主導で進めてきましたガス化発電事業について、専門家を交えての技術検証作業
を行いましたが、背負うことになる事業リスクの大きさから、一旦はこれを断念していま
す。
その後、スターリングエンジンの製造会社である、米国ハイパーバリックスチームスターリン
グエンジン社(HSSE)が中心となって資金を調達し、スターリングエンジンを使用した設備に
よる発電事業の検討を行いたいとの申し出がありました。これに対し、村は決して財政的
リスクを負わないことを前提として、しかしながら、できる限り地域にメリットが生まれ
る形による事業の実現を目指し、㈱パワープラント関川を運営会社とした事業形態について
の検討を重ねてまいったところです。
これまでの取組み経過と現在の状況 ②
事業に必要となる資金は、米国の投資会社が融通することで確約を得ていたものの、先般、
送電のために必要となる設備の経費が莫大な額になることが判明し、事業規模の縮小を余儀
なくされました。これに伴い、資金の融通に関して再度調整を進め、あらためて確約を得た
ところであり、細かな条件面の調整を行っています。これらを整理した後、㈱パワープラン
ト関川、HSSE、投資会社間で契約を締結し、施設建設や材受け入れなどのスケジュールを決
めていくことになります。
また、事業規模の変更により、経済産業省の認可、東北電力との協議のやり直しが必要で
あることから、これらについて今しばらく時間を要する見込みとなっています。
なお、㈱パワープラント関川への貸付金 3,000 万円につきましては、事業資金が入金された
後、速やかに村へ返済することで合意しており、財政的リスクの回避と合わせて契約・覚書
等に明記することになっています。
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◇ 今後のスケジュール見込み
27 年
9 月 発電関連詳細設計発注
12 月 発電所敷地造成・原料木材調達開始
28 年
3 月 発電所建設工事開始
29 年
4 月 試運転~操業開始
木質バイオマス発電事業 Q&A
※今までにお寄せいただいたご意見を元に作成しております。
Q1.
A1.
Q2.
A2.
雇用の場が増えるので期待しています。
発電所において 20 名程度の雇用を見込んでいます。また、木材の生産現場や流通
段階など間接的な雇用も期待されます。今後も雇用の場の確保に取り組んでいき
たいと考えています。
木質バイオマス
発電
面積;約 15ha
雇用、森林整備の他に村へのメリットは何がありますか?
20 年間の土地の貸付料と固定資産税を合わせて 7 億円ほどが村に入ると試算して
います。
太陽光発電
Q3.
A3.
村民への説明が不足していると思うが?
これまでに、建設予定地に隣接する集落へ2回ほどお伺いし、ご説明をさせてい
ただきました。また、村議会議員の皆様へは状況に応じて随時ご説明を行ってお
り、区長の皆様へは区長会の開催時にご説明をしてまいりました。また、
「広報せ
きかわ」でもお知らせをしてまいっております。
村民の皆様への説明会開催につきましては、当初から必要なことであると考えて
おりました。ある程度の目途がついた段階での開催を考えておりましたが、シス
テムの検証作業のため、また村にリスクが無い形での事業を目指したことなどに
より時間がかかってしまいました。
Q4.
A4.
稼働後、計画通りに行かなかった場合、村が負債を抱えることにならないのか?
発電に関する機械については、HSSE 社が性能を保証しているので、予定している
発電量が得られない事態になったとしても村・PPS にリスクはありません。ただし
従業員の人為的なミスにより支障を来した場合は PPS の責任になります。なお、
万一 PPS が破産した場合であっても、村の責任は出資額の範囲までとなります。
Q5.
毎日、一定量の木材を発電所に供給できるのか?
A5.
木材の搬入量の変動が予想されるので、数箇月から1年分の木材を土場に常時ス
トックしておくなど、発電所への安定供給について検討しています。
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