(PPS)のゼロエミッション電源に関する取組(株式会社エネット)(PDF

資料3-2
特定規模電気事業者(PPS)の
ゼロエミッション電源に関する取組
株式会社エネット
平成22年8月12日
特定規模電気事業者(PPS)の事業特性 1/2
 PPSは平成12年3月の電力小売部門の部分自由化に
より、電力小売市場に新規参入を開始。
 PPSには、一般電気事業者の供給区域ごとに同時同
量の義務(30分単位で需要量と供給量を一致させる
義務)がある。
 自由化開始9年目にあたるH21年度の一般電気事業
者等を含めた電力総需要に占めるPPSのシェアはわず
か1.5%程度。
 太陽光や風力発電など、天候等により出力変動が激
しい電源は、電力(kW)としての価値が低く、大量に保
有するには変動を調整しインバランスを回避するため
の補完電源を余分に持つ必要があるため、相対的に
経営体力が弱いPPSにとって追加的なコスト負担は厳
しい。
 H22年7月1日現在のPPSは38社、各社は競合状況に
あり、統一的な業界団体は無い。
 PPS各社は 出資母体が商社系やエネルギー会社系な
ど多岐にわたり、電源ポートフォリオも様々である。
○総需要に対する全PPSのシェア
○PPSの事業の仕組み
PPS
監 視
監視・制御
1.53%
余剰電力・
契約発電設備
自由化対象
需要家
同時同量
システム
監視・制御
PPS
電力会社等
一般電気事業者(電力会社)等
98.47%
資源エネルギー庁HP掲載データより弊社にて作成。
平成21年度実績
販売
調達
自社発電設備
太陽光・風力は変動
が大きいため補完す
る電力が必要
託送
託送
電力会社送電網
2
PPSの事業特性 2/2
 自由化スタート当初は、PPSは主として他社から調達しうる電源(自家発余剰等)によって新規参入すること
が可能であったため、火力中心の電源ポートフォリオを持つPPSが多い。
 しかしながら近年、地球環境対応への要請の高まりに伴い電気の持つ環境性が競争上重要な要素となって
きたため、火力のみでは事業継続の支障になる懸念がある。
 PPSは現時点では原子力・大型水力発電を持ち得ないにもかかわらず、自治体の入札等では一般電気事業
者と同じ土俵で競争する必要があるため、バイオマス発電などポートフォリオに比較的取り込みやすい電源を
中心に、ゼロエミッション電源の獲得を積極的にすすめている。
 卸取引市場でもゼロエミッションの電気を獲得したいが、現時点では玉がほとんど出ていない状況。
<PPSの一例>
<一般電気事業者の例>
再生可能エネ(太陽光・風力)
ピーク
供給力
ミドル
供給力
卸電力等(市場取引)
石油等火力
需要曲線
LNG火力発電等
再生可能エネ(バイオマス発電等)
ベース
供給力
電力会社卸電力
火力ベース電源
0
出典)資源エネルギー庁 「原子力2004」
3
6
9
12
15
18
21
24 (時)
3
PPSによるゼロエミッション電源導入の取組み
PPS各社は、主としてバイオマス発電設備(清掃工場等)からの電力の調達を積極的に行うなど
RPS義務量を達成しており、温暖化対策等に資する再生可能エネルギーの普及に貢献。
PPS各社は、それぞれの持つ特性を活かし、親会社との連携による風力・太陽光の余剰購入や、
水力・太陽光の開発実施などを通じ、ゼロエミッション電源の導入に努力している。
○電気事業者のRPS利用義務量比率
○各社のゼロエミッション電源導入等への取組み例
1.40%
1.26%
1.20%
1.00%
,北海道電力
他
<B社>
子会社を通じた地方自治体の小水力発電の買収・
再生、そこからの電気を購入。
0.87%
0.80%
0.60%
経過調整を受けていた
電力会社の例
0.40%
0.20%
0.00%
H15
H16
<A社>
親会社による風力発電・太陽光発電の電気を購入。
H17
H18
H19
H20
H21
H22
<C社>
グループ会社から風力発電・バイオマス発電の電気
を購入。
<D社>
自社の風力発電等の電気を活用。
<E社>
子会社によるメガソーラー事業の展開。
弊社はRPS制度導入以来、他社より高い目標率で
再生可能エネルギー導入のコストを負担してきた
4
PPSによるゼロエミッション電源導入における課題 1/2
○PPSの事業特性や環境政策の動向について
PPSにとって、太陽光や風力発電の電気をポートフォリオに大量に組み込むには、
天候条件等による電力量の変動を調整し、同時同量のインバランスを回避する
ための補完電源が必要となる。熾烈な競争を行っているPPSの事業運営上、追加
的なコスト負担は大きな重荷となることにご留意をお願いしたい。
現時点では原子力や大型水力といったゼロエミッション電源を入手する手段がな
く、火力電源中心のPPSにとって、非化石燃料の電気の比率を高める選択肢は、
再生可能エネルギーの電気の調達を増やすなど限定的であるため、数値目標の
設定においては配慮をお願いしたい。
加えて、再生可能エネルギーの全量買取制度等の詳細設計によっては、PPSが自
らの努力で買取ることができるゼロエミッション電源の範囲に制約がかかる可能
性がある。先に数値目標が設定されたが実際には獲得の手段が残されていない、
といったことが無いように、環境政策全体のバランスについても十分ご配慮いた
だきたい。
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PPSによるゼロエミッション電源導入における課題 2/2
○競争政策上の弊社の懸念
数値目標を課される特定エネルギー供給事業者には裾切りライン(電気供給量5億
kWh以上)が設定されているが、自由化市場で熾烈な競争を行っているPPS間でライ
ンが引かれる結果となっている(H21年度供給量ではPPS7社が対象)。
入札等では僅差で落札者が決定することも多い。目標数値が高ければそのためのコ
スト負担も大きくなり、競争上支障が出る可能性があることについてもご留意いただ
きたい。
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(ご参考) 化石燃料の有効利用-高効率・低環境負荷の最新鋭火力発電の導入
○自社関連(自社及び子会社等が出資する発電所を含む)や、PPS向けの新規発電所は、
地球環境に優しく経済性にも優れた最新鋭・高効率の火力発電所が中心。
○ミドル電源において環境負荷のより小さなLNG火力からの調達比率を高くするなど、火力
発電においては電力会社と遜色ない電源調達を実施してきた。
○各社とも熱効率向上に向けた地道な努力を行っている。
○PPS向け発電所の事例
○火力発電所電力量の内訳
PPS※の火力発電
電力量シェア
(2006年度)
石油等
26%
発電所名 川崎天然ガス発電所
運転開始 1号機(H20.4) 2号機(H20.10)
発電端出力 計 847,400kW
発電方式 ガスタービンコンバインドサイクル発電
発電端効率 57.65%(LHV=低位発熱量基準)
燃料 天然ガス
電力会社※の火力発電
電力量シェア
(2006年度)
石油等
15%
LNG
48%
石炭系
26%
※自主行動計画参加10社計
LNG
43%
石炭系
42%
※資源エネルギー庁「電源開発
の概要」より作成
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