四條畷市「分散型エネルギーインフラ」プロジェクト マスタープラン(事業化

四條畷市「分散型エネルギーインフラ」プロジェクト
マスタープラン(事業化検討調査)策定事業
概要版
平成 27 年3月
四條畷市
目
次
1.事業の概要 ............................................................... - 1 (1)事業の目的 ............................................................ - 1 (2)事業によって解決される課題 ............................................ - 1 (3)市のめざす将来像 ...................................................... - 2 (4)事業の長期展望 ........................................................ - 3 2.事業化に向けた計画........................................................ - 4 (1)事業全体像 ............................................................ - 4 (2)シビックエリアの電熱供給事業 .......................................... - 5 (3)地域PPS事業 ........................................................ - 9 (4)市民創発活動 ......................................................... - 13 -
本マスタープランは、総務省の委託業務として、平成 25 年度の「分散型エネルギーインフ
ラ」プロジェクト導入可能性調査事業(予備調査)に引き続き、分散型エネルギーインフラ事
業の事業化に向けた検討調査の結果をとりまとめたものです。
検討にあたっては、本市のまちづくりに関する政策(まちづくり長期計画)と整合を図り、
まちづくりの将来ビジョンを踏まえた検討を行いました。
(総務省では、地域発の成長戦略であ
る「地域の元気創造プラン」を推進しており、民間活力の土台となる地域活性化インフラ・プ
ロジェクトの一つとして、「分散型エネルギーインフラ」プロジェクトを推進しています。
)
1.事業の概要
(1)事業の目的
本市では、平常時でのエネルギーコストの低減と、災害時におけるエネルギーの
自立を図り、また、この事業を行う地域のエネルギー企業を創出することで、地域
経済の活性化をめざしています。
このため、分散型エネルギーとして、太陽光やバイオマス※1などの再生可能エネ
ルギー※2や、耐震性の高い中圧ガス管から供給されるガスによる発電とその余熱を
利用するシステム(コージェネレーション※3(以下、コージェネ))を活用したシ
ビックエリア※4の電熱供給事業等の事業化検討調査を実施しました。
(2)事業によって解決される課題
◎災害時の市役所機能の継続性確保
本市は、今後 30 年以内に 70%の確率で発生するとされる「南海トラフ地震」
の脅威に直面しています。災害時でもシビックエリアに継続的にエネルギーを供給
し、市役所機能や避難所機能が持続できるようにすることが重要です。
◎コンパクトシティの実現
本市は、人口減尐社会を見据え都市機能の集約と効率化をめざします。また、公
共施設の再編等が計画されており、エネルギー政策と連携したコンパクトシティ※5
となることをめざします。
◎地域経済の活性化
本市は、住宅都市として発展し、成熟段階に至っています。今後、地域経済の活
性化を図るには、地域を支えるエネルギー産業の振興などが重要です。
災害時の市役所機能の
継続性確保
災害時の司令塔となる市役所や、物資輸送拠点となる市民総合体育
館、食料を提供する学校給食センターなどの施設のエネルギー源を確
保することで、まちの災害対応力を高めていく。
コンパクトシティ
の実現
市役所や市民総合体育館などが集まるエリアの機能性を高めていき、
まちの核としていく。老朽化した施設の再編等の計画と整合性を図り、
コンパクトシティを実現していく。
地域経済の
活性化
市域のエネルギーコストを低減し、地域でのエネルギー産業を振興し、
さらに地域資源を活用することで、雇用をつくり地域経済の活性化につ
なげていく。
図1:本市の掲げるエネルギー政策上の課題
-1-
(3)市のめざす将来像
本市は、今後さらに安心して暮らせるまちづくりとして、自立分散型「なわてス
マートコミュニティタウン」モデルの構築をめざします。
シビックエリアの強靱化により、地震等の災害時でも都市機能を維持できるまち
となり、合わせてコンパクトシティ化を進めることで、平常時での暮らしやすさも
向上します。
また、エネルギー源として太陽光発電やごみ発電、コージェネなどを活用し、市
域だけではなく隣接する交野市、寝屋川市、大東市、生駒市(奈良県)へ取組みの
拡大を図ります。
※中圧管:一般的に都市ガスは低圧(0.1MPa 未満)にて需要家に供給するが、工場や大規模商業施設への供給や地区間の圧送では
中圧(0.1MPa 以上、1MPa 未満)が用いられる。阪神・淡路大震災、東日本大震災クラスの大地震にも十分耐えられる構造となっている。
図2:将来の本市の都市像(自立分散型「なわてスマートコミュニティタウン」モデル)
-2-
(4)事業の長期展望
本事業では、まちづくりに関する政策(まちづくり長期計画)と連動した時間軸
で取組みを展開します。
そのため、まちづくり長期計画における各期に合わせた目標を示し、政策的意義
の具体化や、めざすべきまちの姿の実現に向けての具体的なステップを明確にして
いく必要があります。
事業の実施にあたっては、まちづくりと一体的・統合的に進めるとともに、エネ
ルギー政策を横軸として、その推進がまちづくりの政策目的の実現を加速させるも
のとして位置づけています。
図3:事業の長期展望
-3-
2.事業化に向けた計画
(1)事業全体像
本事業は、市役所や市民総合体育館を中心とする、①シビックエリアの電熱供給
事業と、②市内・周辺部の再生可能エネルギー電源等から地域に電力を提供する地
域 PPS※6事業の 2 つから成ります。
①のシビックエリアの電熱供給事業は、さらに2つの事業者(インフラ保有事業
体と地域エネルギー事業者)が連動して事業を行います。
・インフラ保有事業体については、熱や電気を供給するためのインフラとして、
熱導管※7や自営線※8を整備・保有します。
・地域エネルギー事業者はコージェネなどを保有し、インフラ保有事業体が敷設
した熱導管や自営線を利用して、熱や電気を供給します。
②の地域 PPS 事業は、太陽光やバイオマスなどの地域資源を活用した再生可能
エネルギー電源からの電力や、地域エネルギー事業者がコージェネで発電した電気
のうちの余剰電力を地域の施設(公共施設等)に対して供給します。
なお、需要と供給のバランスをとり、最適なエネルギー供給を実現するために、
地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS※9)を活用します。
図4:事業全体像
-4-
(2)シビックエリアの電熱供給事業
①電熱供給の検討対象
本事業は、災害時の司令塔となる市役所や物資輸送拠点となる市民総合体育館、
病院などを、エネルギー面から強靱化することが目的です。
シビックエリアとその周辺では、次の図のような需要家があると想定されます。
(図中のパターンについては後述します。)
図5:主な電熱供給の検討対象施設
-5-
②供給システムのパターン
電熱供給事業では、対象となる施設が多いほど、災害時の機能性強化という事業
目的が達成されることになります。一方で、供給対象が広がるほど熱導管等のイン
フラ投資コストが高くなります。
最適な供給対象を見つけることが必要で、次の3つのパターンで検討しました。
•
パターン1
•
•
パターン2
•
•
パターン3
•
シビックエリアの公共施設7施設と民間病院を含めた施設を対象として、電熱
融通を想定し、熱導管敷設・自営線敷設を行い、その組み合わせを検討する
パターン
地域エネルギー事業者がエネルギー供給設備を保有・運用し、インフラ保有事
業体が熱導管・自営線を保有・運用する
シビックエリアとその周辺の電力需要家・熱需要家を最大限取り込み、熱導管
敷設・自営線敷設を行うパターン
地域エネルギー事業者がエネルギー供給設備を保有・運用し、インフラ保有事
業体が熱導管・自営線を保有・運用する
シビックエリアの公共施設において、各個別に電熱供給規模を想定してそれに
見合ったエネルギー設備を導入するパターン
市がエネルギー供給設備とインフラ(熱導管・自営線)を保有・運用する
図6:供給システムのパターン
③事業の採算性
ア)パターン1(シビックエリアの公共施設7施設と病院)
最適の組み合わせでは、地域エネルギー事業者は収益が約 0.2 百万円/年の赤字
となり、インフラ保有事業体は約 32百万円/年の赤字となりました。
(パターン1)地域エネルギー事業者の収支
(百万円/年)
100
金利
雑費
90
80
70
熱販売
収入
税
人件費
電力調達費
インフラ
利用料
60
50
維持管理費
40
減価償却費
(電熱供給設備)
30
20
電力販売
収入
減価償却費
(電気設備)
燃料費
10
0
収入
支出
電力販売収入
熱販売収入
燃料費
減価償却費(電熱供給設備)
減価償却費(電気設備)
維持管理費
インフラ利用料
電力調達費
人件費
雑費(消耗品費・通信費等)
税
金利
計
収入-支出
(単位:百万円/年)
収入
支出
48
45
35
6
7
1
8
24
5
4
2
0
93
93
-0.2
(注)数値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しないことがある。
-6-
(パターン1)インフラ保有事業体の収支
熱導管延長:950m、自営線延長:1,250m
(百万円/年)
45
40
雑費
人件費
35
30
維持管理費
25
減価償却費
(自営線)
20
15
インフラ利用料
収入
10
減価償却費
(熱導管)
インフラ利用料収入
減価償却費(熱導管)
減価償却費(自営線)
維持管理費
人件費
雑費(消耗品費・通信費等)
計
収入-支出
5
(単位:百万円/年)
収入
支出
8
19
3
12
5
1
8
40
-32
0
収入
支出
(注)数値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しないことがある。
イ)パターン2(パターン1の施設と周辺の施設)
地域エネルギー事業者は約2百万円/年の黒字となるものの、インフラ保有事業
体は約 103 百万円/年の赤字となりました。
(パターン2)地域エネルギー事業者の収支
(百万円/年)
800
金利
700
500
税
人件費
雑費
電力調達費
600
熱販売
収入
インフラ
利用料
維持管理費
400
300
200
減価償却費
(電気設備)
減価償却費
(電熱供給設備)
電力販売
収入
燃料費
100
0
収入
支出
電力販売収入
熱販売収入
燃料費
減価償却費(電熱供給設備)
減価償却費(電気設備)
維持管理費
インフラ利用料
電力調達費
人件費
雑費(消耗品費・通信費等)
税
金利
計
収入-支出
(単位:百万円/年)
収入
支出
411
239
260
105
65
62
40
73
15
2
23
4
650
647
2
(注)数値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しないことがある。
(パターン2)インフラ保有事業体の収支
(百万円/年)
160
雑費
140
120
人件費
維持管理費
減価償却費
(自営線)
100
80
60
40
インフラ利用料
収入
減価償却費
(熱導管)
熱導管延長:2,945m、自営線延長:1,250m
(単位:百万円/年)
収入
支出
インフラ利用料収入
40
減価償却費(熱導管)
104
減価償却費(自営線)
3
維持管理費
28
人件費
6
雑費(消耗品費・通信費等)
2
計
40
143
収入-支出
20
-103
0
収入
支出
(注)数値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しないことがある。
-7-
ウ)パターン3(シビックエリアの公共施設7施設)
パターン3では、パターン1やパターン2の事業構造と異なり、市がインフラ(熱
導管と自営線)とエネルギー供給設備を保有・運用することで、シビックエリアの
強靭化を図っていきます。
電気と熱の需要が高い施設については、ガスコージェネの導入により光熱費を導
入前より削減することが可能となります。
学校給食センター(単独)と、市民総合体育館・四條畷西中学校(組み合わせ)
では、コージェネを導入することでその後の光熱費が削減され、その削減分がそれ
ぞれ約 12 年、約 18年で設備導入の初期投資コストを上回る結果となりました。
一方、その他熱需要が低い公共施設については、空調設備の導入を検討した結果、
使用実態から電気ヒートポンプ式の空調設備(電気ヒートポンプエアコン※10)より
ガスヒートポンプ式の空調設備(ガスヒートポンプエアコン※11)のほうが、経済メ
リットがあることがわかりました。
■学校給食センターへのガスコージェネ導入の
試算結果
導入前
イニシャルコスト
電力料金
ランニング
コスト
ガス料金
水道料金
保守費用
合計
ランニングコスト削減分
投資回収年数
学校給食センター
導入する設備・インフラ
■市民総合体育館と四條畷西中学校への
ガスコージェネ導入の試算結果
導入後
ガスコージェネ(140kW)など
0
9,071
14,257
千円
千円/年
千円/年
千円/年
438
23,766
千円/年
千円/年
67,195
2,650
13,804
112
1,760
18,326
5,440
12.4
導入する設備・インフラ
千円
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
年
イニシャルコスト
電力料金
ランニング
コスト
ガス料金
水道料金
保守費用
合計
ランニングコスト削減分
投資回収年数
市民総合体育館+四條畷西中学校
導入前
導入後
ガスコージェネ(210kW)
熱導管(50m)
自営線(50m)
0
14,306
6,060
777
千円
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
21,143
千円/年
116,000
4,106
8,877
777
787
14,547
6,596
17.6
千円
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
年
※温水プールを導入。ガスコージェネに係る補助金なしの条件で試算
※ガスコージェネの補助(1/3)を適用した場合、投資回収年数は 13 年
④まとめ
電熱供給事業において、パターン1とパターン2は、採算性を確保したうえで事
業を実施するには、国等からの財政支援がないと難しいと考えます。特にインフラ
保有事業体は、パターン1で約 32 百万円/年、パターン2で約 103 百万円/年の
赤字となっています。国等の支援が期待できる場合には、実施に向けて事業性を再
度検討することとします。
一方、パターン3は、学校給食センター(単独)と、市民総合体育館・四條畷西
中学校(組み合わせ)の場合において、一定の事業採算性が見込まれることがわか
りました。
今後は、まちづくり長期計画などを見据えながら、事業の実現に向けて効果的な
事業展開を考えます。(新シビックエリア(現市民総合センターと四條畷小学校)
についても電熱供給事業について引き続き検討を進めます。)
-8-
(3)地域 PPS 事業
①需要家の検討対象
本事業は、市内・周辺部の再生可能エネルギーを活用した地域 PPS 事業者によ
る市域のエネルギーコストの低減とエネルギー産業の振興による地域経済を活性
化することが目的です。
地域 PPS 事業者が電力を供給する需要家は、当初は、使用電力量が大きく電力
の使用パターンが予想しやすい公共施設とし、その後は、段階的に事業の拡大を図
ります。
第1段階では、①シビックエリアの公共施設と周辺の教育・文化関連施設へ電力
を供給します。
第2段階では、①に加え、②シビックエリア周辺その他エリアの公共施設、③市
内の民間施設へ電力を供給します。
第3段階では、①、②、③に加え、④市内の一般家庭も対象に、モニター募集な
どの取組みを通じて電力を供給します。そして次の事業拡大のための基盤づくりを
行います。
それ以降は、さらなる供給先拡大をめざすとともに、一層の事業収支の安定に努
めていきます。
※③の一部と④は推計値である。
図7:地域 PPS 事業の顧客分類
-9-
施設名称
市役所本館
市役所東別館
保健センター
市民総合体育館
市民総合センター
市民活動センター
グリーンホール田原
学校給食センター
上下水道局庁舎
消防署
田原小学校
四條畷小学校
四條畷南小学校
忍ヶ丘小学校
四條畷東小学校
岡部小学校
くすのき小学校
四條畷中学校
四條畷南中学校
四條畷西中学校
田原中学校
全施設(21施設)
学校以外(10施設)
小学校のみ(7施設)
中学校のみ(4施設)
小中学校(11施設)
契約電力
(kW)
148
106
21
277
394
63
161
203
112
31
126
122
83
52
81
124
100
110
103
131
104
2,652
1,516
688
448
1,136
使用電力量
(kWh/年)
(H25.9~H26.8)
266,209
219,865
41,893
704,180
371,581
82,451
254,553
358,858
285,537
99,978
148,229
124,487
89,876
92,640
97,806
120,672
146,430
164,875
131,795
210,984
149,820
4,162,719
2,685,105
820,140
657,474
1,477,614
支払額
(税込、円)
6,852,481
5,351,222
1,039,953
15,926,392
12,615,799
2,344,922
6,888,812
8,534,529
6,164,351
2,024,162
4,547,891
4,067,816
2,869,749
2,365,977
2,963,648
3,828,665
4,057,623
4,568,499
3,881,982
5,622,286
4,156,158
110,672,917
67,742,623
24,701,369
18,228,925
42,930,294
表1:シビックエリアの公共施設と周辺の教育・文化関連施設のエネルギー需要
②供給量の想定
市内・周辺部における地域 PPS 事業の電源として使用できる可能性がある電力
として、木質バイオマス発電、ごみ発電、太陽光発電があります。
木質バイオマス発電
(計画値5,750kW)
ごみ発電
(計画値1,980kW)
木質バイオマス発電については、現在、民間事業者において事業が進められており、
平成27年度稼働を予定している。所内利用を除き、固定価格買取制度での売電
を想定している。
ごみ発電については、現在、四條畷市交野市清掃施設組合において、新ごみ処理
施設の整備が進められており、稼働開始が平成29年度を予定している。所内利用
を除いた余剰分を売電する計画であり、売電分の活用が期待される。
太陽光発電
太陽光発電については、平成27年秋の商業施設開店にあわせて、固定価格買取
制度での売電を想定している。
図8:地域 PPS 事業の電源候補
- 10 -
③事業の採算性
第1段階では、電力の需要規模が小さいため約 14百万円/年の赤字となります。
一方で、第2段階以降は需要規模が大きくなり利益幅が広がるため、黒字になる
見込みです。(第2段階では約4百万円/年、第3段階では約6百万円/年程度の黒
字が見込まれます。)
(第1段階)地域 PPS 事業の収支
(百万円)
160
バランシング
グループ
委託費
140
120
JEPXへ売電
100
電力調達費
80
管理費
60
主要な
公共施設
40
インバランス費
JEPX調達費・
手数料
託送料金
20
主要な公共施設
JEPXへ売電 ※12
常時バックアップ ※13
託送料金 ※14
JEPX調達費・手数料
インバランス費 ※15
人件費
管理費
電力調達費
バランシンググループ委託費
計
収入-支出
常時バックアップ
0
収入
※16
(単位:百万円/年 )
収入
支出
105
13
6
49
4
7
0
6
56
4
118
132
-14
(注)数値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しないことがある。
支出
(第2段階)地域 PPS 事業の収支
(百万円/年)
300
250
バランシング
グループ
委託費
税
主要な
民間施設
200
電力調達費
管理費
150
人件費
インバランス費
その他
公共施設
JEPX調達費・
手数料
100
主要な
公共施設
50
託送料金
常時
バックアップ
0
収入
主要な公共施設
その他公共施設
主要な民間施設
常時バックアップ
託送料金
JEPX調達費・手数料
インバランス費
人件費
管理費
電力調達費
バランシンググループ委託費
税
計
収入-支出
支出
(単位:百万円/年 )
収入
支出
105
35
102
35
62
36
17
10
12
56
10
2
243
239
4
(注)数値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しないことがある。
(第3段階)地域 PPS 事業の収支
(百万円/年)
300
バランシング
グループ
委託費
一般家庭
250 (モニターとして)
税
電力調達費
主要な
民間施設
200
管理費
人件費
インバランス費
150
JEPX調達費・
手数料
その他
公共施設
100
50
0
主要な
公共施設
託送料金
常時
バックアップ
収入
支出
・主要な公共施設: シビックエリアの公共施設と周辺の教育・文化関連施設
・その他公共施設: シビックエリア周辺その他エリアの公共施設(市立保育所等)
・主要な民間施設: 市内の民間施設(保育施設、教育施設等、収益性の高い顧客)
主要な公共施設
その他公共施設
主要な民間施設
一般家庭(モニターとして)
常時バックアップ
託送料金
JEPX調達費・手数料
インバランス費
人件費
管理費
電力調達費
バランシンググループ委託費
税
計
収入-支出
(単位:百万円/年)
収入
支出
105
35
102
34
43
62
41
25
15
14
56
11
3
277
271
6
(注)数値は四捨五入しているため、合計と内訳が一致しないことがある。
- 11 -
④まとめ
地域 PPS 事業においては、シビックエリアの公共施設と周辺の教育・文化関連
施設を対象にした場合には事業採算性は難しく、更なる公共施設や民間施設、市民
を対象とする需要家の拡大とともに採算性が向上される結果となりました。
事業成立のためには、需要家の確保が必要であり、公共施設が率先して需要家と
なるよう、市が主導していくことが重要です。
また、地域 PPS 事業を発展させるためには、段階ごとに需要家の規模を拡大さ
せ、公共施設だけではなく、民間の事業者や市民を対象とした需要家の確保が重要
です。
なお、今後予定される国の電力システム改革(発送電分離)の動きを注視する必
要があります。
第1段階
第2段階
第3段階
第4段階
第5段階
• 主要公共施設
(小中学校、
市庁舎等)
• 主要公共施設
(小中学校、
市庁舎等)
• 主要公共施設
(小中学校、
市庁舎等)
• 主要公共施設
(小中学校、
市庁舎等)
• 主要公共施設
(小中学校、
市庁舎等)
(約2,700kW)
• シビックエリア周辺
その他エリアの公
共施設
• シビックエリア周辺
その他エリアの公
共施設
• シビックエリア周辺
その他エリアの公
共施設
• シビックエリア周辺
その他エリアの公
共施設
• 市立・民間幼稚園、
大学等
• 市立・民間幼稚園、
大学等
• 市立・民間幼稚園、
大学等
• 市立・民間幼稚園、
大学等
(約4,900kW)
• 一般家庭
250世帯
• 一般家庭
• 一般家庭
対象
需要家
(約5,900kW)
• 一般家庭の約25%
に供給
(第3段階から第5段
階まで需要が直線的
に推移したと仮定)
• 一般家庭の約40%
に供給
図9:地域 PPS 事業の展開
■電気料金が安くなる!?((株)日本総合研究所調べ)
市場調査やヒアリングによると、PPS 事業者が供
給する電気料金は、契約内容や電気の使用状況によ
っては、従来の電気料金から3~5%程度安くなる
と見込まれます。
なお、近年、大阪府や府内市町村等での公共施設
の電力調達における入札を実施すると、従来の電気
料金の 10~15%程度の低減という結果が見られますが、これは PPS 事業者の PR・実績づくり等
のため低価格で入札している事例もあると考えられます。
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(4)市民創発活動
①市民創発活動の背景・目的
本事業は、災害時の市役所機能の継続性確保、コンパクトシティの実現、地域経
済の活性化をめざす取組みであり、このために、シビックエリアにおける電気や熱
を供給するエネルギーインフラなどの整備や地域 PPS 事業の検討を行っています。
また、将来を見据えて、理想的なエネルギーの使い方や創り方、分け合い方まで
含めて検討していくことが重要です。
そのためには、市やエネルギー供給事業者だけではなく、実際にエネルギーを使
う市民や事業者と一体となった取組みが求められます。
めざすべき地域エネルギーのあるべき姿の実現に向けて、市民が自発的に活動す
る仕組みが必要で、そのための第一歩として、市民・事業者と市が協働する「市民
創発活動」が重要です。
②これからの展開
市民創発活動を展開していくため、平成 27 年2月から5月にかけて市民を対象
としたワークショップを開催します。そこで、今後の地域エネルギーのあり方や省
エネなどの取組みについて、学習や意見交換を進めていくこととしています。
平成 28 年度以降は、国の電力システム改革により、誰もが電力会社を選べるこ
とができるようになります。このため、市民のエネルギーに対する関心がこれまで
以上に高まることが考えられます。そのタイミングを活かして市民創発活動を広げ
ていきます。
■電力自由化の範囲
現在、契約電力が 50kW 以上の需要(家庭用など低圧受電を除く全ての需要)が自由化の対
象とされています。(関西電力などの一般電気事業者以外の PPS 事業者からも購入することが
できます。
)
[電力自由化範囲の拡大]
・平成 12 年3月 契約電力 2,000kW 以上(大規模工場、デパート、オフィスビルなど)
・平成 16 年4月 契約電力 500kW 以上(中規模工場、スーパー、中小ビルなど)
・平成 17 年 4 月 契約電力 50kW 以上(小規模工場など)
・平成 28 年 4 月 全面自由化(一般家庭など)
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用 語 集
※1 バイオマス
生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉であり、「再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)」のことです。
木質、食品残渣、家畜排せつ物等の種類があります。
※2 再生可能エネルギー
繰り返し使うことができるエネルギー源のことです。具体的には、太陽光や風力、水力、地熱、木質系、畜産系などのバ
イオマス資源などのことです。石油や石炭などの化石燃料は限りある資源であるのに対し、永続的に使うことができるエネ
ルギー源として期待されています。
※3 コージェネレーション(コージェネ)
ガスなどの燃料を燃焼させ、電気と熱の2種類のエネルギーを生産するシステムのことです。需要家となる施設に近接し
て設置できるため、エネルギー効率を高めることができ、CO2 排出量の削減に寄不するなど環境面でも優れています。
※4 シビックエリア
市民の利便性の確保と魅力ある都市環境、都市景観を持った交流空間を形成する、市役所等の行政サービス施設や文化、
スポーツ施設が集積する市街地中心部のことです。
※5 コンパクトシティ
都市の機能を中心エリアに集中させた都市のことです。都市の機能とは、行政機能や商業施設のほか、病院や住宅など幅
広く含みます。高齢化の影響もあり徒歩圏にまちの機能が集約されているほうが利便性が高く、効率的となることが多いと
いわれています。
※6 PPS(Power Producer & Supplier)
特定規模電気事業者の略称です。新電力ともいい、電力を需要家に向けて販売する事業者のことです。関西電力などの一
般電気事業者が保有する電線網を通じて電力を供給します。平成 28 年 4 月以降は、一般家庭を含めすべての需要家に対し
て PPS 事業者が電力を販売できるようになります。
※7 熱導管
熱媒体(蒸気・温水・冷水等)を輸送するための管とその附属機器のことです。
※8 自営線
一般電気事業者以外の事業者が特定の地域において、自らが維持・運用する送配電設備のことです。
※9 CEMS(Community Energy Management System)
地域エネルギーマネジメントシステムの略称です。地域におけるエネルギーの需要・供給を統合的に管理するシステムの
ことです。使用量の可視化や節電のための制御、発電などを情報システムで管理します。
※10
電気ヒートポンプエアコン
空調機の室外機における圧縮機の駆動源に電気を使用した電動機駆動式のエアコンのことです。
※11
ガスヒートポンプエアコン
空調機の室外機における圧縮機の駆動源にガスを使用したガスエンジン駆動式のエアコンのことです。
※12
JEPX(Japan Electric Power Exchange)
一般社団法人 日本卸電力取引所の略称です。電力会社、PPS 事業者、卸・自家発電事業者が出資し、平成 15 年 11 月
に設立されました。翌日受け渡す電力を 30 分単位で取引するスポット市場と、1 カ月から 1 年先の電力を 1 カ月または 1
週間単位で取引する先渡し市場などがあります。
※13
常時バックアップ
一般電気事業者(関西電力など)が PPS 事業者のバックアップ電力を供給するサービスのことです。
※14
託送料金
一般電気事業者が保有する送電網を PPS 事業者等が利用するときに支払う利用料金のことです。
※15
インバランス費
消費電力量と発電電力量とで生じた差分(インバランス)のうち、丌足が生じた場合に補給的に供給する電気料金のこと
です。インバランス料金の発生を最大限抑制することが PPS 事業者の事業採算性の向上に必要とされています。
※16
バランシンググループ(代表契約者制度)
複数の PPS 事業者と関西電力などの一般電気事業者が一つの託送供給契約を結び、PPS 事業者間で代表契約者を選定す
る仕組みのことです。グループ規模が大きくなるほど変動範囲外インバランスが生じるリスクが低減します。