フロン法改正特集②

vol.17
フロン法改正特集②
~使用者の具体的な義務とは?~
前号に引き続きフロン排出抑制法改正特集として、今回は使用者の具体的な義務について解説していきます。
①設置環境・使用環境の維持保全
⑤点検・整備の記録作成・保存
第一種特定製品について、下記の通り、適切な場所への設置、設置後の使用環境の保全をすることが義務となっています。
使用者や使用する機器に関する情報、点検や修理の実施状況、充塡・回収したフロン類の情報等について記録を作成します。
法定様式は定めていませんが、日本冷凍空調設備工業連合会が作成する様式を参考とすることができます(下図)。この様
式は当該連合会ホームページからダウンロードできます。この記録は機器を廃棄するまで保存しなければなりません。
・機器を損傷させるような振動源が機器のまわりに無いこと
・点検や修理を行うための作業空間を確保すること
・定期的に清掃をすること
定期点検用記録簿
簡易点検用チェックシート
※使用者の氏名を記入して使用してください
②簡易点検・定期点検
管理する機器の種類や出力の大きさによって下表のように点検を行う義務があります。
点検の種類
点検対象
点検頻度
点検内容
機器の種類によって下記の点検を行うこと(実施者の具体的な制限は無い)
全ての第一種特定製品
(業務用エアコン、冷凍・
冷蔵機器)
簡易点検
(※1)
★機器が第一種特定製品かど
うかの見方は CSR ニュース
vol.16 内「④今は何をしたら
良いの?」を参照
3 ヶ月に
1 回以上
【エアコンの場合】
異音、外観の損傷、腐食、錆び、油にじみ並びに熱交換器の霜付き等について確認し、フ
ロン類漏えいの可能性があるかどうかを確認すること
【冷凍・冷蔵機器の場合】
上記エアコンの場合の内容に加え、室内温度に異常がみられないか確認すること
★下記環境省ホームページ(フロン排出抑制法の説明資料欄)から簡易点検の手引きをダ
ウンロードできます。http://www.env.go.jp/earth/ozone/cfc/law/kaisei_h27/
法定記載事項
①使用者の氏名(法人の場合は名称)②点検実施者の氏名(法人の場合は名称及び実施者の氏名)③修理実施者の氏名(法人の場合は名称及び実施者の氏名)④充塡・回収
定期点検
冷凍・冷蔵機器(圧縮機定格出
力 7.5kW 以上※2)
1 年に
1 回以上
エアコン(圧縮機定格出力
7.5kW~50kW※2)
3 年に
1 回以上
エアコン(圧縮機定格出力
50kW 以上※2)
1 年に
1 回以上
した充塡回収業者の氏名(法人の場合は名称及び実施者の氏名)⑤点検を行った機器の設置場所及び機器を特定するための情報⑥フロンの初期充填量(設置時における現場
十分な知見を有する者(社内外問わず)が直接法や間接法等特殊な方法によって点検。
(十分な知見を有する者については質問コーナーを参照)
【参考】
直接法・・・漏えい探知機や蛍光剤等を用いて漏えいの有無、漏えい箇所の特定をする
間接法・・・機器の運転値の異常等の確認により漏えいの有無を診断する
※1:簡易点検により、フロン類漏えいの可能性を見つけた場合は、十分な知見を有する者による専門的な点検を行うこと
充填量を含む)⑦点検(簡易定期点検、専門点検、定期点検及びその他の点検)を行った年月日及び内容・結果(故障等の箇所など)⑧修理を行った年月日及び内容・結果
(速やかな修理が困難である場合はその理由及び修理の予定時期など)⑨充塡・回収した年月日及び充塡・回収したフロンの冷媒番号区分別の種類・量
【質問コーナー】十分な知見を有する者って誰
第一種特定製品の定期点検は「十分な知見を有する者」によってされなければならないということですが、十分な知見を有す
る者とはどのような者を指すのですか?
※2:圧縮機定格出力は、機器の銘板に「圧縮機の定格出力」
、「電動機出力・圧縮機」
、
「呼称出力」等と記載。不明な場合は機器のメーカーへ問い合わせること。
③フロン類の漏えい時の措置
点検等の結果、漏えいや故障などが確認された場合、漏えい防止のための修理を行う義務があります。
整備業者・第一種フロン類充塡回収業者等に修理を依頼してください。
漏えい箇所を修理しないまま充塡を繰り返すことは禁止されています。
十分な知見を有する者とは、機器の冷媒回路の構造や冷媒に関する知識に精通した者のことを言います。下記のような資格・要件を満たしてい
る者と考えられます。環境省の発表によると、今後、運用の手引き等において示される予定とのことです。
○冷媒フロン類取扱技術者
○下記の資格・一定の実務経験等を有し、かつ機器の構造、運転・保守方法、冷媒の特性や取扱方法、関連法規等に関する講習を受講した者
高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)、冷凍空気調和機器施工技能士、高圧ガス保安協会冷凍空調施設工事事業所の保安管理者、
冷凍空調技士、高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械以外)で、機器の製造または管理に関する業務に 5 年以上従事した者、
自動車電気装置整備士(平成 20 年 3 月以降資格取得者、平成 20 年 3 月以前の資格取得者でフロン回収に関する講習会を受講した者)
④廃棄時のフロン類回収・再生
第一種特定製品を廃棄・譲渡(再利用目的に限る)する場合は、第一種フロン類充塡回収業者に引き渡すか、フロ
ン類の引き渡しを設備業者等に委託し第一種フロン類充塡回収業者に引き渡さなければなりません。
次回は、「フロン排出抑制法
フロン類算定漏えい量等報告」について解説致します
※本記事の内容は弊社独自の見解を含んでいます。 実務に関しては管轄の自治体にご確認ください。
発行:株式会社浜田
CSR 担当 今井・涌嶋
TEL:072-686-3500