「今こそ音楽で・・・」 - 全日本音楽教育研究会

≪高知県≫
第43回中国・四国音楽教育研究大会高知大会
大会主題
小学校主題
小学校主題
「今こそ音楽で・・・」
~音楽で輝いて~
〈学び合いから生まれるすてきな音楽〉
1.研究主題設定の理由
2.研究内容
平成24年度中四国音研大会主題「今こそ
音楽で・・・」では、変化の激しい現代にお
♪〔共通事項〕を手がかりとした学習活動の
いて音楽教育の果たす役割を見つめ直し、豊
ための手だて
かな情操を養うために様々な音楽活動を充実
子どもたちが、
〔共通事項〕を手がかりとし
していこうという願いから設定している。そ
て、自分が音楽で表したい思いや意図を明確
のことが、ひいては生涯にわたって音楽に親
にしたり、作曲者や演奏者の思いに迫ったり
しむ事ができる資質や能力を養う事に繋がる
できるような、学習活動の手だてを研究する。
と考えている。
小学校ではこの大会主題を受け、様々な音
♪友だちとの関わりの中で音楽や互いのよさ
楽活動の中で、心に響く音楽と出会ったとき
に気づく場の設定
の子どもたちの輝く瞳や、表現するよろこ
「聴き合う・響かせ合う」といった音楽活
び・聴くよろこびを知った子どもたちが、自
動の中で、音楽のよさや面白さ、楽しさを友
ら進んで音楽に関わろうとする姿をイメージ
だちと共有し、一人では味わうことのできな
して、小学校主題「音楽で輝いて」を設定し
いよろこびを感じさせたり、それらの活動を
た。子どもたちの見せる一瞬一瞬の輝きを、
通して互いのよさに気づかせたりして、子ど
自ら表現しようとするよろこびに満ち溢れた
も同士が高め合えるような場を設定する。
姿へとつなげていくためには、どのような方
法が考えられるのか。私たちは下記のような
♪適切な評価の工夫・改善
研究構想を持ち、その方法を模索した。
音楽活動を通して子どもたちに育まれてい
○めざす子ども像
る力を、認め、褒め、さらに励まし、伸ばし
(1)思いや意図をもって表現したり、想像
ていくことができるような評価を大切にする
力を膨らませながら聴いたりする子ど
とともに、指導のねらいや学習内容に即して、
も
子ども一人一人の学習状況を適切に把握でき
音楽の楽しさや美しさを感じ取り、自らの
思いや意図をもって表現しようとしたり、幅
る評価規準や評価方法などについて、工夫・
改善する。
広く豊かに想像力を膨らませながら聴いたり
する子ども
(2)共に高め合おうとする子ども
友だちと共に音楽活動をおこなっていく中
で、よろこびを共有したり、互いのよさを認
め合いながら、共に高め合おうとする子ども
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3.公開授業等
〔公開授業 第1学年〕
授業者
下城
千明
題材
「ようすをおもいうかべて」
教材
「おもちゃのへいたい」
「おもちゃのチャチャチャ」
・
bの部分を中心に楽曲を聴き、おもちゃ
になって自由に体を動かすことにより、
音楽の気分を感じ取る。
・
動きの中に強弱の変化を感じ取って体を
〔公開授業
動かしている児童を取り上げ、どうして
授業者
前田
その動きをしたのか共に考えることで、
題材
「ふしづくりを楽しもう」
強弱の変化に気づく。
第3学年〕
李奈
~ドリア旋法による音楽づくり~
教材
・
「雪のおどり」
「ライオンの行進」
4~5人のグループがドリア旋法を用い
て旋律、ドローン、パターンの3つのパ
ートを重ねて音楽をつくる。
・
グループで話し合ったり、互いの音を聴
き合ったりしながら工夫して音楽をつく
る。
・
他のグループの演奏を聴き合う事で、友
だちの工夫やよいところを見つけ、自分
たちの演奏に生かしていく。
〔公開授業 第2学年〕
授業者
岩本
弘子
題材
「ようすをおもいうかべて」
教材
「ラララ
歌おう」
「夕やけこやけ」
「はるなつあきふゆ」
「くまんばちは飛ぶ」
・
歌詞の内容から感じ取ったイメージを膨
らませ、体の動きを伴った活動も取り入
れながら曲に合った歌い方を工夫する。
・
・
友だち同士表現の工夫について話し合っ
〔公開授業
たり、紹介し合ったりする。
授業者
題材全体を通して自分の歌声や発音に関
題材
「ポリリズムの音楽をつくろう」
心をもてるように、あくびの声や弾んだ
教材
「マンガニ、雨とおどろう」
声などいろいろな歌い方を経験していく。
第4学年〕
間島
ゆり子
「太陽の国へ」
・
既習の2分割と3分割のリズムに合わせ
て自分たちのポリリズムの音楽をつくり、
「太陽の国へ」の旋律に重ねて演奏する。
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・
友だちと相談して打楽器を選びながら、
・
音の重なり方の違いに気づき、それぞれ
の重なり方の特徴を捉えて聴いたり演奏
合ったりする。
したりする。
・
音色を聴き合ったり音の重なりを確かめ
友だちの演奏を聴き合ったり、感想を言
・
「カノン」の音の重なり方の特徴につい
い合ったりしながら、ポリリズムの特徴
て話し合い、そのよさを意識しながらリ
を共有していく。
コーダーで輪奏する。
〔公開授業 第5学年〕
〔研究演奏〕
授業者
会場
県民文化ホール(オレンジホール)
出演校
高知市立小高坂小学校
北岡
禎子
題材
「様子をおもいうかべて」
教材
「小さい秋みつけた」
48名
「冬げしき」
・
合唱曲名
楽譜や歌詞から楽曲の感じをつかんで表
「勇気の花がひらくとき」
「南の風とたんぽぽ」
現を工夫する。
・
合唱部
(伴奏
3段目のフレーズの変化に気づき、盛り
指揮者及び指導者
大岸
森
まゆみ)
節子
上がりを感じた歌い方を工夫し合う。
4.研究の成果と課題
(1)成果
①子どもたちが音楽を楽しむための手がかり
として〔共通事項〕を活用する方法について
具体的に研究していく事が、進んで表現しよ
うとする子どもの育成につながった。
②授業の中に必ず友だち同士が関わる場を設
定することで、音楽のよさや友だちのよさに
気づき、より充実した音楽活動になった。
〔公開授業 第6学年〕
(2)課題
授業者
①各学年部の研究の内容を全体のものに広げ
佐々木
由香
題材
「音の重なりとひびき」
ていく必要がある。
教材
「カノン」
②他の領域についても同様の視点で授業をお
わらべうた
「つばさをください」
「フーガ」
こなえるよう、学年ごとに系統立てた指導を
「ロック
確立していかなければならない。
マイ
ソウル」
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