「 千 果 99」

か
は
まき
はん てん
g
となり果房内での果ぞろいがよくな
む
栽 培 型
夏 秋
雨よけ
ハウス
越 冬
ハウス抑制栽培・促成栽培で、播種期
オールシーズン栽培可能ですが、最
適作型は黄化葉巻病の被害が多くなる
❹オールシーズン栽培可能
栽培を通して一定の収量が見込めます。
ますが、収量の波が小さくなるため、
は「CF千果」に比べやや少なくなり
くなる年内の収量が上がります。花数
制長期作でミニトマトの市場価格が高
「CF千果」同様に極早生となり、抑
❸極早生で収量性にすぐれる
■「千果99」適期表
は7〜8月となります。
2015 タキイ最前線 夏号 おう
か
!
2
ー 型、葉かび病 9型に加え、斑点病に耐病性のミニトマト
品種特性
❶トマト黄化葉巻病に耐病性
2)を示します。ただし、マ
西日本を中心に発生している黄化葉
巻病イスラエル系統に、安定した耐病
性(
イルド系に対する耐病性はありません
ので、従来通りの防除が必要となって
きます。
その他の耐病性として、国内で発生
している葉かび病のレースに安定した
耐病性
( 9)
を示すほか、
斑点病
( )
い ちょう
トマトモザイクウイルス(
)に
( )
、
サツマイモネコブ線虫
(N)
、
萎凋病
要が高くなっています。また、周年で市場に供給されるため、さまざまな作型で栽
耐病虫性をもちます。
か
形は、きれいな球形で、果重は 〜
度が高く、緻密な肉質となります。果
ち みつ
食味の評価が高い「CF千果」の味
を引き継ぎ、収穫初期から安定して糖
シー エフ ち
❷食味・果色にすぐれた果実
培され、全国での栽培も年々増加しています。しかし、近年では高温期に黄化葉巻
病の被害が多く、栽培・収量に大きな影響が生じています。このため、安定的に栽
2)をも
培できるように、ミニトマトに黄化葉巻病の耐病性を付与する品種改良を行ってき
ました。
西日本を中心に発生している黄化葉巻病イスラエル系統に耐病性(
つミニトマト「千果 」を開発しました。2008年から試作を開始し、黄化葉巻
病の被害が大きい熊本県や愛知県などの抑制栽培の産地で、2010年より本格的
ります。
15
←
糖度が安定して高く緻密な肉質の「千果99」
は、オールシーズン栽培可能。
大藤 仁夢
おお どう
黄化葉巻病
ち
(登録名:TTM042)
耐病性:Tm-2a.Ty-2.F1.Cf9.LS.N
な導入が進んでいます。ミニトマトに求められる食味のよさと、長期栽培でも安定
Tm
ひと
タキイ農場
にも中程度の耐病性を示します。また、
Cf
Cf
99
的に栽培でき、高い収量性をもつ品種となっています。
LS
20
Ty
―
2a
15
99
―
トマト
ミニトマトは食味がよく、手ごろなサイズ感から利便性があり、消費者からの需
Ty
―
F1
Ty
「千果 」
新発表
栽 培 の ポ イ ン ト
①施肥設計
元肥量は、有機物や緩効性肥料を主
体に、10a当たりのチッソ成分量でハ
ウス抑制栽培では5㎏、夏秋雨よけ栽
培では10㎏として、追肥重点型の肥培
管理を行います。
②育苗から定植までの管理
育苗は、後半の極端な肥料切れを防
ぐために、大きめのポットを使用する
ことがおすすめです。抑制栽培での定
つぼみ
植苗は、1段花房の蕾がガク割れ時期
で、それ以外の作型では1段花房開花
苗が定植適期苗となります。極端な若
苗定植は草勢が強くなりすぎて、初期
の草勢管理が難しくなり、異常主茎の
発生を助長するため避けるようにして
ください。活着後は、葉面散布剤を用
いて草勢をコントロールしてください。
また、生育を安定させるためにも、1
段花房はホルモン処理で確実に着果さ
せてください。
③定植後の潅水および肥培管理
定植直後は活着を促すために、しっ
かり潅水してください。活着後は、極
端なしめ作りは避けて、成長点付近が
しおれ始める前に、潅水をしてくださ
い。追肥後は、積極的な潅水を行い草
勢の維持を心掛けてください。
基本的な肥培管理は「CF千果」と
同様になります。追肥の開始時期は、
4~5段花房が開花したころを目安と
します。固形肥料なら1回の追肥で10
a当たりチッソ成分量3㎏を施します。
その後は、草勢を見ながら開花花房が
1段進むおきに、同量を施します。液
体肥料なら、追肥量の目安は開花花房
が1段進むごとに、10a当たりのチッ
ソ成分量で 1. 2㎏とします。追肥は潅
水のたびに少量ずつ施します。
④低温期の着果促進
厳寒期において、低温での温度管理
は着果に悪影響をおよぼすことがあり
ます。低温や日照不足などにより、ハ
チ交配での着果不良が見られた際には、
ハウス内の温度を十分確保するととも
に、ホルモン処理で確実に着果を促す
ようにしてください。また、ハウス抑
制栽培における栽培初期の異常高温時
においても、ホルモン処理を併用する
ようにしてください。
⑤裂果対策
裂果の原因には大きく分けて、高温
・強日射によるものと、低温期の結露
による2種類があります。高温期の対
策として、遮光資材を用いてハウス内
の温度上昇を防ぎます。低温期の対策
には、早朝加温や循環扇の利用、ハウ
ス換気による湿度管理を徹底します。
下降気温期には、急な冷え込みや冷風
による果皮の硬化を防ぐため、サイド
ビニールの開閉などにより外気が直接
当たらないよう注意してください。ま
た、土壌の乾湿の差を小さくするため
に少量・多回数での潅水を心掛けてく
ださい。
⑥病害防除
黄化葉巻病マイルド系統の発生を予
防するために、従来通りの耕種的防除
と薬剤散布を組み合わせた対応が必要
となります。葉かび病についても耐病
性
(Cf9)
をもっていますが、Cf9を侵
す新レース、葉かび病の防除と同時に
防除されていたすすかび病などの発生
を防ぐため、定期的な薬剤散布を行っ
てください。
・
・
・
・
品種名
果重
(g)
果形
果色
花数
糖度
裂果
草丈
項目
メガネ
「 千 果 」系 ミニトマト特 性 比 較 表
果実
吸肥力
前期
後期
千果99
15∼20g
球
特良 25∼35 8∼10 中少
少
中長
④
⑥
CF千果
15∼20g
球
特良 30∼40 8∼10 中少
中少
中
④
55
○
耐病性
TY ToMV CL
F1
LS
N
a
Tyー2 Tmー2 Cf9
○
△
○
Tmー2a Cf9
○
△
○
×
a
1)耐病性:TY=トマト黄化葉巻病(Ty - 2)、ToMV=トマトモザイクウイルス(Tm - 2 )、CL=葉かび病(Cf9)、F1=萎凋病レース1、LS=斑点病、
N=サツマイモネコブ線虫
2)比較の数字:吸肥力=①弱←⑤基準→⑩強
トマト「 千 果 9 9 」栽 培 特 性メモ
最適播種期
病害の強さ
産地向き オールシーズン栽培可能。最適作はハウス抑制栽培で7∼8月播種
菜園向き 中間地なら定植時の遅霜の心配がなくなる5月中旬定植
、
黄化葉巻病
(Ty 2)
、葉かび病
(Cf9)
、トマトモザイクウイルス
(Tm 2a)
萎凋病
(F1)
、サツマイモネコブ線虫
(N)
、斑点病
(LS)
に中程度の耐病性
元肥
基本の施肥量
(10a当たり)
ハウス抑制栽培:チッソ成分量5㎏、夏秋雨よけ栽培:チッソ成分量10㎏
開始期は4∼5段花房開花期
追肥
固形肥料:開花が1段進むごとにチッソ成分量3㎏
液体肥料:開花花房1段ごとにチッソ成分量 1 . 2 ㎏を潅水のたびに複数回に分けて施す
栽培重要ポイント
1段花房はホルモン処理をして着果を確実にさせる。仕立て方は、草勢管理がしやすい1本仕立て
播種基準
(畝幅・条数・株間)
畝幅 1 . 8 m・条数2・株間40㎝
16 2015 タキイ最前線 夏号