二条大麦品種「ミカモゴールデン」の育成（二条大麦農林13号） 1 育成のねらい栃木県のビール麦生産量は全国第一位（約凶）を誇り、古くから本県の重要な基幹作物となっている。しかし、連作が長年続けられたため、昭和55年頃から土壌伝染性のウイルス病である大麦縞萎縮病が激発して大きな問題となつた。栃木分場では、その低抗性品種育成に地道な努力を重ね、昭和60年、大麦縞萎縮病に高度の低抗性をもつビール麦品種「ミサトゴールデン」を世界で初めて育成し、普及に移した。その後、ミサトゴールデンは麦作安定に大きく貢献し、昭和62年7月、大麦縞萎縮病常発地帯を対象とした指定品種となつた。ミサトゴールデンの本県の63年産契約枠は18，135トンで、総契約数量の40％を占めた。しかし、ビール業界は醸造品質のより優れた低抗性品種を要望していた。折しも、円高が進行し、国産麦芽は輸入麦芽に比べて6倍強の価格に上昇し、良質な国産麦生産の努力が18万トンの国産麦契約枠を維持するうえで一層求められた課題であった（図一1）。こうした状況の中で、世界のドール麦品種Tr i umph，C1ippe r，K1ages等と比べても最高水準の醸造品質をもち（図一2）、ミサトゴールデン同様、大麦縞萎縮病に高度低抗性をもっ「ミカモゴールデン」を育成することに成功した。 2 育成の経過昭和50年 4月交配（南系B4718x新田二条1号）昭和59年 9月地方系統名「関東二条23号」命名昭和62年10月農林水産省品種登録、栃木県準奨励品種採用、種苗登録申請中 3 特性はるな二条・ミサトゴールデンと同程度の早生で、収量・整粒歩合はあまぎ二条と同程度かやや優る。耐倒伏性はあまぎ二条より優り、はるな二条と同程度である。大麦縞萎縮病に高度低抗性で、うどんこ病に弱い（表一1）。麦芽品質はあまぎ二条より優り、極良質のはるな二条と同程度である（表一2）。（担当者：吉田久）万トン衡醸灘緩 ………柵ト（％） 90 数量又 30 芽。はる虻条品（サッポロピル育成別年）麦 80 質 K1ag㌘（北米伽・・b・（欧州1）芽総 20の □ 70 合あまぎ二条ヤ冴ゴ→レデン（59年）価評1・・（キリ潅論年）。ミサト引レは内麦 60 輸入麦芽価格 50 ’一 ■’ ’ 率 40 30 ｝契約隈度数最 ↓ ． 10 格点★デン（60年 10 比 Cl ipPe了（豪州） I ム杜買入最 20 ’ 対 ’ 内麦率（％ O ミホゴールデン（50年）ゴ 8％ 18万トンル（育成昭和40年）麦芽エキス100＊796％ 8万トシ；100κ工力箒・織鮒56 100 105 昭和53545556575859606工62年麦芽エキス比（対二三＿ゴニパ≠ン）図一1 醸造用犬麦の総需要量（ピール・ウイスキー用）国産麦の供給量，麦芽価格の推移図一2 栃木分場育成品種の麦芽エキス，麦芽品質総合評点の向上一3一表一1 ミカモゴールデンの生育・収量調査成績出成験栃木分場本場ミカモゴールデンあまぎ二条（標準）はるな二条（比較）ミサトゴールデン（比較）ミカモゴールデン穂穂耐長倒長数伏穂熟品種名地稗期期耐病性子縞赤萎か縮びう、収同標リ完量左準五実千一整原品粒婆麦こ対比重重合 9 ％粒質月目月日㎝㎝本／㎡性病．病病kポa％ 9 ・・・・・・・・・・…中強欄弱・・・・・・・・・…m中峠・・・・・・・・…1欄弱嚇中・・川・・・・・…1刀中峠 …舳・・・・…中弱粥欄…1・・・・・・・・…中‡干 4，25 5．3ユ 86 4，296．6 90 あまぎ二条 4，30 6，10 89 （標準）はるな二条 4，286．5 92 （比較）ミサトゴールデン 94 （比較） 4，296．5 中中∼ 強やや強や鰯4ユ・010568642389・8中下 5．9625 強 5．0ユ047 中弱…1・・・・・・・・…中蒔 6．11010 中」中・臥・1・・・・・・・・…1中転 5．11089 中中52．710666335，379．5中中 5，395ユ中中 60．4 ユ22 665 40，8 89．0中下注調査年度栃木分場（水田条播）：昭和57，59∼61年度 4カ年平均。本場（水田ドリル播）：昭和60∼61年度 2カ年平均。一表一2 ミカモゴールデンの麦芽品質成績（栃木分場）麦芽品質品種名麦芽エキスエキス収量コールバツジアスター最終発酵度麦芽品質ゼカ％％ハ数％⑫WK／TN ％総合評点 82，5 64，3 48，7 179 154 81，6 51．1 76，6 47，9 ユ61 82，6 6ユ．8 74．8 48．0 150 83．2 54．6 ミカモゴールデン 83，6 75，8 49，2 あまぎ二条（標準） 81，5 74，3 はるな二条（比較） 84，4 ミサトゴールデン（比較） 82．1 注．読査年度昭和57，59∼61年度 4カ年平均。一4一