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2014
小児感染免疫 Vol. 26 No. 3 403
第 45 回日本小児感染症学会教育講演
免疫介在性神経疾患
高 橋 幸 利*,**,*** 森 達 夫* 大 星 大 観*
束 本 和 紀* 渡 辺 陽 和* 吉 富 晋 作*
山 口 解 冬* 荒 谷 葉 溜* 高 山 留美子*
要旨 神経筋疾患には,免疫が一次的に関与して発病する疾患(一次性免疫介在疾患)
と,発病後に二次的に免疫が関与して病態を修飾する疾患(二次性免疫介在疾患)が
あると考える.前者において関与する免疫には,インフルエンザ脳症などの自然免疫
と,非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(non herpetic acute limbic encephalitis:NHALE)
などの獲得免疫がある.
NHALE は,辺縁系症状と呼ばれる特徴的な症状で発病し,単純ヘルペスウイルス
による脳炎が否定できる急性脳炎で,NMDA 型グルタミン酸受容体(N methyl D
aspartate type glutamate receptor:NMDA 型 GluR)抗体が中核的な役割を果たし
ていると考えられている.NHALE 発病数年前(前駆期)から NMDA 型 GluR 抗体産
生が徐々に始まり,先行症状期を経て発病すると筆者らは考えている.先行症状期に
は無菌性髄膜炎による不明熱,リンパ球減少,血小板減少などがみられ,早期診断・
発病予防につながる可能性がある.NHALE の診断には,髄液の細胞数,蛋白,IgG
の増加に加えて,髄液 NMDA 型 GluR 抗体高値が参考となる.MRI 異常は 30∼40%
にみられ,記憶認知の後遺症が残りやすい.筆者らの厚生労働科学研究などにより,
NHALE 診断スキームが整い周知され,早期診断治療が可能となり,急性期入院日数
が近年短縮してきている.
Ⅰ.免疫介在性神経疾患
病態を修飾している疾患(二次性免疫介在疾患)
があると,筆者らは考えている.ここでは,神経
神経筋疾患には種々の原因・病態があるが,免
学会の成人の疾患群分類を改変して 12 の疾患群
疫の病態に対する関与という観点からは① 免疫
に分けて考えてみたい(表 1)
.
が一次的に関与して発病する疾患(一次性免疫介
在疾患)と,② 発病後に二次的に免疫が関与して
免疫介在性神経疾患群に分類される疾患は一次
性免疫介在疾患であるが,急性散在性脳脊髄炎
Key words:nonherpetic acute limbic encephalitis,NMDA type glutamate receptor,antibodies to
GluN2B,aseptic meningitis,急性期入院日数
*
国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター
〔〒 420 8688 静岡市葵区漆山 886〕
**
岐阜大学医学部小児病態学
***
静岡県立大学薬学部
404
2014
表 1 神経・筋疾患における免疫の関与
疾患群
脳血管障害
一次性免疫介在疾患
二次性免疫介在疾患
抗リン脂質抗体症候群など
後遺症形成過程に関与?
該当なし
Glioblastoma における NMDA 型
GluR 抗体など
神経外傷,スポーツ神経学
該当なし
外傷後後遺症形成過程に関与?
認知症,高次脳機能障害
HPV ワ ク チ ン 後 脳 機 能 障 害 な アルツハイマー病などの進行過
ど?
程に関与?
神経系腫瘍
発作性神経疾患
(てんかん,頭痛)
神経変性疾患
神経感染症
Rasmussen 症候群,脳炎後てん 内側側頭葉てんかんなどの進行
かんなど
過程に関与
該当なし
脊髄小脳変性症の一部などで進
行過程に関与?
インフルエンザ脳症など
プリオン病,単純ヘルペス脳炎
などの進行過程に関与?
非特異的炎症性神経疾患
NPSLE,ベーチェット病など
免疫介在性神経疾患
ADEM,非ヘルペス性急性辺縁
系脳炎,多発性硬化症,視神経脊
髄炎など
末梢神経疾患,筋疾患
重症筋無力症,Isaacs 症候群,
封入体筋炎など
先天性代謝異常
脳形成障害
該当なし
ミトコンドリア脳筋症などの進
行過程に関与?
該当なし
PCDH19 異常症などで関与?
疾患群分類は神経学会の提言を改変した.
(acute disseminated encephalomyelitis:
えば,単純ヘルペスウイルス脳炎14)では,回復期
ADEM)
,非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(non
に NMDA 型グルタミン酸受容体(N methyl D
herpetic acute limbic encephalitis:NHA -
aspartate type glutamate receptor)抗体(NMDA
1∼7)
LE)
,多発性硬化症,視神経脊髄炎などがよく
型 GluR 抗体)が検出される症例が報告され,神
知られている.最近では,神経細胞表面抗原に対
経感染症から二次的に免疫介在性病態につながる
する抗体が原因とされる疾患が注目され,意識障
ことが知られるようになった.Creutzfeldt Jakob
害,記憶障害,てんかん発作,不随意運動,小脳
disease15),MELAS16)などでも NMDA 型 GluR 抗
失調などの原因と考えられている5)
(表 2)
.
体が見出される症例があり,免疫介在性神経疾患
免疫介在性神経疾患群以外の疾患群では,発作
群以外の疾患での NMDA 型 GluR 抗体を含む免疫
性神経疾患(てんかん,頭痛)の Rasmussen 症候
因子の役割の検討が必要である.
群8∼10),脳炎後てんかん11∼13)の一部などが,発病
本稿では,研究が進んでいる NMDA 型 GluR 抗
に免疫が関与している(一次性免疫介在疾患)こ
体が関与する NHALE1∼7),抗 NMDAR 脳炎17∼18)
とが分かってきた.
について解説したい.
神経感染症疾患群のウイルス直接浸潤による脳
炎や,神経変性症群の遺伝子変異が原因で発病す
る疾患,神経系腫瘍群の glioblastoma でも,発病
Ⅱ.感染症から一次性免疫介在疾患発病へ
ウイルス感染で始めに駆動される免疫は自然免
後に二次的に免疫が関与して病態を修飾している
疫( 先 天 免 疫 )(innate immunity) で, マ ク ロ
(二次性免疫介在疾患)ことが示唆されている.例
ファージなどの食細胞,natural killer cell(NK 細
2014
小児感染免疫 Vol. 26 No. 3 405
表 2 神経細胞表面抗原に対する抗体と神経症状
NMDAR
抗体
LGI1 抗体
Caspr2 抗体
GABABR
抗体
AMPAR
抗体
GAD 抗体
GlyR 抗体
好発年齢 6∼39
30∼80
46∼77
24∼75
38∼87
若い成人女性
(歳)
(Mean 26.5)(Median 60)(Median 60)(Median 62)(Median 60)
性
小児:男>女 65%男
成人:男<女
85%男
男=女
90%女性
臨床症状 急性に,言動 亜急性,急性 Morvan 症候 記憶障害,て 記憶障害
異常,記憶障 に, 記 憶 障 群
んかん発作
害,他
害,てんかん
発作
検査
28∼85
(平均 58)
女性
81%女性
てんかん,軽 筋強剛,ミ 急性脳症>
度認知障害 オクローヌ 精神病型>
ス,驚愕反 小脳失調型
応
50%MRI 病 84%MRI 病 40%MRI 病 66%MRI 病 90%MRI 病 GAD 抗 体>
変
変 , 6 0 %低 変
変
変
1,000 U/ml
Na 血症
腫瘍合併 卵巣奇形腫
まれ
胸腺腫など
抗体
IgG1 主体
IgG4>IgG1 IgG4>IgG1 IgG1 主体
予後
比較的良好, 単相性
再発あり
腫瘍による
60% 肺 小 細 70% 肺 が ん まれ
胞がん
など
不良
NAE 抗体
100%TPO
抗体,MRI
正常
報告なし
?
IgG1 主体
IgG1 主体
再発
慢性経過
免疫治療有 ステロイド
効例
有効
NMDAR:NMDA 型 Glutamate receptor,LGI1:leucine rich glioma inactivated 1,Caspr2:contactin associated
protein 2,GABABR:r aminobutyric acid type B receptor,AMPAR:α amino 3 hydroxy 5 methyl 4 isoxazolepropionic acid receptor,GAD:glutamic acid decarboxylase,GlyR:glycine receptor,NAE:N terminal α
enolase.
(Lancaster E, et al:Neurology 77:179 189, 2011;Vincent A, et al:Lancet Neurol 10:759 772, 2011;米田誠,
Bio Clinica 24:1199 1205,2009 より引用,改変)
胞),補体などが中心的役割を担い,感染局所で抗
に脳炎症状が出現し,自然免疫が関与する一次性
原非特異的に働いている(図 1)
.侵入したウイル
免疫介在疾患と推定できる.NHALE は,発熱な
スの DNA などは Toll like receptor 9
(TLR9)
に,
どの先行症状から神経症状出現までに 6.4±4.2 日
ウイルス膜蛋白は TLR4 に結合し自然免疫が駆動
(平均±SD)を要し6),獲得免疫による自己抗体が
され,抗ウイルス作用のあるⅠ型インターフェロ
関与する一次性免疫介在疾患と推測している.
ン(IFN α,IFN β)や,炎症性サイトカインの
Rasmussen 症候群の先行症状からてんかん発作
tumor necrosis factor α(TNFα)などが分泌誘
などの神経症状出現までの間隔は 18.8±20.2 日
導される.マクロファージの分泌する IL 12 は
で,獲得免疫による細胞傷害性 T 細胞が関与する
NK 細胞を活性化し,感染細胞をアポトーシスに
一次性免疫介在疾患と推測している10).このよう
導き,TNFαは血管内皮を活性化したり発熱をも
に感染から神経症状出現までの日数で,関与する
たらしたりする.TNFαにより感染局所のリンパ
免疫機構が推測できる.
流が増大すると,抗原と抗原提示細胞である樹状
細胞がリンパ流に乗ってリンパ組織に到達,抗原
特異的ナイーブ T 細胞をエフェクター化し,獲得
Ⅲ.NHALE
1 .疾患概念・定義
免疫が駆動される.抗原特異的エフェクター T 細
辺縁系脳炎は辺縁系を主座とする脳炎で,海
胞は抗原特異的 B 細胞を活性化し,抗体産生を誘
馬・扁桃体などの障害による辺縁系症状と呼ばれ
導する.
る特徴的な症状が診断のポイントとなる1∼7,19)
(図
インフルエンザ脳症などは感染症状とほぼ同時
2).成人領域の非傍腫瘍性急性辺縁系脳炎のうち
406
2014
Rasmussen syndrome
2相性脳症
(AESD)
インフルエンザ脳症
非ヘルペス性急性辺縁系脳炎
リンパ流増加・
血管透過性亢進・
発熱
NK細胞による
アポトーシス誘導
抗ウイルス
作用
IFN−α TNF−α
IFN−β IL−12
細胞によるアポトーシス・抗体産生誘導
(細胞傷害性T細胞・Th1細胞)
•ウイルスDNA→TLR9
•ウイルス膜蛋白→TLR4
•樹状細胞+抗原→リンパ組織へ移動→抗原特異的
T細胞活性化→抗原特異的B細胞増殖→抗体産生
食細胞
自然免疫
獲得免疫
ウイルス力価
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 (感染後日数)
図 1 ウイルス感染免疫と脳炎・脳症
ウイルス感染後に駆動される免疫機構を示す.横軸はウイルス感染後の日数を示す.
NK 細胞:natural killer cell,TLR:Toll like receptor,IFN:interferon,TNFα:tumor necrosis
factor α,IL 12:interleukin 12,AESD:acute encephalopathy with prolonged febrile seizures
and late reduced diffusion
(笹月健彦監訳:免疫生物学―免疫系の正常と病理―原書第 5 版,p83,南江堂,東京,2003 より引
用改変)
うか?が治療戦略上まず重要である.1994 年に楠
Limbic
System
辺縁系
原らは,HSV 陰性で腫瘍の合併のない症例群を
視床
帯状回
Brain
stem
NHALE として報告した20).筆者らは,① 辺縁系
Spinal
Cord
脳弓
視床下部
臭球
乳頭体
桃体
海馬
図 2 辺縁系構造体(CopyrightⒸmotifolio.com より
引用改変)
症状で発症し,② 急性に意識障害を含む脳炎症状
に 移 行 し,③ HSV 感 染 が 否 定 で き る 場 合 に
NHALE と診断している(図 3)
.
2007 年, 卵 巣 奇 形 腫 を 伴 う 急 性 辺 縁 系 脳 炎
(NHALE OT)において,cell based assay によ
る NMDA 型 GluR 複合体(GluN1+GluN2A また
は GluN2B)の細胞表面立体構造を抗原とする自
己抗体(NMDAR 抗体)が報告され17),NMDA
型 GluR に対する抗体と急性脳炎との関係が大き
く注目されるところとなった.定義的には,cell
based assay による NMDAR 抗体陽性急性脳炎を
ウイルスの判明している脳炎では,単純ヘルペス
抗 NMDAR 脳炎と呼び,HSV などのウイルス感
ウイルス(HSV)による脳炎が最も多く,治療法
染が否定でき,辺縁系症状で始まる急性脳炎を
があるため,急性辺縁系脳炎では HSV 脳炎かど
NHALE と 呼 ぶ が, 重 な り は 大 き い( 図 4)
.
2014
小児感染免疫 Vol. 26 No. 3 407
①明らかな意識障害出現前の急性期初期に
辺縁系症状
(1∼4のいずれか一つ)
1.精神症状など
2.記憶障害
3.見当識障害
4.感情障害
行動異常,思考滅裂,興奮
状態,幻聴,幻臭,精神運動
興奮状態,統合失調症状,
せん妄,性欲亢進,など
②急性に意識障害を含む脳炎症状が出現・経過
③単純ヘルペスウイルス感染の否定
非ヘルペス性急性辺縁系脳炎
1.髄液PCRによるウイルスDNA検出(−)
2.髄液抗体の有意な変動(−)
3.髄腔内抗体産生所見(−)
・血清/脊髄液抗体比>20または
・抗体価指数=脊髄液抗体/血清抗体÷脊髄
液アルブミン/血清アルブミン<2
(NHALE)
④髄液GluN2B−NT2抗体(ELISA)陽性
図 3 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の診断フローチャート
NHALE でみられる NMDA 型 GluR 抗体以外の抗
体としては,VGKC 抗体や NAE 抗体が知られて
いる(表 2)5).
2 .病態仮説
これまでの研究で,NMDA 型 GluR 抗体のエピ
辺縁系症状で発病+HSV
感染否定
非ヘルペス性急性辺
縁系脳炎
(NHALE)
(楠原ら)
cell−based assayによる
NMDAR抗体陽性
抗NMDAR脳炎
(Dalmauら)
トープは GluR の細胞外ドメインから細胞内ドメ
インまで幅広いことがわかり,NMDA 型 GluR 抗
体は感染交差免疫ではなく NMDA 型 GluR 自身が
抗原となって産生されていると推測している19).
末梢血 T 細胞,血小板などに NMDA 型 GluR が
発現し,PHA 刺激で発現増加することが知られ
ており21),感染によるリンパ球の活性化→NMDA
型 GluR 発現→リンパ球アポトーシス→NMDA 型
NMDA型Glu抗体以外による
NHALE:VGKC抗体,
他
辺縁系症状以外
で発病する抗NMDAR脳炎
図 4 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎と抗 NMDAR
脳炎の概念
GluR 断片化→NMDA 型 GluR 抗体産生という仮
かった.病原体を確定できなかった 139 症例の臨
説を立てている(図 5)
.脳炎発病数年前の前駆期
床症状では,発熱(81%),頭痛(53%)といった
からこのプロセスが徐々に始まり,一部の症例で
不明熱的な症状が多く,局所感染を示唆する巣症
は軽度の中枢神経症状が観察され,その後先行症
状のない先行症状が多いといえる.無菌性髄膜炎
状期を経て NHALE が発病するという病態仮説の
は病原体を確定できなかった 18/139 例(13%)に
もとに,筆者らは研究を行っている.
認め,10∼49 歳で高頻度であったが,髄液検査し
3 .先行症状期の臨床症状
髄液 NMDA 型 GluR 抗体(GluN2B NT2 抗体)
陽性の NHALE 207 例の検討では,78%に先行症
状があり,そのうち病原体が確定できたのは 23 例
た 18 例中 18 例(100%)で髄膜炎の診断がされて
おり,髄液検査をすればかなり高頻度に先行症状
期の無菌性髄膜炎が診断できる可能性を示唆する.
インフルエンザ,下痢などの明らかな感染巣の
(14%)にすぎなく,20 歳未満の症例に多かった
ある先行感染症状で発病する症例は,脳炎発症ま
(図 6)
.病原体ではインフルエンザ,溶連菌が多
での期間が,無菌性髄膜炎を先行症状とする症例
408
2014
[前駆期]
[先行症状期]
感染終息
感染症
感染症,その他
T細胞活性化
免疫防御
(自然・獲得免疫)
リンパ球・
血小板の減少
T細胞アポトーシス
・サイトカイン
・granzyme B
・MMP−9
NMDA型GluR
断片化・抗原化
NMDA型GluR
抗原放出
感染症
・NMDA型GluR抗体
・血液脳関門障害
(軽度)
抗体ブー
スター
NMDA型GluR抗 血液脳関門
破綻
体ブースター
[発病期]
NHALE
軽度の精神・神経症状
遺伝素因
生活環境
・サイトカイン
・granzyme B
・MMP−9
免疫発達障害
64%に後遺症
図 5 NMDA 型 GluR 抗体陽性非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の病態仮説
0
50
先行症状
発病年齢
病原体確定
c
162例
100
150
14%
23例+
b
200
207例
78%
162例
86%
139例−
+ −
インフルエンザ
風疹
マイコプラズマ
ムンプス
溶連菌
未確定
60=<
50∼59
40∼49
30∼39
20∼29
10∼19
0∼9
病原体確定
発病年齢
無菌性髄膜炎
60=<
50∼59
40∼49
30∼39
20∼29
10∼19
0∼9
162例
139例
139例
18例
−
+
0
5
10
15
20
25
14%
29%
14%
16%
6%
30 35
+
−
50
100
150
200
207例
162例
14%
86%
162例
139例
下痢
3%
上気道炎症状
18%
悪心嘔吐
24%
頭痛
53%
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
10∼40歳代に,特定率に有意差 =0.0056
10∼20歳代に,特定率に有意差 =0.0101
0
50
100
150
200
d
207例
162例
先行症状
病原体確定
0
先行症状
発熱
139例
30
Periods from preceding symptom
to the onest of NHALE
a
20
+
−
81%
Mann−Whitney U test
=0.0007
=0.0006
=0.0131
=0.0004
=0.0322
10
0
インフル 上気 下痢
エンザ 道炎
発熱 頭痛 嘔気 無菌性
嘔吐 髄膜炎
図 6 NMDA 型 GluR 抗体陽性非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の先行症状期
a:先行症状と病原体 b:病原体未確定例と先行症状 c:無菌性髄膜炎症状 d:先行症状と先行期間
2014
小児感染免疫 Vol. 26 No. 3 409
a 25,
000
<0.04
000
b 15,
WBC
(/μl)
WBC
(/μl)
20,
000
15,
000
10,
000
10,
000
5,
000
5,
000
c
NHALE
Epilepsy−
infected
Lymphocytte
(/μl)
4,
000
<0.01
<0.01
3,
000
2,
000
1,
000
0
NHALE
Epilepsy−
infected
0
−15
Controls
3,
000
d
Lymphocytte
(/μl)
0
Controls
−10
−5
Days before onset
0
−10
−5
Days before onset
0
2,
000
1,
000
0
−15
図 7 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の先行症状期の血液白血球,リンパ球数
a:WBC in blood b:Evolution of WBC in blood c:Lymphocytes in blood d:Evolution of lymphocytes in
blood
髄液 NMDA 型 GluR 抗体(GluN2B NT2 抗体)陽性の非ヘルペス性急性辺縁系脳炎 42 例,性年齢を合わせたて
んかん患者の感染症対照(epilepsy infected)42 例,健康対照(controls)42 例を比較検討した.
に比べて有意に短い.頭痛,発熱,嘔気嘔吐で発
0.05)や対照(p<0.01)より有意に低値であった
病する症例は,潜伏期間が短い症例から長い症例
(図 8).アルブミン濃度は感染症対照と比べて有
まで幅広い.
意差がなかったが,対照(p=0.01)より有意に低
以上から,小児では CNS 以外の局所感染症が
値で,発病日に向けて低下する傾向を認めた.
先 行 し, 血 液 脳 関 門 破 綻 を 促 進 し,NMDA 型
CRP は,発病日に向けて増加する傾向を認め,対
GluR 抗体が CNS へ侵入し急速に発病するパター
照(p<0.02)より有意に高値であったが,感染症
ンが,成人では局所感染症の先行なく前駆期から
対照(p<0.01)より有意に低かった.IgG(p<
緩徐に抗体が CNS へ流入し,無菌性髄膜炎を経
0.02)
,IgM(p<0.01)は対照より有意に高値で
て発病するパターンが多いと思われる.
あったが,感染症対照とは有意差がなかった.
4 .先行症状期の検査所見
IgA は感染症対照(p<0.03)や対照(p<0.01)よ
髄液 NMDA 型 GluR 抗体(GluN2B NT2 抗体)
り有意に高値であったが,発病日との明らかな関
陽性 NHALE 42 例,性年齢を合わせた感染症対照
係は認めなかった.
(epilepsy infected)42 例,対照(controls)42 例
以上より,先行症状期は血液リンパ球,血小板
の比較検討では,リンパ球数は感染症対照(p<
の減少,IgA 高値,CRP の比較的低値を特徴と
0.01)
,対照(p<0.01)に比べて NHALE で有意に
し,早期診断・発病予防につながる可能性がある.
低値で,発病日に向けて低下する傾向を認めた
リ ン パ 球, 血 小 板 の 細 胞 死 か ら 放 出 さ れ る
(図 7).NHALE の血小板数は,感染症対照(p<
NMDA 型 GluR が抗原となって,NMDA 型 GluR
410
2014
a
600
<0.05
600
Platelet
(103/μl)
Platelet
(103/μl)
b
<0.01
800
400
200
0
NHALE
Epilepsy−
infected
400
200
0
−15
Controls
c
d
IgA
(mg/dl)
IgA
(mg/dl)
180
<0.03
200
150
100
160
140
120
100
50
0
0
200
<0.01
250
−10
−5
Days before onset
NHALE
Epilepsy−
infected
Controls
80
−6
−4
−2
Days before onset
0
図 8 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の先行症状期の血小板,IgA
a:Platelet in blood b:Evolution of platelet in blood c:IgA in blood d:Evolution of IgA in blood
髄液 NMDA 型 GluR 抗体(GluN2B NT2 抗体)陽性の非ヘルペス性急性辺縁系脳炎 42 例,性年齢を合わせた
てんかん患者の感染症対照(epilepsy infected)42 例,健康対照(controls)42 例を比較検討した.
抗体のブースターをもたらしている可能性が強い
(図 5).
5 .発病期の症状
先行症状から神経症状出現までの間隔は 6.4±
SD)出現した.
6 .発病期の画像
NHALE の MRI 拡散強調画像(DWI)の特徴
は,両側あるいは片側の内側側頭葉(海馬など)
4.2 日(平均±SD)であった.初発神経症状では
の淡い ADC の低下を示す DWI 高信号病変である
行動異常(74%),記憶障害(7%)
,幻覚(5%)
が,頻度は急性期全体で 34.0%で,4 日以内の早
などが多かった.小児の行動異常の症状としては
期にみられる症例は 10%程度と少ないと思われ
種々のものがあり,
“急に泣く”
,
“多弁”といった
る(図 9)
.FLAIR 画像では辺縁系などに高信号
その場にそぐわない行動が過剰に陽性化するもの
病変が急性期全体で 41.5%に出現するが,4 日以
と,
“集中して物事ができない”といった機能低下
内は DWI と同じく,さほど多くはないと思われ
による陰性症状的なものがみられた(表 3)
.
る.
初発神経症状から 4.3±4.9 日(平均±SD)でけ
詳しくは「急性辺縁系脳炎等の自己免疫介在性
いれんなどの発作症状が 59/81 例(小児の 20/33
脳炎・脳症」の診断スキーム 20101017(http://
例)に出現し,そして,さらにけいれん重積が 31/
www.shizuokamind.org/wp content/uploads/
76 例(小児の 10/34 例)に 2.7±6.3 日間(平均±
2012/03/06 1 2 15.pdf)を参照されたい.
2014
小児感染免疫 Vol. 26 No. 3 411
7 .発病期の髄液検査
表 3 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎小児例の初
発神経症状
NHALE 186 例の髄液検査(平均±SD)では,
細胞数 63.8±111.9/mm ,蛋白 62.5±69.7 mg/dl,
3
IgG 7.2±6.9 mg/dl と上昇がみられ,細胞数と蛋
白は発病初期に著しい上昇がみられ,IgG は少し
遅れて上昇すると推測された(図 10)
.
8 .NMDA 型 GluR 抗体
髄液 NMDA 型 GluR 抗体(ELISA)は,GluN2B
の N 末に対する抗体が発病初期に著しい上昇が
みられ,その後低下する傾向を示唆したが,40 病
日ではまだ平均+2 SD を超える高値をとった.
GluN1 NT 抗体も同様の経過をとる19).
年齢
性
初発神経症状
4
F
手の安静時および動作時振戦,ふらつき.
5
F
「運動会,頑張る」と繰り返し発言し,入眠
困難.
6
F
急に泣き出す.
6
F
弟と喧嘩をして興奮し,泣きわめいた.
10
F
解熱後より落ち着きがない,突然泣く,友
達をたたく,他人の食べ物をとって食べて
しまう.
12
M
解熱後学校に登校,急に席を立ったり,静
かにしなくてはいけない場面で音を出した
りした.
12
F
反応乏しい,独り言を繰り返す.
14
F
塾に行ったが,集中できなかった.徐々に
元気がなくなってきて,言葉も少なくなっ
てきた.テストがあったが,解答できな
かった.
14
F
多弁,落ち着かない様子,家族は違和感を
感じた.
14
M
嘔気・回転性めまい出現,頭痛増強あり.
NMDA 型 GluR 抗体の病的役割としては,① NMDA 型 GluR の internalization(細胞内取りこ
み),② アポトーシス誘導作用などが報告されて
いる19).脳炎患者血清中の NMDAR 抗体は,細胞
表 面 の NMDA 型 GluR を 架 橋 す る こ と に よ り
internalization さ せ る こ と が 報 告 さ れ て い
る18,22,23).抗体による internalization は,NMDA
型 GluR の拮抗作用=機能低下を引き起こし,脳
a
b
15∼19 day
10∼14 day
15∼19 day
5∼9 day
5∼9 day
0∼4 day
0∼4 day
No appearance
No appearance
0
DWI画像
20
40
41.5%
10∼14 day
34.0%
60
80
ADCマップ
100(人)
0
20
40
FLAIR画像
図 9 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の発病期の画像所見
a:Diffusion 画像所見出現確認日 b:FLAIR 画像所見出現確認日
NHALE 186 例中,画像所見のわかる 144 例の解析結果を示す.
60
80
100(人)
412
1,
000
100
10
1
0.1
100
10
20
30
Days after onset
40
50
0
0
1
0
10
20
Days after onset
0
10
d
10
0.1
100
Ab to GluN2B−NT2
(OD)
IgG levels in CSF
(mg/dl)
c
0
1,
000
Protein levels in CSF
(mg/dl)
b
10,
000
Cell counts in CSF
a
2014
30
20
30
Days after onset
40
50
1
Mean+2SD
Mean+2SD
Mean Mean
0.1
0
10
20
30
Days after onset
40
50
図 10 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の髄液所見
a:WBC in CSF b:Protein levels in CSF c:IgG levels in CSF d:Ab to GluN2B NT2 in CSF
NHALE 77 例の解析結果を示す.
炎における意識障害や行動異常などの辺縁系症状
マーカーとはいえなくなった24).抗 NMDAR 脳炎
に関連している可能性がある19,24).GluN2B など
以外のウイルス直接浸潤の一次性脳炎である単純
の N 末細胞外ドメインの 283 287 番目のアミノ酸
ヘルペス脳炎でも,回復期には NMDAR 抗体が陽
配 列(Asp/Glu Trp Asp/Glu Tyr Ser/Gly) と
性となるので,診断には注意が必要である14).
ds DNA に分子相同性があるため,SLE 患者の
9 .治療
ds DNA 抗体は,中枢神経系で NMDA 型 GluR
まず,辺縁系脳炎の病因として多い HSV を念
(GluN2A/N2B)と交叉反応し,アポトーシスなど
頭にアシクロビルを開始し,HSV 感染が否定でき
を起こすこと,Asp/Glu Trp Asp/Glu Tyr Ser/
た時点で中止し,特徴的な症状・経過・NMDA 型
Gly で免疫した動物で,LPS やエピネフリンで血
GluR 抗体の存在などから NHALE と診断,ステ
液脳関門(BBB)の透過性を高めると,この細胞
ロイドパルス治療や IVIg 治療や血漿交換といっ
外ドメイン抗体が中枢神経系に至り,行動や認知
た免疫修飾治療を行う.卵巣奇形腫が合併する場
機能に影響を及ぼすことが動物実験で示されてい
合は,早期の核出術が病勢を好転させることがあ
る
る.
.
25∼27)
NMDA 型 GluR 抗体の測定法には,ELISA 以
外に cell based assay や cell based assay の簡易
1 0.予後
一次性脳炎に比べて生命・日常生活活動(ADL)
版である Biochip slide 法などがあるが24),ELISA
予後は比較的よいが,成人での調査では ADL 障
も cell based assay も,統合失調症,MELAS,変
害・精神症状・てんかん発作・知的障害・運動障
性症などにも陽性例が拡がり,cell based assay
害が約 30%の症例にみられるのに対し,記憶の面
による NMDAR 抗体が抗 NMDAR 脳炎の特異的
での後遺症が 60%程度と高頻度に残る.詳しくは
小児感染免疫 Vol. 26 No. 3 413
b
500
Acute hospital stay(day)
a
Acute hospital stay(days)
2014
400
300
200
100
0
0
20
40
Onset age
60
80
500
400
300
200
100
0
1990
1995
2000
Era
2005
2010
図 11 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の予後
a:発病年齢と急性期入院日数 b:急性期入院日数の経年変化
筆者らの研究班の HP
(http://www.shizuokamind.
org/wp content/uploads/2012/03/06 1 2 15.pdf)
を参照願いたい.
急性期入院日数は,若年成人で長い傾向があ
り,小児と高齢者では比較的短い(図 11)
.以前
の調査では平均 86.8±149.3 日で長期の入院を余
議なくされていたが,最近の調査では 68.6 日と短
縮してきていて,診断・治療法が普及してきたた
めと思われる.年代別にみると,2005 年にわれわ
れの厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科
学研究事業)
「急性脳炎のグルタミン酸受容体自己
免疫病態の解明から新たな治療法確立に向けた研
究」が始まり,NHALE を中心とした免疫介在性
脳炎の診断システムが整い,現在当センターでは
1,200 検 体/年 の NMDA 型 GluR 抗 体 測 定
(ELISA+cell based assay)を行っている.今後
さらに研究を進め,予後の改善に寄与したいと考
えている.
謝辞:このような総説を書かせていただく機会を
お与えいただいた日本小児感染症学会,ならびに札
幌医科大学小児科 堤裕幸教授,貴重な検体をお送
りいただいた全国の諸先生方に深謝申しあげます.
この研究は文部科学省科学研究費補助金基盤研
究 C(No. 24591537),厚生労働科学研究補助金(障
害者対策総合研究事業,難治性疾患政策研究事業,
難治性疾患実用化研究事業),国立病院機構政策医
療ネットワーク研究,てんかん治療振興財団などの
支援を得た.
文 献
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