第1日 講義「新しい時代の教育」 講師 文部科学省

■■第1日
■講義「新しい時代の教育」
講師 文部科学省大臣官房審議官 中岡 司
「教育委員会制度」「コミュニティースクール」
「小中一貫教育」「教育課程の改善」「高校教育改革」
「教員の資質能力の向上」について、審議経過を踏まえ
た講義をいただきました。
■特別講義
講師 映画字幕翻訳家 戸田奈津子
1500本以上の海外映画の台詞を字幕翻訳し、名作・
話題作を数多く手がけてきた戸田さんが、日本における映
画字幕文化成立の背景に、識字率の高さなど日本の教育水
準の高さがあったこと、また、瞬間・瞬間の台詞をいかに
訳すのか、いかに効果的に観客に伝えるのかにあたり、言
語感覚を十分に磨くことの大切さを語ってくださいました。
あらためて言語活動の充実の重要さを認識させていただく
講義となりました。
■■第2日
■研究協議Ⅰ「大学と教育委員会の連携・協働」
発表1 宮城教育大学
「地域協働型学校経営を支えるミドルリーダーの育成研修プラン」
発表者 宮城教育大学教授 本図 愛実
宮城県教育庁教職員課長 鈴木 宏幸
東日本大震災からの教育復興をふまえ、地域協働により、「防災教育」「心のケアを
含む包括的生徒指導」「学力向上」への組織的対応を支えるミドルリーダーを育成する
取組の報告がなされました。大学と教育委員会との密な連携・協働のもと「地域協働が
可能になる組織づくり」と「地域社会からの信頼獲得」の2領域について多様な研修が
実施され、ミドルリーダーの養成が効果的に行われています。
発表2 山口大学
「「ちゃぶ台次世代コーホート」等をとおした連携協働の実際」
発表者 山口大学教育学部教授 霜川 正幸
山口県教育委員会教職員課 大下康一郎
大学と教育委員会が連携・協働して実施している「交流人事教員の活用」「ちゃぶ台
次世代コーホート」(学生・臨採・若手教員・大学教員・教委職員が立場を超えてちゃ
ぶ台を囲むように学び合う研修)「同 アドバンストコース」(ミドルリーダーに特化
した育成コース)の報告がなされました。大学と教育委員会が人材育成のベクトルを共
有し、養成段階から教職生活全体を見通した研修が効果的に行われています。
■研究協議Ⅱ「教育(研修)センター等の特色ある取組」
発表1 千葉県総合教育センター
発表者 カリキュラム開発部 研修指導主事 保坂 保
これまでの受け身的であった教員研修から、自ら積極的に、自分の力で計画し、実践
し、資質能力を高めていく「能動的自立研修」に取り組んでおり、
「能動的自立研修」の
推進のために開発した「研修ツール」についての説明及び発表がありました。個々の教
員が自主的・自立的に研修を実施できるような支援が入念に準備されており、これから
の時代の教員研修の在り方を考えるうえで大変示唆に富む内容です。
発表2 高知県教育センター
発表者 学校支援部 チーフ(研究開発担当) 武市 綾香
教育課題の解決に向け、校内研修の活性化を図るために管理職(教頭)及び研究主任
のユニット型の研修を取り入れるなどリーダー育成に取り組むとともに、
「校内研修活性
化測定尺度」の開発と活用にかかる発表がありました。研修の計画化・課題の共有化・
協議の焦点化・研修成果の可視化を数値化して測定・検証でき、学校現場で活用しやす
いシステムが構築されています。
【教育センター等分科会】
■講義「研修運営の改善① ~ファシリテーション・スキル~」
講師 独立行政法人教員研修センター主任指導主事 鈴木 雅人
研修を効果的に運営するための手法と問題解決能力の
向上を目的とした研修手法について講義を行いました。
前半は基本的な研修運営と手法について、後半は研修を
効果的に運営するための手法であるファシリテーション
の4つのスキル「場のデザインのスキル」「対人関係のス
キル」
「構造化のスキル」
「合意形成のスキル」に焦点化
して講義を行いました。出席者皆さんが熱心に講義に参
加していました。
【大学関係者分科会】
■研究協議Ⅲ「教員研修の課題を探る ~教員研修モデルカリキュラムから~」
発表1 上越教育大学
「学校教職員と大学院生・学生が共に学ぶ自主セミナー型研修モデル」
発表者 上越教育大学教授 石野 正彦
大学と複数の近隣市教育委員会が連携・協働し、学生・大学院生・小中学校等の教職
員が自主的に参加するセミナーを実施している報告がなされました。上越教育大学が設
置する「学校教育実践研究センター」を会場として、学校教職員が勤務終了後に集い、
研修を行います。大学が各教育委員会のハブ的機関となり、学校現場・教育委員会・大
学(研究機関)のニーズをマッチングさせて教育の質的向上を目指しています。
発表2 九州大学
「ケースメソッド開発による次世代スクールリーダー養成の可能性」
発表者 九州大学大学院教授 元兼 正浩
教員の年齢構成が変化し、
次世代の学校をリーダーとして担う世代が手薄になってい
る現状にあって、当該世代のスクールリーダーとして決断する能力を育成するため、ケ
ースメソッド手法の研修を行っています。学校現場で校長が判断を迫られるさまざまな
ケースについて、その対応を考え、判断する訓練を通じて、管理職昇任以前の段階から
柔軟・適切な学校経営力が身に付くようミドル層の育成を目指しています。
■■第3日
■講義・演習「研修運営の改善②」 ~ファシリテーション・スキルの実際~
講師 独立行政法人教員研修センター主任指導主事 磯 宜男
第2日「研修運営の改善①」をうけ、ファシリテーションの4つのスキル「場のデザイン」
「対人関係」「構造化」「合意形成」について具体的に確認しました。「構造化」では「ア
クティブ・ラーニングの普及・充実」をテーマとし、可視化に焦点を当てながら演習を行い、
ファシリテーションの実際を体感していただきました。終盤には、「研修運営の改善③」で
実施する事前レポートの班別協議に向けて「協議テーマ」の設定を、演習を兼ねて実施しま
した。参加者皆さんが大変熱心に取り組んでいました。
■協議「研修運営の改善③」 ~ファシリテーション・スキルの活用~
講師 独立行政法人教員研修センター主任指導主事 渡邊 聡
「研修運営の改善②」において決定した班別の「テーマ」について、課題や方策を明らか
にするため協議を行いました。協議にあたっては、これまで学んできたファシリテーション・
スキルを十分に活用するよう、思考を広げる(発散思考)ために「マンダラ」手法、課題を
分類・分析する(収束思考)ために「フィッシュボーン」手法を用いました。参加者皆さん
が大変熱心に議論・協議し、素晴らしい成果物が作成されました。また、ポスターセッショ
ンを通じてさらに学びの深まりを実感することができ、多くの参加者の方から「協議内容の
深化と手法の習得の両面があり有意義であった」という感想が寄せられました。