年度物流合理化賞 2015年6月22日 公益社団法人 2015年度物流合理化賞 第29回目を迎えた全日本物流改善事例大会は、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会と日本ロジスティクス 研究会の共催のもと、2015年4月21日(火)・5月19日(火)の2日間、東京都港区・青山ダイヤモンドホールにおいて、 述べ474名の参加者を得て開催された。 ひとつの作業所(現場)で完結する、小集団が対象の「物流業務部門」(物流センター等での現場改善)、複数の物流 業務および工程を統合した範囲が対象の「物流管理部門」(運営・管理部門での改善)の2部門に分けて改善事例の募集 を行い、応募事例の中から選考された優秀事例30テーマの発表が行われた。 全日本物流改善事例大会で発表された優秀事例については、 「現状把握」 「改善企画」 「改善実行」 「評価・定着」 「成果」 「表 現力」の視点から厳正なる審査を行い、物流合理化賞を決定している。 2015年度は、以下のとおり物流合理化賞3件、物流合理化努力賞4件が決定した。 1.2015年度物流合理化賞(3件) 〈物流業務部門〉 ● タブレット端末導入による作業標準化について(品質・効率の向上) 発表者:佐川グローバルロジスティクス株式会社 営業部 名古屋支店 金沢SRC 所長 野水 友也 氏 イーコマースでのリユース事業を行っている荷主との協力により、帳票を使用した作業から、タブレット端 末を使用した業務への変更を行った。商品に特定の商品マスターが無いため、入荷の際に商品画像をインプッ トし、ピッキング時や検品作業時にタブレット端末上に商品写真を表示させることで、商品の特性を視覚的に 判断することを可能とした。これにより、ピッキングの効率が70%向上するとともに、ピッキングミスが20件 /月から5件/月となり、作業品質の改善も実現した。 ● 大型ビニール袋の取り出し性改善(大型ビニール袋の収納具の開発) 発表者:株式会社スバルロジスティクス 部品物流本部 CKD事業部 CKD生産課 川崎 久美香 氏 部品物流本部 CKD事業部 CKD生産課 根岸 洋子 氏 梱包用の大型ビニール袋を使用する際、作業時には袋の束を広げて取り出し、作業を終了すると、残りの袋 を足元の格納箱へまた畳んで収納する動作を繰り返すうちに、袋がずれてバラバラになり、作業性を低下させ ていた。この解決手段をQCサークルで検討し、主婦の知恵・主婦の特技を活かしながら改善に取り組んだ。1 つの改善がまた新しいアイデアを生み出す改善の連鎖を繋げ、作業性向上、工数低減効果により392,583円/年 の改善効果を得た。 〈物流管理部門〉 ● メーカーに出来る物流改善「外装表示/設計の最適化」で、作業効率化、物流品質向上を目指す! 発表者:味の素株式会社 物流企画部 物流戦略チーム 専任部長 伊従 護 氏 類似商品による仕分けミスや、外装表示内容に起因するトラブルを解消するため、部門横断の連携プロジェ クトとして、視認性・識別性を研究した外装デザインガイドラインの策定を行った。あわせて、積載効率を向 上させる積み付け方法への変更や包装設計を行うことで、物流品質の向上と前年度対比約33,000千円/年の改 善成果(見込み)を得た。 過 去 受 賞 事例 一覧 (第28回∼第27回) 第回(年度)以前の受賞事例につきましては、当協会HP(www.logistics.or.jp/propulsion/list/rationalization.html) をご覧ください 第回(年度) 物流合理化賞 〈物流業務部門〉 ● 飯塚運輸㈱「機械だけに頼らない人間力による作業改善」 ● ㈱オカムラ物流「倉庫間送品仕分け作業時間の短縮」 ● ホンダロジコム㈱「トヨタ式ノウハウの活用による通販入出荷業務の改善」 物流合理化努力賞 〈物流業務部門〉 ● コクヨサプライロジスティクス㈱「トヨタ生産方式(TPS)の手法を用いた改善プロジェクトの取組」 〈物流管理部門〉 ● ㈱オカムラ物流「送品原価率の維持向上‐福岡方面積み合わせ便による積載率の向上‐」 ● ㈱カスミ「事務による改善推進 ∼『カスミ事務大部屋化方式』とは…∼」 2.2015年度物流合理化努力賞(4件) 〈物流業務部門〉 ● 通信機器リサイクル業務の効率化 発表者:株式会社エヌ・ティ・ティ・ロジスコサービス 埼玉物流センタ 伊藤 祐子 氏 レンタル品として提供している通信機器を回収し、機能試験、クリーニング、梱包等を経て、通信機器を再 利用できる状態にする業務において、必要な量だけ処理をするための同期化、工程統合、1個流し作業化、セ ル化等の改善施策を実施した。これにより、全体生産性が20%向上し、約20人/日の工数削減を達成し、多能 工化とセル化の推進により柔軟な繁閑対応を実現した。 ● 荷主企業と3PL企業による協同作業改善とゲイン・シェアリング 発表者:株式会社おおさか協同物流センター 物流課 課長 四元 克佳 氏 物流技術管理士(45期) 株式会社流通サービス 物流本部 西日本物流部 枚方物流営業所 所長 生田 育弘 氏 構内リスト集品作業の生産性向上を目指し、荷主と3PL企業で協同改善チーム結成を結成し、作業改善に取 り組んだ。両社の信頼関係と現場の協力を土台に、作業員のタイムカード記録の共有や、両者共通の生産性指 標の策定を行った。ワークサンプリング調査や生産性調査から問題点を洗い出し、改善を積み重ねた結果、人 時生産性は20%改善され、得られた成果は費用見直しという形でゲイン・シェアリングを行い、両社の収益性 が改善された。 ● 格納工程のバラツキ改善による生産性の向上 発表者:東芝ロジスティクス株式会社 大分ロジセンター 大分運輸株式会社 山内 節子 氏 入荷業務の生産性を向上すべく、工程別KPIの検証から、バラツキの大きかった格納工程を作業面、レイア ウト面に分け改善に取り組んだ。作業面ではVTR分析により11動作を減らし工数を59秒(5.7%)削減した。レ イアウト面では品種別から入り数別にすることにより運搬距離を115m(12.3%)削減した。これにより、バラ ツキ平均は改善3ケ月後に7.43秒から4.80秒となり、大幅に生産性を向上させた。 ● 検品・梱包効率の改善と出荷品質向上をローコストで実現 発表者:株式会社ヒガシトゥエンティワン サプライ・ソリューション事業本部 部次長 窪田 一夫 氏 出荷業務において、検品および梱包業務の効率化と出荷品質の向上を目指し、システム導入コストも抑制で きる、レジ型検品システムを導入した。検品・梱包効率を向上させるとともに、作業の標準化ができ、大量の 荷物を短時間でかつ正確に処理することが可能となった。これにより、出荷生産性が平均41%向上し、出荷品 質においても、お客様からの年間クレーム0件を実現した。 第回(年度) 物流合理化賞 〈物流業務部門〉 ● ㈱エィ・ダブリュ・サービス「 「姿勢重量点」を導入した安全で働きやすい物流現場づくり」 ● キムラユニティー㈱「品質と生産性向上のためのロケーションの再構築 ∼地道な改善活動と現場の知恵とITの融合によるロケーション管理∼」 物流合理化努力賞 〈物流業務部門〉 ● アドバンスト・ロジスティックス・ソリューションズ㈱「魅せられるパーツセンターに向けて「梱包資材の 手元化と作業改善による生産性向上」」 ● ㈱オカムラ物流「荷役効率向上」 ● 三井倉庫ロジスティ クス㈱「「物量予測」 ・ 「進捗・生産性の見える化」 ・ 「オペレーション改善」による集品生産性の改善」 〈物流管理部門〉 ● コクヨサプライロジスティクス㈱「物流管理業務と前後工程を含めた最適化による収益改善」
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