クランピー銀河の割合は 環境に依存するか?

クランピー銀河の割合の環境依存性
村田勝寛(名古屋大学)
クランピー銀河の割合は
環境に依存するか?
(答) ほぼ依存しない(※星形成銀河サンプル)
クランピー銀河
クランピー銀河とは、複数のクランプ(巨大星団)を持つ銀河
クランピー銀河の例(ハッブル宇宙望遠鏡)
クランプが卓越
クランピー銀河
円盤+クランプ
クランピー銀河
Elmegreen+09
遠方宇宙で多く存在 → 近傍銀河の祖先
クランピー銀河の割合
f clumpy = N clumpy / N clumpy + non-clumpy
f clumpyは
クランプ形成過程を反映しているはず
各時代ごとのf clumpy や、f clumpyと物理量と
の関係を調べることは重要
我々の
これまでの研究
z<1のクランピー銀河
ハッブル宇宙望遠鏡 F814W(rest optical @z<1)
COSMOS 天域 ⾚赤⽅方偏移 z~0.9
0.5
銀
河
の
割
合
0.3
9.5 < log M < 10.0
10.0 < log M < 10.5
10.5 < log M < 11.0
0.4
~35%
fclumpy
ー
ク
ラ
ン
ピ
星形成銀河
star−forming
0.2
0.1
fclumpy
~5%
0.0
0.2
クランピー銀河:3つ以上のクランプ
(クランプのflux⽐比 f2/f1 > 0.3 and f3/f2 > 0.3)
0.4
0.6
Redshift
0.8
1.0
⾚赤⽅方偏移 z
•  z<1で、クランピー銀河の割合は減少 (M > 10^9.5 M⦿)
(Murata+14)
我々の
これまでの研究
z<1のクランピー銀河
0.2 < z < 0.4
0.6
⽐比星形成率率率
=SFR/Mstar
0.2
fclumpy
銀
河
の
割
合
9.5 < log M < 10.0
10.0 < log M < 10.5
10.5 < log M < 11.0
0.4
ー
ク
ラ
ン
ピ
0.4 < z < 0.6
fclumpy
0.0
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
0.6
0.4
0.2
0.0
−3 −2 −1
0
1
2 −3 −2 −1
0
1
2
−1
log SSFR [Gyr ]
⽐比星形成率率率 log
SSFR(Gyr -1) •  比星形成率が増加すると、クランピー銀河の割合が増加
•  比星形成率 ∝ ガス質量比 (= Mgas/Mstar) •  クランピー形態の発生(クランプ形成)には、ガス質量比が重要
クランピー銀河の割合
f clumpy = N clumpy / N clumpy + non-clumpy
☑ time (redshift)
☑ mass
☑ SSFR
□ 環境 本研究
クランピー銀河の割合は
環境に依存するか?
もし、環境によって、クランピー銀河の割合が異異なるのであれば、
クランプ形成過程が環境によって異異なるのかもしれない。
データ
30
Dec (arcmin)
サンプル
COSMOS天域の星形成銀河
0.2 < z < 1.0
F814W < 22.5
log (M/M⦿) > 9.5
クランピー形態判定 Hubble望遠鏡
15
0
−15
−30
環境指標
銀河の個数密度分布 (Scoville+14の公開データ)
30
15
0
−15
−30
R.A. (arcmin)
Center: R.A. 10 00 23.87 Dec +02 11 59.7
結果:クランピー銀河の空間分布
0.91 < z < 0.94
1.0
銀河数密度分布
10
星形成銀河
0.5
緑◯印:クランピー銀河
⻩黄☓印 :ノンクランピー銀河
5
1.0
⾼高密度度環境
10
0
Dec (arcmin)
−5
0.00.5
5
log Σ (Mpc-2)
0
0.0
−0.5
−5
−0.5
10
−10
−1.0
−1.0
10
5
0
−5
−10
低密度度環境
結果:環境とクランピー銀河の割合
星形成銀河
0.2 < z < 0.4
0.4 < z < 0.6
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
0.6
0.5
0.4
ー
f clumpy
ク
ラ
ン
ピ
銀
河
の
割
合
0.3
0.2
0.1
fclumpy
0.0
−1.5
−1.0
−0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
−2
log
(Mpc
銀河の個数密度度 log Σ) (Mpc-2)
f
clumpyは環境にほぼ依存しない 考察:なぜ f clumpy は環境に依存しないか?
比星形成率とクランピー銀河の割合 f clumpyに正の相関
(Murata+14)
1.  この相関関係が環境に依存しない
2.  比星形成率分布が環境に依存しない
このふたつの条件が成立すれば
f clumpy が環境に依存しないことを説明可能
以降のスライドでこの条件が成立しているか確認
考察:なぜ f clumpy は環境に依存しないか?
比星形成率と f clumpyの関係
ー
fclumpy
ク
ラ
ン
ピ
銀
河
の
割
合
0.6 0.2 < z < 0.4
0.5
0.4
0.3
0.4 < z < 0.6
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
log < −0.7
−0.7 < log < 0.0
0.0 < log < 0.7
log > 0.7
0.2
0.1
0
fclumpy
−3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
−1
log SSFR
(Gyr
) -1)
⽐比星形成率率率 log
SSFR
(Gyr
•  全ての環境で、比星形成率とf clumpyに正の相関
•  相関関係は環境に依存しない
3
考察:なぜ f clumpy は環境に依存しないか?
300
比星形成率分布
Number
250 0.2 < z < 0.4
log
200
0.4 < z < 0.6
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
< −0.7
150
100
50
0
−3 −2 −1 0
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3
1
2
3
1
2
3
1
2
3
−1
1400
0.2 < z < 0.4
1200
Number
1
0.4 < z < 0.6
−0.7 < log
1000
log SSFR (Gyr )
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
< 0.0
800
600
400
200
0
比星形成率分布は
−3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
−1
0.2 < z < 0.4
Number
1200
0.0 < log
1000
0.4 < z < 0.6
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
< 0.7
800
600
400
200
0
−3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
−1
150 0.2 < z < 0.4
Number
環境にほぼ依存しない log SSFR (Gyr )
1400
log
0.4 < z < 0.6
log SSFR (Gyr )
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
> 0.7
100
50
0
−3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
1
2
3 −3 −2 −1 0
−1
log SSFR (Gyr )
1
2
3 −3 −2 −1 0
まとめ
クランピー銀河の割合は環境に依存しない
1.  比星形成率とクランピー銀河の割合の相関
が環境に依存しない
2.  比星形成率分布が環境に依存しない
で説明できる。
銀河の性質と環境
色の違いはSED銀河種族の違い
銀
河
の
個
数
密
度
log Σ (Mpc -2)
赤:E-Sa(早期型SED)
緑:Sb-Sm(円盤銀河的SED)
青:Irr – SB
(不規則・スターバーストSED)
Scoville+14
赤方偏移
•  z<1.5では、高密度環境ほど、早期型SED銀河が増加
•  銀河の性質は環境に依存している(場合もある)
結果:クランピー銀河はどこにいるのか?
0.91 < z < 0.94
1.0
銀河数密度分布
13Mpc x 13Mpc
10
星形成銀河
0.5
緑◯印:クランピー銀河
⻩黄☓印 :ノンクランピー銀河
5
1.0
⾼高密度度環境
10
0
Dec (arcmin)
−5
0.00.5
5
log Σ (Mpc-2)
0
0.0
−0.5
−5
−0.5
10
−10
−1.0
−1.0
10
5
0
−5
−10
低密度度環境
結果:クランピー銀河はどこにいるのか?
0.91 < z < 0.94
1.0
銀河数密度分布
13Mpc x 13Mpc
10
星形成銀河
0.5
緑◯印:クランピー銀河
⻩黄☓印 :ノンクランピー銀河
5
⾼高密度度環境の
10 クランピー銀河
1.0
⾼高密度度環境
0
Dec (arcmin)
−5
0.00.5
5
0
−5
log Σ (Mpc-2)
0.0
中低密度度環境の
クランピー銀河
−0.5
−0.5
10
−10
−1.0
−1.0
10
5
0
−5
−10
低密度度環境
結果:クランピー銀河はどこにいるのか?
0.91 < z < 0.94
1.0
銀河数密度分布
13Mpc x 13Mpc
10
5
星形成銀河
0.5
緑◯印:クランピー銀河
⻩黄☓印 :ノンクランピー銀河
⾼高密度度環境で
クランピー多い
1.0
⾼高密度度環境
10
−5
0.00.5
⾼高密度度環境で5
ノンクランピー多い
Dec (arcmin)
0
log Σ (Mpc-2)
0
0.0
−0.5
−5
−0.5
10
−10
−1.0
−1.0
10
5
0
−5
−10
低密度度環境
結果:クランピー銀河はどこにいるのか?
0.91 < z < 0.94
1.0
銀河数密度分布
13Mpc x 13Mpc
10
星形成銀河
0.5
緑◯印:クランピー銀河
⻩黄☓印 :ノンクランピー銀河
5
1.0
⾼高密度度環境
10
0
Dec (arcmin)
−5
0.00.5
5
log Σ (Mpc-2)
0
0.0
−0.5
1.  クランピー銀河はどこにでもいる(低〜高密度)
−5
−0.5
102.  ノンクランピー銀河との空間分布の大きな違いはなさそう
−10
−1.0
−1.0
10
5
0
−5
−10
低密度度環境
結果:環境とクランピー銀河の割合
星形成銀河
0.2 < z < 0.4
0.4 < z < 0.6
0.6 < z < 0.8
0.8 < z < 1.0
5
0
15
銀
河
の
割
合
0.4 < z < 0.6
10
5
0
15
0.6 < z < 0.8
10
0.4
5
0
15
ー
f clumpy
0.5
0.2 < z < 0.4
10
Number
0.6
ク
ラ
ン
ピ
15
0.8 < z < 1.0
10
0.3
5
0
−0.5
0.0
0.5
log
0.2
1.0
1.5
銀河群はlog Σ(Mpc-2) > 0.25
0.1
fclumpy
0.0
−1.5
2.0
(Mpc−2)
−1.0
−0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
−2
log
(Mpc
銀河の個数密度度 log Σ) (Mpc-2)
f
clumpyは環境にほぼ依存しない