導入後の効果 導入前の課題 - アビームコンサルティング

ABeam Consulting Case Study:SAP® ERP Solution
TOTO 株式会社
競争力強化を掲げ、アジアマーケット拡大のための経営基盤を構築
新興国市場におけるタイムリーな経営情報の提供を実現
100年近くの歴史を持ち、
生活に密着した水まわりの設備機器業界のリーダーであるTOTO株式会社は、
更なる成長を目指しグローバル経営基盤システム構築を計画。豊富な経験を有するアビームコンサル
ティングをパートナーとして選定し、インドおよびタイへのグローバル経営基盤システムの導入を短期
間で成功裏に実現。
▲ グローバルレベルでのタイムリーな経営情報把握が困難
導入前の課題
▲ 人に依存し過ぎる業務運用と弱いガバナンス体制
▲ 不十分なプロセス標準化による非効率な業務スピード
▲ 不安定なIT基盤と多大な運用コスト
ABeam Solution
既存システム
利活用の可否診断
新興国の複雑な
税制への知見
マルチカントリー
リソース配置
○ 導入拠点における受注、購買、在庫状況の正確かつリアルタイムな把握
導入後の効果
○ 月次決算処理のリードタイムの短縮
○ グローバル各拠点の指標を横串で可視化
○ 本社集中管理による安定したシステム稼働と拠点運用負担の軽減
ABeam Consulting Case Study:SAP® ERP Solution
プロジェクトの背景
長期経営計画「TOTO Vプラン2017」における
「海外住設事業」の
目標達成に向け、
グローバルなIT基盤の整備が急務
TOTO株式会社(以下、TOTO)は1917年の設立以来、衛生陶器、水栓金具、ウォシュレット、洗面化粧
台、ユニットバス、システムキッチンなど、生活に密着した水まわりの設備機器を世に送り続けてきた。
アビームが有する
グローバルビジネスの
ノウハウ。
2017年に創立100周年を迎えるにあたり策定された長期経営計画「TOTO Vプラン2017」
では、成長の
柱である
「海外住設事業」の目標として、売上1,580億円、営業利益220億円を掲げている。
その実現のため重要になるのが、TOTOが5つのリージョン(米州、中国、アジア・オセアニア、欧
州、日本)に区分した各海外拠点でのグローバル経営基盤システムの整備である。この整備に当たり
そして新興国における
きめ細かで機動的な
サポート。
TOTOはSAPをベースとしたグローバル経営基盤システムを構築し、各地域の拠点に展開する決断をし
た。これを推進するにあたり、
「経営情報のタイムリーな可視化」「ベストプラクティスの水平展開と業
務スピード向上」
「人に依存しない業務運用とガバナンス強化」
「新拠点の迅速な立ち上げ」
「安定した
IT基盤とコストの最適化」
という5つのシステム要件が策定され、この課題に共に取り組むパートナーと
この2つの“強み”が、
TOTOのグローバル競争力
強化を加速した。
して、
アビームコンサルティング(以下、
アビーム)が選定された。
アビームの選定理由
グローバルでの豊富な実績と、体系的な導入ノウハウの保有が決め手
「アビームを選定した最大の理由は、日系のコンサルティングファームとしてのグローバルでの多くの
実績です。加えて、ABeam Methodをはじめとする体系的な導入ノウハウを持っていることや、できる
だけSAPの標準機能を使って業務を標準化するといった基本方針が弊社の方針と合致したことなどが
決め手となりました」
とTOTO 情報企画本部の本部長 名取順氏は話す。
アビーム独自の方法論に加え、アビームが提供する
「グローバル経営基盤展開支援サービス」は、グ
ローバルにおける標準化を地域の特性を生かしながら推進し、PDCAサイクルを促進することで、より
的確な経営改善や正確でタイムリーな意思決定の実現を目的としたものである。これは、競争優位性
を保持しながら業務プロセス、コード、ルール、KPIの4つの標準化を推進するとともに、テンプレートア
プローチにより、高品質かつ効率的なプロジェクト遂行を可能にする、アビーム独自のソリューションで
ある。
エクセル
予算作成
SAP ERP
マスタ管理
(主要)
品目マスタ
導入範囲
購買(MM)
生産 (PP)
在庫(MM)
販売(SD)
購買依頼
MRP
出 庫
受 注
購買発注
製造指示
在庫管理
実 績
入 庫
発注品入庫
入 荷
固定資産管理
受 払
管理会計(CO)
部門費実績
原価管理
債務/支払計上
一般会計
部門費収益実績
利益管理
SAP NETWEAVER BW
SAP Business Objects
売 上
債権/未収金計上
固定資産/償却費計上
債務管理
得意先マスタ
仕入先マスタ
出 荷
倉庫管理
請求書照合
債務/未払金計上
財務会計(FI)
製品出荷
発注
検品
検収
品質管理
(MM/エクセル)
品質検査
生産計画
債権/入金計上
債権管理
販売直接費実績
収益性管理
売上/売上原価計上
ABeam Consulting Case Study:SAP® ERP Solution
プロジェクトを推進する上での課題
すべてのグローバル拠点業務に適用可能な
標準テンプレート策定と時間的制約
2012年4月にプロジェクトが開始され、TOTOとアビームの両社は次のよ
ロ
グ
うな構想を描いて臨んだ。
● すべてのグローバル拠点の業務(会計、物流、製造、販売、購買、
TIN
品質管理、需給など)に適用可能な標準テンプレートの策定
● 本社から各グローバル拠点を横串で管理するためのKPIツリー
「最初から苦労の連続でした」
と振り返るのは、TOTO 情報企画本部 開
発プロジェクト推進部 企画主幹の宇佐見隆之氏である。
アウトチーム
ール
アビーム日本
アビームインド
(JKT)
アビームタイ
の設計
● 全世界のビジネス状況をリアルタイムに可視化
ー
ロ
バル
Step2
インド拠点へ導入
機能性・適合率を向上
2013年2月 - 2014年1月
(11ヵ月)
「我々にとって今回のようなプロジェクトは初めての経験であり、何もか
TMT
Step3
タイ拠点へ導入
2013年11月 - 2014年7月
(8ヵ月)
STI
・調
分析
査
アビームインドネシア
もが手探りでした。具体的な要件定義や仕様策定を進めたくても、社内
Step1
には各グローバル拠点の業務に精通し、標準となる業務プロセスやコー
インドネシア拠点既存システムの
分析・調査とテンプレート化
ドを検討できるメンバーは少数です。結果、一から標準テンプレートを
構築するのは難しいという判断に至りました」
加えて、時間的な制約もあった。インドで工場建設が進んでおり、その
既存システムを標準テンプレート化し、
各国に導入
稼働に間に合わせることが求められた。TOTO 情報企画本部 開発プロ
ジェクト推進部 グローバルIT推進グループのグループリーダーである
前田勝宏氏は、
「インドではすでに販売拠点が活動していたものの、本格
的な基幹系システムは未整備の状態でした。工場の稼働を機に本格的な基幹系システムを導入したい
という強い要望を現地からも受けており、
我々としてもこのチャンスを逃したくありませんでした」
と話す。
課題の解決策
他拠点の既存システムを精査し、標準テンプレートとして活用
このような課題を踏まえ、一から標準テンプレートを構築するのではなく、インドネシアの合弁会社で
あるSTI(P. T. SURYA TOTO INDONESIA)が運用している既存のSAP ERPシステムをベースに、標準テ
ンプレートを策定するというアプローチを選択した。STIはTOTOグループの海外生産拠点として最大規
模で、なおかつSAP ERPを効果的に活用してきた実績があることから、そこに組み込まれている業務プ
ロセスは他のグローバル拠点にも適用できるのではないかと考えた結果である。
ただ、STIの業務に最適化して実装されているプロセスをそのままグローバルテンプレートに転用で
V O I C E( A B e a m へ の 評 価 )
きるわけではなかった。グローバル標準として採用できる部分、修正を要する部分を切り分けテンプ
TOTO株式会社
情報企画本部
本部長
レートとして活用できるかの詳細な精査が必要であり、アビームはその準備段階からプロジェクトを
名取 順氏
リードした。
準備段階ではアビームインドネシアのメンバーがSTIとの直接交渉を行い、ソースコードの吸い上げ
からインドネシア語で書かれたドキュメントの翻訳まで機動的な支援を行った。ついで日本側に持ち
込まれたSTIの業務プロセスに対する精査では、ABeam Methodを活用し、約2か月半の期間をかけて
KPIカバー率、標準化方針適合率、業務プロセスカバー率、ドキュメント評価、システム評価などの分析
を定量・定性の両面から実施した。
グローバル標準テンプレートとして利用できるという最終判断が下されたのである。
この分析結果を受け、
拠点への導入開始
インド、
タイへグローバル経営基盤システム導入
言語や商習慣の壁を乗り越え実現
こうして構築されたグローバル経営基盤システムの第一弾の適用拠点となったのは、先にも触れた工
「税制や商習慣が複雑なインドへの導入
では、アビームの知見によりスムーズに要
件定義を実施できました。グローバルに
展開するアビームのきめ細かで機動的な
対応が、今回のプロジェクトを成功へと導
いてくれたと感じています」
ABeam Consulting Case Study:SAP® ERP Solution
場建設が進んでいたインドである。2013年4月から2014年1月にかけて、ムンバイの販売会社ならびに
ハロルの新工場に順次導入が行われた。
「インドは税制や商習慣が非常に複雑であるにもかかわらず、現地拠点にはそうした事情に精通した
メンバーがおらず、要件のヒアリングや整理にとても苦労しました。このような中、すでにインドに進出
した日本企業のシステム導入実績を持つアビームの知見およびアビームの各国拠点のメンバーの支
V O I C E( A B e a m へ の 評 価 )
TOTO株式会社
情報企画本部
開発プロジェクト推進部
企画主幹
宇佐見 隆之氏
援によって、SAP Country Version India(CIN)の導入やカスタマイズもスムーズに行われ、スケジュー
ルどおり、工場の稼働に間に合わせることができました」
と宇佐見氏は話す。
ゼロからの新規導入であるにもかかわらず、大きな問題はなく順調なスタートを切ることができた。
この成果を踏まえ、2014年7月にはタイへのシステム導入が行われた。こちらは現地の企業グループ
との資本関係の解消に伴い、自前のシステムを早急に立ち上げ移行しなければならないという特殊な
事情に加え、プロジェクト開始直後に発生した国内での大規模デモによるTOTOの日本メンバーのタイ
「アビームの皆さんの対応は常に誠実でし
た。 決して口当たり良いことばかりではな
く、できないことや今後の検討課題なども
明確に伝えてくれたことが、強い信頼関係
の構築につながりました」
渡航禁止指示など、大きな困難に直面した。 一時はシステム稼働の延期も検討せざるを得ない状況と
なったが、アビームタイのメンバー によるタイ語での直接的な折衝/サポートの窓口などの支援も含め
たきめの細かいプロジェクト推進により当初の予定どおり実質7か月という短期間で導入を完了した。
導入効果と今後の展望
TOTO株式会社
情報企画本部
開発プロジェクト推進部
グローバルIT推進グループ
グループリーダー
前田 勝宏氏
創立100周年を迎える2017年を見据えグローバル22拠点へのシステム導入を加速
先行してグローバル経営基盤システムを導入したインドとタイの両拠点では、受注、購買、在庫の正
確な状況が一元化されるとともに、各部門から情報がリアルタイムに把握できるようになり、適切な販
売施策や購買折衝などを推進することが可能となった。具体的には、従来Excelや手作業で行っていた
業務がSAP導入によってシステム化され、人に依存した業務運用から脱するとともにガバナンス強化を
「プロジェクトを予定どおりに完了させる
ことに対する大変に強い意志を感じまし
た。 安易に妥協することなく、なんとかし
ようという姿勢と気概を、日本から海外拠
点のメンバーまで一貫して持っていること
を高く評価しています」
実現し、業務効率も大幅に改善され月次決算処理のリードタイムが1週間程度に短縮されるという大き
な効果を生み出している。更にはこうした業務効率化に加え、グローバル経営基盤システムは本社で
集中的に運用・管理されているため、
トラブルなく安定した稼働を続けており、各拠点での運用負荷を
大幅に軽減することも可能となった。
もっとも、TOTOの取り組みはまだ緒に就いたばかりである。
「最終的にはグローバル22拠点へのシ
ステム展開を予定しているのですが、現在はまだ始まったばかりです。一つの節目となる2017年を見
据えてピッチを上げていきたいと考えています」
と名取氏は話し、スピード感を持って今後のグローバ
ル経営基盤システムの導入を推進していく構えだ。アビームが有するSAPのノウハウや知見、そしてグ
ローバルでの機動力はTOTOの競争力強化に継続的に寄与してゆくこととなる。
クライアント概要
会社名
TOTO株式会社
所在地
〒802-8601 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
設立
1917年5月15日
事業内容
<住宅設備機器> 衛生陶器、 システムトイレ、 腰掛便器用シート
(ウォシュレットなど)
、 水まわりアクセサリー、浴槽、
ユニットバスルーム、水栓金具、 システムキッチン、洗面化粧台、
マーブライトカウンター、浴室換気暖房乾燥機、 福祉機器など
<新領域事業商品> 環境建材、
セラミックなど
資本金
355億7,900万円
(2014年3月現在)
プロジェクト概要
概要
標準テンプレートに基づいたグローバル経営基盤システムを構築し、
米州、中国、
アジア・オセアニア、欧州、日本の5つのリージョンの各拠点に順次展開する。
ソフトウエア
SAP ERP、SAP Country Version India(CIN)
※本リーフレットに掲載の情報(企業情報・部門名・お役職名などを含む)
は、
初版制作時のものです。
*アビーム、ABeam 及びそのロゴは、
アビームコンサルティング株式会社の日本その他の国における登録商標です。 *本文に記載されている会社名及び製品名は各社の商号、
商標又は登録商標です。
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