演習問題

電気情報工学科 C 課程 3 年
2015 年 5 月 12 日
確率・統計 第 3 回
来嶋 秀治 (Shuji Kijima)
注意: 参照した文献等の情報を必ず記載すること.
今日の話題
1. さまざまな連続分布.
(i) 一様分布
 (uniform dist.) U(a, b) (a < b)
 1
(a ≤ x ≤ b),
f (x) =
b−a
 0
(それ以外).
(ii) 指数分布
{ (exponential dist.) Ex(λ) (λ > 0)
λe−λx (x ≥ 0),
f (x) =
0
(x < 0).
(iii) 正規分布 (normal
N(µ, σ 2]) (−∞ < µ < +∞, σ > 0)
[ dist.)
(
)
1 x−µ 2
1
exp −
(−∞ < x < +∞)
f (x) = √
2
σ
2πσ
(iv) ベータ分布
(beta dist.) Be(α, β) (α > 0, β > 0)

1

xα−1 (1 − x)β−1 (0 ≤ x ≤ 1),
B(α, β)
f (x) =

0
(それ以外).
∫ 1 α−1
β−1
ただし B(α, β) = 0 t
(1 − t)
dt.
(v) ガンマ分布 (gamma dist.) G(θ, k) (θ > 0, k > 0)

k−1 −x/θ
 1 x e
·
(x ≥ 0),
f (x) =
Γ(k)
θk

0
(x < 0).
∫ +∞ k−1 −t
ただし Γ(k) = 0 t
e dt.
2. 同時分布,独立同一分布
確率変数 X と Y に対して,(X, Y ) の従う分布を同時分布(joint distribution; 結合分布とも)という.
F (x, y) := Pr((X ≤ x), (Y ≤ y)) を同時分布関数と言う.X, Y が離散確率変数の場合は,f (x, y) :=
Pr((X = x), (Y = y)) を同時確率関数と言う.X, Y が連続確率変数の場合は,f (x, y) := (∂ 2 /∂x∂y)F (x, y)
を同時密度関数と言う.
X と Y が独立であるとは,fXY (x, y) = fX (x)fY (y) が成り立つことをいう.
独立同一分布 (i.i.d.) 2 つの確率変数 X と Y が独立同一分布に従う (i.i.d.; independent and identically
distributed) とは, X と Y が同一の分布に従い, かつ X と Y が独立であることをいう.
3. 確率変数の期待値, 分散, 共分散, 積率.
実数値をとる 離散確率変数 X の期待値 (expectation) E(X) は X の確率関数 f (x) に対して,
∑
def.
E[X] =
x· f (x).
x∈R
∑
ただし右辺の無限和が絶対収束 (converges absolutely; x∈R |x· f (x)| < +∞) する場合に限る.
右辺が絶対収束しない場合は「X の期待値は存在しない」という.
同様に, 実数値をとる 連続確率変数 X の期待値 E[X] は X の確率密度関数 f (x) に対して,
∫
def.
E[X] =
x· f (x) dx.
x∈R
1
実数値をとる確率変数 X の分散 (variance) Var(X) は
[
]
def.
Var[X] = E (X − E[X])2 .
実数値をとる確率変数 X と Y の共分散 (covariance) Cov[X, Y ] は
def.
Cov[X, Y ] = E[(X − E[X])(Y − E[Y ])].
実数値をとる確率変数 X の k 次の積率 (k-th moment) を E[X k ] と定義する.
定理 1. (期待値、分散、共分散の性質)
(i) 定数 c に対して,
E[c] = c,
E[c· X] = c· E[X],
E[X + c] = E[X] + c,
Var[c] = 0, Var[c· X] = c2 · Var[X], Var[X + c] = Var[X],
(ii) E[X + Y ] = E[X] + E[Y ] (期待値の線形性),
(iii) Var[X] = E[X 2 ] − (E[X])2 , Cov[X, Y ] = E[XY ] − E[X]· E[Y ],
(iv) Var[X + Y ] = Var[X] + 2· Cov[X, Y ] + Var[Y ].
定理 2. 確率変数の対 X と Y は独立とすると,
(i)
E[XY ] = E[X]· E[Y ],
(ii)
Cov[X, Y ] = 0,
(iii) Var[X + Y ] = Var[X] + Var[Y ].
演習
*演習 1. 離散確率変数 X は {1, . . . , n} 上の (離散) 一様分布に従うものとする.
(i) 長さ X の期待値と分散を求めよ.
(ii) 正方形の面積 X 2 の期待値と分散を求めよ.
(ii) 立方体の体積 X 3 の期待値と分散を求めよ.
*演習 2. 以下の確率分布の期待値と分散を求めよ.
(*i) 2 点分布 B(1; p)
(*ii) 2 項分布 B(n; p)
(iii) 幾何分布 Ge(p)
(iv) ポアソン分布 Po(λ)
(*v) 指数分布 Ex(α)
(vi) 正規分布 N(µ, σ 2 )
演習 3. 以下の確率変数 X の期待値は存在するか?
(i) 離散確率変数 X は次の確率関数に従うとする.


 1 (x = (−2)k (k ∈ {1, 2, . . .})),
def.
2k
f (x) =

 0 (それ以外).
(ii) 連続確率変数 X は以下の密度関数
def.
f (x) =
1
α
·
π (x − µ)2 + α2
で定義されるコーシー分布 (Cauchy dist.) C(µ, α) に従う.
2