Continental Automotive GmbH Josef Schinagl Fit for the Future 独Continental社パワートレイン・エンジンシステム部門、 PT-LABCARを活用 大手総合システムサプライヤのContinental Automotive社は、自社のエンジン制御ユニット(ECU)の オープンループ/クローズドループ・テスティングを行うために、2001年よりLABCAR HiLシステムを導入し ています。それ以来、このシステムは2つの大きな特長を発揮し開発の推進に貢献しています。1つは、既存シ ステムと新規開発システムの統合を可能にするシステムのオープン性であり、もう1つは、同社とETASが互い に連携して継続開発を行ってきた協力関係にあります。現在、第一世代のLABCARシステム80台が稼動し、最 大8気筒のガソリン/ディーゼルエンジン向けECUの検証に使用されています。 2 004年、Continental社はパワートレ イン向けの新しいHiL テスティングシ PCテクノロジー LABCARのコアコンポーネントは、シミュ オープンかつスケーラブル PT-LABCARは、将来的なハードウェアの拡 ステムの要件定義に着手しましたが、 レーションモデルの演算を行うリアルタイ 張に備えたワイヤリングが予め装備されて ETASは当初からその作業に深く関わって ムPC(RTPC)です。LABCAR-RTPCソフ いる等、非常にスケーラビリティに富んだ います。パイロットプログラム完成後、 トウェアは、Linuxリアルタイムオペレー HiLシステムです。プロジェクトに関するエ 2007年に新しいPT-LABCARシステムが ティングシステムを使用し、市販の標準的 ンジニアリングの工数を削減し、システム 導入されました。このシステムは、ソフ なwindows用PC上で動作します。そのた のコンフィギュレーション・立上げ・運用 トウェアの派生バージョンの承認・リリ め、メーカー独自の専用シミュレーション といった一連の作業の簡素化を実現するこ ースに必要な自動回帰テストに適したも ボード等を使う手法とは異なり、その時点 とが、PT-LABCARのコンセプトです。 ので、 ECU 開発の初期段階におけるオー で利用可能な高性能な市販 PCの最新のパ プンループ/クローズドループ制御/診 フォーマンスのメリットをシステムに活かす LABCARコネクタボックスには、パワート 断機能の妥当性確認にも対応しています。 ことができ、シミュレーション用プロセッサ レインのアプリケーションに必要な外部接 PT-LABCARは、同社のパワートレイン向 の再設定や大幅な変更を加えることもなく、 続ポートがすべて搭載されており、システ け ECU テストの要となるコンポーネント 安価にシミュレーション演算能力を高める ム全体のワイヤリングハーネスを統合して です。 ことができます。 います。これにより、テスト要件やECU特 性に応じて、実負荷や擬似負荷をフレキシ 市 販 の標 準 的 な PC は、 PCI バスや PCIExpressバス規格も採用していますので、こ れらのバスに対応した追加ボード(IXXAT CANボード等)も利用可能になります。 ブルに交換することができるため、システム セットアップ時の工数が大幅に削減されま す。また、ブレイクアウトボックスは、ECU 全ピンへのアクセスを可能にし、マニュア ルテスト等の要件に幅広く対応します。さ シミュレーションの性能を更に高めたい場 らに、明快なラベリングによりシステムでの 合は、リフレクティブメモリボードを使用し 作業が格段に容易になります。 て複数のRTPCを容易に接続することも可能 です。これにより、レイテンシーが低くコス トパフォーマンスが高いリアルタイムシステ ムを実現できます。 24 RT J2.2008 PT-LABCAR テストステーションにて Dirk Martin、Patrick Hans、Josef Schinagl、 Guillaume Tachon (左から右へ) PT-LABCAR用のソフトウェアは、派生バー 実証済みのハードウェア る任意信号生成ボード(ES1335)等さま ジョンを効率的に管理するなど、ECU開発 ざまなボードが用意されています。 プロセスに特有の要件を幅広くサポートし ECU信号の生成・測定用ボードは、世界中 のユーザーに実績があるLABCARテクノロ ています。Simulink®を使用したシミュレー ジーを基盤としたシステムに組み込まれま 満たすソリューションは速やかに実現され ションモデルは、Continental社内でも開 す。高性能なボードが搭載されることで、シ ました。また、新しいプロジェクトに関する 発されています。同社が独自に開発した ステムの汎用性がさらに向上します。 ETASとの協力関係も良好でした。 Pythonベースのテスト認証プラットフォー ム TA P に よ り 、 コ ン パ ク ト モ ジ ュ ー ル ES4440を使用したエラーシミュレーション を始め、HiLシステム全体がリモート制御さ れ、テストは自動化されています。 Continental社のパワートレインの要件を PT-LABCARは、テストシステムに直接適応 まとめ するための高電圧、大電流の信号にも対応 HiLシステムが成功するには、以下の要素 する構造を備えています。Continental社 が大きく影響するといえます。 が開発した負荷シミュレーションおよびシ • システムはオープンであり、柔軟性に富 グナルコンディショニングは、ETASのコン み、拡張性に優れていること PT-LABCAR用に用意されたソフトウェア パッケージには、LABCAR-OPERATOR、 MATLAB®/Simulink®モデルをシームレス に統合するアドオン、そしてLABCAR-RTPC が含まれています。コンフィギュレー パクトエラーシミュレーションモジュール ション済みのソフトウェアをテンプレートと 現行のボードの中には機能拡張が図られた これらを考慮した上で、ETASのソリュー して活用できるため、モデルパラメータの設 ものもあります。例えば、基準電圧の設定 ションには大変満足しています。 ES4440と連携させて、容易に組み込むこ • 必要に応じて演算能力を向上させるため のオプションが用意されていること とができます。システムのコネクタにはすべ • 顧客( HiL ユーザー)とサプライヤ( HiL ベ て低コストの標準品が使用されています。 ンダ)の間に親密な協力関係があること 定といったECU 固有のコンフィギュレー が可能なセンサシミュレーション ションが簡素化されます。また、LABCAR (PB4350DAC、ES1335)や、点火角や噴 コネクタボックスの標準的なピン割当てを 射時間・量などの測定データをシミュレー 使用することで、シミュレーションモデルと ションコントローラに提供する角度同期測 ECUシグナルコネクタ間のピンマッピング 定ボード(ES1336) 、インターフェースの を簡素化することができます。 精度やトランスミッションのセキュリティを 向上させるPWM I/Oボード(ES1321) 、 任意にプログラム可能な信号波形を生成す 25 J 2 0 0 8 .2 R T
© Copyright 2024 ExpyDoc