新製品 紹介

新製品
紹介
振動機能付ステアリングホイール
上坂維志篤
*1
Vibration Function for Steering Wheel
Yoshitoku Uesaka*1
のニーズに応えることが可能となり,ユーザー
各々でブザー音,振動伝達の選択が可能となる.
1.はじめに
近年,多くの運転支援システムが車両へ搭載さ
れ,技術進化,普及が急激に進んでいる.ステア
リングホイールにおいてもシステムの一端を担う
機能の追加ニーズが高まっている.今回,新たな
機能として振動システムを有したステアリングホ
イールを開発・量産化したので,その概要につい
て報告する.
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2.振動機能のニーズ
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図− 1 車両逸脱警報
今回開発した振動ステアリングホイールは,
運転支援システムの一つである車線逸脱警報(以
下,LDW)において,警告伝達機能として使用
される(図− 1).
従来の LDW において,ドライバーへの警告伝
達手段はブザー音及びディスプレイ表示が一般的
であった.しかし,市場ではブザー音を不快と感
じるユーザーも多く,ドライバーだけに静かに警
告を伝える手段が求められていた.
振動ステアリングホイールの搭載によって,こ
3.製品の概要
振動ステアリングホイールを用いた LDW のシ
ステム略図を図− 2 に示す.車載カメラが車線
逸 脱 を 検 知 す る と, 振 動 要 求 信 号 を ハ ン ド ル
ECU へ発信する.信号を受けたハンドル ECU は
モーターへの電力供給を開始.モーターに設置さ
れた偏心分銅が回転することで振動を発生させて
いる.
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図− 2 システム略図
*1 SS 技術部 SS 第1技術室
68
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振動機能付ステアリングホイール
3 − 1.偏心分銅
振動は,モーターに取付けた分銅を回転させる
ことにより発生させている.回転の中心である
モーター軸と分銅重心のズレによって生まれる遠
心力を振動源としている.
この原理は携帯電話等のバイブレーション機能
と同様である.しかし,ステアリングホイールの
ような大きく重いものを振動させるためには,よ
り大きな振動強度が必要である.
振動の強さ(=遠心力)は分銅重心までの距離
と分銅の質量に依存する.振動ステアリングホ
イールに要求される振動強度を達成するために,
回転させる分銅の質量及び重心位置の設定が重要
となる.また,意匠部品でもあるステアリングホ
イールは,デザイン性も維持する必要があり,限
られたスペース内での配置が要求される.
そこで,より省スペースで効率的に振動強度を
得ることができる分銅形状を検証した(図− 3)
.
分銅質量を増やしていくと,分銅が円形に近づ
き重心位置が近くなる.重心位置と質量の関係か
ら,最も効率的に振動強度を得られる扇角度とし
て 120°を設定することで,制約スペース内で要
求振動強度を得ることができた.
3 − 2.統合 ECU
本開発品は,振動モーターの ON-OFF を電子
的に制御する ECU もステアリングホイール内
に追加しており,搭載スペースの検討が必要で
あった.
従来デザイン同等のスペースへ追加搭載するた
めに,既に搭載されているハンドル ECU(ステ
アリングヒーター制御用)との統合化を実施.
ECU の統合化により,搭載スペースの縮小,
ハーネス配線の簡略化を実現した.
また,振動用 ECU までがステアリングホイー
ル内で完結することで,他車種への流用,展開を
よりスムーズに進めることを可能としている.
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4.おわりに
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今回量産化した振動ステアリングホイール機構
は,今後のレクサス車種の多くに展開していく予
定である.最後に本製品の開発にご支援,ご指導
頂いたトヨタ自動車株式会社ならびに関係各部署
の方々に厚くお礼申し上げます.
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図− 3 分銅重心 - 質量の関係
上坂維志篤
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