包括的民間委託に資する不明水対策 - ペンタフ

包括的民間委託に資する不明水対策
- 浸入水削減を担保する不明水対策 -
作成 2014.06
滋賀県下水道管路維持協会 賛助会員
管路品質評価システム協会 理事
ペンタフ株式会社 代表取締役
後藤 淸
もくじ
1.新下水道ビジョン(案)に見る、維持管理上の問題点
2.新下水道ビジョン(案)に見る、今後の方策
3.いま何が必要か
4.健康診断による3つの見える化
5.対策をするための精密検査(詳細調査)
6.ICT(情報通信技術)活用事例の紹介
7.地元企業のコンソーシアムによる、包括民間委託
1.新下水道ビジョン(案)に見る、維持管理上の問題点
1.1.新下水道ビジョン(案)とは
„
国土交通省と日本下水道協会が、今年(平成26年)発表した、
下水道事業の指針案
„
長期目標と中期計画(5年程度)で構成される
本提言では、新下水道ビジョン(案)から、管路維持管理に関わる
要点と現状を説明し、この考えに沿って提言をまとめる
1.2.インフラの老朽化
„
下水道のインフラ平均経年値は、都道府県20年、政
令市28年、市町村18年で、20年後には約11万km
の管路が50年を経過する
„
下水道は維持管理が行い難い環境にあり、老朽化状
況の把握でさえも困難な状況である
3
1.新下水道ビジョン(案)に見る、維持管理上の問題点
1.3.十分に行われていない維持管理
„
年間の維持管理費は管路施設、処理場ともほぼ横ばい
„
ストックの増加に伴い、管渠1m 当りの年間維持管理費は、10
年前より約2割減、処理水量1m3/日当りの年間維持管理費は
約1割減少
„
管路施設の点検・調査は大都市ほど実施されている。年間の実
施延長割合は点検1.1∼2.6%、調査0.3∼1.5%というの
が現状
„
老朽化管路施設の多い政令指定都市でも、点検・調査の割合は
全管路の2∼3%程度、都市数でも2∼3割
„
今後、下水道施設の老朽化により、適正な維持管理を実施する
ためには、必要な経費が増加
„
TVカメラと潜行目視実績は、延長比(自治体数比)で、政令指定
都市0.8(100)%、全国平均1.5(31)%に過ぎない
4
1.新下水道ビジョン(案)に見る、維持管理上の問題点
1.4.技術力継承問題
„
維持管理職員は、56∼60 歳が多く、35 歳以下が少なく、
51歳以上の職員が5割程度を占める
„
機械・電気・水質職員は偏在し、政令指定都市と30万人 以上都市とで8割前後を占め、大都市に集中
1.5.実施中の国の関連施策
„
下水道施設の長寿命化計画策定率 約71%(H24年度末)
„
下水道長寿命化支援制度(H20年度創設)
„
管渠の老朽化対策の緊急実施(総点検等)(H24 年度∼)
5
2.新下水道ビジョン(案)に見る、今後の方策
2.1.中期目標
„
下水道事業実施の全地方公共団体(事業主体)で、管理体制(人)、施設管理(モノ)、
経営管理(カネ)の一体的マネジメントによる持続的な事業管理を実現
„
下水道事業管理計画の策定・見える化(5年以内)、情報のデータベース化、ベンチ
マークによる強み・弱みの把握、補完体制の構築を通して、サービス水準の継続的
改善を実現
2.2.経営健全化に向けた制度構築
„
国は、5年以内に施設の計画的な点検・調査及び改築・更新を促進するための財
政支援制度を確立
„
国は、5年以内に持続可能な下水道事業の実現に向け、将来の更新財源の確保や
人口減少等による使用水量の減少を見据えた料金設定の考え方を示す
„
国は、地方公営企業会計の導入促進の動きに合わせ、経営の見える化によるアカ
ウンタビリティの向上を促進する
6
2.新下水道ビジョン(案)に見る、今後の方策
2.3.事業管理に必要な補完体制の確立、技術力の維持・継承
„
国は、5年以内に補完内容、補完に必要な能力や事業主体の特性に応じた具体的
な補完体制等を整理し、必要な制度等を確立する
„
事業主体は、自らの技術力の実状を踏まえ、直営による技術力の維持或いは人事
交流又は補完者と一体となった技術力の継承を図る
2.4.下水道産業の活性化・多様化の主な具体的施策
„
下水道事業の見える化:事業管理計画制度、下水道全国データベース構築、ベン
チマーキング手法(先進事業との比較評価による水準点の向上)等の活用による、
事業主体の施設・経営に関する情報を「見える化」をする
„
国のパイロット支援事業:モデル都市で、資金調達・設計・建設・維持管理・改築な
どの事業運営に対し、包括的に民間企業が参画・貢献できる仕組みを検討する
„
国のスマートオペレーション:ICT(情報通信技術)・ロボット分野と下水道界をつなぐ
プラットフォーム構築、技術実証、モデル事業等の推進
„
国の新技術の普及促進:各種機器の性能評価、重点的な支援等により、事業主体
における新技術の導入を促進
7
3.いま何が必要か
3.1.現状の問題点
„
主に予算的な理由で、点検や調査はほとんど行われていないの
が現状
„
TVカメラ調査をはじめとする従来の調査形態や評価手法では、
予算や日進量など、物理的に対応できない
„
建設の大半が終了し、自治体担当者の配置換えや減少により、
従来の形での予算枠は減少せざるを得ない
„
事業を継続させるためには、建設後の時代にマッチした、新しい
取り組みが必要であることが認識されるようになった
„
包括民間委託、スクリーニング、ストック・アセットマネジメント等
の言葉は、この新しい取り組みを表すキーワード
„
膨大な管路施設をいかに経済的に長持ちさせ、リスクによる緊
急出費を回避し、予算を平滑的かつ合理的に執行するかが重要
課題
8
3.いま何が必要か
3.2.管路施設の3つの見える化
„
„
„
„
障害の見える化:TVカメラ調査など、文字通り「見る」
行為によって、管路施設の障害情報(破損・クラック・不
陸蛇行・付着堆積ほか)を可視化する。これが基本
「見る」
劣化の見える化:主に「たたく」行為によって、管路施
設の劣化状況を可視化する
不明水の見える化:下水を「はかる」行為により、不明
水(浸入水)の分布や時系列変化を可視化する
「たたく」
総合的な維持管理計画策定のためには、障害、劣化、
不明水3つの、集約的な見える化が必要不可欠である
「はかる」
9
3.いま何が必要か
3.3.健康診断によるカルテづくり
„
国交省主導のB-DASH事業は、課題解決のための端緒として、
スクリーニングによるカルテづくりの標準化を目指したものである
„
スクリーニングとは、面的調査のことで、人に置き換えれば健康
診断を意味する
„
カルテがなければ、包括民間委託を含む協働は不可能→改善や
維持管理費用を見積もれない
„
健康診断の本音は、極論するとリスクがなければできるだけ何も
しないで放置したい、悪くないものを予防保全と称して直したくな
い、放っておくと甚大な障害や事故が発生するようなリスク対象
はできるだけ早く見つけて処理したい、ということ
„
健康なものを見つける事は、悪いものを見つける事と同じことだ
が、維持管理の規模を見据える視点に大きな差がある
スクリーニングによる
カルテ化
10
3.いま何が必要か
3.4.健康診断の要点
網羅性 調査費用が高いから調査対象をあらかじめ絞るのは本末転倒。
経年分類はあっても網羅することが原則
定期性 数年単位で定期的に診断を繰り返し、時系列変化を伴うビッグ
データによる統計解析が予防保全、長寿命化対策の要になる
迅速性 網羅し定期性を確保するには、検査の日進量を飛躍的に伸ば
す必要がある
経済性 健康診断が高価であっては普及しない。情報に見合うコストを
追求する
新診断基準 4つの要点を満たすために、健康診断用の診断基準 策定が待たれる
11
3.いま何が必要か
3.5.対策をするための精密検査
„
対策を必要とする経年管の増加につれ、劣化判定を中心に、従来の
調査技術を超えた詳細検査の必要性が高まっている
„
健康診断で不健康と診断した管路施設のほか、事故や維持管理履歴
により特定された管路施設、20年を超えるような経年管が対象
„
検査結果は、改善判定と判定に基づく改善計画の策定と、改善後の
事業効果判定に資するものでなければならない
„
診断基準の検討:6段階分類のほか、改善箇所と数量、改善方法と数
量など、対策計画策定に必要な情報が、できるだけ加工せずに取り出
せることが望ましい
12
4.健康診断による3つの見える化
4.1.障害の見える化
„
「見る」検査が、障害に対する健康診断の基本
„
これからの健康診断を担う「見る」検査として注目されるのが 広角カメラ検査
„
B-DASH事業において、清掃をしないで検査する方法が試され、
日進量向上に一定の成果を収めた
„
更なる日進量向上のためには、装置改良だけではなく、健康診
断用の判定基準の設定が不可欠である
„
健康診断用の判定は、6段階分類(改築更新、改築更生、スパン
修繕、部分修繕、清掃等の維持管理、経過観察)と、精密検査
対象判定で構成される
„
従来のTVカメラも、清掃なしと健康診断用判定基準に則れば、
日進量が格段に伸びる可能性があって、無駄になることはない
だろう
„
この他、管口カメラは調査費が安く未経年管に適し、広角カメラ
は網羅性を必要とする経年管の長寿命化診断に適す
図4.1.1.広角カメラ(画像展開カメラ)
13
4.健康診断による3つの見える化
4.1.障害の見える化
図4.1.2.広角カメラの検出データ
14
4.健康診断による3つの見える化
4.2. 劣化の見える化
„
「たたく」検査が、道路、橋、トンネルなどのコンクリート構造物検査と
同様に、劣化に対する健康診断の基本
„
供用年数が短い管路施設は、破損などの障害が短命化の主な要因
なので、「見る」だけで対応できるが、経年管は劣化判定が困難
„
現在の衝撃弾性波検査ロボットは、精密検査用として管渠の余命推
定や更生管管厚設計のために開発された
„
同時に、経年管の増加を視野に入れ、経年管健康診断用の、弾性
波検査ロボットが開発されつつある
„
今後、管路の老朽化が目前に迫っている自治体からの協力を仰ぎ、
開発速度を速めることが期待される
15
4.健康診断による3つの見える化
4.3.不明水の見える化
„
「はかる」検査が、不明水に対する健康診断の基本。見る方法だけでは問題
を解決することはできない
„
管路に見た目の障害がなく、劣化に問題がなくても、溢水、道路陥没、処理
場やポンプ場の過負荷など、機能障害が生じることが少なくない
„
給水量よりも下水処理量のほうが過分に多いと、一般会計を圧迫する
„
これらはすべて、不明水(浸入水+有収外汚水+管外漏水)と、管路の機能
不良(水密性不良、誤接続、流下能力不足)とにより生じる
„
不明水全般のスクリーニング用として多段式の同時多測点流量調査、常時
浸入水のスクリーニング用として遡流式瞬時流量調査が開発された
„
詳細は、「分流式下水道における雨天時浸入水対策計画策定マニュアル」
2009年3月(財)下水道新技術推進機構を参照
16
4.健康診断による3つの見える化
4.3.不明水の見える化
図4.3.1.流量計測の方法( フリューム式 / 面測式 / せき式 )
図4.3.2.流量計測状況写真( フリューム式 / 面測式 )
図4.3.3.同時多測点流量調査
17
4.健康診断による3つの見える化
4.3.不明水の見える化
微量ルート
微量ルート
Bランク(累積浸入比率95%まで)
少量ルート
容器へ溜める時間計測による方法
多量ルート
Aランク
微量ルート
多量ルート
ゼロルート
Aランク(累積浸入比率80%まで)
多量ルート
微量ルート
ゼロルート
PBフリュームの水位計測による方法
図4.3.4.遡流式瞬時流量調査結果
多量ルート
少量ルート
水位と平均流速計測による方法
図4.3.5.遡流式瞬時流量調査の方法
18
5.対策をするための精密検査(詳細調査)
5.1.精密検査の位置づけ
„
精密検査は、健康診断の結果または過去の知見として健康では
ないと判定された管路が対象である
„
精密検査は、対策(治療)を目的とする。調査のための調査を排し、
検査法や調査成果の内容が対策に資するかどうかの判断が問
われる
5.2.障害対策としての精密検査
„
改善施工前におこなう、工事積算のためのTVカメラ調査や目視
調査がこれに該当する。対策箇所・数量の正確な特定・計数が
必要
„
施工法の検討や、工期の見積もりにも精密検査が欠かせない
„
ただし、経年管等の劣化をともなう障害対策では、併せて劣化
対策としての精密検査が必要である
19
5.対策をするための精密検査(詳細調査)
5.3.劣化対策
„
劣化対策を担う詳細調査として開発された
のが、B-DASH事業にも認定された衝撃弾
性波検査である
„
現在の検査対象はφ200∼φ700で、新
管および新管を複数段階で削りだした管と
の比較実証試験を経て、推進機構より技術
認証を受けている
„
破壊強度の推定から、管渠の推定余命、更
生管の管厚設計等が可能になり、長寿命化
計画に必要な更生管設計が可能になった
„
50年をはるかに超える管路施設でも新管な
みの強度を保持している事例や、腐食環境
のいある比較的若い管が短期間で劣化して
いる事例が確認されている
„
管路周辺の空洞化簡易判定や、陶管のひ
び割れ簡易判定技術などの研究開発も進
展している
図5.3.1.衝撃弾性波検査ロボット(画像展開カメラとの組合わせ)
図5.3.2.破壊荷重の実測値と推定値の比較図
20
5.対策をするための精密検査(詳細調査)
5.3.劣化対策
図5.3.3.主要機材と作業イメージ
図5.3.4.余寿命の推定
21
5.対策をするための精密検査(詳細調査)
5.4.不明水対策
„
これまで、調査し対策をしても効果が薄く、
対策が頓挫する事例が多かったのが不明
水対策である
„
そこで、不明水削減の担保を目標に考案さ
れたのが、スクリーニングにより選定された
モデル地区による事業効果判定である
„
これは、モデル地区・ルートを対象とした、
改善箇所を特定するための精密検査(詳細
調査)、段階補修定量による事業効果判定、
および全体計画の策定から構成される
„
精密検査(詳細調査)には、誤接検査、水密
性検査(注水・圧気試験)、送煙調査、流下
能力検査等がある
„
健康診断と精密検査の組み合わせにより、
効果的な対策を事業効果が認められる範
囲で実施されることが期待される
図5.4.1.モデル地区段階補修定量のフローと成果
22
5.対策をするための精密検査(詳細調査)
5.4.不明水対策
(対象規模:2.5ha、798.59m、99戸)
#
①
②
③
④
補修段階
接続桝
ライニング
取付管
ライニング
開削
敷設替え
未使用管
閉塞
部位
接続桝
全数N
96
改善数n
全数比%
改善
合計
費用A
数量
単価
検査
削減水量C
改善
1箇所あたり
単位雨水
浸入水量比
単価
(¥/m3 /mm)
m3/mm
A/C
A/C/N
改善+検査
1 箇所あたり
(A+B)/C
(A+B)/C/N
排水設備を 1と し たと き の費用対比
削減率D
削減比
単価
(¥/% )
改善
1箇所あたり
改善+検査
1 箇所あたり
比率
31
99
14
43.2
99,000
26.3
250,000
11.9
130,000
2,730,000
5,049,000
7,750,000
1,820,000
14,619,000
取付管圧気試験
58
4,648
316,064
費用A+B
改善+検査
排水設備
67.7
42,000
68
合計
費用B
誤接改善
取付管
51
2,730,000
接続桝注水試験
検査項目
⑥
水密性不良箇
所改良
118
65
単価¥
⑤
9,486
550,188
10
25
10.1
25.3
105,550
16,000
1,055,500
400,000
1,455,500
本管TV
排水設備調査
798.59
99
8,730
864,270
1,118
892,824
316,064
1,443,012
864,270
3,046,064
16,062,012
2,319,770
0.174
0.272
0.284
15,689,655
163,434
51,475,352
436,232
5,351,103
54,052
17,506,115
182,355
56,556,379
479,291
8,528,566
86,147
2.1
5.6
15.2
24.8
1.0
23.8
A/D
179,605
589,476
61,155
A/D/N
(A+B)/D
1,871
200,399
4,996
647,662
618
97,469
2,087
5,489
985
(A+B)/D/N
図5.4.2.事業効果の定量
23
5.対策をするための精密検査(詳細調査)
5.4.不明水対策
注水試験
送煙試験
低圧圧気試験
TVカメラ調査
誤接調査(音響/染料)
図5.4.3.不明水の精密検査
24
6. ICT(情報通信技術)活用事例の紹介
6.1.クラウドサーバを活用した人孔蓋調査の実例
①実績
„対象:S市公共下水道
SB地区ほか
„調査数量 平成
24年度1万箇所(現場工期3週間) 平成25年
度4万箇所(現場工期3ヶ月) 平成26年度7
万箇所(計画予定分を含む)
②成果品
„入力画面、出力調査票、集計表、不良集計
図6.1.1.入力画面
図6.1.2.集計表
図6.1.3.作業写真
25
6. ICT(情報通信技術)活用事例の紹介
6.1.クラウドサーバを活用した人孔蓋調査の実例
③活用効果
„現場日進量:200か所/日/班(従来70∼80箇所)→記入手間や整理手間が
劇的に改善した
„品質:現場での集計や比較照査作業がなくなり、入力ミスや転記入力ミスが激
減した
„作業人数 2人
„安全性 歩きながらの作業が軽減され、その分周囲への安全配慮が増した
„成果品完成までの工程縮減:現場とほぼ同時進行でデータ処理が可能で、全
体工期が縮減された
④今後の進化
„ペーパーレス:検査のための膨大な紙資料を省く合理化
„データベース構築手間の軽減:既存データベース対応のデータ構造による受
け渡しや、参照編集アプリの開発
„予算の縮減:活用効果を生かしたトータルコストの縮減
26
6. ICT(情報通信技術)活用事例の紹介
6.2.クラウドサーバーを利用した人孔内遠隔監視システム開発
①システムの概要
„計測センサ群、コントローラ(トリガー制御・送信)、通信端末、専用アン
テナで構成される人孔内情報発信システム
„計測センサ群には、監視カメラ(動画または写真)、水位計、流量計、ガ
ス計や水質計があり、防水仕様で対応する
„クラウドサーバへ直接送信し、インターネット経由で関係者だけが閲
覧できる
„大半の人孔の現状を維持したまま、ポータブル装置を仮設し、1年間
バッテリー交換なしで稼働させる
„調査と遠隔監視が融合する形態で、動的維持管理の重要ツールにな
ると考えられる
②コンテンツ
„装置写真:計測センサ群、コントローラ、通信端末、専用アンテナ
„現場作業写真
図6.2.1.情報発信システムと作業写真
27
6. ICT(情報通信技術)活用事例の紹介
6.2.クラウドサーバーを利用した人孔内遠隔監視システム開発
③進行中の開発
„水位等をトリガーにした、人孔内情報(動画、写真、採水ほ
か)の自動収集と送信
„時系列変化に関わる各種調査としてのシステム活用
図6.2.2.情報発信システムと作業写真
28
7.地元企業のコンソーシアムによる、包括民間委託
7.1.包括民間委託の課題 (新下水道ビジョン P4.67 図4.85より)
①自治体職員の技術力の確保
„包括的民間委託は自治体による監視・評価が重要だが、下水道職員減
少による自治体側の技術力が低下しており、監視・評価が課題
②競争力の確保
„2期目以降は現受託事業者には1期目業務で確立した業務ノウハウ等が
あることから、入札参加者が現受託事業者のみとなる例があり、競争性の
確保が課題
③官民双方で享受できる業務スキームの実現
„コスト縮減を優先するあまり、民間事業者の業務効率化やコスト縮減に向
けた成果を還元しないと、参入メリットが薄れ事業が成立しない。自治体も
管理合理化や高度化のメリットが失われる恐れあり
29
7.地元企業のコンソーシアムによる、包括民間委託
7.2.コンセッション方式の検討 (新下水道ビジョンより)
„
コンセッション方式とは、施設の所有権は下水道管理者が保有したまま、
民間事業者に公共施設等運営権を付与する方式であり、PFIの一形態
„
民間事業者は利用者から収受する利用料金で事業を運営する。ただし、
事業管理の最終責任は、下水道管理者が負うことに変わりはない
„
下水道以外のインフラも含め、H26.3月現在で実施例はなし
„
平成23年6月、PFI法改正によりコンセッション方式が実施可能
„
平成25年6月、「経済財政運営と改革の基本方針」、「日本再興戦略」、
「PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン」で、空港、上下水道、
道路等へのコンセッション方式の積極的導入が提言された
„
平成26年3月、「下水道事業における公共施設等運営事業等の実施に
関するガイドライン(案)」を策定予定
30
7.地元企業のコンソーシアムによる、包括民間委託
7.3.包括民間委託の課題とコンセッション方式から見えてくるもの
„
包括民間委託というと、大手企業が一括して受注し、自治体
に代わって事業をし、地元企業に下請けさせるものと考えるこ
とが少なくない
„
しかし、新下水道ビジョンで示されたキーワードは、自治体へ
の民間企業群による一体的な補完による、持続性のある維
持管理である
„
一体的な補完からイメージされるものは、地元維持管理会社、
コンサルタント、調査会社のコンソーシアム(共同体)による自
治体補完である
31
7.地元企業のコンソーシアムによる、包括民間委託
7.4.地元企業のコンソーシアムによる包括民間委託の実例
„
„
„
契約は、地元企業群で
ある協同組合が、2年
度契約として自治体か
ら請け負うもの
定額の各月支払い分と、
調査業務等の業務完
了後の出来高払い、単
年度補修・修繕業務等
の別枠予算で構成され
る
業務内訳を右に示す
表7.4.1.包括民間委託の業務内訳表
業務内訳
大項目
業務事務所利用
計画的点検・清掃等業務
住民対応等業務
管路施設調査業務
長寿命化計画策定資料作成業務
マンホール蓋調査業務
水路施設調査業務
補修・修繕業務
雨水桝設置実務
災害時対応業務
引き継ぎ行為の実施
小項目
土地・建物使用料、施設管理運営費等
スクリーン及びゲート等の点検及び清掃
飲食店等による油詰まり予防点検及び清掃
合流吐口スクリーンの点検・清掃およびデータ整理
雨水調整池の点検及び清掃
樹木の剪定及び除草等
雨水桝の清掃
管路及び水路の清掃
道路陥没・管路閉塞等の事故対応
悪水の流入対応
マンホールポンプの溢水対応
苦情・要望対応
近接工事立会等
他工事に伴うマンホール蓋の取替え
xx、xxx m x、xxx 箇所
xx.x km
xx.xxx 箇所
xxx km
補修業務(マンホール蓋等は発注者支給)
修繕業務(超予算枠、予算枠未達成時は清算対象)
超予算枠、予算枠未達成時は清算対象
大雨・浸水等の体制・対応(想定分以外別清算)
地震による災害時の体制・対応(別清算)
清算無
清算有
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
32
おわり
ご清聴ありがとうございました。
33