教員紹介 - 駒澤大学

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教員紹介
荒木 勝啓 教授
研究内容
研究業績
専門分野:経済学
経済の時間構造が経済システムの動学的特性に及ぼす影響−例えばタイム・ラグがもたらす安定・不安定性への影響−が主要テーマであるが,現在
は利子率の期間構造を核とする金融経済の中の時間構造を研究している。利子率は本質的に将来の不確実性・将来のリスクに対する報酬であるため,
その決定のためには将来時間(債券の満期)が織り込まれる。ところが満期は理論的には無数に存在し,実数で表されるから,結果的に利子率を表
現する関数は無限次元の関数空間となる。また,ポートフォリオは異なる満期,異なるクーポン支払期日を持つ債権の組み合せから成るので,利子
率の変化は理論的にはポートフォリオに多様な効果をもたらす。
こうした「無限」,
「多様」をいかに「有限」,「操作可能」に帰着させるか,これが目下の研究テーマである。
1.『現代経済学テキスト』(共著)中央経済社,1997年
2.「利子率の無限次元性に起因する整合性問題」『駒澤大学経済学論集』第36巻第1号,2004年
有井 行夫 教授
専門分野:経済理論
研究内容 株式会社の場合の所有の現れ方と,資本・商品一般の場合のそれとの同一性構造の検討をとおして,マルクスの経済学の理論的性格を明らかにする。
現代,マルクス経済学と呼ばれて継承されている理論的パラダイムは,正統派においてはけっして自覚化されてはいないが,実は今世紀初頭のヨーロッ
パにおける科学観の転換の潮流に浸透されたものであり,首尾一貫した理論性格としては社会関係主義にもとづくもの(認識主義的構造観)である。
生きた現実的諸主体によって不断に発生させられている社会関係の把握であるマルクスの歴史的構造観(存在主義的構造観)は,忘れられたまま時
代のテストにさらされることすらなかった。所有論的な課題設定によって,忘れられた理論性格を具体的に再生することができる。
研究業績 1.『マルクスの社会システム理論』(単著,有斐閣,1987年)
2.『新版・株式会社の正当性と所有理論』(単著,青木書店,2012年)
3.「ヘーゲルの思惟とマルクスの労働」(長島隆と共編著『現代認識とヘーゲル=マルクス』青木書店,1995年,所収)
4.「労働に即する社会把握の復権のために」(大谷他と共著『21世紀とマルクス』桜井書店,2007年,所収)
5.『マルクスはいかに考えたか−資本の現象学−』
(単著,桜井書店,2010年6月)
大石 雄爾 教授
専門分野:経済理論
研究内容 私の主要な研究テーマは,現代資本主義(国家独占資本主義)の経済法則の解明および日本の経済構造の実証的分析にある。現代資本主義の経済的
諸関係は複雑なものとなっている。これを一般的な諸規定の総合として示すには,資本の一般理論および独占資本論の展開が不可欠である。そのた
め,これまで資本一般のレベルで,価値の生産価格への転化について検討し,独占資本論レベルでは,価値が独占価格と非独占価格の体系として現
れるという問題について研究を進めてきた。これからは,理論的研究をふまえて,日本における価格の現象形態や独占巨大資本と中小企業との諸関係,
および日本経済の構造変化について,実証的研究を進めていく予定である。
研究業績 1.「財政政策」『現代日本の経済政策 上』大月書店,1979年
2.『マルクスの生産価格論』創風社,1989年
3.『商品の価値と価格』創風社,1995年
4.『労働価値論の挑戦』(編著)大月書店,2000年
5.『ヘーゲル論理学の真相』白桃書房,2005年
小杉 修二 教授
専門分野:中国経済論
研究内容 現代中国を(1)超大国志向(2)低開発経済(3)社会主義という3つのキーワードで解明するための研究を行なっている。その成果は著書1に示され
ている。このキーワードとが中国に現代先進工業国への追いつき志向を生みだしているが,追いつき志向の対象−先進工業国を含めて,工業文明は
今や競争社会の弊害と地球的規模の環境変動をひきおこしている。現在の社会主義諸国がこうした問題への解決の道を示し得るものかどうか。こう
いった問題にも関心を払うようにしている(著書1および2参照)。
研究業績 1.「地球温暖化防止のための諸提案の検討−諸提案は提案たり得ているのか−」『駒澤大学経済学論集』第28巻第3・4合併号,1997年3月
2.「温暖化問題と平等主義−有限な地域と持続可能な社会−」社会主義理論学会編『21世紀社会主義への挑戦』社会評論社,2001年5月
小林 正人 教授
専門分野:日本経済論
研究内容 戦後日本経済の発展において基幹となる産業の一つが,エレクトロニクスと融合した機械産業であり,その代表例が工作機械産業である。工作機械
は機械産業の基礎的機械設備をなすものである。戦後の日本工作機械産業はエレクトロニクスの発展による補完を受けながら世界最大の生産額をほ
こるまでに至ったが,その発展には欧米諸国からは異質とも言える特性がそなわっている。すなわちアセンブリー産業化,量産競争,過当競争など
である。こうした産業特性を生み出した要因について,供給側と需要側の両面から検討することにより,戦後日本の産業発展の特質を検討するとと
もに,産業と技術の発展の分析手法を開発する。
研究業績 1.「日本の工作機械メーカーによる製品開発システム」京都大学『経済論叢』167巻3号,2001年3月
2.「IT 革命と日本経済」『行財政研究』第47号,2001年6月
3.(調査研究)『わが国および中国に拠点をもつ中小企業の現状と課題−共生とその戦略−』中小企業研究センター,2003年3月
4.(書評)北村洋基著『情報資本主義』『歴史と経済』第182号,2004年1月
5.(書評)矢部洋三・木暮雅夫編著『日本カメラ産業の変貌とダイナミズム』日本経済評論社,2006年
清水 卓 教授
研究内容
研究業績
専門分野:EU 統合論,EU 共通農業政策
1990年代初頭のソ連体制の崩壊はグローバル資本主義にバラ色の未来を与えたかに見えた。しかし,それが一時の幻覚であったことは今や明らか
だ。大企業のモラルハザード,雇用なき景気拡大と社会的格差の拡大,対テロ戦争による財政赤字拡大,どれをとっても覇者の退廃を思わせる。こ
うした覇権国家アメリカの行き詰まりに対し,EU 統合をさらに深化・拡大させ,歴史的に形成された各国経済と社会の多様性を尊重し,民主主義,
福祉国家の成果を維持し,しかし同時にグローバルな競争に打ち勝つ競争力の構築を目指す,ダイナミックで魅力的なEU諸国の経済・社会の実相に
せまることを課題とする。
1.「フランスにおける農業経営の法的地位」日本農業経済学会大会報告論文集,日本農業経済学会,2000.3
2.「フランス農業者と共通農業政策」『NIRA 政策研究』Vol.14,No.12,総合研究開発機構,2001.12
3.「EU拡大交渉における農業問題」『国際農林業協力』Vol,26,No.1,2通巻124号,国際農林業協力協会,2003.4 / 5
4.「1990年代以降のCAP 改革とフランスの大規模畑作経営の対応−エール・ロワーク県を事例に−」『駒澤大学経済学論集』第37巻第2・3・4
合併号,駒澤大学経済学会,2006.3
5.「EU農業の地域格差と多様性」『農業と経済』臨時増刊号,昭和堂,2011.5
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代田 純 教授
専門分野:金融論
研究内容 金融証券税制のあり方
金融からの利子所得,証券市場からの債券利子所得,株式からの配当やキャピタル・ゲインなどへの課税を研究する。給与など勤労所得との公平性と,
金融証券市場への影響を与えないような中立性が課題となる。税制における公平性と中立性はトレード・オフの関係になりやすいが,両立する方法
を研究していく。
研究業績 1.『日本の株式市場と外国人投資家』,東洋経済新報社,2002年4月
2.『図説やさしい金融財政』,丸善,2006年5月
3.『日本の国債・地方債と公的金融』,税務経理協会,2007年2月
4.『金融危機と証券市場の再生』,同文館出版,2010年3月
5.『ユーロと国債デフォルト危機』税務経理協会,2012年3月
鈴木 伸枝 准教授
専門分野:経済学
研究内容 外部性や情報の非対称性がもたらす市場の失敗を回避するひとつの方法は政府による公共政策であり,もうひとつの方法は社会的規範に基づく経済
主体の自発的協力である。個人的な研究課題は,以下の3つを中心としている。
1. 社会的規範の進化ゲーム理論的説明
2. 社会的規範の存在を考慮した公共政策
3. 社会的規範と公共政策の相互関係
大学院の講義では,社会的規範に限定せず政府による公共政策はどうあるべきかを考える標準的な公共経済学を幅広く扱う。
研究業績 1.「勤労規範と失業保険」,『一橋論叢』,第127巻6号,一橋大学,2002年
2.「失業保険と勤労規範の相互作用」(共著)『経済学論集』
,第69巻第1号,東京大学,2003年
3.「社会規範と自発的協力」(共著),
『経済研究』,第58巻第2号,岩波書店,2007年
4.「ランダム・マッチング社会における自発的継続的囚人のジレンマゲームでの情報の役割について」
(共著)
,
『駒澤大学経済学論集』
,第39巻第1号,
駒澤大学,2007年
5.「自発的継続囚人のジレンマにおける協力的戦略の動学的安定性」
,
『駒澤大学経済学論集』
,第39巻第3号,駒澤大学,2008年
瀬戸岡 紘 教授
専門分野:アメリカ経済論
研究内容 世界経済の主柱としてのアメリカ経済を,その建国の理念と今日の現実とのあいだのギャップに焦点をあてながら研究しつつ,現代世界経済の全体
像の解明にせまること。
現在の研究課題:最近四半世紀,世界の新自由主義の潮流をリードしてきたアメリカの経済事情・社会事情を究明すること。
研究業績 1.『資本主義とアメリカの政治理念』
(E.S.グリーンバーグの著作の翻訳)
,青木書店,1994年
2.『グローバル時代の貿易と投資』
,
(共編)桜井書店,2003年
3.『アメリカ−理念と現実』時潮社,2005年
4.『歴史の教訓と社会主義』(共)
,ロゴス,2012年
5.『現代アメリカ経済研究入門』(共),日本評論社,2013年
舘 健太郎 教授
専門分野:ミクロ経済学,ゲーム理論,産業組織論
研究内容 戦略的なネットワーク形成に関する理論とそれを使った産業組織論(合併などの企業結合)
,国際経済学(貿易協定)
,公共政策(都市間協力)につ
いての研究を進めている。ネットワークとは,経済主体間の提携をリンクとしたとき組織全体のリンクの集合体のことを指す。このネットワークに
注目するのは,それが提携形成の重複性(一度に複数の提携に参加するメンバーがいるとき,それによって間接的な影響を受ける)や動学性(ある
提携によって他の提携形成が促される)が,さまざまな国家や企業が戦略的な提携を進めて複雑化している経済を語る上で重要な鍵になると思われ
るからである。
研究業績 1.「システムリスクとネットワーク形態」,
『三田学会雑誌』第93巻第3号,慶應義塾経済学会,2000年
2.「寡占産業における共同生産子会社の経済効果」
(共著)
,
『公正取引』633号,公正取引協会,2003年
3.「司法取引の社会的影響」,
『日本福祉大学経済論集』30号,2005年
4. "Multilateralism and Hub-and-Spoke Bilateralism(共著)
,Review of International Economics,Vol.14,No.4,2006年,兼松フェロー
シップ受賞論文
5. "Policy Interaction on North-South FTA Targeting Outsiders' Export and FDI"(共著)
,Discussion Paper Series,F-121,Institute
of Social Sciences,University of Tokyo,2006年
鄭 章淵 教授
専門分野:アジア経済論
研究内容 アジアNIEs(とくに韓国経済)を中心とする第二次世界大戦後の東アジアにおける資本主義発展について,その成長と矛盾のダイナミズムという視
点からアプローチしている。中でも,経済発展過程における政府の役割と民間資本の経済活動との相関関係に注目し,この間,韓国の企業集団であ
る財閥(チェボル)を研究対象に取り上げてきた。また,最近注目を浴びている東アジア経済圏についても関心をもっている。
研究業績 1.『朝鮮半島と日本の同時代史』(共著)日本経済評論社,2005年
2.『韓国財閥史の研究』(単著)日本経済評論社,2007年
3.「世界金融危機と韓国経済」
『学術論文集』第27集,2009年
4.『朝鮮史研究入門』
(共著)名古屋大学出版会,朝鮮史研究会編,2011年
5.『岩波講座東アジア近現代通史』(共著)第9巻(経済発展と民主革命1975-1990年)岩波書店,和田春樹ほか編,2011年
徳永 俊明 教授
専門分野:国際経済
研究内容 〈現代〉を把握しようという時,世界における発展途上諸国(第3世界)の地位とその客観的機能の問題,いわゆる〈南北問題〉の解明という作業が
不可欠である。しかし,今日の第3世界研究は〝細分化″
・〝無思想化″
・〝総論なき各論″の氾濫という危うい状況にある。そこで,作業の出発点を成
すべき〈人間〉の問題に立ち戻った上で,
〈南北問題〉の〈問題〉性の所在とその意味の確定が行われなければならない。やっとその具体化に着手し
たばかりである。
研究業績 1.「
〈開発〉から〈再分配〉へ」,『開発とグローバリゼーション』
(共著)
,柏書房,2000年
2.「
〈南北格差〉論の陥穽」,『駒澤大学経済学論集』第32巻第2・3・4合併号,2001年
3.「
〈人間〉の4要素−〈南北問題〉ノート(2)」
,駒澤大学経済学会『経済学論集』第33巻第1・2合併号,2001年
4.「
〈人間〉への4条件−〈南北問題〉ノート(3)
」,駒澤大学経済学会『経済学論集』第33巻第3・4合併号,2002年
5.「
〈生活〉とは何か−〈南北問題〉ノート(4)」
,駒澤大学経済学会『経済学論集』第34巻第1号,2002年
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友松 憲彦 教授
研究内容
研究業績
専門分野:経済学
資本主義発達に伴う労働者階級の成立とは,労働者の生活すなわち労働力再生産が,賃金を基軸としておこなわれるようになることである。賃金に
よる労働力再生産のためには,労働者が購入する日用生活品が商品として生産されるばかりでなく,それが安定的に供給される流通機構が社会的に
成立することが不可欠である。そうした観点から,最初の工業国家イギリスの都市労働者の自己再生産のあり方を,日用品流通機構の歴史的発達と
労働者の消費実態の分析によって解明する。また,食品流通と公衆衛生問題の関係も分析する。
1.『近代イギリス労働者と食品流通』晃洋書房,1997年
2.「衣の社会経済史(Ⅰ)」『駒澤大学経済学論集』第32巻第2・3・4合併号,2001年
3.「衣の社会経済史(Ⅱ)」『駒澤大学経済学論集』第35巻第1号,2003年
4.「衣の社会経済史(Ⅲ)」『駒澤大学経済学論集』第36巻第4号,2005年
5.「ナイチンゲールの伝染病論と社会改革」『駒澤大学経済学論集』第39巻第1号,2007年
6.「19世紀ロンドン労働者の家計分析」『駒澤大学経済学論集』第43巻第3・4合併号,2012年
松井 柳平 教授
専門分野:理論経済学
研究内容 経済制度や社会規範の生成についての数理モデルによる理論化
研究業績 1.「ルベーク積分とその経済学における応用」『駒澤大学経済学論集』第40巻第2・3合併号
2.「関数解析への導入」『駒澤大学経済学論集』第40巻第2・3合併号
3.「中間層の形成−資本市場の不完全性と資産分布−」『駒澤大学経済学論集』第41巻第1・2合併号
溝手 芳計 教授
専門分野:農業政策
研究内容 私の基本的な研究課題は,現代の農業・食料問題分析の理論的枠組みの構築である。
かつての農業では本源的生産手段である土地と人間労働が決定的に重要であったが,現代では,農機具や肥料・農薬等,農外資本によって供給され
る生産手段が規定的な役割を演じるようになった。また,農産物の販売先でも,大企業化した食品産業やスーパーチェーンの比重が高まっている。
こうして,川上・川下の双方からアグリビジネスの影響力が強まる下で,農業・食料はいかなる特徴を持つのか。
こうした問題意識を抱きつつ,1.英国とEUにおける農業構造,アグリビジネス,農業・食品政策の動向分析,2.農地政策を中心とする日本の地
域農業分析に取り組んでいる。
研究業績 1.「群馬県邑楽郡板倉町板倉川北部地区−非農用地の創出で農家負担なしの大区画ほ場整備を実現−」
『平成15年度 事業効果フォローアップ検討
調査(農地流動化促進効果調査)報告書−現地実態調査−』,
(社)全国農地保有合理化協会,2004年,所収
2.「EU 農政改革とイギリス農業」中野一新・岡田知弘編『グローバリゼーションと世界の農業』
,大月書店,2007年,所収
3.「1990年代以降におけるEU の農業構造の変化と農業者団体の動向−CAP 改革との関連を中心に−」
,
『駒澤大学経済学論集』
,第39巻第4号,
2008年
4.「グローバル化・リージョナル化とEUの農業・農政−食品アグリビジネスとの関連を中心に−」農業問題研究学会編『現代の農業問題1 グローバ
ル資本主義と農業』,筑波書房,2008年,所収
5.「現代EUにおける食料安全保障と農業政策」梶井功ほか編『日本農業年報 55 食料自給率向上へ!」
,農林統計協会,2009年,所収
光岡 博美 教授
専門分野:経済学,日本の労使関係と社会福祉・社会保証
研究内容 日本の労使関係の国民的特性を追及することが現在の研究テーマであり,この数年間,このテーマに沿って論文を執筆してきた。
日本的経営に関する研究動向に触発され,戦後のいわゆる高度成長期の〝労働問題研究″の方法や分析手法にたいする批判を念頭に置きながら研究を
進めてきた。これまでに発表した論文は日本の賃金・労使関係に関する理論的研究が中心となっているが,今後もこの方向に沿って研究を進めてい
く予定である。特にこれまで執筆した論文において提起してきた組織志向型に属する日本労働市場の概念を歴史的・実証的にも分析し,雇用と賃金
を中心とした日本労使関係の歴史的・理論的再構成をめざしている。以下の論文は,これまでに執筆した論文のうち,このようなテーマに関するも
のをリストアップしたものである。
研究業績 1.「1950年代の日本労働問題研究」
『駒澤大学経済学論集』第28巻第2号,1996年
2.「企業労働のなかの「自発」と「強制」」季刊『人間と教育』第24号,1999年
3.「内部労働市場論」
(労務理論学会編『経済労務事典』晃洋書房,2011年)。その他,法政大学大原社会問題研究所『社会労働大事典』,旬報社,
2011年)の執筆協力。
村松 幹二 教授
専門分野:法と経済学
研究内容 法と制度の経済分析。ビジネス関連法が市場構造,企業行動,消費者行動に与える影響を,ミクロ経済学,ゲーム理論の手法および統計データを用
いて分析する。近年,日本では会社法や独占禁止法,買収関連法制など多くの企業関連法が改正されている。それらの改正が企業行動等に与える影
響を分析し,法およびその改正の経済学的意義を検討する。また海外取引,海外直接投資に関わる国際条約や国際法制度および国際商事仲裁等の紛
争解決手段についても近年多くの改正が行われており,それが企業行動や関係諸国の厚生に与える影響の分析を行う。
研究業績 1.「シートベルトのOffsetting Behavior仮説−都道府県パネルデータを用いた検証」
,『季刊政策分析』第2巻第1・2合併号,2005年(共著)
2.『企業犯罪に関する「法と経済学」による分析』,法務総合研究所,2006年
3.「準拠法選択の実証分析」
,
『ジュリスト』1348号,2008年
4.「解雇紛争の経済分析」
,『日本労働研究雑誌』581号,2008年
5.「経済学教育における効果測定 ‐ 習熟度に与える要因分析」,駒澤大学経済学論集第42巻第3・4合併号,2011年
谷敷 正光 教授
研究内容
研究業績
専門分野:教育経済論
1.戦前における綿糸紡績業の発展と職工養成・職工(女工)補習教育をテーマに企業内の紡績職工(女工)の養成制度を中心に考察している。
2.教科教育を中心にして社会科教育法,公民科教育法,職業科教育法,商業科教育法などの学問的領域と内容,教職導入教育の意義,教育実習生
の実際的能力,教師の資質・力量形成と教育力を考察し,教員の養成に努めている。
1.経済学
① 「明治前期綿糸紡績業における企業内職工制度」『駒澤大学経済学論集』第33巻第1・2合併号,2001年9月
② 「明治後期綿糸紡績業における企業内職工制度」『駒澤大学経済学論集』第33巻第3・4合併号,2002年3月
③ 「『工場法』制定と綿糸紡績女工の余暇−工場内学校との関連で−」『駒澤大学経済学論集』第35巻第3号,2003年12月
④ 「明治期綿糸紡績業における学齢児童労働者と初等教育法」,『駒澤大学経済学論集』第37巻第1号,2005年8月
⑤ 「工場法,改正工場法の制定と学齢児童労働者−綿糸紡績業を中心に−」『駒澤大学経済学論集』第38巻第3号,2007年2月
2.教科教育
① 「私立大学における『教科教育法』の実態と問題−『社会科教育法』の授業分析−」全国私立大学教職課程研究連絡協議会『教職導入教育の実験
的研究』第2巻,1983年8月
② 「商業科教育法の対象領域と授業観−商業科教育法の学問的体系化に向けて−」全国私立大学教職課程研究連絡協議会『教職導入教育の実験的研
究』第3巻,1984年8月
③ 『改訂社会科教育研究』梓出版,1995年1月
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柳 裕治 客員教授
専門分野:租税法学
研究内容 租税法学が独立の学問分野として,わが国で研究と教育が本格的に行われるようになったのは第二次大戦後のことである。それ以来,租税が私たち
の経済生活のほとんどの局面に深い関わりをもつようになるとともに,さらに経済活動の国際化・電子化により,租税をめぐる法的紛争も激増し,
法理論的解明を必要とする問題も多く発生するに至っている。とくに,法人税制の変革は激しく理論的な研究が急務となっている。現在,私は,法
人の課税所得計算理論構築のため,わが国税法とドイツ・アメリカ税法等との比較法的研究を行っている。また,納税者の権利救済システムとして
の租税争訟制度についても同様の研究を行っている。なお,研究指導領域は租税法全般である。
研究業績 1.『基礎から学ぶ現代税法』(共著)財経詳報社,2013年
2.『税務会計論』(編著)創成社,2012年
3.『ドイツ税理士法』(訳書)日本税務研究センター,2010年
4.『税法会計制度の研究』(単著)森山書店,2005年
5.『税務会計の基礎』(共著)創成社,2005年
6.『法人税の計算と理論』(共著)税務研究会出版局,2003年
7.『電子申告』(共著)ぎょうせい,2001年
8.『連結納税申告』(共著)ぎょうせい,1999年
9.『税務会計研究の現代的課題』(共著)第一法規,1995年
その他著書・論文多数
矢野 浩一 准教授
専門分野:ベイズ計量経済学,マクロ経済学
研究内容 近年,
発展の目覚ましいベイズ統計学の技法をマクロ経済学などに応用するベイズ計量経済学が普及してきている。中でもモンテカルロフィルター(粒
子フィルター)という手法が急速に発達してきており,21世紀の新しいアルゴリズムとして注目を浴びている。そのため,その手法に特に力を入れ
て研究している。また,それらの手法の応用として動学的マクロ経済学(動学的確率的一般均衡モデル)を用いて日本経済の長期停滞や世界同時不
況などの重要な経済問題についても同時平行で研究している。
研究業績 1.「DYNAREによる動学的確率的一般均衡シミュレーション∼新ケインズ派マクロ経済モデルへの応用∼」
『経済分析』第181号,pp.153-194,
2009年
2. Dynamic stochastic general equilibrium models under a liquidity trap and self-organizing state space modeling , ESRI
Discussion Paper, Vol. No.206, 2009年
3. A Self-organizing state space model and simplex initial distribution search , Computational Statistics, Vol.23, pp.197-216,
2009年
山縣 弘志 教授
専門分野:ロシア・東欧経済論
研究内容 ロシア・ソビエト経済史の一領域たる労働史の中で,最も激動期でありましたロシア革命と社会主義の性格づけに決定的な役割を果たした,第1次大
戦期と1920年代までの時期の工場労働者の構成変動を解明しようとしています。ソ連社会の運営原理がスターリン時代に根本的転換を経験したの
は明らかです。その転換の社会基盤の問題とかかわって労働者階級論を展開したいというのが私の希望です。
研究業績 1.「第1次大戦期におけるロシア工場労働者の構成変化」
『駒澤大学経済学部研究紀要』第45号,1987年
2.「第1次大戦期のロシアにおける工場内の強制的労働力」
『駒澤大学経済学論集』第19巻第1・2合併号,1987年
3.「ロシア製鉄・冶金業史試論−ウラルの停滞構造−」『駒澤大学経済学部研究紀要』第60号,2005年3月
田 敬一 教授
研究内容
研究業績
専門分野:中小企業論・地域経済論
私の現在の研究テーマは「グローバル時代における持続可能な地域経済と中小企業の課題」である。21世紀に入り,日本経済のグローバル化が急テ
ンポで進む一方,リーマンショックやEU金融危機に象徴されるように世界経済は混迷の度合いを増している。経済活動の基本は国民経済の持続可能
な発展にあり,その主な経済主体は地域に根ざした中小企業である。国民の8割近くの雇用を支える中小企業の21世紀における存立の可能性と課題
を探っていきたい。
1.『産業構造転換と中小企業』( 田・森本・永山編著)ミネルヴァ書房,1999年
2.『現代日本の中小商工業−現状と展望編−』(共著,中小商工業研究所編)
,新日本出版社,1999年
3.『グローバル化のなかの中小企業問題』(共著),新日本出版社,2005年
4.『地域振興と中小企業』( 田・井内編著)ミネルヴァ書房,2010年
5.『地域循環型経済への挑戦』( 田・松丸・中島著)本の泉社
渡邉 恵一 教授
専門分野:日本経済史・経営史
研究内容 物流・運輸など,輸送史的視点に留意した近現代日本経済史・経営史の研究を進めている。戦前期日本の企業経営における物流問題についてセメン
ト業を事例に分析した博士学位取得論文を『浅野セメントの物流史−近代日本の産業発展と輸送−』
(立教大学出版会)として2005年に公刊。その
後は臨海工業地帯の造成と鉄道輸送問題,台湾製糖業における鉄道経営の実態分析などに関心を広げているが,従来から別個に扱われがちな産業史
と交通史を統合しようとする視角は一貫しているつもりである。学外では,地域資料の調査・整理活動,社史の分担執筆,他大学の研究者との共同
研究などにも積極的に参加している。
研究業績 1.『日本経済史−太閤検地から戦後復興まで−』(老川慶喜・仁木良和との共著)税務経理協会,2002年
2.『浅野セメントの物流史−近代日本の産業発展と輸送−』立教大学出版会,2005年
3.「京浜工業地帯の埋立」橘川武郎・粕谷誠編『日本不動産業史−産業形成からポストバブル期まで−』名古屋大学出版会,2007年
4.「戦時体制期の鶴見臨港鉄道」老川慶喜編『両大戦間期の都市交通と運輸』日本経済評論社,2010年
5.「戦間期京浜工業地帯における鉄道輸送問題」経営史学会編『経営史学』第46巻第2号,2011年