[1/3](3.3MB) - 京都大学生活協同組合

環境レポート 2006
京都大学生活協同組合
ⅩⅡ Ⅰ
Ⅸ Ⅹ
ⅩⅠ
Ⅱ
Ⅷ
Ⅲ Ⅳ
Ⅴ
Ⅵ Ⅶ
大
小南 仁司 ・ 世戸 貴大 ・ 高橋 岳志 ・ 塚本 明日香 ・ 田中 駿 ・ 中村 悠 ・ 中矢 早織 ・ 藤本 成彬 ・ 吉本 亜裕美 ・ 吉本 圭介 ・ 嶋原 佳奈子 ・ 水嶋 周一 ・ 東江 佳尚 ・ 石川 敬視 ・ 藤槻 智博
浅野 公之 ・ 原田 浩二 ・ 井崎 宏子 ・ 平 信行 ・ 佃 政治 ・ 中森 一朗 ・ 西田 芳宏 ・ 林 伸幸 ・ 京都大学生活協同組合
ECO
目次
環境レポート発行目的
ページ
3
E-COOP について
京大生協の事業概況
「環境レポート 2006」の対象
Mission:3つの使命
Vision2010 アクションプラン
理事長緒言
第1部 定量報告
エネルギー・水
3
3
3
4
4
5
6
6
・・・電気
・・・ガス
・・・水道
廃棄物・排水
8
・・・廃棄物
・・・食堂排水
・・・廃油
リサイクル
11
・・・自動販売機から出る飲料容器の回収
・・・ペットボトル
・・・牛乳パック
・・・使用済み電池の回収
2006 年度から測定されるようになった項目
13
・・・北部購買におけるレジ袋使用率
生協・E-COOP 2007 年度の決意
14
第2部 活動報告 15
15
店舗における環境への配慮
・・・エコグッズフェア 2006
・・・レジ袋を減らす取り組み
本レポートを見る上での注意
●最近の生協各店舗のオープン日
2003 年 4 月
宇治食堂リニューアル※
2003 年 5 月
カンフォーラオープン
2003 年 9 月
桂 A クラスターショップオープン
2005 年 4 月
桂カフェテリア、カフェオープン
2005 年 4 月
桂 B クラスターショップオープン
2005 年 9 月
桂ベーカリーショップオープン
※宇治食堂は新規開店ではなく、リ
ニューアルですが、大幅に増床、事
業規模拡大を行ったので、エネル
ギーにも影響があると思われます。
・・・使い捨て弁当容器を減らす取り組み
・・・Paper ー plan
リサイクル・リユース事業
17
・・・新入生向けの省エネ家電推奨活動
・・・リサクル・リユース活動
・・・リサイクルステーション
学内での広報活動
18
・・・発行物
・・・新入生ガイダンス
・・・省エネ相談所
・・・総代に向けた学習会
・・・生協職員向け学習会
・・・その他の情報発信
その他の取り組み
20
・・・見学学習会
・・・学外への発信
・・・京都大学との連携
・・・コープイン京都の KES 取得事業・環境報告書作成への参画
専務理事あいさつ
22
大嶌先生インタビュー
関連データ・編集後記
23
24
‒2‒
環境レポート発行目的
1.京都大学生活協同組合(以下京大生協)の事業活動に伴う環境負荷を定量的、継続的に明らか
にします。
2.京大生協の事業活動における環境負荷を軽減する取り組みについて、方針、目標、計画とその
進捗状況、実績、課題等について、明らかにします。
3.環境レポートを通して、
組合員の環境マインドを育て、組合員が参画する環境活動を推進します。
E-COOP について
京大生協は 2002 年度の Vision2010 アクションプランの策定に伴い、環境委員会 E-COOP を立ち上げま
した。E-COOP は学部生を中心に院生や生協職員、京都大学教員からなる 20 名ほどの委員会であり、環境
に関するアクションプランを達成するために 2002 年度から京大生協が掲げている「事業体としての環境負
荷の定量」「環境に配慮した店舗作り」
「環境活動の広報・普及」の 3 つの目標に向け活動しています。そ
の活動の一環として、この環境レポートを発行しています。詳しい活動内容については、P15 の活動報告
をご覧下さい。
京大生協の事業概況
●名
●理
称
長
事
京都大学生活協同組合
松本 英治(京都大学エネルギー科学研究科教授)
●専 務 理 事
●本 部 所 在 地
平 信行
京都市左京区吉田本町 京都大学構内
●電 話 番 号
●設 立 年 月 日
075-753-7640(代表)
1949 年5月 25 日
●組 合 員 数
●事
業
高
29,916 人(2006 年 6 月現在)
69 億 9,376 万円(2006 年度)
●主 要 事 業
●ホームページ
食堂事業、購買事業、旅行・サービス事業、保険・共済事業、下宿斡旋事業
http://www.s-coop.net/
「環境レポート 2006」の対象
●対象期間
●対象組織
2006 年度(2006 年 4 月∼ 2007 年 3 月)
京都大学生活協同組合(以下京大生協)
組合員数:
主な施設:
29,916 人(学部生 14,761 人、院生 7,086 人、教職員数 8,069 人/ 2006 年 6 月現在)
吉田キャンパス
本 部 構 内 中央食堂・カフェレストラン Camphora・時計台生協ショップ
コンベンションサービスセンター・京大ショップ・組合員センター
吉田南構内 吉田食堂・吉田ショップ
北 部 構 内 北部食堂・喫茶ほくと・北部購買
南 部 構 内 南部食堂・喫茶ブリュッケ・南部購買
西 部 構 内 カフェテリアルネ・ショップルネ・ルネ南側別館
宇治キャンパス
宇治食堂・宇治購買
桂キャンパス
Aクラスター ベーカリーカフェ Lune・Aクラスターショップ
Bクラスター カフェテリア Selene・カフェ Arte・Bクラスターショップ
‒3‒
Mission: 三つの使命
E-COOP
■ 京大生協は、京都大学における教育・研究の発展と、社会的・
国際的責任の遂行を願い、
安心と信頼のサービスを提供します。
■ 京大生協は、京都大学構成員の人間らしい豊かな大学生活と、
持続的発展可能な地域社会・国際社会の実現に貢献します。
■ 京大生協は、京都大学の基本理念である「自由と調和」、大学
構成員の参加と合意を大切にし、助け合いの輪を広げます。
組合員
生協
Vision2010 アクションプラン
■ Campus Life ∼京大生協は潤いのある豊かなキャンパスライフの実現を目指します。
○ ワンランクアップのフードサービス
豊かな味覚を楽しめ、憩いと交流を深められるワンランクアップのフードサービスと施設を、すべ
てのキャンパスで提案し、その実現を目指します。
○ 健康なキャンパスライフ
安全安心の食生活を提供してきた実績を継承・発展させ、医療・心理に携わる人とも協力して健康
なキャンパスライフの実現に貢献します。
○ 豊かなコミュニティの創造
新しいイベントやネットワークを通して、京都大学に集うすべての人々の文化的交流を促進し、多
くの人たちを結ぶ新しいネットワーク作りを提案していきます。
■ Support ∼京大生協は大学と協力して大学構成員の様々な活動を広くサポートします。
○ 学生生活サポート
学生が安心して勉学・研究に専念できるよう、健康・学資・クラブサークル・住まい・就職支援な
ど、入学から卒業までの様々な学生生活をサポートします。
○ 教育研究活動・勉学サポート
新しい教材開発、ネットワークサービス、書籍・情報の提供、出版活動・学会活動支援などを通じ
て、教育研究活動・勉学をサポートします。
○ 国際活動サポート
留学生のためのサポート、教職員と学生の留学・海外出張・研修サポートなど様々な形で国際交流
の発展に貢献します。
○ 大学業務サポート
大学の運営において効率的・合理的なシステムサービスを提案し、大学業務の改善に貢献します。
■ Ecology & Society ∼京大生協は、環境に配慮し、地域社会に貢献します。
○ エコキャンパス
京都大学の「環境憲章」をふまえ、ゴミの減量やリサイクルを推進し、循環型エコキャンパスの実
現と地球環境保全に貢献します。
○ 開かれた大学作りへの貢献
公開講座、オープンキャンパスなど開かれた大学作りに協力し、地域社会・学内外の諸組織とも協
同して平和で豊かな社会の発展に貢献します。
E-COOP ロゴについて
E-COOP のロゴは若葉が萌え出た様子をかたどり、植物がすくすくと
成長していくように京大生協の環境活動も発展していってほしい、とい
う願いが込められています。
色は、水の青・木々の緑・太陽のオレンジを基調としています。この
三つの組み合わせは、生協・E-COOP・組合員の三者を表しており、ど
れか一つの協調を欠いても健全な成長はありえません。
どうかこの芽が大樹へと成長しますように。
‒4‒
もっと身近に
エコライフ
理事長緒言
京都大学は約 28,000 人の学生、大学院生、職員が勉学、
教育、研究、事務などの活動をしています。その他に、生協
職員をはじめとして、大学構成員の活動や生活をサポートす
る人、高校、他大学、企業などからの訪問者も多数あります。
これらの人たちの生活、教育、研究あるいは営業などの活動
は、環境負荷やときには環境汚染を引き起こしていることが
現実です。京都大学は、2002 年 2 月に「京都大学環境憲章」
を制定し、教育や研究を通じ環境問題解決に向けて積極的な取り組みを行い、自ら
が引き起こす環境負荷を可能な限り低減することに努めることを決定しました。ま
た、2004 年に定められた「環境配慮促進法」により、国立大学法人が率先して環
境報告書を作成・公表することが義務づけられ、京都大学環境報告書 2006 が発刊
されました。
京大生協では、2002 年総代会で策定されたアクションプランに基づいて、エコ
キャンパス活動を進めてきました。E-COOP が中心となり、
「環境レポート」の発行、
食堂や購買部門での環境活動の推進、学習会・見学会などを含めた環境に関する幅
広い広報活動などを行っています。2006 年度は、リサイクルステーションの設置
場所の拡大、リサイクルショップ事業の拡大、リターナブル容器弁当の販売、エコ
グッズフェアの開催、レジ袋削減に向けた取り組みの開始、大学の環境報告書作成
への協力などを行いました。
上記の生協の環境活動は、従来の大学教育にはない実践をともなった環境マネジ
メント教育ということもできます。消費者や住民という立場だけでなく、生産、販
売、リサイクルなどの経営をともなう環境活動は、将来の社会的活動において貴重
な経験となるでしょう。最近、地球温暖化や環境汚染が予想以上に進行しているこ
とが明らかになり、それらを防止するためのさまざまな提言や取り組みが行われて
います。この問題は、すべての国や自治体、企業や国民が、それぞれの役割を果た
さなければ解決できない問題です。この環境レポートによって、京大生協の環境へ
の取り組みを知っていただくとともに、ご意見やご協力、あるいは積極的にご参加
をいただき、環境問題に関心をもって活動する契機となればありがたいと思ってお
ります。
2007 年5月
京都大学生活協同組合
理事長 松本英治
‒5‒
第1部 定量報告
1.エネルギー・水 ∼電気・ガス・水道∼
1-1. 電気 本部では微増、桂では増加しました。
京大生協の店舗では、照明や空調、冷凍・冷蔵庫、自動販売機に加え、コピー機や事務所のパソコンなど、
いたるところで電気を使用しています。
2006 年度に京大生協が消費した総電力量は 2,692,100 kWh でした。各キャンパス別の電力消費量の推
移は図 1 のグラフの通りです。桂キャンパスで電力消費量の伸びが大きいのが分かります。
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
電力消費量(1000kWh)
本部
吉田南
北部
南部
西部
宇治
桂
図 1.年度別各キャンパス電力消費量の推移
吉田キャンパス(宇治・桂キャンパスを除いたキャンパスの総称)の年度別電力消費量の推移は以下の図
2 のグラフの通りです。2004 年度以降、約1%ですが、微増が続いています。
1950
電力消費量(1000kWh)
1900
1850
1800
1750
50
0
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
図2.電力消費量の推移(吉田の巻)
コラム①
◆電気とパソコン
2006 年度の 2-2 総電力消費量は 2,692,100 kWh でした。これは、組合員約 3 万人が、一年間、毎日約 6
時間ノートパソコンを稼動させることと同じだけの量になります。
「冷蔵ケースのとびらはメニューを決めて
から開け閉めする」
「トイレの電気はこまめに消す」など、組合員一人ひとりも省電力を心がけたいですね。
‒6‒
1-2. ガス ガスの総消費量は減少しました。
京大生協ではガスを調理の場面だけではなく、ルネ店舗での冷暖房にも使用しています。2006 年度の京
大生協全体のガス総消費量は 305,462m3 でした。2005 年度の 319,835m3 に比べて約4%減少しています。
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
0
50
100
150
200
250
300
350
ガス消費量(1000m 3)
本部
吉田南
北部
南部
西部
宇治
桂
図3.年度別各キャンパスガス消費量の推移
桂キャンパスでのガス消費量は 2005 年度に比べてやや増加しました。これは桂キャンパスの利用者が増加した
ためと考えられます。
1-3.水道
本部キャンパスでの総消費量が減っています。工学研究科の桂移転のためと考えられます。また、2007
年 3 月に節水システムを中央食堂、北部食堂、南部食堂、ルネにそれぞれ設置しました。2007 年度データ
にはその影響が大きく出ると考えられます。
(宇治のデータの 2004 年度以前分はありません)
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
0
10
20
30
40
水消費量
本部
吉田南
北部
50
60
(1000m 3)
南部
西部
宇治
図4.年度別各キャンパス水道消費量の推移
‒7‒
70
桂
80
の縦軸は時計台の建築面積 1,982.29 m3で使用量を割った
数値、つまり時計台に水を貯めると高さ何 m になるかを示
しています。赤い点線が時計塔の高さ(31.574m)です。時
80
40
70
35
60
30
50
25
40
20
30
15
20
10
10
5
0
時計台に貯めた場合の高さ(m)
上のグラフは京大生協の水総消費量を示しています。右
水道消費量(1000m3)
◆時計台、水没!?
0
2002年度
計塔が完全に水没しています。
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
コラム②
図5.京大生協の総水道使用量
図6.水没した時計台の想像図
2.廃棄物・排水 ∼廃棄物の処理・食堂排水・廃油∼
2-1. 廃棄物
各店舗および組合員センターなど、京大生協のあらゆる活動からゴミは発生します。このようなゴミは、
一般家庭から出るゴミと同じような内容であっても、市民生活の必要から出たものではないため、事業系一
般廃棄物に区分され、事業者自身が責任を持って処理しなくてはいけません。これは「廃棄物の処理及び清
掃に関する法律」と「京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」
(第 19 条)によって定められてます。
そこで京大生協から出るゴミは京大生協自身の責任により、認可を受けた廃棄物処理業者に委託し、有料
で処理しています。
廃棄物業者に引き取られたゴミは、最終的に京都市のゴミ焼却場に搬入され、焼却処理されます。京都市
では資源ゴミ以外は全て焼却処理しているので、業者に引き取ってもらう段階でも、資源ゴミを除く全ての
ゴミはまとめて出されています。ただし、各食堂から出る生ゴミは産業廃棄物として他のゴミとは分けて出
され、回収されています。現在、京大生協が排出している正確なゴミの量は把握されていません。
‒8‒
2-2. 食堂排水
京大生協では毎日、調理や食器・調理器の洗浄のために大量の水を使用・排出しています。このとき、生
協のような大規模な排水源には、一般の家庭と異なり、下水道へ流す排水の基準が水質汚濁防止法により定
められています。
表 1. 水質汚濁防止法による排水基準
項目
pH
基準値
5∼9
BOD(生物化学的酸素要求量)
600ppm 以下
ノルマルヘキサン抽出物濃度
30mg/L
全窒素含有量
380mg/L
大規模な排水源を持つ事業者は、下水道に排水を流す際、これらの基準をすべてクリアするように処理を
しなければなりません。京大生協では、毎週規定の場所で採取したサンプルを島津テクノリサーチ分析研究
所に送り、その測定結果を大学へ報告しています。測定・報告を行っている水質項目は表1の通りです。法
律上はさらに多くの規制項目(クロム・銅・溶解性鉄・溶解性マンガン)がありますが、食堂排水という性
質上、通常はそれらの濃度が高くなることはありません。そこで、この環境レポートでは、ノルマルヘキサ
ン抽出物(次ページ、コラム参照)に焦点を当て食堂排水を評価しています。
2006 年度の食堂別に見た排水中のノルマルヘキサン抽出物濃度を、図7に示します。
mg/L
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
4月
5月
中央食堂
6月
7月
吉田食堂
8月
南部食堂
9月
10月
北部食堂
11月
12月
1月
カフェテリアルネ
図 7. 食堂別ノルマルヘキサン抽出物濃度
2月
3月
カンフォーラ
(注)宇治・桂はデータ無し
グラフから、2006 年度の食堂排水基準はほぼ達成できていることがわかります。
京大生協の各食堂では基準をクリアするために、以下のような取り組みを行っています。
●ラーメンスープ、うどんだしなどの汁物は流さず新聞紙に含ませゴミとして処理する
●洗浄コーナーにおいて皿の拭き取り作業を行う
●グリストラップ(油分分離装置)の清掃、及び油吸着シートの交換(1 日 3 回)
●厨房内の側溝、マスなどの清掃(1 日 3 回)
しかしながら、混雑時にはこの作業が追いつかないこともあります。実際に拭き取り・吸い取り作業を体
験した E-COOP メンバーによると、利用者の少ない時間帯(16 時∼ 17 時)であったにも関わらず、非常
に大変な作業であったとのことです。
排水基準の達成のためには、食堂側の対策はもちろん重要ですが、ドレッシングのかけすぎに注意するな
ど利用者側である組合員一人ひとりの心掛けが必要です。京大生協ではすでにキユーピー株式会社の協力を
得てドレッシングのキャップを細口に変更し、使用量を調節しやすいようにしています。
今後も全食堂で、排出基準達成率 100% を目指して、対策を継続していきます。
‒9‒
120
基準達成率(%)
100
中央食堂
80
吉田食堂
60
南部食堂
北部食堂
40
カフェテリアルネ
カンフォーラ
20
図9.細口キャップ
0
2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度
図8.食堂別の排水基準達成率
◆ノルマルヘキサン抽出物とは
コラム③
食堂排水においては、排水中に含まれる不揮発性油分のことを指します。ノルマルヘキサンを排水に混ぜ、
しばらく静置すると、動植物油脂・脂肪酸エステル類・リン脂質などの油脂がノルマルヘキサン層(油層)
に分離してきます(この作業を 抽出 という)
。こうすることで、排水の油分による汚濁度を測定すること
ができるようになります。ノルマルヘキサンは農薬や染料の抽出も可能な溶媒であるので、工場排水の水質
汚濁の検査にも用いられます。
なお、水質汚濁防止法(1970 年施行)に基づく排水基準では、動植物油脂類は 30mg/L 以下と定めてい
ますが、これは海域における環境基準が目安となっています。
(参考:EIC ネット環境用語集 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=3353 )
2-3. 廃油
京大生協の食堂では、揚げ物の調理によって発生する廃油を一斗
缶にまとめて廃油処理の専門業者に引き渡しています(吉田、北部
を除く)。廃油の専門業者に引き渡された廃油は、中間処理を経て
肥料、飼料、油脂原料などにリサイクルされます。
2005 年度版より、環境レポートに廃油のデータを加えました。
2006 年度の廃油の発生量は 39,960 Lとなります。2005 年度の
38,988 Lよりも増加しています。
現在は専門業者に引き渡されている廃油ですが、6月より京都市
のバイオディーゼル燃料化施設へ提供する予定です。取り組みは変
わりますが、毎月確実にデータが報告できるようにします。
図 10.保管されている廃油
‒ 10 ‒
3.リサイクル ∼飲料容器・牛乳パック・電池∼
3-1. 自動販売機から出る飲料容器の回収
京大生協は店舗の内外に自動販売機を設置しています。自販機から出る飲料容器(紙コップ、紙パック、
スチール缶、アルミ缶、PET ボトル)は、自販機に商品を納入している飲料業者(近畿コカ・コーラボトリ
ング、関西キリンビバレッジサービス)や京大生協が回収し、リサイクルに回しています。大まかには、自
販機周辺のリサイクルステーションを飲料業者が、店内にあるリサイクルステーションや店舗周辺を生協が
受け持っています。
以下の図 11 は、年度毎の回収された飲料容器の量をグラフにまとめたものです。
350
本数(1000 本)
300
250
紙コップ
紙パック
スチール缶
アルミ缶
PETボトル
200
150
100
50
0
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
図 11.飲料容器の回収量
アルミ缶以外の項目で、2006 年度の回収量は 2005 年度よりも減少しています。
今後の課題は「回収率」です。単に消費量が増えたために回収量が増えていることもあるため必ずしも「回
収量の増加=良い結果」とは言えません。
「2006 年度、自販機による飲料販売本数」は 1,043,699 本、回収された本数は 826,534 本で、販売本数
の約 79%が回収されている計算になります。回収された飲料容器がすべて自販機販売のものとは限らない
ためあくまで参考値となりますが、今後はこの回収率に注目して詳しく動向を追っていきます。
3-2. ペットボトル ペットボトルの回収量は微増しています。
ペットボトルの回収量は年々増加して
います。これはペットボトルの販売数が
増加しているためと考えられます。ペッ
4000
トボトルはリサイクルステーションか
ら一度コンテナに集められ、コンテナが
3000
たりの推定重量)×(回収回数)で計算
された概算値です。
安田産業によって回収されたペットボ
トルは細かく砕かれてペレットとなり、
その後リサイクル商品として生まれ変わ
ります。
回収量(kg )
いっぱいになると安田産業に引き取って
もらいます。この回収量は(コンテナ当
3500
2500
2000
1500
1000
500
0
2004年度
2005年度
図 12.年度別ペットボトル回収量
(参考:安田産業グループ http://www.yasuda-group.co.jp/ )
‒ 11 ‒
2006年度
3-3. 牛乳パック
牛乳パックはリサイクルステーションにて回収しておりますが、現在牛乳パックの回収量は把握されてい
ません。今後早急に業務の一環として位置づける必要があると考え、牛乳パックの回収量把握に向けて取り
組んでいく予定です。
◆紙パックのすすめ
コラム④
牛乳パックが京大生協のリサイクルステーションで回収され、リサイクルされていることを知っている人
は多いと思います。牛乳パックは切って開くことで容積を小さくすることができ、古紙へのリサイクルも簡単
にできます。回収された牛乳パックはポリエチレンフィルムとパルプに分解され、パルプを乾燥することで再
生紙が出来上がります。一方ペットボトルは容積を小さくすることが難しく、リサイクルにも多大なエネルギー
が必要です。
いつも家でペットボトルや缶の飲み物を飲んでいるというあなた、この機会に紙パック飲料に乗り換えて
みませんか?
3-4. 使用済み電池の回収
京大生協では各店舗で 2002 年 11 月より、筒型乾電池、ボタン型電池、充電式電池の 3 種類を分別回収
しています。回収した電池は、ボタン型電池と充電式電池はメーカーの回収・処理ルートに、筒型乾電池は
左京区役所に引き渡し、そこから京都市の処理ルートに乗せています。
輸入乾電池には、国内製の乾電池には現在使用されていない水銀が含まれているものがあるので、分別回
3000
12
2500
10
2000
8
1500
6
1000
4
500
2
0
ボタン型電池 回収量(kg)
筒型乾電池・充電式電池 回収量(kg)
収によって適切に処理する必要があります。また乾電池には鉛やマンガンなど有用な金属が含まれており、
それらはリサイクルの過程で回収されています。電池は、廃棄すれば環境に有害ですが、回収し再利用する
ことにより、非常に有用な資源となります。電池の回収量の変化は図 13 の通りです。
充電式
筒型
ボタン型
0
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
図 13.電池の回収量
2006 年度の全体の回収量は、2005 年度比で 73% に減少しています。充電式電池の回収量に限って見れば、1.2 倍
に増加しました。
コラム⑤
◆回収された乾電池の行方
回収されたマンガン乾電池、アルカリ乾電池はまず北海道にある「イトムカ鉱業所」に搬送されます。そこで、
焙焼・解砕・磁選の工程を経て、炭素棒(乾電池の芯)は燃料として用いられ、水銀は蛍光灯や研究用水銀試
さい
薬になり、鉄くずは製鉄所へ、亜鉛・マンガンの化合物(亜鉛滓)は亜鉛精錬工場へと送られます。
(参考:野村興産株式会社 http://www.nomurakohsan.co.jp/business/disposal02.htm )
‒ 12 ‒
4.2006 年度から測定されるようになった項目
4-1. 北部購買におけるレジ袋使用率
ここでは、E-COOP と北部購買が行った「レジ袋使用量リサーチ」の結
果について報告します。
「レジ袋使用量リサーチ」とは、北部購買で 1 週
間に使用されたレジ袋の枚数とその週の利用者数からレジ袋の使用率を算
出し、その数値を毎週グラフ化して北部購買前に掲示するという E-COOP
発案の取り組みで、前・後期それぞれ 17 週ずつ行いました。
図 14.北部購買のレジ
レジ袋使用・非使用率の推移の様子はグラフのとおりで、使用率が最も
高かったのが 4 月第 1 週の 66.3%、
最も低かったのが 7 月第 1 週の 53.46%と 10 月第 3 週の 53.49%でした。
平均の使用率は前期が 61%、後期が 59%でした。
100%
90%
80%
70%
60%
50%
非使用率
使用率
40%
30%
20%
10%
0%
4月
5月
6月
7月
10月 11月
12月 1月
図 15.レジ袋の使用・非使用率(北部購買)
2007 年度からは全店舗において、週ごとのレジ袋使用率の調査を行い始めています。桂 A クラスター
ショップでは、2007 年 3 月から 4 月にかけて、レジ袋の使用率が半減しました。4 月に販売を始めた底の
広いマイバッグが好評を得ており、その効果がすぐさま現れたものと見られます。一方、他の店舗における
使用率は概ね 50%台で推移しています。
◆「レジ袋使用量リサーチ」体験談
コラム⑥
初めて「リサーチ」の存在を知ったときは意義をあまり感じ
ていなかったのですが、毎週、数値が目に見える形のグラフで
表されるにつれ、削減の意義を感じるようになりました。開始
から 1 年経った今は、社会全体でこの問題に取り組んでいかな
ければという思いで一杯です。
(北部購買店長・林伸幸)
図 16.掲示したグラフ
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生協・E-COOP 2007 年度の決意
★生協購買の環境宣言
◇テイクアウト弁当における環境配慮を強めます!
・2006 年度はリターナブル弁当をスタートしました。まだまだ大きな取り組み
にはなっていませんが、2007 年 4-5 月に実施したキャンペーンの結果などを
分析し、引き続き利用を増やしていきたいと思います。
・また、2007 年度下期にはリサイクル弁当容器の導入を実現し、京大でのゴミ
削減に大きな一歩を踏み出したいと思います。
◇リサイクル取扱の幅を広げます!
・現状ではリサイクルステーションを中心にした回収となっていますが、トナー・
インクカートリッジなどは、研究室にお伺いしての回収も検討していきます。
・まだ回収システムができていないものについても、蛍光管・光学メディアなど
京大生協 専務補佐
購買部門統括店長
中森 一朗
の回収システムの検討を始めていきます。
・その他、生協ショップ店舗を通じて、組合員のみなさんが地球環境に配慮したライフスタイルを送る
ことができるよう、店舗の品揃えなどを見直していきます。
★生協食堂の環境宣言
◇エネルギーの消費量を削減します!
・2007 年3月より節水システムを以下の店舗に導入し、水道、ガス(湯沸しに
よる削減)で効果を発揮しつつあります。《3月の結果》
中央・・水道(▲ 144m3)ガス(▲ 764m3)
北部・・水道(▲ 48m3)ガス(0m3)
ルネ・・水道(▲ 36m3)ガス(▲ 622m3)
※南部・・効果が確認できていません。
・衛生管理を強化するため従来のオープン冷蔵ショーケースに 2007 年3月から
ドアを装着しました。このことにより庫内温度の安定化がはかられ、電気消費
量を削減できると思います。
◇京都市と協力して廃油の有効活用をすすめます!
・6月より京都市のバイオディーゼル燃料化施設へ提供する予定です。
京大生協 常務理事
食堂部門統括店長
佃 政治
★ E-COOP の環境宣言
◇組合員参加の企画をより拡大します!
2006 年度のエコグッズフェアでは、環境にやさしい商品
を販売・展示したほか、シール投票を行いました。シール投
票では「レジ袋有料化に賛成か反対か」をテーマとしたとこ
ろ、のべ 1000 人近くの組合員の皆さんにシールを貼ってい
ただきました。お店に来て気軽に環境について考える。そん
な機会をもっと増やしていきたいと考えています。
◇三者協働を目指します!
京大生協の環境活動は、E-COOP・生協職員・組合員の三者が協力し合ってこそ拡大していきます。
食堂排水の油分は、E-COOP が細口ドレッシングキャップの考案・導入、生協職員による日々の排水管理、
組合員による細口キャップの利用、という三者の役割が上手く作用した結果、見事に減量に成功しまし
た。
リターナブル弁当の販売数アップ、
レジ袋使用量の削減などについても「三者協働」を実現するべく、
E-COOP はその原動力として今後も粘り強く取り組んでいきます。
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