資料4 平成 25 年度事業評価 施設名:BankART Studio NYK 分科会名:日本郵船横浜海岸通倉庫(BankART Studio NYK) 事業評価及び運営団体選考分科会 総 合 評 価 ■ 評 価 点 ・予算もスタッフも限られている中、 「箱(館) 」の中だけの運営ではなく、約 10 年経って他の施設 や都市などと連携した多岐に渡る事業を行っていることが特に評価できる。 ・ 「続・朝鮮通信使」では国内外で活動連携を行いながらネットワークを構築し、発信力のある創造 活動を実施した。 ・ 「Under35」 (35 歳以下の作家とプロデューサー6組の個展)では、ギャラリー・プロデューサー にも機会を提供し、新しい人材や多様な芸術主体を育てている。 ・バンカートスクール「創造都市横浜のこれまでとこれから Part2」について、横浜市と協働で事 業を実施し、成果を出版したことで、パートナーシップをより確かなものにした。 ・活動記録の書籍を多数出版するなど、ドキュメントを残したことは重要である。 ・広報についてメーリングリストの発信数や DM の発送数が昨年より増加していることは高く評価 する。 ・単なる施設貸しではなく、ノウハウ提供や運営、広報まで行う企業主催の企画展のコーディネー ト事業や文化庁の助成金獲得など、自己収入確保のための努力が認められる。 ・施設の安全管理や作品管理についてきちんと対応できている。 ■ 課 題 ・ 期 待 ・より円滑な運営を行うためにはアドミニストレーション系のスタッフが必要ではないか。 ・横浜市以外の様々な助成金も活用することが運営の安定につながる。 ・昨年度の公募で再選定となり、4年間運営が決定したので、これまで以上に長期的視野をもって 横浜市創造都市施策の「旗艦施設」としての力を発揮してほしい。 ・昨年度の「川俣正展」のような大型企画展が実施できなかったことが残念である。今年度には期 待したい。 ■ 行 政 課 題 ・創造界隈拠点としての実績を運営団体が上げているにもかかわらず、補助金を削減することは創 造都市発展の上でも大きな課題である。 ・建物の老朽化によって生じる不具合に対し、応急処置ではなく長期的な視点をもって計画的に対 処してほしい。 平成 25 年度事業評価 施設名:急な坂スタジオ 分科会名:旧老松会館(現急な坂スタジオ)事業評価及び運営団体選考分科会 総 合 評 価 ■ 評 価 点 ・活動実績は高く評価する。特に柱となる稽古場運営、地域密着連携、経営マネジメントの3つに ついては利用者も増加(昨年対比 115%)し、地域との連携プログラムなどが十分になされてい る。 ・各種利用団体(アーティスト、地域の人々)の多様なニーズに沿った稽古場提供がなされている。 ・稽古場運営に必要なスキルの習得等の面で、スケジュール管理などスタッフのスキルアップおよ びマニュアル化がなされてきている。 ・単なる稽古場の提供に留まることなく、アーティストマネジメントも行っており、通常の稽古場 とは一線を画す新しい形の運営がなされている。 ・横浜市内の施設を活用した作品づくりの取り組みのほか、他地域に発信していくための道筋も考 えられている。 (他公共施設との連携など) ・ニーズの高い学校との連携活動を実施するなど、身近に感じられる活動を実施していることは高 く評価できる。 ・アーカイブの蓄積ができている( 「坂あがりスカラシップのこと」と題したウェブサイトオープ ン) 。 ■ 課 題 ・ 期 待 ・継続的な運営を行うために経営面の見直しを行うべきである。稽古場利用料金の見直し、貸出枠 の検討など、貸出システムの改善が必要なのではないか。 ・発信力のある活動をしており、アーティスト(専門家)側での期待と評価は高まっているが、一 般市民への認知は弱い。行政との連携がなければ一般市民への認知向上は難しい。 ・パンフレット、HP など施設利用の対象者に向けた案内が分かりづらい。 「急な坂スタジオ」のこ とを知らない一般者目線での PR が必要。 ・アーティストと地域の人々、両者の出会いの場としての機能を期待したい。 ・スタッフの過度の業務負荷や健康面などのリスク回避に対するフォロー体制が必要。 ■ 行 政 課 題 ・事業評価軸が「創造性」 、 「まちづくり」など分野も項目も多く、目標が共有しづらい。目標や展 開をどこに定めるのか精査し、運営側の意向と横浜市の意向のすり合わせを行う必要がある。 ・ 「急な坂スタジオ」の持つ機能について、どう次のステージにつなげていくか、最終的な着地点 を明確にする必要がある。 ・急な坂スタジオがサポートしているアーティストの創造的活動が、国際的評価を獲得すべきもの の一つであるならば、横浜市も連動して政策的なサポートを行う必要がある。 ・運営側は現状でできる最大限のことをぎりぎりで行っている。今後も安定した活動を継続してい くためには行政のサポートが求められる。 平成 25 年度事業評価 施設名:初黄・日ノ出町文化芸術拠点施設 分科会名:初黄・日ノ出町文化芸術振興拠点(黄金町エリアマネジメントセンター)事業評価分科会 総 合 評 価 ■ 評 価 点 ・AIR 事業や視察数の増加などを通じて、黄金町の認知が増えている。 ・AIR などの事業を通じてアジアとのネットワークが拡大している。 ・少ないスタッフ体制ながら、多くの事業を実施している。 ・スマートイルミネーションとの連携など、他団体とのパートナーシップによりアーティストが関 わる事業の幅が拡大し、観客増加につながっている。 ■ 課 題 ・ 期 待 ・地域におけるまちづくりの取り組みとアートがどうコミットし、アートが街へインパクトを与え るのか、方向性や対外的なアピールを整理する必要がある。 ・平成 25 年度単年度の収支が赤字となっており、今後改善していく必要がある。 ・AIR 施設について今後稼働率や施設数を増やしていくのか、海外からの短期滞在にどう対応する のかなど今後の方向性を決めていく必要がある。 ・AIR 事業の位置づけは「アーティストによる地域交流」と「海外アーティストの受け入れによる 海外発信」として整理したほうがいいのではないか。 ・より街とコミットしていく人材の登用、育成など今後の人材育成の指針を決めていく必要がある。 ・プロジェクトの自己評価において、アートプロジェクトを通して地域にどのような変化をもたら したのかなどの視点を盛り込み、黄金町という特殊な場での事業の必要性をアピールできるよう なものにしたほうがよい。 ・黄金町芸術学校の参加者について、属性などを分析しターゲットを明確にすることで、目標に即 した事業として整理していったほうがよい。 ・海外への情報発信が課題となっており、今後英語での広報や問合せ対応が必須である。 ■ 行 政 課 題 ・黄金町の事業の目的を明確にし、地域におけるまちづくりの取組とアートがどうコミットし、 アートが街へインパクトを与えるのか、方向性や対外的なアピールを整理する必要がある。 平成 25 年度事業評価 施設名:ヨコハマ創造都市センター 分科会名:旧第一銀行横浜支店(ヨコハマ創造都市センター)事業評価及び運営団体選考分科会 総 合 評 価 ※YCC(旧第一銀行横浜支店を活用するヨコハマ創造都市センターの事業)と ACY(中間支援事業として相談・助成・広報などを行うアーツ コミッション・ヨコハマ)それぞれを個別に評価した。 ■ 評 価 点 (YCC) ・複数年の施設活用期間を得たことで、年間を通じて安定した活動が行われ、利用率・利用料金収入を高 めることができた。 ・YCC スクールなど、大学連携や共催事業に取り組み、稼働率アップにつなげている。 (ACY) ・広報専任のチームをつくり、プロモーションの新たな取り組みを始めるとともに頻繁に情報を発信した。 ・長年の経験の蓄積により、助成事業を丁寧に運営した。特に助成決定後のフォローアップがきめ細やか。 ・不動産広告の作成など、アーティスト・クリエーターを活用したマッチングを実現した。 ・馬車道駅の柱巻き広告など新たな媒体を獲得した。 ・アーティスト・イン・レジデンス事業など、事業内容に新たな展開とネットワークの広がりがみられた。 ■ 課 題 ・ 期 待 (YCC) ・YCC の柱となるような、共催事業・場所貸し以外の自主事業を行うなど、ヨコハマ創造都市センター としての企画力とセルフプロモーション力を高めていく必要がある。 ・自主事業を実施するための予算は、横浜市からの補助金だけに求めず、他の助成金を確保したり自主事 業収入等を充てるなどして、財源の確保に取り組む必要がある(補助金がないことが独自の自主事業が できない主たる理由にはならない) 。 ・創造都市横浜の情報発信拠点としての機能を充足するためにも、施設利用・集客を中心に、さらなる賑 わいをつくりだしていく必要がある。 ・赤字経営になっているなどショップが十分に機能していない。 ・施設利用者に対するアンケートの取り方を工夫し、サンプル数をもっと増やすと、活動の意義を補足し たり、課題に気がつくために有効なデータになる。 ・すでに連携している横浜市内の大学等に加え、よりネットワーク拡充に資するような連携先を模索する ことが望まれる。 (ACY) ・芸術不動産リノベーション助成が未執行になったことは課題。需要の見極めと制度設計の見直しを早急 に行う必要がある。 ・アーティスト・イン・レジデンス事業について、成都市の交流団体にとって本件が初の国際交流事業に なったことなど、事業の紹介実績や成果の PR 方法を工夫するとよい。 ・アーティスト・クリエーターのマッチング実績を、創造都市横浜の PR につなげてほしい。 ■ 行 政 課 題 ・次年度予算や事業の再編等に関しては、運営団体とより密なコミュニケーションをとりながら事業を進 めていく必要がある。 ・施設の活性化のために、施設の東アジア文化都市事業と横浜市が一層連携するとよい。 ・芸術不動産リノベーション助成が未執行になってしまったことは課題。需要の見極めと制度設計の見直 しを早急に行う必要がある(実施団体、行政双方の課題) 。 平成 25 年度事業評価 施設名:象の鼻テラス 分科会名:象の鼻テラス事業評価分科会 総 合 評 価 ■ 評 価 点 ・施設規模からみて、来館者数も多く、十分に認知されているといえる。 ・メディア掲載件数、来館者数、視察件数からも、ウォーターフロントの場所として定着してきていると 言える。 ・運営コンセプトである「市民にひらく」を事業に反映できている。 (パーク・テラス一体のアートイベントの実施、市民の創造性を活用した参加型プログラムの実施など) ・他拠点との連動企画など、1年間という期間で多岐に渡る活動を実施できていることは高く評価できる。 ・事業の実施を通じて、関係区局との連携体制が築かれてきている。 ・スマートイルミネーションは順調に育ち、テラスの大きな成果となっている。 ・スローレーベルは NPO 法人化によって全国的な展開が期待でき、高く評価できる。 ・ 「ポートジャーニー」では横浜のアーティストを海外に派遣するなど、これまで受け入れ側だったものが 発信性をもち、画期的な取り組みとなっている。 ・ 「スナックゾウノハナ」は象の鼻テラスの夜の時間帯の活用として有効である。 ・ 「kozou club」がうまく展開できている。象の鼻という立地ならではのターゲッティングができており、 ニーズに密着した取り組みとなっていて評価できる。 ・象の鼻テラス内のカフェ事業について、フードディレクターによる新メニュー開発などが話題になり、 地味だが PR 効果の高い取り組みがなされている。 ■ 課 題 ・ 期 待 ・屋外を活用することで施設規模を補う集客を得られるようになると良い。 ・限られた人数、資金の中でどう運営するかが課題。これだけ多岐に渡る事業を運営しているため、これ 以上はキャパシティ越えになるのではないか。利益を上げ、スタッフを充実させられると良い。 ・来館者数などの数字よりも、利用者の意見を聞いて評価につなげることの方が重要ではないか。 ・スローレーベルのような活動が展開、自立していくことは評価できるが、象の鼻テラスにとってもプラ スになる見せ方を考える必要がある。 ・既に取り組んでいるように、他区局と政策横断的に事業を協働で行うことが、事業規模の更なる拡大に つながる。 ■ 行 政 課 題 ・象の鼻テラスをもっと視覚的に PR するためにも、駅等の公共サインでの名称表記実現について、局と して取り組んでほしい。 ・文化観光局でイベント利用者へのヒアリングを実施できないか(来館者数などの数字だけでははかれな い質の評価を知るため) 。 活動全期間 事業評価 施設名:ハンマーヘッドスタジオ新・港区 分科会名:新港ふ頭展示施設(ハンマーヘッドスタジオ新・港区)事業評価分科会 活動全期間(H24.4-H26.4)総合評価 ■ 評 価 点 【運営評価】 施設の安全管理について、運営側のマネジメントにより入居者が使用ルールの遵守等に自主的取り組 み、2 年間大きな問題もなく運営できた。 個別ブースはほぼ満室で、日常的に創作活動の場として昼夜利用されていたため、実働時間の多いス タジオとなっていた。 施設終了後に横浜での活動を継続する入居者が相当数あった。 C,Dブロックは入居者の交流や協働の場として運営され、共同スタジオの効果を発揮した。また一 部スペースが著名な作家の展覧会作品制作場所として利用され、施設の認知度向上や評価に繋がっ た。 2 年間の活動を書籍「ハンマーヘッドスタジオ新・港区」にまとめ発刊したことは、広報にも繋がる 取り組みである。 本施設の特性を生かし、活動場所としての横浜の認知を高めることができ、また施設としての活動を 海外へも発信できた。入居者に対しては、オープンスタジオ開催が広報面での支援となった。 【経営評価】 運営団体本体の活動と連携することで、経営を効果的に進めることができた。 入居者とのコンセンサス形成に努め、水光熱費等の費用削減にも努力がなされた。 【創造性評価】 多分野の入居者が関わるプロジェクトやオープンスタジオ時の自主企画など、入居者の主体的な動き が出てきたことが評価できる。大勢の人が一つの空間で活動している意味を示すことができた。 多様な分野の様々な成長ステージにある入居者の創作活動を円滑に促進できたのは、運営団体の熱意 とノウハウに負うところが大きい。入居者の多くは具体的な成果を上げてステップアップしており、 自立への可能性を高めた。 地域との交流については、制約は多かったが、その範囲内ではできていた。 【政策達成評価】 遊休施設を暫定で 2 年間うまく活用できたことは、政策達成面での第一の成果である。 運営者と入居者のコンセンサスに基づく共同スタジオとして、様々な協働が生まれ、ネットワークが 形成された。 国内外の都市間交流、ネットワーク形成については、海外からの視察や大学のシンポジウム開催等で 交流、認知が図られた。 ■ 課 題 「アート」が前面に出ることで、 「インキュベーション施設」としてはやや閉鎖性を帯びたイメージ となってしまうことがもったいなかった。デザインや創造産業など多様なジャンルの関係者がもっと 入居者の成長やサポートに関わることのできる仕組みが必要であり、そのためには運営者の一員であ る「新港ピア活用協議会」が実質的に機能し、もっと活動にコミットすべきであった。 広報面では、一般市民や社会へのPRには十分手が廻っていなかった。 地域(市民・事業者)との交流、地域からの認知については、港湾エリアの制約と、市街地との距離 の関係もあり難しい面が多かった。 創造産業の集積への寄与や起業インキュベーションという点では、アーティスト・クリエーターの自 立の道筋が見出だせたというスタートの段階であった。本事業始動時にこうした目的が明確にされて いないことも一因だった。 2 年間の活動で得たアーティスト・クリエーターの発掘、育成に係わるノウハウを顕在化する作業に 期待したい。 ■ 行 政 課 題 「インキュベーション施設」として、どのような役割を運営団体に期待するのかを明確にしておくべ きであった。また今後「インキュベーション施設」を開設することがあれば、民間との競合にならな いよう、入居者のどういうステージを担うのかをしっかり考えることが重要である。 今後市が同様の施設を運営する際には、施設終了後の対応を含めた施策を示すべきである。 創造都市施策上、運営の成果(入居者、運営者、ネットワーク、運営ノウハウ等)をどう活用するか が今後の可能性であり課題となる。 本施設の活用は、今後の都心臨海部の土地・建物利用の可能性を広げるものと言える。この点は本施 設を会場として開催する「ヨコハマ・トリエンナーレ 2014」にも期待したい。規制緩和等の余地が 課題である。 運営の成果と課題を整理し、創造都市施策の中でこのような施設の必要性を位置付け、次の展開に繋 げていってほしい。
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