睾丸腫瘍の脳転移に対する治療法について

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睾丸腫瘍の脳転移に対する治療法について
山本, 憲男; 酒徳, 治三郎; 瀧原, 博史; 藤沢, 章二; 柳, 邦治;
松山, 豪泰; 篠原, 陽一; 清水, 功基; 林田, 重昭; 津波, 満
泌尿器科紀要 (1985), 31(8): 1489-1499
1985-08
http://hdl.handle.net/2433/118560
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
1489
泌 尿 紀 要31巻8号
、1985年8月
睾 丸腫瘍 の脳転移 に対 す る治療法 について
山 口大学医学部泌尿器科学教室(主 任:酒 徳治三郎教授)
THE
山本
憲 男 ・酒 徳 治三 郎 ・瀧 原
博史
藤沢
章 二 ・柳
豪泰
邦 治 ・松 山
篠原
陽一 ・清 水
林田
重 昭*・津 波
EFFECTIVENESS
OF
CRANIOTOMY
FOR
功基
満**
CHEMOTHERAPY
BRAIN
NON-SEMINOMATOUS
AND
METASTASIS
TESTICULAR
OF
TUMOR
Norio YAMAMOTO,
Jisaburo SAKATOKU,
Hiroshi TAKIHARA,
Syoji FUJISAWA,Kuniharu YANAGI,Hideyasu MATUYAMA,
Youichi SHINOHARA
and Kouki SHIMIZU
Fromthe Department
of Urology,Yamaguchi
UniversitySchoolof Medicine
(Director: Prof.J. SakatokuM.D.)
Shigeaki HAYASHIDA
From TokuyamaCentralHospital
Mituru TUWA
Fromthe Department
of Neurosurgery,
Yamaguchi
UniversitySchoolof Medicine
Four patients
were treated
with non-seminomatous
with
combination
an effort to remove
treated
chemotherapy.
the metastatic
with PVB chemotherapy,
metastasis
but not against
the
testicular
tumor who already
Three
patients
lesion and intracranial
which was effective
brain
metastatic
had received
hematoma.
against
lesions,
had brain
craniotomy
in
Two of them who were
pulmonary
died within
metastasis
and
retroperitoneal
3 months ; the other
patient is receiving intense postcraniotomy
chemotherapy using Cisplatin and large doses of
Methotrexate administered with the Leucovorin rescue method which has shown a remarkable
response
receiving
against
the brain
VAB VI protocol
brain may consolidate
retroperitoneal
lymphnode
adjacent
As induction
g/body)
The metastatic
calcification,
simillar
testicular
improved
remaining
patient
lesion in the temporal
to the calcified change
has
been
lobe of his
observed
in the
to the intracerebral
a large
was effective in attaining
*現:徳
山 中 央 病 院 泌 尿 器 科 部長
**現:山
口大 学 医 学 部 脳 神 経 外 科 教 室
therapeutic
effects against brain metastasis
tumor:
to achieve an effective
therapy,
The
after chemotherapy.
ways to induce
of the non-seminomatous
It may be difficult
of choriocarcinoma.
for 3 months.
through
We discuss potential
diately
metastasis
tumor,
drug concentration
level in the
tissue
imme-
because of the blood brain barier.
dose of Cisplatinum
an effective
(230 mg/body)
drug concentration
or Methotraxate
(10
level in the tissue adjacent
1490
泌 尿 紀 要31巻8号1985年
totumor.
Priortothestemcellassayofthebrainmetastatictumor,1,100mgCisplat至numand
l,700mgVPI6wercadministercdfortreatment.Theresultsofthestemccllassayinvitro
showedaresistancetoCisplatinumandVP16.
RoutinebrainCTscanningisusefulfordetect1ngametastaticlesioninitsdevclopment.
Irdctected,multidisciplinarychemotherapyshouldbeperformed.Thecombinationofactive
brainsurgeryandstrongchemotherapywillimprovetheprognosisoftesticu正arcancerpaticnts
whohavebrainmetastasis.
Keywords:Testiculartumor,Brainmetastasis,Chemotherapy,Craniotomy
CDDP600mg,Vinblastin60mg,Pcpleomycin
緒
言
240mgを
転 移 を有 す る非 セ ミノ ー ム性 睾 丸 腫 瘍 は,過 去 に お
用 い たPVB療
いて は 予 後不 良 の疾 患 と され て い た.し か し近 年Ci-
→27u(後),α
splatin(以 下CDDPと
u(後)と
略す)を 導 入 したPVB療
法(CDDP,Vinblastin,Bleomycin)の
発現に よ
り急 速 な 進 歩 をみ る よ うに な って きた.Stage皿
上 の 睾 丸 腫瘍 例 に 対 し て,PVB療
以
法 と手 術 療 法 を 併
下 降 し た.6月5日
り効 果 は 認 め ら れ な か っ た.肺
で,同
crnの2ヵ
年7月9日
転 移 巣 も残存 してい る
右 側 頭 葉 の 転 移 巣3×4cmと2×3
所 を 摘 出 し た.(Fig.2)は
術 前 の 頭 部CT
の 所 見 を 示 す.転 移 巣 の 組 織 学 的 診 断 はChoriocarci-
内転 移 巣 に対 して は著 明な 縮 小 効果 を認 め るが,脳 転
nomaで
移 巣 に 対 して は 薬剤 の移 行 な どに つ い て,そ の効 果 に
HCGは2,200u→46,000uと
若 干 の問 題 が あ る よ うに 思 わ れ る.そ こでわ れ わ れ は
た が,全
脳 転 移 を きた した非 セ ミ ノー ム性 睾 丸腫 瘍 の4例 を経
下 降 し た.8月9日
験 した ので 自験 例 を中 心 に 化 学療 法 の あ り方,お
応 を 示 さ ず,10月2日
よび
よ りcDDP30mg/day,
間 使 用 を お こ な った が あ ま
が も っ と も生 命 を お び やか す 脳 転 移 巣 を 除 去す る 目的
に な って きて い る1).
法は後腹膜転移巣や胸腔
β5,400u(前)
一フ ェ トプ ロ テ イ ン1,900u(前)→97
VPi6100mg/dayの5日
用 す る こ とに よ り70%以 上 の寛 解 率 を得 る こ とが 可 能
しか しな が らこ のPVB療
法 が 実 施 さ れHCGは
690,000u(前)→1,100u(後),HCG一
あ っ た.開
頭 術 前 後 の化 学 療 法 の 中止 に よ り
一過性 上 昇を 示 し
脳Linac照
射2,200Rに
よ り570uま
よ り再 び 化 学 療 法 を 再 開 し た が 反
頃 よ り舌 の も つ れ,運
動失調な
手 術 療 法 の 限 界 な どに つ い て 若 干 の 文献 的 考 察 を 加 え
ど の 小 脳 転 移 症 状 が 出 現 し 始 め,1984年10月9日
て報 告 す る.
お よ び 呼 吸 不 全 の た め 死 亡 し た.
症
症 例1.大
○ 市024歳
病 歴:1983年10月
症 例2森
例
会社員
置 し て い た.1984年1月20日
社 会保 険徳 山 中央 病 院 泌
に 腫 大 し,か
査 所 見 では
ェ トプ ロ テ イ ン1,900u,HCG480,000u,HCG一
36,000uと
高 値 を 示 し,胸 部X線
の 転 移 巣 を 認 め た,腹
β
で両 側 肺 野に 散 在性
部 エ コ ー で47×72mmの
動 脈 リ ン パ 節 転 移 と 頭 部CTで
α一フ
労大
右 後 頭 葉に 転 移 を 疑
わ せ る 所 見 を 認 め た,
出 血 巣 を 認 め,組
carcinomaの
年5月4日
頃 よ り腹 痛 を き た す よ
某 泌 尿 器科 を受 診 し睾 丸腫 瘍
の 診 断 に て 高 位 除 睾 術 を 受 け た.5月18日
目 的 で 大 学 病 院 に 紹 介 さ れ た.腹
部に 小 児 頭 大 の表 面
不 整 な 硬 い 腫 瘤 を 触 知 し,腹 部CTに
囲 ん で11.3×7.2cmの
化 学療 法 の
て大 静 脈 を と り
労 大 静 脈 転 移 巣 を 認 め た.胸
部 レ線 撮 影 で は 両 側 肺 野 に 散 在 性 転 移 を 認 め,DIPに
て 右 中 等 度 水 腎 症 と尿 管 の 変 位 を 認 め た.検
査所見で
は α一フ ェ トプ ロ テ イ ン1,600ng/ml,HcG一
β440ng/
高 値 を 示 し た.
入 院 後 経 過:(Fig.3)
睾 丸 腫 瘍 と 診 断 し,1984年1月24日
位 除 睾 術 を 施 行t摘
会社 員
m1,LDH1,634μ,CRP(6+)と
入 院 後 経 過:(Fig.1)
Stage皿cの
う に な り,同
肺炎
頃 よ り右 睾 丸 の 腫 大 に 気 付 い て い
た が 放 置 し て い た.1983年4月
尿 器 科 受 診.受 診 時 右 睾 丸 は 健 側 の 約2倍
つ 手 挙 大 の 腹 部 腫 瘤 を 触 知 し た.検
○ 哲021歳
病 歴:1982年5月
頃 よ り塁 丸 の 腫 大 に 気 付 い た が 放
で
高
出 腫 瘍 の 割 面 は 黄 【lll色
髄 様 で一 部
織 学 的 に はseminomaとchorio-
混 在 が 疑 わ れ た .同
年2月1Hよ
入 院 後 直 ち に 化 学 療 法 が 開 始 さ れCDDP500mg,
pep丘eomycin270mg,Vinblastin45mgを
PVB療
り
法3ク
ン お よ びHCG一
ー ル が 施 行 さ れ た.α
用 いた
一フ ェ トプ ロ テ イ
βの腫 瘍 マ ー カは 正 常 とな った が胸 部
1491
山 本 ・ほか:聖 丸 腫 瘍 ・脳 転 移
』
舅
閣
LINAC2200R
Fl、lll1
lll・ 目lln。
閉
閉
舅
VPユ6
1xlO4
阿BC
りBC5
1…3
ド隣
LDH
0
↑
CRA圓lOTOMY
鈴
爾 ◎
蝿
2x103
cl,-F訂
LDH
。
ユ
一
・FETO
0
54x10
3
HCG
2
HCG
ユ
0
2
4
3
5
6
7
8
9
10
Fig.1.Case1.0,T.24Y.Ghoriocarcinoma
膜 リ ンパ 節 郭 清 手 術 を 施 行 した.摘
は6×12cmで1209の
s'1.1
'♪ウ
轟
\
灘
●
わ
ン ジ 状 の 壊 死 組 織 で あ っ た が,腫
瘤 表 層 部 分に 一 部 角
化 を と も な うsquamousca・
に 証 明 さ れ た,化
12月6日
学 療 法 を さ ら に1ク
組織学的
ール 追加 後 同年
;r
'
〆`「A
右 肺 中 下 葉 切 除 を 外 科 に て お こ な っ た.摘
肺 の 右 下 葉 に2個,中
め,大
雛
葉 に1個
部hamartoma
組 織 学 的 に 証 明 され た.1984年1月
10日 外 科 よ り泌 尿 器 科 に 再 転 科 し,左
偽
樫
対 し て 化 学 療 法 を 考 慮 中2月1日
サ
る よ う に な り,頭
部CTで
Pt'r野
肺 残 在 転 移 巣に
よ り意 織 障 害 を 訴 え
左 側頭 葉 に 転 移 巣 と出血
を 認 め る よ うに な る(Fig.4).2月5日
:
出
の結 節 状 転 移 巣 を 認
部 分 が 壊 死 組 織 で あ る が,一
とteratomaが
脳 圧充 進産
状 が 悪 化 し て きた た め 開 頭 術 を お こ な い 転 移 巣 の 摘 出
お よ び 血 腫 の 除 去 を お こ な っ た.脳
勇ot
転移 巣 の大 き さは
願 騙
Fig。2.右
頭 頂 葉 に2個 の転 移 巣 を 認 め る
約3×4cmで
nalca・
追 加 し た あ と 同 年10月20日
灰 白 色 を 呈 し,組
で あ っ た.脳
に 後腹
に 示 し た.CDDPお
織 学 的 に はembryo-
よ り摘 出 し た 転 移 巣 の 一 部 を 用
い て お こ な つたstemcellassayの
転 移 巣 が 残 存 し て い る た め さ らに,CDDP400mg,
VP161,100mgを
とteratomaが
」一
響多
馬
\鮎 邑oげ
ゆ
L
面 は ほ とん どが スポ
㌫
轟
∼
出 転移 巣 の大 き さ
重 量,割
よ びVP-16に
結 果 を(Fig.5)
対 して抵 抗性 で
泌尿 紀 要31巻8号1985年
1492
閉
ロ
羅
WBC
閣
ロ
コ
巨 、illl,11s 閣
閣
閣
1閉
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WBC
O〈-FEτ 。
ll
↑
惨禽論 《
1[
LDH
〈\ 晶
RPLD
@⑤
R丁LOBECTOMyCRANrOTOMY
◎
幽
LDH
〃、
0(-FET。
2x102
HC6
1
ト
HC6
0
58/5
6
7
8
910工11259/1
2
Case2.M.T.21Y.Embryonalca.
Fig.3.
治療 を 拒 否 す る よ うに な り,1984年2月29日
望に て退 院.同 年5月
症 例3渡
○ 正024歳
病 歴=1984年1月
会社 員
頃 よ り右 睾 丸 の無 痛 性 腫 大 に気 付
いた が 放 置 して い た.同 年7月21日
一
』
一毒
灘
覇
覧
患 者 の希
自宅 近 くの病 院 に て死亡 した.
某 泌 尿器 科 医 を受
診 し睾 丸 腫 瘍 の診 断 の も とに 高 位 除 睾 術 を 受 け た.摘
出 睾 丸重 量 は200gで,組
一'
織 学 的 に はseminoma,
emb「yonalca,cho「iocarcinomaの
た.除 睾 術 後3日
複合型 であっ
目よ り吐 血 お よび タ ール便 を認 め る
よ うに な り,大 学 病 院に 紹 介 され た.入 院時 顔 面 は 貧
己
114,000uと
ぐ慧
、
'
'㌦
、? ,
'「
ρ駕…r匿-一
Fig.4.右
低 下 し,胸 部X線 に て両 側 肺 野に 散
在 性 転 移 を認 め た.α 一フ ェ トプ ロテイ ン65u・HCG
・
鰯
'
血 状 でHt27%と
隊_
ノ
.〆!
側 頭 葉 に 血 腫 を と もな う転 移 性 腫 瘍 を
入 院 後 経 過:(Fig.6)
入 院 直 後 よ り消 化 管 出血 に 対 して保 存 的 治療 を お こ
な って い た が 出血 を コ ソ トロ ールで き ない た め1984年
8月15日 胃全摘 除 術 を 施 行 した と ころ 胃壁 にchoriocarcinomaの
認める
高値 を示 し てい た.
転 移 巣2個 を 認 め た 、 胃切 除 術 後 もタ
ー ル便 が 改善 せ ず 全 身状 態不 良 のた め 化 学 療 法 を開 始
あ る こ とが 証 明 さ れ,む
の 効 果 を 認 め た た め,α
を2週
しろ イ ンタ ー フ ェ ロ ンで 若 干
型 イ ン タ ー フ ェ ロ ン18×103u
間 投 与 し た が 発 熱 を 認 め,ま
た患 者 が す べ て の
で ぎる状 態 に い た らな か った.同 年9月 初 旬 よ り意 織
障 害 を きたす よ うに な り,9月4日
の頭 部CTで
前頭 葉 へ の転 移 お よび 脳 室 内 出血 を認 め(Fig.7),意
右
山本 ・ほ か:窒 丸 腫 瘍 。脳 転移
1493
O-一 一 ・■QVP-16
●一一 一噸CDDP
(01。)
ム ロロ ロ
100____一_一_.
一 霧
、
㌘
璽、 ・一
、 、、 \
垂
一 ・
務
一一 ・
一
一蓬
一一一
50
40
30
20
ノ19'hourtml
10'1110
Fig.5.驚lnvitroscnsitivityforADM,CDDP
識 消 失,呼
吸停 止 を き た した ため 緊 急 開 頭 手 術 を 施 行
した.右
前 頭 頭 頂 部 の 転 移 巣(1.5cm,2.5cm)2
.VP-16
第3日
目 にBleomycin20mg/M2を
個 と血 腫 を 除 去 し脳 室 内 ド レ ナ ー ジ を 施 行 し た.開
頭
す るVABV【
与 を1ク
療 法 を3ク
手 術 の 翌 日 よ り挿 管 状 態 の ま ま でCDDP30mg/day
の 化 学 療 法 終 了 後14日
の 化 学 療 法 を 開 始 し た が 症 状 の 改 善 を 認 め な い た め,
O%と
同 年9月18日MethotraxateIOg/Bodyの
とLeucovorinに
大量療法
よ る 救 援 療 法 を お こ な っ た.腫
瘍
マ ー カ のHCGは290,000u(前)→5,400u(後)
と著 明 な 下 降 を 示 し,全
の 後 さ らに2ク
のCDDP前
投 与 に よ るsynchronizationとMe-
thotraxate大
量 救 援 療 法 を 継 続 中 で あ る.
症 例4藤iO明38歳
きた し某 医 を 受 診.こ
睾丸の
β2.3uと
の 大 き さ は14×15cmで
瘍部割面
あ っ た.
強力 な化 学 療 法 に と もな う 白血球 減少 に 対 処 す るた
め 骨 髄 移 植 を 予 定 し,6月8日
よ り8月24Elま
左 側 頭 葉 に脳
9).同
年10月26日
吸 収 さ れ,う
の 同 部 のCT所
見 で石 灰像 は や 」
す く な っ て き た た めIl月2日
来 に てfollowup中
退 院 し,外
で あ る が 同 年12月4日
現 在 で再
発 の 所 見 は 認 め ら れ な い.
考
察
導入 さ
れ て 飛 躍 的 進 歩 を み る よ うに な っ て き た.CDDPの
組 織 学 的 に はseminoma
とembryonalcarcinomaで
6月18日
に 施 行 し た 頭 部CTで
使 用 さ れ る 以 前 で は,ActinomycinD,Endoxan,
高 位 除 睾 術 を お こ な い,腫
の 骨 髄 液 を 採 取 し,白
後 腹 膜 リ ン パ 節 郭 清 術 を 施 行 し た.
近 年 睾 丸 腫 瘍 に 対 す る 化 学 療 法 はCDDPが
高 値 を 示 し た.
入 院 後 経 過:(Fig。8)
1984年5月22日
1984年10月4日
睾 丸 は 鶏 卵 大 で 表面 は 不
部 皮 膚 と ゆ 着 を 認 め る.LDHl,608u,HCG
32.36u,HCG一
ー ル 目に つ い て は 準 無 菌
転移 病 巣 と思 わ れ る リンパ 節 は灰 白色 泥 状 化 し組 織学
副 睾 丸 炎 また は 睾 丸 腫瘍 の
疑 い で 入 院 の 運 び と な る.右
整,一
あ っ た.2,3ク
同 年9月24日
の と き右 睾 丸 の 有 痛 性 腫 大 に 気
年5月16日
ー ル終 了 後 の転 移 リンパ節 に 対 す る縮 小 効果
は 約90%で
転 移 を 疑 わ せ る 石 灰 化 像 を 認 め た が 放 置 し た(F三g.
き さが も との大 きさに も ど らな い た め 当 科
外 科 を 受 診.同
中球
間 の 無 菌室 隔離 を お こな っ
的 に 腫 瘍 細 胞 は 証 明 さ れ な か っ た.
頃 よ り風 邪 様 の 発 熱 と 腹 痛 を
付 き 副 睾 炎 と し て 治 療 を 受 け て い た.4月23日
痛 み と,大
ール目
自営 業
病 歴:1984年4月3日
クール 目
目 でWBCI,300/mm3,好
な っ た た め 約2週
た.1ク
ー ル 施 行 した.王
目
ール と
室 状 態 で の 管 理 が 可 能 で あ っ た.
身 状 態 の 改 善 と胸 部 転 移 巣 の
い ち じる し い 縮 小 を 認 め た.そ
投 与,第4日
にCDDP230mg(120mg/M2)投
腰 麻 下 に 約2,000ml
血 球 成 分 を 分 離凍 結 保 存 した ・
で にEmdoxan600mg/M2,
MTX,Vinblastinな
わ ず か に10∼20%の
どの単 独 また は 併 用 療 法 に よ り
寛 解 率 を 得 る の み で あ っ た.Ei-
nhornら
は1974年
以 来,CDDP,Vinblastin,Bleo-
mycinの
組 合 せ に よ るPVB療
以 上 の 非 セ ミ ノ ー ム 症 例205例
法 に よ りStagell
に つ い て70%以
全 寛 解 を得 る こ と が で き た と報 告 し て い る1)
PVB療
法 は 理 論 的 に はVinblastinに
Vinblastin4mg/M2,ActinomycinDI・omg/M2,
期 細 胞 の 停 止 作 用 プ ラ スBlcomycinの
Bleomycin30mg/bodyを
よ り相 乗 作 用(syngeniceffect)が
初 日に 投 与 し,第2,
上の完
よる分 裂 中
殺 細 胞効 果 に
現 れ る.そ
こに
泌 尿 紀 要31巻8号1985年
1494
門TX
CDDP
冒
zaMTX
3X
VBし
gx51〔b
BL門
CHEMO
了HERAPY
10xlO3
騨BC
WBC
5
0
310
xle
しDH
5
LDH
0
3
3x10
けユヒ リソ
ム ア ピ むドソ
ロ けロ マむハソ
t
↓1
O〈-FETo
2
1
0
一FETO
⑥
頭 部CT
胸写 肉
轟
鍋
5
3xlO
鈴
HC6
2
1
HC6
0
7
8
9
20
11
Fig.6.Case3.W.M.24Y.Embryonalca.十Chorloca.
毒 性 が 異 な り,腎
排 泄 で 半 減 期 の 長 いCDDPを
組
は あ る が,わ れ わ れ の 経験 した症 例1∼2で
は脳 転 移
合 せ る こ と に よ り さ らに 強 力 な 相 乗 効 果 が 得 ら れ る と
巣に 対 す る効 果 は 少 な い よ うに 思わ れ る.こ れ は次 に
し て い る.PVB療
述 べ る よ うな理 由に よ るで あ ろ う と考 え られ るの で,
16の
法 後 再 燃 し た 症 例 に 対 し て はVP-
組 合 せ に よ るsalvage療
法 を 提 唱 し て お り,
さ ら に 再 燃 し た 症 例 に はIfosphamidcの
るthirdlinechemothrapyを1{鮭
組合せに よ
唱 し て い る,
しか し な が ら こ れ ら の 化 学 療 法 は 腹 部 お よ び 肺 の 転
移 巣に 対 して は充 分 な抗 腫 瘍 効果 を 得 る ことが 可 能 で
以 下 各 要 因 に つ い て考 察 を 加 え る.
① 血 液脳 関 門(bloodbrainbarrier以
略 す)の 存 在.
②使用薬剤量の問題
③ 感受 性 の問 題
下8BBと
山本 ・ほ か
1)血
液脳関門にっいて
BBBの
1495
睾 丸腫 瘍 ・脳 転 移
astrocyteのfeetが
解 剖学 的 特 微 と して は 脳 毛 細 血 管 の 内皮 細
胞 とそ の 外 側 のbasemcntmembraneの
と り まい て い る.内
に あ るtightjunctionの
皮 細胞 の間
大 き さは約1.5nmと
い
わ れ て お り,物 質 分 子 量 に対 す る関 門 の一 部 で あ ろ う
間 を密に
と考 え られ て い る2).し か し この他 に 物 理 的 現象 と し
て の透 過 性,浸 透 圧,脂 質親 和 性 の程 度 を 示 す 分 配 係
数,PHに
よ る イオ ン化傾 向,血 漿 蛋 白の 結 合程 度 な
ど も関与 し て くる.さ らに 転移 性 脳 腫 瘍 の よ うな病 的
状 態に お い ては 脳 浮 腫 の程 度,炎 症 の有 無 な どに よ っ
て も薬 剤 のBBB透
過 性 は 異 な って くる と 考 え られ
る.
睾 丸 腫 瘍 の 治療 に 頻 用 され る抗 癌 剤 の なか で もVinblastinはBBBを
CDDPな
通 過す る が,Bleomycin,MTX,
ど は比 較 的BBBの
通 過 は不 良 で あ る.
最 近 では 転 移 腫 瘍 組 織 の部 分 ではBBBが
存在し
て い な いた め,脳 転 移 巣に お い て も他 の 臓 器 の転 移 巣
とほ ぼ 同様 な抗 癌 剤 の組 織 内濃 度 が 得 られ る.し か し
Fig.7.右
なが ら正 常 組 織 との 境 界 部(brainadjacenttumor
前 頭 葉 へ の転 移 お よび 脳 内 出血 を 認 め る
CDDP
習
23。ng1
ENDOXAN
ト
VBL
BL凹
ACD
10xlO3
WBC
5
WBC
0
2xlO3
LDH
ユ
L
-.,"・.
...一._一
一・
・M_.一
一一.一一.一 一.・ ・_.一 … 一一.一
一.一一 ・.LDH
0
◎ ◎
ξ、,
●'
\》
グ
●9
、
スーli
グ
訊.FETO
100
τ
HCG
6
4
2
HCG
0
5t6789、
OrchiectomyRP1」D
Fig.8.Case4F.A.39Y.Seminoma十Embryonalca
訟
ユ
、
1496
泌 尿 紀 要31巻8号1985年
以下BATと
略 す)で
はBBBが
保 存 され て い るた
って 抗 癌 剤 の選 択 に 際 して 腫 瘍 そ の もの に 対 して 感受
め薬 剤 の移 行 が 悪 く,こ の ことが 転 移 性脳 腫瘍 の化 学
性 の あ る抗癌 剤 を選 ぶ と 同時 に,BBBを
療 法 を 困難 に して い る とす る考 え が 多 い3'4),し たが
に も移 行 しや す い性 質 を 持 った 薬 剤 を選 ぶ よ う努 め な
け れ ぽ な らな い.
岡
2)使
/鱗編
雛遮
懲灘 灘
咋
.メ
み
薦
霧 .
μ狗
・
㌧鷺簿
・
≠ズ
.死診
賜
ド
L
㌧
投 与 後 脳 腫 瘍 内へ の移 行 を 測 定 した結 果,0∼2.4時
間 後 で筋 肉組 織 とほ ぼ 同様 なo.43∼1.29μ9/9の
度 が 得 られ た と し て い る.ま
たBATの
・
.¢
1
度は 低 く
な って お り,正 常脳 組 織 では 腫 瘍 部 分に 比 して約1/3
の濃 度 で あ った と報 告 し て い る.
わ れ わ れ は症 例1お
よび2に お い て,肺 や 後 腹 膜 リ
ンパ 節 の 転移 巣 が 縮 小 また は 消失 したに もか 玉わ らず
ズ
が ごチ
ン
〆
ー
籍/
脳 転 移 巣 が 残存 した こ とに つ いて,最
/
\
投 与 量 が20-30mg/M2と
〆
初 はCDDPの
少 な い ため に 充 分 な 腫瘍 内
濃 度 が 得 られ なか った た め に脳 転 移 巣が 残 存 した と考
'\
纏
隔
え た.し か し上 述 のStewartら
,/
§
象
の報 告 を 参 考 にす る
と,腫 瘍 内 では あ る程 度 のPlatinum濃
れ た が,結 果 的 に はBATの
左側頭葉に転移を疑わせる石灰化像を
認め る
度が 達成 さ
領 域 で低 濃 度 のCDDP
を く り返 し投 与 す る よ うに な って しま った た め,後 述
蚕ぎ
ll塾
託
ミ
ニ
誉
3
3
壽
ユ00
URINEEXCREATION
2
1
50
(MTX)INCSF
0
N_→,,TX)1、B、
一1
濃
濃度 測 定 で
は腫 瘍 よ り遠 ざか る に つれ てPlatinum濃
写 》
Fig,9.
脳 腫 瘍 内へ の移 行 に つ い て,Stewartら3)
は12例 の脳 腫 瘍 患 者 に20∼25mg/M2のCDDPを
.・
薦
・
用 薬 剤 量 の問 題
CDDPの
lt/./.
tt
㌢
通 過 しBAT
0
一2
一
ー5-4-202468101220243648
一一
一
一一一
一一一→ト
ElFig.10.MTXpharmacokinetisinurine,量bloodandCSF
。。D
1497
山本 ・ほ か:睾 丸 腫 瘍 ・脳 転 移
る よ うな 耐性 獲 得 の 問題
感 受 性 の変 化 な どを 生 じて
きた の か も知 れ な い.
症 例4で
は,症
す るConsolidationを
苦 い 経 験 か ら 腫瘍 に 対
120mg/M2(2301ng/bady)の
も,腹
多 量 投 与 を 含 むVAB
よ る 導 入 療 法 を お こ な っ た.そ
の結
す よ うに 脳 内 転 移 巣 と思 わ れ る 部
対 し て 効 果 を 期 待 で き な い た めMTX
お け るMTxIog/bodyを6
時 間 で 点 滴 静 注 後3時
間 目 よ りLcuc・v・
間 ご とにrcscueを
・in15mg
939μMILで
あ り,血
α相 で
間 で あ っ た.脳
脊 髄液への
相 で7.1時
間 目 で8.85μMILの
排 泄 さ れ て い る.こ
間 の遅 れ で ,
最 高 濃 度 が 得 られ
中 排 泄 は 投 与 終 了 後36時
閥 ま で に 総 投 与 量 の98
れ ら のpharmacokinetics
の デ ー タ に 基 ず い て 計 算 さ れ たMTXの
度 × 時 間)はcentralpart(血
織 中)で
際 に 用 い ら れ るMTXの
は8.62
たが って 計 算 され た
総 被 爆 量 は,白
血 病 の治 療 の
直 接 髄 腔 内 注 入 した 場 合 の
被 爆 量 に 勝 る と も 劣 ら な い も の で あ る5).
MTXとLeucovorinに
常細
胞 と種 瘍 細 胞 の 分 裂 時 間 の 差 を 根 拠 に 理 論 づ け さ れ た
常 細 胞 で は 核 酸 合 成 に 必 要 なDi略 す)の
働 きが
よ り 一 時 的 に 阻 止 さ れ て い る が,Lcuco与 に よ り再 びDHFRが
成 が 可 能 と な る.し
長い癌細
細 胞 内 に 取 り込 む こ と が で き
つ い て はMTX大
MTX投
脳 転移 に対 し て は 常 用 量 の
与(10∼30mg!day)よ
の よ う に 大 量 のMTX投
こ な っ たstcmccllassayの
結 果 で あ る.脳
手術以前
に 総 量1,100mgのCisplatin,と1,700mgのVP16が
す で に 投 与 さ れ て い た.本
20∼30mg/M2投
μ9!9程
症 例 で の1回CDDP
与 で は 脳 腫 瘍 内 濃 度 はo.4∼1.2
度 し か 得 ら れ な い し,vP-16の1回60∼80
与 で は3∼10μ9・hour/ml程
度 の 濃 度 しか
達 し て い な い と推 定 さ れ る.(Fig.5)よ
%の
りinvitro
濃 度 で はCDDPで9∼30
コ ロ ニ ー 抑 制,VP-16で0∼5%の
コ ロ ニー抑
制 が コ ン ト ロ ー ル に 比 し て 認 め られ る の み で,両
と も 耐 性 を 示 し て い る こ と が 裏 付 け ら れ る.し
て 症 例2に
つ い て は これ 以 上CDDP,VP・i6を
薬剤
たが っ
投与
retrospectiveに
考 え る と,本
症 例 で はPVB療
た
法 お
よ びVP-16が
肺 転 巣,後
た の に 対 し,脳
転 移 巣 の 癌 細 胞 は 耐性 を 示 唆 して い る
腹 膜 転移 巣に は 有 効 で あ っ
の で や は りinductiontherapyの
重 要 性 を再 認 識 さ
り も む し ろ 症 例3
与 とLeucovorin救
療 法 を 併 用 す る こ と に よ り,本
来BBBを
脳 転 移 の頻 度 と手 術 適 応
脳 腫 瘍 全 国統 計 調 査 報 告(1969∼1978)に
よ る と10),
中 肺 癌 よ りの転 移 が も っ と も多
く49%で あ り,泌 尿 器 系 腫 瘍 よ りの脳 転 移 は 約5%で
で 下 降 し,
写 で も 著 明 な 改 善 が 認 め ら れ て い る.
choriocarcinomaの
脳 転移 巣 の摘 出組 織 を 用 い てお
転 移 性脳 腫 瘍2,153例
量 投 与 に よ りHCG
は290,000u(前)→5,4001・(後)ま
頭 部CT,胸
症 例2の
せ ら れ る も の で あ る.
な い た め に 核 酸 合 成 を 再 開 す る こ と が で き な い.
症 例3に
上 で あ った と し
たわ れ わ れ も各種 泌尿 器 科 悪 性 腫瘍 に つ い
活 性 化 され 核 酸 合
か しdoublingtimeの
胞 で は,Leucovorinを
よ る と 本 法 に よ り臨 床
す る こ と は 無 意 味 で あ る こ と を 裏 付 け て い る.ま
よ る 救 援 療 法 は,正
hydroforatereductase(DHFRと
床 効 果 と の 一 致 率 は き わ め て 高 い と報 告
で1∼10μ9・hour/mlの
中)で4.44×104
な る.し
脳 組 織 中 で のMTXの
vorin投
に よ っ て 開 発 さ れ たstemcellassayは
て 本 法 を お こ な い 同 様 な 結 果 を 得 て い る9).
mg/M2投
総 被 爆 量(濃
μMo1・hour,Peripheralpart(組
×103μMol。hourと
も の で あ る6).正
bergcr7)ら
Fig.5は
中 半 減 期(Tl/2)は
移 行 は 血 中 濃 度 に 比 し て 約6時
MTXに
受 性 の問 題
て い る.ま
示 した も
滴 終 了 後 の 最 高 血 中 濃 度(Cmax)は
%が
3)感
的 に 有 効 で な い 薬 剤 の 予 知 率 は95%以
お こ な っ た 際 の 血 液,尿,脳
の で あ る.点
点 滴 終 了2時
りよい 効果 を期 待 で き るの で は な い
され て い る.VanHoffら8)に
脊 髄 液 中 のMTXのpharmacokineticsを
MTXの
移 行 させ
か と考 え る.
あ る た め,臨
症 例3に
1.3時 間,β
よび
通 過 性 の悪
初 代 培 養 を 用 いた コ ロニ ー抑 制率 をみ る感 受性 試 験 で
の 大 量 使 用 を 試 み た.
Fig.10は
来BBBの
各 種 抗 癌 剤 感 受 性 試 験 の な か で もSalmon&Hum-
つ い て も常 用 量 の 抗 癌 剤 で は脳 内 転移 巣 お
よ びBATに
た,尿
る こ とが で き,よ
部 リンパ節 転 移 巣 と同 様 な 石 灰 化様 変 化 を得 る
症 例3に
っ い て は,MTXお
大 量 投 与 に よ り,本
い 抗 癌 剤 で も有 効 に 腫 瘍 部 お よ びBATに
こ とが で き た.
で3時
こ の よ うに 症 例3,4に
CDDPの
充 分 お こ な う 目的 でCDDP
Wのregimenに
受 動 的 に 細 胞 内 に と り込 ま れ る も の と推
定 さ れ る,
例1,2,の
果(Fig.9)に.示
いMTXも
援
通 過 しが た
そ の 内訳 は 腎癌 が86例4%と
よ りの脳 転 移 は15例 の0.7%で
も っ と も多 く,睾 丸 腫瘍
あ った と報 告 され て い
る.
睾 丸 腫 瘍 は 後 腹 膜 所 属 リンパ節,肺,肝
な どに も っ
と も多 く転 移 を 生 じや す い が,脳 転移 を きた す頻 度に
つ い て林 正 らll)は絨 毛 癌 が も っ と も多 く36%,つ
いで
1498
泌 尿 紀 要31巻8号1985年
胎 生 期 癌15%,セ
ミ ノー ム2%で
あ った と 日本 剖 検 輯
報 よ り集 計 して報 告 して い る.
た 場 合 に よ って は危 険 を おか し て で も抗 癌 剤 の 大量 投
与 を お こ な い 脳 内 転 移 巣 のconsolidationに
努 めな
転 移 性 脳 腫 瘍 の 手 術 療法 に つ い ては,そ の 適応 を充
けれ ば な らな い.ま た手 術 適 応 に つ い ては 時 期 を逸 す
分 考 慮 しな けれ ば な らな い.山 下12)は卵 巣 お よび 睾丸
る こ と な く決 断す る こ とに よ り充 分 な生 存 率 も期 待 で
よ りの 転移 性 腫 瘍9例 に 手術 を お こ ない,評 価 可 能 な
き る もの と考 え て い る.
6例 中3例 に1年 以 上 の 生存 率が 得 られ た と報 告 して
い る.ま た 転 移 性脳 腫 瘍に 対 す る治 療 方 針 と して,
開 頭 手 術 に 際 して 御 指 導,御
① 全 身転 移 の1部 分 現象 と して の脳 転 移 巣 に 対 して
援 助 い た だ き ま した 山 口大学
医学 部 脳 神 経 外科 教 室 青 木 秀 夫 教 授 に 深 謝 致 し ます.本
の一 部 は文 部 省が ん特 別 研 究59010082の
症 状 の 寛解 を 目標 と して お こな う手 術 と,
② 原発 巣 お よび 他 の 転移 巣 が完 全 に 除 去 され,長 期
生存 を期 待 して お こな われ る手 術 に 分 け て い る.そ
あ る,
し
文
て 手術 適 応 の条 件 と して,
1)脳
転 移 巣 が 症候 性 で あ る こ と
2)原
則 と して単 発 性 で あ る こ と
3)転
移 巣 が 手術 可 能 な位 置 に あ る こ と
testistumors.Internat三
4)全
身状 態 が比 較 的 良 好 で あ る こと な どを あ げ て
inUrology,LibertinoJ.A.,Volume7,p
献
1)WilliamsSDandEinhornLH:Chemotherapyofdisseminatedtcsticuiarcancer=
い る.
〇nalperspectives
255,Williams&Wiikins,Baltimore,1983
睾 丸 腫瘍 の脳 転 移 に つ い て はわ れ わ れ 泌 尿 器科 医 の
2)上
野 日 出 男:脳
立 場 か らは次 の よ うな 条件 を 満 たす 場 合 と くに 手術 適
脳 浮 腫,後
応 が あ る の では ない か と考 え る.
東 京 都,1983
1)化
学 療 法 施 行 前 に症 状 の改 善 を 目的 と して お こ
2)化
。脳 関 門,頭
藤 文 男,PP.145∼157,中
蓋 内 圧 と
外 製 薬,
LunaM,BonuraJ,capr量oliR,LooTL,
学 療 法 施 行 後 の残 存 転 移 巣 に 対す る根 治 術 の
BenjaminRSHumancentralnervous
目的 で お こな わ れ る場 合.
3)緊
浮 腫 と 血 液
3)StewartDJ,LeavensM,MaorM,FeunL,
な われ,術 後 に 強力 な 化学 療 法 が 可 能 で あ る場 合.
systemdistributionofcis-Diammincd三chlo-
急 手 術 と して の 頭 蓋 内 減 圧 を 目的 と す る場
roplatinumanduseasradiosensitizerin
合.
malignantbraintumors.CancerRes42:
脳 転 移 を 生 じた場 合 では 一 般 に 予 後 不良 で あ るが,
積 極 的 な療 法 と強力 な化 学 療 法 を組 み あわ せ る こ とに
2474∼2479,1982
4)小
林 達 也:中
よ り,よ り集 学 的 な 治療 が 可 能 に な る もの と考 え られ
的 治 療
る.ま
∼1029,1984
た睾 丸 腫瘍 例 に 対 して は頭 部CTを
ルチーン
お こ ない,早 期 に脳 転 移 を 発 見 す る こ とに よ り,よ り
確 実 で強 力 な 導入 化 学 療 法 が お こな え る もの と考 え て
い る.
5)藤
と そ の 基 礎 的 検 討 一.癌
本 孟 男:中
病 一.癌
枢 神 経 系 の 転 移 の 特 性 と 治 療 一 集 学
の 臨 床30:994∼1001,1984
H,andAdlerS:High-dosemethotrexate
1)4例
と
め
の非 セ ミノー ム睾 丸 腫 瘍 の脳 転 移 に つ い
て,そ の 治療 経 過 を報 告 した.
2)PVB療
法 施 行 後 の脳 転 移 に 関 して,CDDP
を 中 心 に① 血 液 脳 関 門 の通 過 性,② 薬剤 投 与 量 と脳 内
移 行,③ 脳 内転 移 巣 と薬 剤 感 受性 の 問題 に つ いて 考 察
を 加 え た,
丸腫 瘍 の脳 転 移 の頻 度,手 術 適 応 に つ い て 考
察 を加 え た,
以 上 よ り睾 丸 腫 瘍 の脳 転 移に 対 しては 腫 瘍 の 組 織
の 臨 床30=1022
枢 神 経 系 の 転 移 の 特 性 と 治 療 一 白 血
6)DjerssiI,KimJs,NayakNP,Ohanissian
ま
3)睾
研究
援 助 を 得 た もので
withcitrovorumfactorrescue:Anew
approachtocancerchemotherapy.recent
advancesincancertreatment,Tagnon
H.J.andstaquetM.J.,P201-225,Raven
Prcss,NewYork,1977
7)HamburgerAWandSa【monSE:Primary
bioassayofhumantumorstemcells.Science
197:461∼463,1977
8)vonHoffDD,casperJ,BradleyE,sandbachJ,JonesDandMakuchR:Association
型,転 移 の程 度,腫 瘍r7一 力の 推移 な どを 熟 知 した う
betweenhumantumorcolony-forming
え で 適 切 な導 入 療 法 を お こな うこ とが 重 要 であ る.ま
assayresultsandresponseofanindividual
1499
山本 ・ほ か:睾 丸腫 瘍 ・脳 転 移
U)林
patient,stumortochemotherapy,AmerJ
Med70:1027∼1032,1981
9)山
修:Cisplaten,Vinblastin,Bleomycinの
本 憲 男 ・上 領 頼 啓 ・酒 徳 治 三 郎 ・篠 原 健 ニ ー川
崎 祥 二:Stemcellassayの
ル 及 び 臨 床sampleを
癌 治学会誌
腫 瘍 全 国 統 計 委 員 会;脳
性 睾 丸 腫 瘍 の1例.泌
12)山
下 純 広=中
の 手術 療 法 一
腫 瘍 全 国集 計調 査 報 告
;国 立 ガ ン セ ン タ ー,Vol5,P42,1984
三者
併 用 化 学 療 法 後 に 脳 転 移 を き た し た 非 セ ミ ノー ム
評 価 一 実 験 腫 瘍 モデ
用 い て 一;日
18=149∼151,1983
10)脳
正 健 二 ・添 田 朝 樹 ・堀 井 泰 樹 ・桐 山 奮 夫 ・吉 田
尿 紀 要26:459∼464,1980
枢 神 経 系 転 移 の 特 性 と治 療 一 脳 転 移
癌 の 臨 床30=IOIO∼1016,1984
(1984年12月20日
受 付)