Twinkle:Tokyo Womens Medical University - 東京女子医科大学

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LDHおよびLDHアイソザイムに関する研究 : 原発性
肝細胞性肝癌を中心として
佐々木, 一元
東京女子医科大学雑誌, 49(12):1062-1072, 1979
http://hdl.handle.net/10470/3985
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
12
(東女医大誌 第49巻 第12号頁1062∼1072 昭和54年12月)
LDHお.よびLDHアイソザイムに関する研究
一原発性肝細胞性肝癌を中心として一
東京女子医科大学消化器病老ンター外科(指導
佐々木
サ
サ
キ
遠藤光夫教授)
一 元
カズ
モト
(受付 昭和54年9月27日)
AStud[y of Lactate Dehydr①geuase and五s⑪zymes in Hepato¢e11魁1arcarci以oma
Kaz皿moto SASAK1, M.D.
Institute of Gastroenterology(Director.l Pro£Mitsuo ENI)0)
Toky6 Womcn’s Medical College, Tokyo
In o卸der to investigate tbe distribution of tissue Iactate dehydrogenase(LDH)and the relation
with Edmondsoゴs classi丘cation, the activity and isozyme of正DH were determilled on Hepatocellul−
arcarcinQma by examination of the serum and tissue extract.
1) Serum恥DH activity showed as high and isozyme pattem was so一ρalled tumor pattern which
had main act三vity ih LDH3,4,5, beR)re surgical resection. The activity decreased and isozyme
showed normal pattern after resection.
ノ コ
2) The quantity of tissue LDH in hepatocellularcarcinoma distributed as high in the surrounding
non−tumor t三ssue near by the tumor. The isozymes of tissue LDH showed tumor pattem in the area of
tumor and near by tumor。
3) The LDH50f tissue玉DH was closely related with Edmolldson,s classi丘cation.
4) The enzymatic border of tumor on Hepatoma existed beyo栽d the pathohistological border.
目
2.慢性良性肝疾患および転移性肝癌
次
3.原発性肝細胞性肝癌
1.緒言
H.対象.
a.腫瘍部および非腫瘍部の組織内分布
皿..方法
b,肝癌組織のEdmondsOn分類との関係
A.工DH活性値測定
c.組織LDHと血清LDHの関係
B.LDHアイソザイム測定
V.考按
C.組織抽出法
VI.結論
D.組織抽出における血液Co載taminationに関して
文献
.L 緒. 言
∬1.成績
乳酸脱水素酵素(LDH)の悪性腫瘍診断に関し
A.血清LDHとアイソザイム
B.肝組織LDHとアイソザイム
1. ⇒ト且干疾,患
ては,1943年WarburgおよびCh降istian1)が血清
中の解糖酵素による癌診断の可能性を示唆したこ
一1062一
13
とに始まる.次いで,HillとLevi2)は悪性腫瘍
ら,酵素め組織内分布の様子により,酵素上から
患者で血清工DHが上昇することを報告し,悪性
腫瘍のLDHによる診断のロ火を切った.一方,
みた腫瘍の境界を知ることができることも推測さ
れ,さらに腫瘍細胞異型度とLDH酵素の関係も
1957年,Vesse13)らにより血清LDHは電気泳動
重要な問題であろう.
的に5つのFractionに分かれることが発見され,
以上の観点から,原発性肝癌を中復に諸種の検
MarketとMφ11er4)が, Isozymeの概念を提唱
討を行なった.
した.次いで,LDH Isozymeの臓器特異性の発
H・対
見5)へと展開した.
象
対象は血清LDHに関しては,健常者22例,急性肝炎
25例,慢性肝炎4例,肝硬変18例,原発性肝癌32例,転
肝臓悪性腫瘍の血清LDH,特にアイソザイム
に関しては検討がなされ,原発性肝癌で活性値は
移性肝癌11例の計112例であり,組織mHに関しては
上昇するが,一般に特有なアイソザイムパターン
健常者10例,慢性肝炎3例,肝硬変5例,転移性肝癌3
はないとするもの6)7),LDH、, LDH3の異常を指
例,原発性肝癌15例の計36例である.原発性肝癌15例の
内訳は,手術切除例8例,剖検例7例であり,表1に示
摘するもの8),LDH5が異常で有意の増加を示し
した.
ているとするもの9)10),さらに,LDH、の低下,
11L 方
mH5の上昇が特徴的で, mH5が病勢の変化を
法
A.乙DH活性値測定
反映しているとするもの11)など種々の報告がみら
れ,未だ見解は一致していない.また,原発性肝
癌を中心とした組織LDHに関しては,担癌状態
の組織での組織LDH活i生値の上昇は恒常的では
ないが,腫瘍部位と周辺部位との間に量的差異が
あるとされている12).組織工DHアイソザイム
mH活性値はMorgenst6m16)らの方法に基づく自動
定量法により行なった.
B.LDHアイソザイム測定
Wieme 1ηの方法に従って,寒天板を用いる電気泳動
法にて行なった.寒天板製作は和光特殊寒天Bを用い,
ベロナール緩衝液(pH 8・4,0・04M)に,0・8gr/dlの割
では,LDH5を中心とする肝臓型を呈し,原発性
合で混ぜ沸騰,水溶中で完全に透明化する(40分).シ
肝癌の場合も肝のどの部位をとっても同じような
ャーレに寒天を注入放置し固める.その上にスライドグ
アイソザイムパターンであるとみなすものもあっ
ラスをおきち更にその上に寒天を厚さ1・5m・n重層し固
た13)14).しかし,Stankweather15)は癌組織と遠隔
め冷所に保存したものを用いた.1・5×8mmの3紙に
非腫瘍組織を比較してみると,両者にアイソザイ
試料をしみこませ,寒天板中央にのせ,充分試料がしみ
ムパターンの差があり,さらに腫瘍周辺非腫瘍組
込んだところで,泳動に移る.泳動条件は定電流65mA
織では,LDHアイソザイムパターンが,両州の
で,泳動時間60分とした.反応染色は以下の基質染色液
移行型を示すと述べており,前述の意見と異なっ
を使用した.
ていることは興味がもたれる.
,血清LDHとアイソザイムが臨床的に利用され
/トリス緩衝液
56ml\
0.4gr!dl KCN
5m1
4m1
乳酸ソーダ
価値を有しているが,その基盤たる組織LDHに
Pherozinemethosulfate
関しては充分な検討がなされているとは言えず,
1麟
β一NAD
\Nitrobluetetrozolium
その点につき,特に悪性腫瘍を持つ組織が,内に
LDH酵素をどのように含み,分布しているかを
染色はフラン軍学37℃にて70分行ない,直ちに,固定染
知ることが大切であり,組織LDHと血清mH
色液(エタノール:酢酸3水=14=1=5)に入れ,未
との関係についての解明もなされなければならな
反応色素の黄色調,バックの紫色が消えるまで行なう.
LDH酵素が,悪性腫瘍などでその性質を変
アイソザイムパターンの変化となって現わ
その後,水洗を30分間, 3回行なったのち,乾燥に移
それが,悪性腫瘍と特異的な関係にあるな
シドメーターにて測定した。
い.
え,
れ,
る.フラン里中に一晩放置して乾燥させ,分画比はデン
一1063一
14
Table l Analysis of 15 hepatocellularcarc三noma cases
恥 Age
Sex
Location
Size of
GrQss
pf tu皿or
狽浮香iπ(cm)
≠垂垂?=uance
9.5xg
Edm㎝dsoゴs
Suπoundi疏9
Mas団ve
皿
L.C.
Massive
皿
Norm認
Nαiular
1
L.C.
モ撃≠湯
奄モ≠狽奄盾
Piver ti$ue
1
65
Male
Ope旧tion
Right
2
53
Male
Operation
Right
7x 5
3
68
Male
Operation
Left
2x 3
8×6
Mお訂Ve
皿
L.C.
7×4
MassiVe
血
Norma1
9.5x8.5
Massive
皿十IV
LI b.
D迂fuse
4
63
Maユe
Opera廿on
Right
5
47
Male
Autopsy
Right
6
.53
Male
AutOP母
Right
7
53
Male
Auto1菊y
Left
皿
L.C.
8
56
Male
Operation
Right
8x 6
Massive
H十1亘
L.C.
9
49
Male
AutOPミy
Right
11x12
Massive
皿
L.C.
10
35
Male
AutOPSy
Right
11×15
Mεs恵ve
皿
L,C.
工1
52
Male
AuめPミy
Right.
Massive
n
L.C.
ユ2
68
Male
Qpera麺on
Right
6×5
Massive
皿
L・.C.
13
45
Ma}e
Ope田tion
Right
5x 5
Ma5sive
E
L.C.
14
54
Female Ope臓賃on
Right
12×6.5
MassiVe
耳
NQr甑
15
56
Male
Right
Nodular
皿
L.C.
OperatiQn
2.5x 2
C・組織抽出法
モジナイズ,3,000回転にて10分間遠心し,さらにその
肝切除または剖検を行なった直後の原発性肝癌標本の
上清を12,000回転10分間遠心して得られた上清を使用
腫瘍部,非腫瘍部,腫瘍境界部より,各々数個の組織片
し,血清と同一方法にて,LDH活性値,アムソザイム
を採取し使用した.この際,肝標本のスケッチを行な
を測定した.比較検討に便利なように,生理食塩水1ml
い,採取部位を記入,分布地図を作製した.対照群は開
にて1gの組織片を抽出したと換算し,推測絶対値と呼
腹時,生検した肝組織片を使用した.各組織片は図1の
称し使用した.
ごとく,いずれの場合も一部をとり,ホルマリン固定
し,病理組織学的検討を加えた.
D・組織抽出における血液Conta血i皿atio塾に関し
て
LDH測定用の新鮮な肝組織片は採取後直ちに,生食
組織抽出を行なうにあたり,問題となるBlood Cont−
水10mlにて4℃恒温下,1分間洗浄した後濾紙上に
aminationに関して, M・Castagna18}は肝のホモジナイ
おき血液成分が完全に流出したのを確かめ,重量を測定
ズは,潅流肝にて行なわるべきであるとし,そうでない
し,生理食塩水Imlないし2mlを加え,0℃慎温田ホ
ものでは大きな誤差が生ずるとしている.そこで,著者
は得られた組織片の血液成分を充分洗浄し,具体的には
赤色の消える時点まで行なった後,洗浄液と組織抽出液
ー→葬
ヒ コ
「
.
ロ
,
の
ヒ
層
,
とを比較した.その結果は表2のごとくであるが,洗浄
液は血液成分と組織液であると考えられるが,活性値は
1,000単位を越えることは少なく,アムソザイムでは肝
組織パターン(肝臓型)が主体で,それに若干血清のパ
一諾U響∪く∵
洗浄液の活性値は組織抽出液の活性値の10%以下であ
\㊨
一闘一一レPA了HOLOGICAL
FINDING
量が少ない故に,その影響はわずかであると考えられ
Fig。1 The method of detecting tissue LDH
ターンが修飾されたものであると考えられた.しかも,
り,血液成分が一部入り込んだとしても,活性値の絶対
た.したがって,洗浄による組織抽出法にての比較検討
一1064一
15
TaUe 2 The comparison of I.DH activity Ievel between tissue extract and fiushed saline
tissue extlact
No. Qf
LDH activity
狽奄唐唐浮
iu/gr/ml)
flu6hed sa1血e
1
皿
皿
IV
1
9
17
26
LDH activity
V(%)
1
∬
皿
w
750
0
11
20
21
78
96
iu/gr/ml)
V(%)
1
8233
2
139Q6
1
8
20
28
43
4go
0
0
0
4
3
13116
2
7
18
30
43
600
0
8
3
5
4
8739
6
8
23
19
必
190
o
0
0
0
100
5
5042
4
5
11
10
70
450
0
0
0
0
100
6
5964
2
9
18
31
40
410
0
0
0
0
100
7
2598
4
6
12
26
53
230
0
0
0
0
100
8
839
7
13
22
26
32
230
0
0
0
0
100
9
3781
2
6
13
25
54
270
0
0
0
0
100
47
84』
567±134であつた.原発性肝癌では1,309±242,
は充分,意義のある方法であると考えられた..
w・成 績
A・血清LDHとアイソザイム
転移性肝癌では胃癌からの肝転移が多いが,
肝疾患92例と健常者22例を対象とし検討した.
が高値を示している.っぎに,.エDHアイソザイ
肝疾患例の内訳は急性肝炎25例,慢性肝炎4例,
ムについても図2に図示した如くで,健常例では
1,417±530であり,悪性疾患では■DH活性値
肝硬変18例,原発性肝癌32例,転移性肝癌11例で
LDH三24%, LDH241%,工DH323%, LDH46
ある.これらにつき血清卑DHの平均値を表3に
%,LDH55%であつた.急性肝炎においては,
まとめた.すなわち,健常例は400を越えるもの
極期にLDH5の増加があり,回復するにつれ健
はなく,247±10であつた.急性肝炎では極期に
常例のパターソに復帰する.対象とした25例は様
1,000までの上昇を認めたものもあ.るが,597±51
々の急性肝炎のステージを示していたが,一括し
であつた.慢性肝炎は362±71であり,肝硬変は
て平均をとるとLDH、21%, LDH、35%, LDH3
16%,LDH46%, LDH522%であつた.慢性肝
LDH Isozyme (%)
S一LPHNo.of cases
acti》随y
22
24ア±10
Acute Hepatiti5 25
597±51
Chronlc Hepatiti5
4
362±7!
Liver Cirrhosi5
18
56ア土134
Healthy contro[
Hepat。cellurar
LDH1 LDH LDH3 LDH4 LDH5
41
23
6
5
35
16
6
22
29
43
17
1
10
26
43
19
7
6
19
35
20
9
16
19%,7%,6%であり,健常例に近いアイソザ
12
10
イムパターソを示した.原発性肝癌のアイソザイ
24
.21
り,健常例にくらべ,LDH5の軽度上昇とLDH4
の低下がみられた,肝硬変では各々26%,43%,
34Carcinoma
1309±242
Meta5tatic
炎では,各々29%,43%,17%,1%,10%であ
1雪Li》erCaroinoma
川7±530
11
36
26
ムは19%,35%,20%,9%,16%で,健常例と
比較すると,LDH、,、の低下およびLDH5の一ヒ昇
He訓thy Conしrol
が認められた.転移性肝癌では11%,36%,26
Acute Hepatitl5
%,12%,10%で健常例にくらべ,LDHI,2の低
Chronic Hepatiti5
下,LDH4,,の上昇がみられ,さらに原発性肝癌
Uver Cirrhosis
Hepatoce「Mar
との相違はLDH1の程度の高い低下及びLDH4
Metastatic
の上昇が転移性肝癌に認められたことである.
Carchoma
Liver Carcinoma
すなわち,原発性か,転移性かとの鑑別にアイソ
Fig.2 S・LDH activity and isozy㎜e.pattern on
ザイムパターンが役立つものと考えられる,つぎ
var三〇us liver diseases
一1065一
16
S・LbH
しDH isozyme (%)
(u/頃e)
ρatholo唇ical
@ diagnosis
@
LOH
11
lH
0.2
2.2
4.6
Iaqtlvity
評.
v
置。σo
healthy con琶roI
500
82390
16.1
74.8
1iver cirrhosi5
60000
0.3
0.8
33
17.7
770
。hroni。 heρatiti5
42000
0.1
1.寒
5.2
17.4
76.2
metas㎏tio
53000
2.7
9.0
15.1
72.6
撃奄魔??cardnoma
100
he8鮪y oon重rd
11v●r c■rrhos15
60
φ:hepatio re38c匙bn
20
F丑9・3 S∫S・LDH ac亡ivi亡y change af亡er hepa亡ic
0
resectlon
KM.
1 H 厘111V V
ohronlc hepatlt伽5
I
II
m
mota5t飢■o l8り8r oarc■nom8
V
IV
ε、20
6.2篭
6.26
Fig.5 Tissue LDH and isozyme on various豆iver
diseases
7.6
8.3
8.8
織しDH:活性値平均は82,390u/gn/mlで,アイソ
6,19 (operation date)
ザイムではLDH5が74。8%と多くを占め, LDH4
玉6.1%,LDH34,3%, LDH22.2%, LDH乳0,2
S.T.
H
匿
覇11IVV
%であった.
10.5
2.慢性良性肝疾患および転移性肝癌
10,25
10.26
手術時,生検した11例の肝組織片にて検討し
た.病理診断に従って,各々,肝硬変5例,慢性
10,27
里0.31
10,23 (operation da亡e)
肝炎3例,転移性肝癌3例であり,図3に示し
Fig.4 S−LDH isozyme pattern schift after hepa−
た.まず,肝硬変5例の活性値平均は60,000u/gr/
tlc resect1011
mlで,アイソザイムはLDH577.0%, LDH4
比,■DH活性値とアイソザイムを,原発性肝癌
ユ7.7%,LDH33。3%, LDH20.8%, LDH10.3
切除前後において,その推移をみてみた.代表的
%であり,健常例との明らかな違いはなかった.
な3例を図3は示すが,’活i生値は肝癌の発育と共
慢性肝炎3例の活性値平均は42,000u/gr/mlで,
に上昇し,切除直後に血中濃度は最高に達し,切
アイソザイムはLDH576.2%, LDH417.4%,
除後10日から2週間の間に漸次下降し正常範囲に
mH35.2%,1・DH21.1%, LDH10.1%であっ
なる.肝癌切除によるアイソザイムの変化は図4
た.転移性肝癌例は胃癌からの転移であり,転移
の如くで,LDH4,5の減少,殊にLDH5は切除後
腫瘍組織を含まぬ肝組織片を使用した.活性値は
著明に減ってゆく,反面,LDH1,,は切除により
53,000u/gr/mlで,アイソザイムはLDH572.6
増加をみるが,エDH3は不変である.
%,LDH415.1%, LDH39.0%, LDH22。7%,
B.肝組織LDHとアイソザイム
LDHユ0%であった.肝疾患群の組織mHとア
1.非肝疾患
イソザイムはいずれも健常例に比較し,特徴的な
手術開腹時生検し得た肝組織片で,肝疾患のな
点は見出せなかった.また,肝組織LDHは数
いもの10例を対象とした.内訳は胃十二指腸潰瘍
万単位の活性値を示し,アイソザイムではLDH5
6例,胆石症4例である.図5に示すごとく,組
に70%以上の活性があり,LDH4が15%以上,
一1066一
17
LDH3に約5%, LDH、,、は非常に少ない分画で
あった.
1
%
3.原発性肝細胞性肝癌
1:
a・腫瘍部および非腫瘍部の組織内分布
::
対象とした原発性肝癌15例の腫瘍部,非腫瘍部,
n ,
o
』
3
境界部各々を一括して得た活性値平均は65,800
‘
L」L」
であった.アイソザイム平均はLDH』69.8%,
LDH417.2%, LDH39.6%, LDH22.6%, mH1
0.7%で,健常例との比較ではLDH5の減少と
LDH3の増加が認められた.しかしながら,肝癌
5
6
LlL」
組織の腫瘍部と他の部位,厳密に言えば,肝の各
部位により組織LDHは異なる.したがって,担
癌組織で組織LDHを一律に論ずることはできな
F且g.6 Tissue工DH and isozyme distribution on
HCC specimen
い.そこで,、原発性肝癌15例につき,腫瘍部,非
腫瘍部,境界部よりそれぞれ組織片を採り,活性
40%位となり,前述した健常例のパターンとは大きく異
値,アイソザイムに付き比較検討した.以下各症
なっている.腫瘍をとりまく肝組織のNo・4,5,6で
例での成績である.
は,LDH5が大部分の活性を示し,健常例にみられたパ
症例1.K.M.53歳男
ターンに類似している.
症例2.S・T・56歳 男
右葉切除例で,腫瘍は大きさ7×5cm,塊状型で,
右葉切除例で,腫瘍は大きさ8×6cln,塊状型, Edm−
Edmondson皿型である.非腫瘍丁丁組織はほぼ正常であ
る。図6の如く,腫瘍中心より肝辺縁に至り6コの組織
ondson皿+皿であり,周囲肝組織は肝硬変を呈してい
片を採取した。中心部よりNo・1からNo・5までの組
た.腫瘍中心部より肝辺縁に至るNo・1よりNo・9ま
織LDH活性値は上昇し, No・6で下降している. No・1
での9コの組織片を採取した.組織LDH活性値分布
の腫瘍中心部が活性値は最低であった.組織LDHアイ
は,図7の如くNo・1よりNo・6に向って上昇し, No・
ソザイムをその各々でみると,図6にみる如く,腫瘍内
6で最高値となり,肝辺縁に向い再び下阻している.ア
No・1,2,3ではLDH320%, LDH430%以上, LDH5
イソザイムは腫瘍内のNo・1,2,3にてLDH3,4,5に活
婁
2
3
…漏し』L」
ゐ
る
さ
L」L」L」
7
8
9
L⊥」L」
Fig.7 Tissue五DH and isozyme distribution on HCC specimen
一1067一
18
しDH
1
%
さ
し」L壼
80
60
4
20
置 1 111
4
ら
お
し」L」L」
L』
Fig.8 Tissue LDH and三sozyme distribution on HCC specimen
性のあるパターンで,境界部のNo・4では, LDH5が
LOH
u’巳r1岡
100
No.1,2,3にくらべ高い.周囲肝組織No・5,6,7,
1000
8,9はいずれもmH5に大部分の活性を有している.
%
80
50
症例3.Y.K.35歳男
40
20
右葉に存在する不整形の塊状型肝癌で,大きさは11×
500
15cm, Edmondson皿であった.剖検例である.腫瘍中
0
1
2
UL」
3
4
L副L」
心より肝辺縁に至るNo・1よりNo・7まで7コの肝組
織片を採取した.図8に示すように,組織工DH活性値
分布はNo・1で最:即値を示し, No・6にて最高値を示し
た.すなわちNo・1よりNo・6に向い漸次上昇しNo・
う
し」
6で最高となり,No・7では活性値は下降している.ア
イソザイムはNQ.2,3の腫瘍組織とNo・5の腫蕩近傍
の肝組織にてはrDH3,4,5に高い活性を有している。他
のNo・.6,7は健常例の如き1・DH5に大部分の活性を有
F五g.9 Tissue LDH and isozyme distribution on
するパターンを示す.さらにNo・1, NQ.4では, LDH5
HCC specimen
に主活性が認められ,組織片の病理的検索でこの組織片
は,大部分が壊死組織で腫瘍を含んでいないことにより
症例5.T.H.53歳男
腫瘍組織のパターンを示さなかったと思われた.
右葉に存在する9・5×8・5cmの塊状型肝癌で,周囲組
症例4.T.W.56歳男
織は肝硬変で,Edmondson皿+IVであった.剖検例であ
る.図10−a,bに示した如く,組織LDHの分布を詳細
大きさ2・5x2・Ocmの結節型肝癌で右回に存在し,
Edmondson∬であり,肝組織は肝硬変であった.手術
に調べるべく,腫瘍中心より肝辺縁まで連続切片とし
動旧例である.図9に示すように腫瘍部より切除肝辺縁
No.1よりNo,12まで採取し検討した.活性値は腫瘍
に向い各No・1からNo・5までの組織片を採取し検索し
のNo・1よりNo・5まではいずれも低く, No・6の腫
た.No・1,2では活性値は低く, No・3にて組織LDH
瘍境界より腫瘍から遠ざかるにつれて増加し,No・8で
活性値は最:高を示し,No・4で再び下降, No・5で上昇す
最高に達した.No・9より低下を示し, No・12まで徐
るがNo.3よりは低い.アイソザイムの分布はNo・1,
々に低下していったが,腫瘍内の活性値よりはいずれも
2,3にてLDH3,4,5に活性を有し, No・4,5にては
高かった.LDHアイソザイムはNo.1よりNo.7まで
LDH5に主活性のあるパターンに変化している.
はLDH:3,4,5に活性のある腫瘍組織にみられたパターソ
一1068一
19
Table 3 The comparison of tissue工DH三sozyme
u19r/cc
」DH× 1eo
!
and edmondson’s cIassi丘cation on HCC
500
Total
1
皿
≠モ狽奄魔奄狽
皿
3106
t 9GO
2150G
500
200
識
謬
軋,
12345
醐響,
繊馨
344
172
838
w
V
3075
1
1161
18985
1
25790
103
335
232
25130
1∼亜
38946
467
2609
2142
33730
1∼皿
36250
1557
4054
4959
256鉛
E
37500
862
3938
1762
30937
皿
52727
2a67
13129
14710
22620
E
41000
410
3239
5289
32062
皿
75832
303
10詣4
24483
40629
H∼皿
83900
587
7467
25254
50591
耳一皿
660
4015
8305
41800
皿∼皿
2600
8940
14155
48425
皿
520
39480
皿
灘羅.
@
簸
.蕪繋
ノ
55000
74545
2220
羅禦
40000
Fig.10a Tissue工DH distribution on HCC
αassification
31
81000
1215
2511
77274
皿
75610
3251
7561
64798
皿∼lv
58125
230
1740
55680
血∼lv ’
b・肝癌組織のEdm・oudson分類との関係
%
1
2
3
ii」鴨L』]
LIL面L面
これらの各例において,組織.■DHアイソザ
イムをEdmOndsOn分類19)に従つて配例すると表
3の如くである.Edmondson Iおよび1十Hで
はアイソザイムの変化は少なく,LDH5を主活性
とする肝臓組織にみられるパターンであるが,
Edmondson皿,皿十皿,皿, H十IV, Wと異型度
が進むにつれ,.mH3,4,5に活性を持つ腫瘍組織
に特徴的なパターンに変化してゆく.すなわち,
ア
L抽.L」L】
ユ
リ
腫瘍細胞の異型度がすすむにつれ,組織LDH:ア
イソザイムも変化し,より腫瘍に特微的なパター
ンになつてゆく.次に,腫瘍組織LDHとアイソ
り
ロ
コ
ザイム各分画を,u/gr/mlの推測絶対値に換算統
一し,Edmondson分類に従つて配列し比較した.
組織mH活性値はEd皿∼皿,皿で高く認めら
Fig.10b Tissue LDH三sozy狐e distribut量o鼓on HCC
を示し,No・8以降No・12まではLDH5が主活性を持
れるが,各分画別の比較では特に工DH5におい
て,Edmondson Iより][Vに向い増加してゆく傾
向が認められた.
つ肝組織のパターソになつている.注月すべきは,腫瘍
C・組織LDHと血清L・DHの関係
に近いが非腫瘍組織のN・・7においても腫瘍内にみら
肝癌では血清LDHは上昇し,アイソザイムパ
れるパターソを呈したことである.
ターンは変化し,LDH4,5の上昇, mH2の低下
一1069一
20
慧」∴皿
雇
11 lll IV
V
No員・tumor ti55口e LDH
isozyme of HCC
1 11 m ■V V
1
S・LDH iso竃yme of
Tumor ti55ue LDH
healthy oontroI
i50zym謄of・・HCC
醒1 旧
■V
われた.
V・考
按
血清LDH:およびアイソザイムが,はたして肝
疾患殊に原発性肝癌の臨床的診断にいかなる役割
をなすのか,まず肝疾患でのLDH活性値及びア
V
イソザイムを検討した.健常人22例を対照とした
健常例の平均活性値は247u/mIで, LDHアイソ
ザイムパターンでは,LDH2が最:も高く, LDH2
>LDH1≧LDH:3>mH4≧LDH5となり諸家の報
告と一致している.各肝疾患については,急性肝
置
II 旧
IV
V
炎で炎症とともに活性値およびLDH5が消長す
る.肝硬変では,LDH活性値は健常例にくらべ
高いが,アイソザイムパターンに特微的変化は
出現しない.原発性肝癌では,LDH活性値は著
一こ上昇し,アイソザイみではLDH5の増加,
111曜lilVV
/・
・\
L∵L∴コ
ロ
ロロ旧VV
LDH4の比較的増加, LDH、,,の減少が認めら
リ
れる.転移性肝癌においても,活性値の上昇,
B.IDH1織器。蕊 1旧旧∵
LDH、,5の増加, LDH、,、の低下があり,特に
Fig.11 The model of the relation between
LDH、,4の異常が目立っており,原発性肝癌との
S一工DH and T・1.DH
鑑別が可能であった.したがって,原発性肝癌で
を示す.腫瘍切除により活性値は正常範囲まで低
は,活性値の上昇と特徴的なアイソザイムの変化
下し,アイソザイムも正常パターンに復帰する.
により急性肝炎はもとより転移1生肝癌との鑑別も
歌主状態での血清LDHの変化は何に由来するか
吉田9)らと同様アイソザイム上可能であると考え
を調べる意味で原発性肝癌の組織LDHを腫瘍組
られた.
織LDHと周囲非腫瘍組織LDHの両者の面か
原発性肝癌での血清LDH活性値は,肝癌切除
ら血清LDHへの影響などに付き比較検討した.
後正常範囲まで下降する.下降に要する時間は2
対照とした健常群の血清LDH活性値及びアイソ
週間ぐらいである.アイソザイムも正常復帰し,
ザイムパターンは,恒常的であると考えられるこ
それは五DH5の変化が主である.これら肝癌切除
とより,担癌状態での血清LDHの変化は組織
前後の血清LDHの変化は,肝組織よりのLDH
LDHの遊離により修飾される.その血清への遊
酵素の血中への反映の様子を示すものと考えられ
離修飾が腫瘍部よりの遊出が主体をなすのが,肝
る.約2週間に亘る血清LDHの変化の復帰は従
組織全体がその役割をなすのか,両者に付き模式
って次の可能性が考えられる.すなわち,組織よ
図を作り検討した.図11に示す如く,血清1DH
りのLDH酵素の血中停滞期間が長い,ことぽを
アイソザイムに非腫瘍組織LDHアイソザイムを
修飾したものと,腫瘍組織のみの■DHアイソザ
かえれぽ排泄に時間がかかるのか,あるいは肝組
織より血清への放出,移行に時間がかかるのか,
イムを修飾したものに分け比較した.模式図に示
肝組織に肝癌切除後も腫瘍の影響が長時間残って
すごとく後者の修飾によるものが大であると考え
いるのか,のいずれであろう.
られる.すなわち,肝癌における血清LDHア
肝組織LDH活性値の各肝疾患群平均は,慢性
イソザイムパターンの変化は,腫瘍組織部よりの
肝:炎42,000ロ/gr/ml,肝硬変60,000u/gr/ml,転移
LDHの血中への放出に負うところ大であると思
性肝癌53,000u/gr/ml,原発性肝癌65,800u/gr/ml,
一1070一
21
で各群の間に大きな差は認めない.健常群平均
に変化しており,腫瘍型を示すアイソザイムは同
82,390u/gr/m1と較べてもむしろ肝疾患群にて二
部位より腫瘍に近い部位に存在している.以上の
値を示している.したがって肝疾患における血清
組織LDHの肝内分布の状況は,服部13)らの報告
LDHの上昇は,組織mHが上昇した結:果によ
とは異なり,肝癌でのアイソザイムパターンは部
るものでないといえる.
位により異なっており,Starkweather15)の報告に
むしろ近い.また,腫瘍外縁のアイソザイムの変
肝組織LDH:アイソザイムパターンは,健常
群に:おいて,LDH575%, LDH416.1%,1・DH3
化からみて,病理組織学的には腫瘍細胞を含まな
4.6%,LDH22.2%, LDH、0.2%であり, LDH5
い部でも酵素的セこは,腫瘍型を示しており,腫瘍
が主体を占めW圭eland5)の言う肝臓型(玉eber
の影響の波及,又は前癌状態を酵素上有している
type)を示した.また,原発性肝癌を除く肝疾患
と考えられた.
群の組織LDHアイソザイムでは転移性肝癌で
肝癌組織mHとアイソザイムを細胞異型度
LDH3に増加をみたほかは健常例にみられたいわ
を示すEdmondsOn分類に従い配列してみると,
ゆる肝臓型を示した.以上のことより,各肝疾患
mH5の推測絶対値(u/gr/m1)はEdnlondson grade
での血清mHの変化と肝組織LDHの変化との
Iよりgrade IVに向い漸次増加してゆく,アイ
問に関係がないようにみえるが,肝疾患での血清
ソザイムパターンもgrade Iよりgrade IVに向
LDHの変化は肝の病態に最も影響されていると
考えるべぎであり,それは,LDH酸素の肝組織
い特徴的な腫瘍型に変化してゆく,これは,肝癌
よりの逸脱方法又は逸脱量,或いはどの部の組織
度とエDH酵素の生化学的変化との間に関係が認
より逸脱するのか,によるものであると考えるべ
められることを意味するものである.
での腫瘍細胞の病理学的変化,すなわち細胞異型
きであろう.これらの問題点を解明すべく肝癌で
最後に,原発性肝癌での血清工DH変化は,恒
のLDH:を調べてみた.原発性肝癌i5例の肝組織
LDH活性値平均は65,800であり,他の肝疾患と
常的に存在する血清内のLDH活性値,アイソザ
イムに担癌肝組織よりの組織工DHの遊離が修飾
くらべ特別高いものではなかった.組織■DHア
されて生ずるものであり,それは腫瘍内よりの組
イソザイム各分画平均はLDH10%, LD瑞2.6
織LDHの逸脱,放出を主体とし,腫瘍周囲の二
%,工DH39.6%, LDH417.0%, LDH569.8%
丁による変化の結果,遊離する組織LDHが付加
であり,健常群と比較しLDH3の増加とLDH5
したものと考えられた.
VL結 論
の減少が認められた.次に,各症例につき組織
原発性肝癌を中心とし血清LDHおよび組織
LDHを腫瘍部,非腫瘍部,境界部の部位別に採
LDHを測定し以下の結論を得た.
取し検討した.各症例に凡そ同一の傾向がみられ
.1) 肝癌における血清LDH活性値は非常に高
た.すなわち,腫瘍内の活性値は低く,腫瘍中心
部では最低を示し腫瘍辺縁に向い徐々に上昇して
く,アイソザイムではmH1,2の低下, LDH5の
ゆく,そして腫瘍辺縁の外側肝組織で非常に高い
上昇をみた.アイソザイムの変化より転移性肝癌
活性値を示しその後肝辺縁に向い下降してゆく,
との区別が可能であった.
2) 正常肝組織LDH活性値は血清にくらべ
しかし,肝辺縁の活性値は腫瘍中心より高い.各
部位別のアイソザイムパターンを調べると,腫瘍
非常に高く,数万単位を示す.アイソザイムでは
内では■DH,,4,5に主活性帯があり,周囲肝組織
LDH5が多くの比率を占める.悪性疾患を除く肝
では主活性はLDH5に存在する.次に腫瘍外縁
疾患においても同様であった.
3) 肝癌での肝組織LDHは腫瘍部,非腫瘍部
でのアイソザイム変化と活性値の変化を合せて比
較すると,最高の活性値を示した部位では,アイ
にて異なり,腫瘍境界部が最高を示し,腫瘍中心
ソザイムは既にLDH5を主活性帯とする肝臓型
部が最も低い.アイソザイムパターンは腫瘍部,
一1071一
22
境界部において,LDH3,45が主活性で,健常群
spec量es speciac pattcrns. Proc Natl Acad Sci
45753∼763 (1959)
と異なる.非腫瘍部ではLDH5が主活性となり,
5)W量eland, Th. and G. P∬eiderer 3 Nachweis
いわゆる肝臓i型を示した.
der Heterogenitat von Milchsaure dehydro
genascn verschiedencn Ursprungs durch
4)非腫瘍部での組織LDHの変化では,腫瘍
Tragerclektrophorese. Biocb Zschr 329 H 2∼
外縁で活性値は最高を示すが,アイソザイムパタ
116(1957)
ーンは肝臓型である.しかし,さらに腫瘍に近い
6)服部 信:癌の血清酵素学的診断(肝癌を中心
として).診断と治療531950∼1956(1965)
7)川井和夫・本山玲子・井口栄子:血清乳酸脱
部位のアイソザイムは,腫瘍組織を含まないにも
かかわらずLDH3,も5に活性のある腫瘍型であっ
水素酵素のIsozymeに関する研究.県立ガン
センター新潟病院医誌3(2)47∼53(1963)
8)浅野健夫・小野昌利・福留正郎・高安正雄・
鷹野譲・和気由紀子・宇都宮俊裕:癌を中心
とした内科的疾患における血清および胃粘膜
た.これは,肝癌境界において,病理組織学的な
腫瘍境界を越え.て,生化学的境界が存在すること
を意味するものと考えられた.
5)肝癌組織mHと細胞異型度を示すEd・
の乳酸脱水素酵素』アイソザイムについて.日
mondson分類との間に関係が認められた.特に
内会誌541060∼1069(1965)
9)吉田光孝・吉場 朗:LPH一アイソザイムの
臨床的応用.臨床病理17185∼189(1969)
10)石井 隆;.転移性肝癌におけるLDHおよび
そのIsozymeに関する実験臨床的研究.日本
消化器病学会雑誌67(2)108∼121(1970)
11)野間啓輔:肝疾患における血清LDH Zymo・
gramの検討.肝臓16(9)587∼595(1975)
12)栗原 稔:組織中の乳酸脱水素酵素活性値と
LDH5の推測絶対値において一層,明瞭であっ
た.
6)肝癌における血清LDHアイソザイムは,
血清中に恒常的に存在するLDH酵素に,肝腫瘍
からの逸脱,崩壊および腫瘍周辺の炎症,腫瘍の
影響などによる組織LDH放出により反映される
そのIsozyme pattemの腫瘍特異性に関する臨
ものと考えられる.
床的ならびに実験的研究.日大錦塗25393∼
422 (1966)
13)服部 信:肝癌における乳酸脱水素酵素アイ
ソザイム,日本臨床24371∼377(1966)
稿を終わるにあたり,ご指導,ご校閲を賜わった遠藤
(なお,本論文の要旨および一部は,第60回日本消化
14)P且e童derer,αund ED. Wacぬsm耐h言Alters
und Funktionsabh銭ngige Dif艶renzierung der
Lactat Dehydrogenase Mcnsehlicher Organe.
Bioch Zschr 334185∼198(1961)
器病学会総会,第62回日本消化器学会総会および第10回
15)Starkweather, W凪and H.K:. Shock 3
光夫教授並びに小幡裕教授に深謝するとともに,当セン
ター諸学兄姉,当センター検査室諸氏に感謝致します.
Somc observation on the lactate dehydrogeneル
Intemational Congress of Gastroenterologyにおいて著
ase of human neop正astic tissue.8ioch Biophys
者が発表した.)
Acta 62440∼442(1962)
16)Morgenste叫S., R. Flor, G. Kessler and
(ヨ)_飾α斎乱面。㎞夢
B.Klein 3 Automated detcrmination of NAD
coupled enzymes. Determination Qf lactiq
fbrmente im Blutserum von Tumor Ratten.
Biochem Zschr 314:399∼408(1943)
dehydrogcnase. Anal Bioch 13149∼161(1965)
17)wieme, R.J・31mproved technique of agargel
e正ectrophoresis oll microscope s星ides. Clin
2)Hi11, B.R. and C. Levi 3 Elevation of a serum.
Chim Acta 4317∼321(1959)
18)Castagna,肌;Blood content of rat llver
homogenates, Nature 205405∼907(1965)
component in neoPlastic disease. Cancer Rcs
14513∼515 (1954)
3)Vesse1, E.S. and A.G. Beam=Localization
of lactic acid dchydrogenase activity in
19)Edmo職doson, H.A. and P.E. Ste量ner 3
serum. Proc Soc Exp 8iol Med 9496∼100
Primary carc三noma of the至iver. A study of
(1957)
lOO cases among 48900 necropsies. Cancer 7
4)Market, C.L. and F. Mo皿er 3 Multiple
462∼503(1954)
fbrms of enzymes; tissue, ontogenic and
一1072一