君思ひて桜咲く 第一章 - タテ書き小説ネット

君思ひて桜咲く ★第一章★
叶夢
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★第一章★
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︻小説タイトル︼
君思ひて桜咲く
︻Nコード︼
N7129S
︻作者名︼
叶夢
︻あらすじ︼
しおり
栞。
彼氏、
たける
尊と再会する。
再び繋がる−−−−。
前沢
平凡な家庭を築き、夫や子供たちと幸せに暮らしながら、看護師
として働く
別れた
栞と尊の間の見えない糸が
ある日、高校生の頃
その日から
1
︾
変わっていく
当たり前のように
そ
思
輪廻
・・・。
何もできないでいる。
その流れが
多忙な毎日を繰り返し、それが
突然だった。
プロローグ
−再会−︵前書き︶
︽
それは
平凡だが
出会えたことで、何か
っていた日々。
彼にまた
偶然?運命?それとも
蘇るあの頃の思いを抱えながら
んな予感。
ほんのり
彼との再会は
2
その日も
−再会−
私は
いつものように
小学生の子供たちと
主人を
主人の名前を書くことのほうが
子供たちのこと。
仕事に向かった。
自分の名前より
自分のことでなく
幸せな日々。
送りだし、忙しく
忙しくも
悩みといえば
結婚してからは
増えた。
結婚して十年。
若いお母さんね。とは
後悔することもある。
携帯やメ
独身の看護師たちをみていると、もう少
すぐに結婚して、周囲からは
子供たちの手も離れ、私は看護師のパートとして働き始めた。
大学を出て
言われるが、仕事先の
し、遊んでおけばよかったと
恋愛は多少はしてきたつもりだが、今の彼女らのように
貸店舗だったところが
私には到底ついていけない。
この間まで
平凡な一日の昼下がり。
ールを駆使した恋愛は
彼を見たのは
私の働く医院と同じ通りに
何かの会社になっていた。
3
看護師たちが
うわさしていた。
医院では
いと
私は
ちょうど
その会社はイケメンが多
差し掛かった
新しく入った
仕事が終わり、その会社の前に
かもしれない。
別れてそれ以来だっ
もっと
﹃彼﹄を見た。
15年ぶり、いや
出入り口から出てきた
﹃彼﹄に会うのは
高校生の頃に
懐かしい恋心が
加わ
人だったから・・・。
泣く泣く
二年間付き合って
た。
私にはわかる。
尊。
ずっと見つめてきた
後ろ姿だけだったが
前沢
一番多感な時期に
彼の名前は
彼に対する
だろうか・・・。
気がついた
私に
彼は
いつもの日々に
ダウンロードして
聴いてみたり・・・
﹃366日﹄を聴いて涙してみたり、彼と昔一緒に聴いた
その日から
る。
HYの
曲を
4
でも
ある夢を
見るようになる・・・・・
懐かしむだけの一人よがりにすぎなかった。
頻繁に
昔を
私は
ただ
そして
5
−あなたを追う夢−
尊を見かけるようになってから
彼の夢をよく見るようになる。
と伝えたくて
よく見ていた夢・・・。
一緒に帰ろう
彼はいない。
﹃とっくに帰ったよ﹄
あちこちを探すが
彼の姿を見かけて
彼と付き合っているときにも
中学生の私は
廊下
﹃知らない﹄と言われるか
彼のいるはずの教室や
友達に聞いても
夢の中の彼は
黙って
敬礼をする。
野球部の坊主頭で
出会えることはない。哀しい夢。
経っているのに
私たちは
と言われ愕然とする。
決して
もう何年も
学生服を着ている。
最近よく見る夢は
私に
そんな感じだった。
でも
花びらの舞い散る桜の木の下で
私たちの恋愛はいつでも
尊が
彼の姿はどこかに消える。
あった。
彼を追いかけるが
目覚めたことも
おさげ髪の私は
泣きながら
6
不思議な夢は
彼を見かけた日に
よく見るようになった。
7
尊
尊が
患者として
彼に話しかけることは
整形外科に
を見かけるようになったが
−デジャヴュ−
たびたび
できずにいた。
そんなある日の午後、私の働く
やってきた。
聞き耳を立てた。
代わってあ
高校のころに戻ったようだ。
隠れてしまった。
中学や
抑えられない。
彼と付き合っていた
高鳴りが
彼の姿を見たとき、慌てて奥に
胸の
まるで
﹁どうしたの?﹂
処置室担当
同僚の看護師の奈緒子が不思議そうに聞く。
あの作業着の背の高い人?﹂
﹁元カレなの。﹂
﹁え?!
﹁うん。﹂
﹁かっこいいじゃん。なに照れてるの?
げる。﹂
いいから﹂
﹁いいよ。﹂
﹁まあ
医師と彼の会話に
案内する。
ニヤニヤしながら﹁前沢さ∼ん。﹂
隣の処置室で
彼の名前を呼び、診察室へ
彼女は
と
私は
8
懐かしい
尊
の声・・・。
こっちに
異常がないようです。軽い処置したら
来てほしいけど、来ないで。
どうしよう・・・。
﹁骨には
お世話になりました。﹂
﹂
﹁はい
ニヤニヤして、
終わった。
また
診察が
奈緒子は
きた・・。
気づいた。
腰掛け、腫れた
左手の指を
もう
いいです。
差し出した。
処置室にどうぞ。・・包帯お願いしま∼す﹂
入って
﹁前沢さん
彼が
私に
﹁あ・・・﹂
彼は
なったんだ﹂
﹁お久しぶり・・です﹂
﹁看護師さんに
椅子に
﹁うん。あ、どうぞ、座って﹂
彼は
9
指輪は
なかった・・・。
挟んじゃって・・・一歩間違ったら
なぜかほっとする私。
﹁仕事で
れない。これぐらいでよかったよ。﹂
﹁そうだね。﹂
﹁名字
もう
変わった・・ね﹂
彼の手にシップを巻く手が振るえそうになる。
﹁うん
そんなになるの?﹂
切断してたかもし
歩いたっ
固い手の平だった。
手をつないで
覚える。
昔にもあったっけ?﹂
感覚を
マメだらけの
何年ぶりだろう。昔
子供小学生だよ。﹂
﹁え?
彼の手を触るのは
不思議な
こんなこと
ふと
け。野球をがんばっていたから
私は
﹁あれ?
笑った。
﹁あったかな?そんな気もする﹂
私たちは
お大事に。﹂
近くで働いてるんだ。またな。﹂
﹁はい、
﹁ありがとう。
10
急いで
仕事に戻って行った。
−二人をつなぐもの−
尊は
抑えられずにいる。
同僚たちに話していた。
聞いてくる。
と
緊張が
彼が
私は
奈緒子は
ニヤニヤして
私の元カレだ
みんなが
好きだったりするの?﹂
独身?﹂﹁何年ぶり?﹂﹁何で別れたの?﹂
﹁どんな話したの?﹂
﹁彼
﹁まだ
だろうが。
答えるわけにはいかない。
少しは違った
正直に
独身なら
どれにも
私が
電話してみようかな?﹂
保険証渡すの忘れてた。﹂
言った。
さっきの前沢さんに
事務の子が
携帯番号書いてあるから
﹁あ、
﹁問診表に
彼の書いた
問診表
電話することになった。
いう。
を渡した。
電話しなさいよ。﹂
あんた
私に
﹁それなら
奈緒子が
ニヤニヤしながら
﹁いいですか∼?お願いします。﹂
事務の子も
昼休み
彼の携帯に
結局、私は
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﹁もしもし・・﹂
なんで
です。﹂
小さい。
栞
彼の声も
美月
書いてなかったから﹂
保険証忘れてたよ・・・﹂
携帯番号を・・﹂
斎藤です。あ、旧姓
知らない番号からの電話に
﹁あの
﹁美月さん?
﹁あの、うちの病院に前沢くん
﹁あっ!﹂
﹁ごめんね。問診表に携帯番号しか
﹁そうだった・・﹂
昼休み?﹂
保険証﹂
急いで
いたんだ・・
好奇の一瞥を向けた。
待ち合わせをした。
周囲は
喫茶店で
会えるかな?﹂
﹁どうしようか。保険証﹂
﹁今
﹁うん﹂
近くの
﹁オレも。どこかで
私たちは
感じる・・・
作業着とナース服の二人に
罪悪感を
はい
﹁ごめんね。仕事に戻らないといけないって
﹂
﹁ううん。
12
﹁老ける
変わってないよ﹂
はずよ﹂
﹁サンキュー。・・そっか、
﹁あんま
子供が
うわさ聞いたけど。たしか私が
まだ坊主頭で
学
結婚
もう小学生になるんだ。﹂
15年ぶりくらいだよ﹂
結婚したって
そんなに経つんだね﹂
﹁うそばっかり。だって
﹁もう
﹁前沢くん
するより前に﹂
夢を見るの。
口ごもり、窓の外を見つめた。
﹁ああ。いろいろあってね・・・﹂
彼は
前沢くんの
着てる﹂
時々
生服
少し微笑んだ。
﹁私、まだ
彼は
13
−無い物ねだり−
﹁あの頃、携帯が
ぁ﹂
あったら
何か
お互
変わっていたかな
彼を
待ち、応援す
野球を取った。
話題を共通の友達や
私は
頑張るべき
焦り
私たちは
私は
寡黙だ。
彼女の私より
同じで
切り替えた。
彼の返事に
﹁どうかな?﹂
そっけない
あの頃と
いの家族の近況に
尊は
彼は
できなかった。
離れて淋しい思いをしていた
高校生の頃、
高校が
ることが
切れ長の
思いもしなかった。
頃の思い出・・・。
再会するなんて
高校生の
大人になって
甘酸っぱい
また
何年ぶりだろう。色白で
変わらない。
彼をこんなに近くで見るのは
瞳、すっと通った鼻筋
顔だ。
恋をしてしまいそうになる・・・。
綺麗な
また
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携帯を見て
言った。
﹁そろそろ時間だね﹂
彼は
私たちは一緒に喫茶店を出た。
絶対手に入らない
早く治してね﹂
ほかに
どんな存在なんだろう?
じゃあ﹂
﹁うん。久しぶりに話せてよかった。怪我
﹁ありがとう。
﹁じゃあ﹂
私は
まだ
無い物ねだりだ。
家庭を持っていながら
昔から
尊にとって
私は
幸せな
ようなものが欲しくなる。
でき
所詮無理だ。
彼の携帯番号を知ることが
彼なのかもしれないが
連絡をとることのない
今の私にとって、それが
絶対に
満足。
彼の番号を
ただけでも
そして
登録した。
﹃前沢さん﹄
と
15
私たちは
なぜまた
出会って
しまったの
だろう・・・・。
16
私たちは
戻った。
﹃またいつか会おう﹄なんて
−強がり−
の仕事に
元カレと
奥さんも
お互い
ダメ
社交辞令もなく
とか、不倫は
言ってくる。
そん
隠
考え
彼だって
私だって
愛だの恋だの
ときめきが
違う誰かだった。
綺麗な顔に
関心が一気に覚める。
そんな
子供もいるし、
とか、周りがいろいろ
会ってどうだったのか
職場では
だよ。
﹁たぶん
彼の
言って
考えられないんじゃない?
ほしいよ﹂
久しぶりにみた
﹁な∼んだ﹂と
強がってみる。
余裕が
なこと
る
な∼んて
彼女たちは
心の中では
せないのに。
彼ではない
やっと追い付いた。
彼の夢を見た。
落胆する。
よく似ているが
今夜は
やっぱり
彼に
その日の夜
学生服の
また
腕を掴むと
﹁前沢くん﹂
と
私は
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夢でさえも
結ばれない恋だった。
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−セピア色の写真−
実家を
口々に
訪れた。
私をみて
父方の祖父の
姉だと聞いていた。
いう。
3月も終わりに近づき、だんだん春めいてきた頃、
家族で
会う伯母たちが
33回忌があり
久しぶりに
父の
似てきた。﹂
桜子に
おうこ
﹁栞は
入ってきたのかと思った﹂
だんだん
﹁桜子が
亡くなった
聞いた
なったの?﹂
だよ。﹂
つまってるんだよ﹂
取り出してきた。
同じだねぇ﹂
みたことはない。
若くして
一度も写真で
桜子さんとは
でも
33歳
いくつに
歳老いた凛子伯母さんが
﹁栞は
今年
死んだ歳と
﹁
﹁そう・・・桜子が
一冊の
私たち姉妹の歴史が
古いアルバムを
そうしみじみ言うと
﹁これには
私に
それを手渡した。
そう言って
アルバムをめくると
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結婚したての
祖父と祖母の写真。
おじさ
亡くな
恋愛結婚
若くして
祖父に一目惚れした
おじさんだよ﹂
私は
日の丸
驚きを
隠
ご主人になるおじさんを
頭に
雫子伯母さんの
絵の上手な
長女の雫子伯母さん。彼女も
二人とも明治生まれだが、祖母が
だったそうだ。
次のページには
っている。
広島の
伯母がいう。
﹁これは
と
よく広島から
家に来ていた。あの人か・・・。たしか
そういえば、私が小さいころ
んが
ゆきこ
薫子伯母さん。
桜子伯母さんの写真をみて
一途に
セーラー服を着ている。
凛子伯母さんの女学校時代の写真。戦時中で
ご主人・・・。
次は
の鉢巻きをまいて
学生の頃から
君彦おじちゃんよ﹂
﹁おばちゃん、これは?﹂
﹁これは
凛子伯母さんは
三女の
思っていたらしい。
次は
そして・・四女の
せなかった。
﹁そっくり!ママだ﹂
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まず
私の娘だった。
似ている。
叫んだのは
ほんとに
伯母が
ページをめくる。
まだ少年の
書き添えていた・・・。
あどけなさが残るその人の
﹁桜子もね、好きな人がいたのよ﹂
と
﹁!﹂
尊・・・!?
制服を着た
沢村学思と言った。
がくし
海軍の
は
桜子伯母さんが
﹃学思ひて桜咲く﹄
写真の横に
名
21
PDF小説ネット発足にあたって
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君思ひて桜咲く ★第一章★
2012年10月18日14時32分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。
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