三井楽支所地域振興計画 - 五島市

三井楽支所地域
三井楽支所地域振興計画
地域振興計画
~自然と歴史の調和する美しいまち~
平成22
平成22年度
22年度~
年度~平成26
平成26年度
26年度
五島市三井楽支所
~目次~
1.地域の概要
①
位置・自然環境
・・・・・
1
②
歴史・文化
・・・・・
2
③
交通網
・・・・・
3
④
人口・世帯
・・・・・
5
⑤
産業
・・・・・
6
・・・・・
13
2.地域振興の基本方針
①
基本理念
②
基本方針と主要施策
3.主要事業
・・・
13
・・・・・
17
1.地域の概要
①位置・自然環境
本地域は、五島列島福江島の北西部に位置し、三井楽半島の全部とその西
方海上に浮かぶ嵯峨島からなる総面積 33.84km2の町です。半島部は京ノ岳
(182.8m)の低平なアスピーテ火山からなり、ほぼ円形の火山海岸線を示し
ています。この火山地帯は浜ノ畔と浜窄とを結ぶ線によって二つの地帯に区
分されます。一つは世界的に標式的な玄武岩からなる起伏量 50m以下の火山
山麗であり、一つは低平な玄武岩の熔岩台地で低い丘陵群からなる地帯です。
さらに 4km西方海上の嵯峨島は、二つの火山が接合してできた火山島で、
北方の男岳(151.1m)はホマーテの形態をとり、南方の女岳(130m)は低
平なアスピーテの形態を示しています。その北西側には火山海蝕崖があり、
多量な火山拠出物が成層堆積してできた火山内部を観察することができます。
気候は対馬暖流の影響を受けて、比較的年間を通して温暖多雨の恵まれた
気象条件で、西海国立公園に指定される地域を有する豊かな自然環境に恵ま
れています。
-1-
②
歴史・文化
本町は歴史的、文化的に意義深い土地柄で、古くは万葉の時代、遣唐
使船日本最後の寄港地であり、中国文化との交流の中継地点でした。平
成元年のふるさと創生事業以後「西のはて
万葉の里」づくりを展開し
てきました。このような状況のなか、万葉のふるさととしての位置づけ
を図り、全国の万葉愛好家などの交流を図り、イベントを通して多くの
訪問者が来町しています。
このような歴史の町として多くの文化財が保存されています。県指定
無形文化財のオーモンデーや貝津の獅子こま舞、県指定天然記念物の漣
痕、嵯峨島西海岸など保存されています。無形文化財については、構成
員の高齢化等による後継者不足の状況がみられ、天然記念物でも永年の
腐食により支障をきたしております。
しかしながら、本町の歴史的背景を基にこれまで整備された施設、史
跡などの自然景観、歴史を見直し特色あるまちづくりを進めることによ
り、文化事業もいろいろな展開が期待できます。
-2-
③
交通網
◆道路
本町内の道路網につきましては、国道 384 号線、県道 233 号線を核に
市道 162 路線(129,574m)(橋梁 67 本)、産業用道路として農道 18 路
線(10,698m)、林道 1 路線(2,942m)が整備されています。一部に未
舗装あるいは未改良部分がありますが、生活道路並びに産業用道路とし
ての機能はほぼ確保されています。
◆本町内における交通体系
①本町内における乗合路線バスは利用者数の減少により路線維持が困難
となったことから平成 19 年度に乗合路線バスの運行は廃止されまし
たが、代替交通手段としてタクシー会社によるマイクロタクシー巡行
が運行されています。1 日に 9 便が運行されていますが、従来のバス
路線を基本にしながら地域の実情に見合う路線運行、定額の料金体系
と併せて効率的に運行され、住民の公共交通機関としての機能は確保
されています。
②離島である嵯峨島へは第 3 セクターによる渡海船が平日 1 日に 4 便あ
るいは 3 便が運航し、島民の唯一の生活航路としての機能は確保され
ています。ただし、現在の就航船は建造後 22 年が経過し老朽化が著し
いため、五島市地域公共交通活性化再生協議会において、五島市全体
の問題として平成 23 年度代替新船建造を視野に協議が進められてい
ます。
③乗合タクシー会社が 1 社営業しており、必要に応じ利用されています。
-3-
◆町外との交通体系
道路網の整備や自家用自動車の普及、機能・安全性の向上などにより、
町外への移動は大幅な時間短縮を始め、移動負担は大幅に軽減され、自
家用自動車の保有が一般的となってきています。三井楽~福江間には公
共交通機関として乗合路線バスが平日 1 日に 23 便運行されています。主
に通学、通院等に利用されています。利用者数の減少により路線拡大、
増便、運賃値下げ等は困難な状況ですが、現状の維持は是非とも必要と
思われます。また、三井楽~福江間には乗合タクシー会社が町内に 1 社、
町外に 5 社営業しており、自家用自動車、公共交通機関の役割を補完し
ています。
-4-
④
人口・世帯
本地域の人口は、昭和 30 年の国勢調査による 10,321 人をピークに年々
減少傾向が続いています。5 年毎に実施される国勢調査のたび 10%前後の割
合で減少しており、平成 17 年の国勢調査では 3,456 人となりピーク時に比べ
66.5%の減少となっています。
減少の要因として地域に雇用の場が少ないため、若者の流出傾向は続いて
います。全国的に見て、世帯構成は小家族傾向でありますが、本地域におい
ても従前の一世帯あたり 3~5 人の世帯数が、平成17年国勢調査では 2~3
人となっており、減少の要因として転出が圧倒的に多かったが、近年では世
帯分離、核家族化の進行により、老人夫婦世帯や一人暮らし老人世帯の増加
が目立っており、世帯の小家族化が人口の減少率を緩和しない要因にもなっ
ています。
(国勢調査結果より)
(単位:人;%)
昭 35 年
昭 40 年
昭 45 年
昭 50 年
昭 55 年
総人口
(5 年前調査比)
9,588
8,423
(△7.1) (△12.2)
7,321
(△13.1)
6,329
(△13.6)
5,811
5,163
(△8.2) (△11.2)
4,655
4,306
4,010
(△9.8) (△7.5) (△6.9)
3,456
(△13.8)
0~14 歳
(総人口比)
4,530
(45.4)
3,739
(44.4)
2,978
(40.7)
2,158
(34.1)
1,611
(27.7)
1,235
(24.0)
979
(21.0)
865
(20.1)
642
(16.0)
491
(14.2)
15~64 歳
(総人口比)
4,648
(48.5)
4,034
(47.9)
3,709
(50.6)
3,483
(55.0)
3,413
(58.7)
3,142
(60.8)
2,791
(60.0)
2,454
(57.0)
2,246
1,823
(56.01) (52.8)
65 歳~
(総人口比)
590
(6.1)
650
(7.7)
634
(8.7)
688
(10.9)
787
(13.6)
786
(15.2)
885
(19.0)
987
(22.9)
1,122
(28.0)
1,142
(33.0)
世帯数
2,168
(4.4)
2,006
(4.2)
1,900
(3.9)
1,849
(3.4)
1,894
(3.1)
1,810
(2.9)
1,728
(2.7)
1,668
(2.6)
1,632
(2.5)
1,476
(2.3)
(1 世帯あたり人数)
-5-
昭 60 年
平2年
平7年
平 12 年
平 17 年
⑤
産業
〈就業構造〉
◆平成 17 年度国勢調査による就業者総数 1,397
人に対する産業別の構成比は、第 1 次産業
30.1%、第 2 次産業 11.6%、第 3 次産業 58.3%
となっています。
◆第1次産業では本町の基幹産業である農漁業
の就業者数が年々減少の一途を辿っています。
昭和 55 年の国勢調査では産業別人口の半数以
上を占めていた農漁業者数は、平成 17 年(25 年
後)では 3 割となり全体の 3 分の1以下に落ち込
んでいます。これは、農漁業者の高齢化、後継
者不足等による農業・漁業離れが進んだことが
考えられます。
◆第 2 次産業では、長引く景気の低迷による製
造業の不振、また公共工事の減少により建設業
従事者の減少などが主な原因の一つです。
◆第 3 次産業では、小売業・サービス業・公務
員(自衛隊員含む)等の就業者数も減少していま
すが、第1次・第 2 次産業従事者の減少率が高
く、本町で働く全体の就業者数の減少が大きな
要因になっているため、全体の 6 割弱を占めた
高さになっています。
(国勢調査)
産業別人口の推移
平成17年
30.1
平成12年
31.6
平成2年
11.6
17.3
40.8
0%
43.9
10.8
74.5
昭和35年
20%
第1次産業
40%
1667 人
51.1
15.3
50.2
昭和55年
1397 人
58.3
39.0
3.0
60%
第2次産業
-6-
1958 人
80%
2392 人
22.5
4045 人
100%
第3次産業
〈農業〉
◆本町は地形的にも乏水地帯であり、古来より
土地利用型の農業が展開されてきました。その
代表的作物は甘藷でしたが、切り干し甘藷の需
要の減少に対応して、昭和 44 年頃から養蚕が奨
励され、本町農業の主幹作物として本町経済に
大きく寄与してきました。しかしこの養蚕も、
平成 8 年に生産を中止し、また切り干し甘藷も
平成 14 年度を最後に取引がなくなり終止符が
うたれました。
◆このような状況下、畑作振興策を策定し、ば
れいしょ・青果用甘藷・麦・葉たばこを振興品
目として、また平成 9 年からレタス・かぼちゃ・
そら豆・茶等を振興品目に加え推進しています。
近年では葉たばこの農閑期にブロッコリー・高
菜・スナップエンドウ等を新たに作付する農家
が増加しています。
◆農業就業者数の推移は昭和 55 年の国勢調査
では 719 人であったが、平成 17 年(25 年後)で
は 205 人と激減しており、これは後継者の不足
及び高齢化によって離農者が増えたことが主な
要因となっています。
(単位:人)
農業者数の推移
平成17年 205
平成12年 218
平成2年
昭和55年
448
719
2518
昭和35年
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
農業者数
(長崎農林水産統計)
-7-
◆農業産出額は平成 5 年~15 年まで(合併前
10 年間)の統計によると、概ね 10 億円前後を
推移しており、上位から肉用牛、葉たばこ、水
稲、野菜の順になっています。
農業産出額
H15年
10
H14年
9
H13年
10
6
7
12
H12年
10
6
8
11
H11年
10
5
H10年
10
H9年
11
H8年
12
9
H7年
12
8
10
H6年
13
7
9
H5年
5
6
5
11
0
12
5
12
6
3
9
9
28
23
26
19
10
10
20
10
23
40
いも類
工芸
8
2 3
9.6 億円
8
22
9.5 億円
1
11
12
60
野菜
9.7 億円
8
22
9
2 4
8
27
1
1
豚
1 4
5
10.2 億円
9.6 億円
5
100
鶏卵
10.3 億円
9.6 億円
6
80
肉用牛
10.2 億円
8
28
13
9.9 億円
6 1 6
26
10
9.2 億円
5 13
28
22
13
麦類
27
23
10
8.5 億円
6 1 6
26
11
6
28
28
12
4
6 1 5
20
20
水稲
31
13
8
(単位:1 千万円)
養蚕
120
その他
(長崎農林水産統計)
-平成 16 年 8 月合併後の五島市-
○総農家数 1,943 戸 販売農家数 1,416 戸(H17 年 2 月)
○耕地面積 5,280ha[田 1,740ha 普通畑 3,320ha 樹園地 106ha 牧草地 114ha ]
○農業産出額 56 億 6 千万(H18 年)
[肉用牛 17.4 億 米 8.1 億
葉たばこ 6.4 億 豚 6.4 億 ばれいしょ 2.1 億]
-8-
〈林業〉
◆本町の森林面積は町全体面積の 30%を占め、
この内人工林率は 36%で県平均に比べると幾
分低い状況です。
人工林のなかでも保育・間伐等を必要とする
林分が大半を占めていますが、山林所有者の高
齢化及び後継者不足などによって手入れが進ん
でいない状況です。
◆本町の玄関口でもある浜ノ畔白良ヶ浜には、
およそ 10ha の松が植栽されています。これは
潮害及び飛砂防備の目的で戦後植栽されたもの
で、現在でも下刈・補植等の自然環境と調和し
た整備を行っています。
◆ 白良ヶ浜に隣接する万葉公園には、松や椿な
どさまざまな郷土の花木が植栽され、四季
折々の草花も楽しめます。また遊歩道や東
屋・遊具などの施設も整備されており自然と
のふれあい及び住民の憩いの場所にもなっ
ています。
〈水産業〉
◆本町は三方(北・西・東)を海に囲まれ、地理
的条件からも好漁場を有し、漁業によって生計
を維持する世帯は多く、農業とともに本町の基
幹産業となっています。
しかし、漁業資源の減少や燃油高騰、また後
継者の不足及び高齢化など漁業を取り巻く環境
は厳しくなってきています。
◆三井楽半島の周囲には、県管理第 1 種漁港 1
港と市管理第 2 種漁港 8 港を有しています。こ
れまで防波堤等の外郭施設を中心に整備されて
います。現在も地域水産物供給基盤整備計画に
基づき、漁港の景観整備や漁場の環境整備(魚
礁設置)等を行っています。
-9-
◆五島漁業協同組合三井楽支所に所属する、漁
業経営体数は 137 体で刺網・一本釣漁が大半を
占め、大小の定置網漁が 16 経営体あります。漁
船隻数は 259 隻、従事者数は 259 人、年間に約
1350t あまりの水産物が水揚げされています。
(平成 20 年度現在)
(港勢調査)
漁業従事者数と漁船数の推移
259
H20年
277
H19年
266
H18年
266
344
344
H17年
285
H16年
283
367
303
H15年
0
363
50
100
150
200
従事者数(人)
250
300
369
350
400
漁船数(隻)
(港勢調査)
漁獲量と漁獲高の推移
(百万円)
(t)
800
700
600
500
400
300
200
100
0
1283
1243
1113
655
H15年
1010
1039
463
489
H17年
H18年
731
H16年
漁獲高(百万円)
-10-
1354
572
603
H19年
H20年
漁獲量(t)
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
〈観光産業〉
五島市は、西海国立公園区域の指定を受けている、国内でも第一級の恵ま
れた自然観光資源を有しています。本町においては、
「新観光百選」、
「日本の
渚百選」、
「日本の快水浴場88選」に選定されている高浜をはじめ、嵯峨島、
白良ヶ浜などが西海国立公園区域に指定されています。
また、本町は万葉集や蜻蛉日記などにその名が記され、遣唐使派遣時代に
は、遣唐使船が日本を離れる最後の地であったことが史実として残されてい
ます。
世界遺産登録をめざしている「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の登
録候補資産はないが、カトリック教会及び関連資産、並びに五島八十八ヶ所
霊場など心のよりどころとなる史跡なども残されています。
恵まれた自然景観と歴史的史実並びに残された施設及び史跡を背景にし、
また、これを融合させながら「西の果て万葉の里」をキャッチフレーズに、
原点となる白良ヶ浜万葉公園を始めとして、歌碑公園とこれらを結ぶ遊歩道、
観光拠点施設として遣唐使ふるさと館、高浜にはビーチハウス、嵯峨島にお
いても公園及び遊歩道が整備されました。また、これらを有効活用しながら
三井楽万葉まつりなどソフト事業を展開してきました。このうち、遣唐使ふ
るさと館は道の駅として認定され、観光客の憩いの場、情報発信基地として
の機能を併せ持っています。
そして、これらのハード及びソフト資源を利用し、修学旅行、体験型観光
の誘客を図ってきました。
しかしながら、本町においては夏型観光が主であること、五島市における
観光産業が旧福江市を拠点とする傾向にあることなどから修学旅行をはじめ
観光客は伸び悩んでいます。
今後は、夏型観光から通年型観光への脱却、体験型観光受け入れ態勢の整
備・強化、遣唐使ふるさと館を拠点とし、新特産品の開発を含めた農水産業・
商工業とのタイアップ、市内他地域の観光資源との連携、西の果て万葉の里
をテーマにしたイベント開催などにより、島内外からの集客を高めることが
必要と思われます。なお、アイアンマンジャパン五島長崎大会や五島椿まつ
りなど広域的に実施されるイベントを有効活用することも必要です。
-11-
〈商工業〉
本町の商工業を取り巻く環境は、人口減少、少子高齢化、そして旧福江市
郊外への大型商業施設の進出、道路交通体系の整備、情報通信網の整備によ
る消費購買力の流出、経営者側の高齢化により、後継者不足もあり十分な設
備投資も進まず、経営そのものが断念されるなど深刻な状況であります。
小売業については、濱ノ畔地区を除くと柏地区、波砂間地区及び嵯峨島地
区に各1店が営業するのみとなっています。
製造業については、誘致政策による3社の誘致は女性を中心に雇用の増大
に繋がりましたが、その後の景気低迷、人件費が安価な外国企業との競争激
化、離島であることでの運搬コスト高などにより新たな企業誘致は叶わず、
さらには誘致企業2社が撤退するに到り、現在では食品製造業1社を除き、
個人零細事業者のみであり、製造業従事者数は大幅に減少しています。
宿泊業は、三井楽地区に民宿など4者、嵯峨島地区に民宿1者が営業して
います。
こういった状況を打破すべく、三井楽町商店街では従来のポイントカード
システムを機能向上させた情報処理機能付きポイントカードシステムを構築
し、より密接な地域顧客との関係性創造事業を共同で行い、域内消費者の囲
い込みにより消費回数向上及び売上向上による商店街機能の継続を目的とし
た生産性向上を目指しています。また、実施主体となって毎年開催している
夏まつりなど地域活性化の協働事業の推進に取り組む予定です。
これまでも農業、漁業との連携は模索してきましたが、今後においても商
工会、遣唐使ふるさと館を拠点に農業、漁業及び観光産業ともタイアップし
ながら、地産地消の推進による個人消費の拡大、新特産品の開発、販売促進、
販路拡大の取り組みによる競争力の強化を図る必要があると思われます。
卸小売業、製造業従事者数の推移
(人)
400
312
280
300
243
200
200
126
100
45
199
126
61
54
0
昭和35年
昭和55年
平成2年
平成12年
-12-
平成17年
卸小売業
製造業
(国勢調査から)
2.地域振興の基本方針
①基本理念
三井楽町は、万葉集や蜻蛉日記などにその名を残しており、万葉集におい
ては日本最西端の地として歴史的、文化的に意義深い土地柄であることか
ら、旧三井楽町において「西の果て
万葉の里」づくりをメインテーマに、
まちづくりに取り組んだ経緯があり、三井楽地区の特徴を表現できる万葉
の里としての特色あるまちづくりを進めることにより、支所力の強化、観
光人口交流の拡大による地域の活性化を図ります。
「支所力の強化」
~西の果て、万葉の里の自然と歴史の調和する美しいまちづくりをめざして~
②基本方針と主要施策
基本理念のもと、5つの基本方針を定めます。
『基本方針』
(1)万葉の里の自然と歴史の調和するまちづくり
(2)豊かな自然と人情を育むまちづくり
(3)住民参加による地域の活性化
(4)地域の産業振興
(5)元気に安心して暮らせるまちづくり
それぞれの基本方針に基づき、必要な事業を推進するものです。
(1)万葉の里の自然と歴史の調和するまちづくり
三井楽は万葉集や蜻蛉日記などの古書の中で、
「美禰良久」
「旻楽」
などと記され、死者に会えるところなどと記されています。また、
遣唐使船が南路の航路をとって渡唐していたときは、日本を離れる
最後の地として重要な役割を担っていました。近世では、捕鯨基地
としての繁栄、カトリック教徒の移住と苦難、弾圧の歴史など遺構
及び現代へ引き継がれている遺産が各所に存在しています。
-13-
このような歴史的背景を受け、遣唐使ふるさと館や白良ヶ浜万葉
公園をはじめ各所に公園、歌碑、これを繋ぐ遊歩道が整備されてい
ます。また、文化財、名所旧跡などが点在しており、公園、遊歩道、
名所旧跡等とを併せて、地理的にも三井楽地域全体が万葉の里とし
て位置づけられています。
これらの歴史的背景、地理的条件を、三井楽に住む市民が理解す
ること、この意義・事実・価値を外部に向けて発信し、万葉愛好家
をはじめ全国から三井楽へ呼び込むことができます。
そのための具体的施策として、公園等施設、文化財・名所旧跡等
の配置の確認、隠れた名所等の発掘、施設等の整備・維持管理、郷
土史等知識の習得のための学習会(机上学習、現場探訪)、万葉集・
遣唐使縁の講演会、全国の万葉集・遣唐使縁の地との交流、イメー
ジキャラクターの選定、関連イベントの開催、万葉集縁の花草木の
活用、何より大切なのが地域興しは自分たちの手で行うことの意識
の高揚及び人材育成です。
(2)豊かな自然と人情を育むまちづくり
五島列島の多くは西海国立公園地域に指定されており、三井楽地
域においても一部地域は西海国立公園地域に指定されています。公
園地域はもちろん、公園地域外の地域においても風光明媚な地域は
多く残されています。
日本の渚百選、日本の快水浴場80選などに選定されている高浜
海岸は、夏には海水浴場として多くの来訪者で賑わっています。周
辺には北限とされるサキシマフヨウなどの自生・群生地が広がって
います。全域が国立公園地域に指定されている嵯峨島。島の西側に
広がる千畳敷、世界的にも学術的価値が高い火山海蝕崖、特大のつ
わぶきなど独特の自然が残されています。また、三井楽全域に自生
する松(林)、柾淵川河口のハマジンチョウ、岳・渕ノ元地区の畑地
椿防風林(椿群生地)に代表される椿(林)、スイセンの自生・群生
などの自然に恵まれています。またこれと表裏をなすのが自然の厳
しさ(夏秋の台風、冬の北風)です。そして、そこには豊かである
-14-
が厳しい自然と共に歩んできた人情味溢れる人たちが生きてきまし
た。
春には御大師さんやグリーングリーンデイなど緑に親しむイベン
ト、夏には高浜海水浴場、秋には天満神社祭、冬には椿林探訪や嵯
峨島のつわ引き、四季折々の自然・生活を感じ取ることができます。
また、年間を通して、時期を問わず、カトリック教会探訪、嵯峨島
探訪(魚釣りなど)などができます。地域住民はもとより島外から
の観光客ともふれあい、自然を満喫しながら地域の人情に触れるこ
とができるものです。特に高浜においては、五島随一の、国内有数
の観光地であり、全国から観光客の誘致が可能です。なお、中での
活動においては、自然景観の維持、自然環境の保全などに十分配慮
する必要があります。
(3)住民参加による地域の活性化
地域の活性化には、地域に住む住民の参加、意識の改革が必要不
可欠です。地域の自然、歴史の学習が必要であり、学習意欲の醸成
のためにも、学習機会の提供は必要です。知識の習得、意識の醸成
によりイベント等企画への参画・参加・従事、観光ガイドなど、積
極的な住民参加意欲が湧出することが期待できるものです。
(4)地域の産業振興
三井楽町は豊かな自然(海の幸、山の幸)に恵まれています。ま
た、第一次産業(農業、漁業)は三井楽町の最大産業です。農協、
漁協の指導、協力を得ながら、販路拡大などに努めていく必要があ
ります。水産加工品、農産物を原料にした酒類製造など、一定の効
果を上げているものがありますが、今後においても住民の食生活、
嗜好の変化などを的確に捉え、農水産物に付加価値を加えて新たな
特産品の開発に取り組むなど、住民ニーズに応えていかなければな
りません。そのためにも、産品まつりなどを開催すると共に、積極
的に島外に対しても販路拡大、宣伝広告に努めていく必要がありま
す。
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(5)元気に安心して暮らせるまちづくり
地域の活性化は推進されますが、離島のハンデは大きく、過疎化、
少子高齢化を完全に食い止めることは容易ではありません。しかし
ながら、地域の活性化は地域に住む者の責務です。老若男女が、相
互に協力し合い、支援し合いながら、明るく元気なまちづくりを進
める必要があります。幼児・児童と高齢者との交流、3世代交流な
ど人と人のふれあい、高齢者の体力維持や中高年層の健康維持など
に努める必要があります。なお、人の健康維持増進と併せて、地球
の健康維持(地球温暖化防止、資源節約など)にも配慮し、取り組
む必要があります。
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3.主要事業
①国道沿いへの椿植栽事業
国道384号のうち三井楽地区(白良ヶ浜トンネル~高浜トンネル)の沿
線両側全延長(約5km×2=約10km)に椿を植栽しようとするもので
す。
三井楽地区における白良ヶ浜トンネルから高浜までの国道384号は、岐
宿方面あるいは玉之浦方面のいずれの方面からも三井楽を訪れるためには必
ず利用する主要路線です。また、アイアンマン大会、つばきマラソンのコー
スとしても定着しています。福江、岐宿方面からは高浜(海水浴場)へ、高
浜(海水浴場)から三井楽、福江方面へ向かう多くの観光客が利用していま
す。
開花時期には見事な景観が期待でき、同時期
に開催される五島つばきマラソンの大きなア
ピールの一つにもなります。また、つばきの島
のアピール、安らぎのルートとしても活用する
ことができます。
②電動自転車・原動機付自転車整備事業
三井楽地区においては高浜が代表的な観光スポットとなっていますが、三
井楽地区を周回するかのように各所に歌碑公園、旧跡などが散在しており、
これらを結ぶ遊歩道が整備されています。折しも五島地区が電気自動車の導
入先進地となっていることもあり、環境志向、健康志向の意識も高まる中で、
自然に優しく、また、散策道(遊歩道)でも気軽に運転できる電動自転車、
原動機付自転車を利用してもらうことによって、遠い昔遣唐使たちが夢と希
望と勇気を持って唐(中国)へ旅立ったときと同じ潮風を感じてもらうこと
ができます。
修学旅行生などの団体のメニューとして、また、数名の仲良し仲間、子供
から高齢者まで、家族ぐるみで余暇の過ごし方の一つとして、公園めぐり、
教会めぐりなど、気軽に利用することが期待できます。
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③三井楽マップ製作事業
主要道路、主要施設、万葉歌碑などの「西の果て万葉の里」のキーポイン
トのみを表示した三井楽地域の基礎的マップを作成するものです。文化財、
名所旧跡、公園、観光地、イベントなど目的に応じて作成するマップの原盤
となるもので、パソコンにより容易に作成、修正が可能にし、いずれのマッ
プにおいてもイメージキャラクター「万葉くん」が登場し、紹介してくれま
す。
④地域を起こす会
地域の活性化には地域の住民の理解と協力が不可欠であり、その為には地
域の自然、歴史、文化を学び、住民自らの意見を活用できる機会が必要です。
住民が受け身の立場から脱却し、住民自らの発案によるイベント等の計画段
階からの参画、運営にまで積極的に参加することが求められます。
文化団体、NPO団体及び関係団体などによる組織での検討、将来的には
ボランティア等自由参加での意見交換会を立ち上げ、イベント等開催に当た
ってもボランティア等が自由に取り組めるように活用を図っていきます。
⑤伝統芸能支援事業
三井楽地域には多くの小地域(集落)があり、それぞれの地域には固有の
伝承・民俗芸能、行事が継承されてきたが、多くの地域では、過疎化、少子
化、高齢化により、継承者が不足し、あるいは途絶え、伝承・継承が危惧さ
れています。
文化の消滅は、地域の存続にも繋がるものです。また、消滅の危機にある
もの、消滅したと思われる民俗芸能等の存在を再確認し、地域の住民だけで
はなく、広く三井楽地域住民が消滅の危機にある文化の担い手として関わり
を持てる人材の育成に努めます。
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⑥万葉健康ウォーク大会
地域の活性化には地域住民の元気が必要です。元気のためには健康が第一
です。三井楽半島は海岸線沿いにあるいは半島を周回するように公園、歌碑、
史跡などが点在し、これを結ぶように県道、市道、遊歩道が整備されていま
す。遠いその昔、遣唐使たちが夢と希望と勇気を持って旅立った東シナ海を
臨み、潮風を肌で感じながら、個々の体力に応じたコース(20 ㎞、10 ㎞、5
㎞コースなどを予定)を、個々のペースで歩きます。また、歌碑公園では歌
の内容に思いを寄せることもできます。もちろん、歩き始めと終わりには健
康チェックを行い、普段からの健康維持、体力維持に努めるきっかけとしま
す。
⑦高浜園地景観保持事業
日本の渚百選、日本の快水浴場百選などに選定されるなど、全国に名を馳
せている高浜。ほとんど手つかずのまま残されているその砂浜の美しさ、西
方に浮かぶ嵯峨島、嵯峨島の背後に落ちる夏の雄大な夕日の影、浜の背後に
残されたサキシマフヨウの自生群など、夏の海水浴シーズンに限らず訪れる
人は感嘆の声を上げています。また、魚籃観音展望所、高浜万葉植物展望所、
父ヶ岳等からの眺めも旅の疲れを癒してくれます。
自然環境に配慮しながら、景観の保持、来訪者の利便性の向上に努めてい
く必要があります。また、海水浴シーズン以外の期間においても管理人の配
置により、砂浜をはじめ、駐車場、休憩施設等園地内の定期的な清掃など環
境保持、景観保持、来訪者へのおもてなし(接客)などにより、島内はもと
より全国からの来訪者の心の癒しの場となることが期待できます。
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⑧白良ヶ浜万葉公園整備事業
三井楽町の玄関口にあり、白砂青松と詠われ、数万本のクロマツが繁茂す
る、平成2年度から平成4年度にかけて整備された約4万㎡の白良ヶ浜万葉
公園。万葉花を始めとする草花や花木の植栽、蜻蛉日記歌碑、アスレチック
遊具等、休憩所、遊歩道、イベント用ステージ・広場、遣唐使船型展望台な
どが整備されました。整備後 20 年近くが経過しようとしており、あらためて、
白良ヶ浜万葉公園全体を視野に入れた補修・整備が必要です。特に、公園名
に因み、できる限り多くの種類の万葉花を植栽していきたいと考えています。
自然に溢れ、自然とふれあい親しむことができる公園であり、四季を通じ、
老若男女が、花見、遠足、散策・散歩、子供とのふれあいの場として、また、
万葉愛好家、観光客の休息場、憩いの場として利用されています。また、自
然と親しむイベント会場としても活用されています。整備されることにより、
地域住民の親子連れでの憩いの場、万葉愛好家・観光客の立ち寄り、緑(自
然)と親しむイベント会場としての一層の活用が期待できます。
⑨万葉の里ペーロン競漕大会
遣唐使船が日本で最後に寄港した本涯の地”万葉の里三井楽”。三方を海に
囲まれ、一大漁場の東シナ海に面し、かつては捕鯨基地で賑わうなど、古く
から海と深く関わって生活してきました。その昔、大海原を櫂を漕いで中国
へ渡った人たちへ思いを馳せながら、五島市民及び全国から五島を訪れた五
島愛好家等が親睦と交流を深めながら海を大切にする心を育むイベントです。
白良ヶ浜を臨む三井楽漁港内の波も穏やかなコース、小学生の部、女性の
部などがあり、1チーム当たり 10 名と気軽に参加することができます。
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⑩三井楽万葉まつり
遠く万葉の時代より、西果てのまち・五島・三井楽は、大陸文化の交流の
風にさらされてきました。遣唐使船最後の寄港地、ロマンに満ちた「美弥良久」
において、万葉の地とのかかわりや交流の史実を確かにとらえ、その魅力や
価値を再認識しようとするものです。地域住民自らが参加することによって、
万葉の里づくりに、自信と誇りを持ち、活性化への情熱を駆り立てるイベン
トになります。そして、「西のはて
万葉の里
三井楽」を全国へ向けて発信
し、多くの観光客、万葉愛好家を万葉の世界へ誘うことができます。
みみらく万葉短歌募集、万葉展(短歌、絵画、書など)、万葉集朗唱会、万
葉衣装試着体験、万葉講話、万葉コンサートなど。
⑪万葉の里歌碑めぐりウォーキング
三井楽半島には、遊歩道(後網~塩水/潮騒の路、荒雄の路、旅立ちの路、
夕映えの路)を含め、周回する市道、県道、国道が整備され、各所にゆかり
の詩を刻んだ歌碑公園、史跡などが配置されています。三井楽半島周回コー
スは海岸線を臨むコースであり、潮風を受けながら、みみらくの歴史と自然
を五感で体感するとともに、訪れる人を万葉の世界、遣唐使の世界へ誘って
くれる絶好のウォーキングコースです。万葉歌碑、史跡等においては、ガイ
ドの説明を聞きながら、「みみらく」と万葉、遣唐使との関わり、古代人の
生活を垣間見ることができます。
また、遣唐使ふるさと館~高浜海岸へと流れることが多い観光客を三井楽
半島内へ引き込むことができます。
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⑫万葉講演会
三井楽の古代(万葉・遣唐使)との関わりについては学者等が調査・研究
し、多くの書籍に記されています。外部からこういった研究者を講師として
招聘することにより、改めて万葉の地域との関わりや交流の史実を確かにと
らえ、その魅力や価値を再認識する機会とすることができます。そして、万
葉の里づくりに自信と誇りを持ち、活性化への情熱を駆りたてるものにしま
す。また、五島・三井楽が万葉ゆかりの地として不動の地位を保ち、万葉集
ゆかりの地へのツアー、観光客等を西の果て万葉の里五島・三井楽へ誘うこ
とができます。
⑬万葉の里づくりイメージキャラクター「万葉くん」の選定、着ぐるみの作成
万葉の里づくり推進のイメージキャラクターとして、三井楽地区において
定着している「万葉くん」を改めて選定します。イベント開催チラシ等へ活
用し、万葉の里づくり推進の機運高揚に繋がります。また、
「万葉くん」の着
ぐるみを作成し、イベント会場などに登場させ、参加者等と触れあわせるこ
とにより、
「万葉くん」をより身近に感じることができ、事業推進の機運高揚
に繋がります。
⑭万葉交流事業
小学校児童が島外(県外)の「万葉」をキーワードに地域づくりを進めて
いる地域を訪ね、また、他の地域からの児童の訪問を受け入れ、交流を行い
ます。三井楽以外の万葉縁の地の歴史に直接触れ、交流を深めることにより、
「万葉」について広い知識を習得し、人材育成を図り、将来に亘り「万葉の
里づくり」を繋いでいくことができるようになります。
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