第72号 狛江財政研究会 - FC2

第72号 狛江財政研究会
2 0 1 4 年 8 月 3 日 発 行
代表
小尾 将彦
連絡先 〒201-0003 狛江市和泉本町 2-11-3
Tel/Fax :03-3430-0137
E-mail :m[email protected]
今号の主な内容
HP
:http://komaezaisei.web.fc2.com/
Blog
:http://komaezai.blog.fc2.com/
◇市民センター(公民館+中央図書館)の改修・改築問題を考える
~類団他市と比較しても、お粗末すぎる狛江市の中央図書館
代表 小尾
P2
将彦
P5
*ピークを越えた狛江市の公共施設整備計画と事業債起債状況(図表)
P7
◇狛江で死ねるのだろうか?(その 5)
会員 内山 恵一 P11
◆年金の財政状況
会員 渡辺 久妙子 P20
◆議運での予算・決算特別委員会改革の陳情審査状況
小尾 将彦 P24
◇財政研の例会開催日の変更についてのお知らせ
P24
*類団7市と比較した狛江市の中央図書館の現状(図表)
市民の皆さんからの投稿を歓迎します
<次号73号は2014(H26)年9月30日に発行予定です>
8 月 1 日付の広報の一面に「旧七小跡地の一部に児童遊園を整備します」と題
する記事が掲載された。都水道局の巨大な地下雨水貯留施設が設置されている
地上部の公園化である。歓迎すべきでことであるが、これで又、北部地域に公
園ができる。一方、南部地域には、オープンスペースがない状況が続いている。
南北格差の拡大である。中学校統廃合検討の際は、学校用地の一部を等価交換
して、南部に公園用地を移転することを真剣に考えるべきではないか(小尾)
財政研の会員募集中!市民の目線で「狛江市のお財布」をウオッチしましょう。
・財政研の定例会は、 毎月 第3水曜日 PM6:30~ 中央公民館 (年会費 1200 円)
・財政研の会報 「我がまちの財政」 の購読会員も 募集中です (年間購読料 1000 円)
◇ 市民センター(中央公民館 + 中央図書館)の改修・改築問題を考えてみる
~お粗末すぎる中央図書館の現状を放置したままでいいのか
代表 小尾 将彦
*これまでの経緯 その1・・・矢野前市長が、H21 年 12 月に策定した「公共施設再
編方針」では、旧四小跡地に三中を移転して、三中校庭跡地に、新中央図書館を
新設する計画だった。中学校給食と新図書館建設は、前市長の永年先延ばしさ
れてきた公約ともいえる事業だった。公募委員を含む策定委員会が、一応検討
して、市長に報告したことになってはいたが、三中移転に固執した前市長の意
向を反映したもので、委員会の答申に沿った内容ではなく検討不充分なもので
あった。この大掛かりな2つの事業は、「再編方針」の目玉ともいえる位置付け
ではあったが、
① 併せて 40 億円を越える莫大な費用の捻出には無理があり、新たに過大な
借金を抱えることになること。
② 現在 4 校ある中学校の統廃合を含めた再編方針が、まだ固まっていない段
階での、三中の先行移転であることとその移転先が市の西外れとなること。
③ 旧四小跡地の周辺の多摩川住宅が、マンションの建替えを含め、新たなま
ちづくりを近隣住民が検討中の最中であり、その計画を無視して三中移転
を強行することは、現実的には無理なこと。
④ 現行の市民センターが市役所に隣接し、市の中心にあり、交通の便も良く
利便性が最も高いのに対して、三中跡地では、相対的に利便性がかなり悪
くなること。
⑤ 市は、これまで旧四小跡地は、都市計画上、教育施設でしか利活用できな
いという用途制限があるとの「こじ付けの説明」を繰返ししてきた。しか
し、国も都も、そのような用途制限に拘ることはなくなってきており、そ
のことを野党だった公明党の調査で指摘され、訂正せざるを得なかったと
いう不手際もあった。
等の多くの問題を抱えていた再編方針だった。前述のように、三中移転後の跡
地に、新図書館を建設するという案は、あまりにももって回った事業となり、
規模が大きすぎて、財政負担も過大だった。事実、前市長の在任中に計画の実
行段階で行き詰まったままの市長退任であった。
高橋現市長は、市長就任早々に、
「再編方針」を見直し、新たに「公共施設整
備計画」を、H24 年 11 月に策定し、前述の二つの事業を取止めにした。この判
断は、財政再建途上の狛江市にとっては、適切な措置であったと評価してきた。
又、公民館利用者の有志でつくった「市民にとっての公共施設を考える会」
には、私も加わっていたが、当時、前市長の「再編方針」は、
「身の丈を越え
る」無理筋の事業であり、取りやめることと、現行の市民センターの立地こ
2
そ最適地であり、現在地での増改築の検討をすることが、最善の方策と提言し
てきた経緯もある。利用者中心に約 400 枚のアンケートを回収をしたが、図書
館の拡充を求める声が多かったこと、三中より現有地が最適であること、事業
は必ずしも急ぐことはないということがわかった。このことは、新旧の市長や、
議会にも要望書として提出もし、会報にもアンケート結果は掲載した。
*これまでの経緯 その2・・・「整備計画」の中にある市民センター改修(案)に
ついて、市民センター改修検討委員会が H25 年 11 月に設けられ、市役所の教育
部長、公民館長、図書館長、総務部管財課長の他に、公民館運営審議会や図書
館協議会のメンバーが、各 3 人市民代表として、参加して、一応、市民参加の
体裁は整えてはいたが、
「改修検討委員会」との名前の通り、最初から、
「改修」
を前提とした検討が市の既定方針であった。市民センターの耐震診断結果は、
建物本体は、構造耐震指標は、Is 値=0.81 であり、耐震補強工事の必要性はな
いが、渡り廊下、ブロック壁等は,補強要とのことと水回りや空調施設の老朽
化が進んでいて、補修は、放置できない状況とのことだった。だが、本体の大
掛かりな補強工事をする必要はないことも明らかになった。
*市の既定方針の押しつけでしかなかった改修検討委員会と市民説明会・・・H26 年
2 月まで、計4回の改修検討委員会が開かれ、その間、
「市民センター改修(案)
市民説明会」が、2 月 11 日(参加者 46 人)と 12 日(同 32 人)に開かれた。更
に、公民館の利用者懇談会が、急遽 4 月に開かれたが、開催の周知や目的も不
徹底で、参加団体も過半にも満たない 200 団体以下だった。私は、改修検討委
員会の傍聴や市民説明会・利用者懇談会に出席してみたが、説明内容は当初の
既定方針の繰り返しであり、又、その場で多くの市民から増改築の可能性につ
いての提案があったが、市側で真剣な検討や回答がないままに過ぎてしまった
のは、残念といわざるを得ない。
*増築の可能性を否定した市の説明・・・市の説明によれば、市民センターの増築
は、横方向でも立地的に難しく、特に縦方向の増築は、建築基準法の規定でで
きないと終始一辺倒の回答であった。前市長時代に、旧四小跡地は、都市計画
上、教育施設しか建てられないと事実と異なる説明を議会で繰返したことを想
起させるような頑迷な言葉足らずの対応であった。なお、全面建替えとなると、
地下 1 階、地上 4 階程度建物(約 5,800 ㎡)として、建設費は約 30 億円+解体
費用約 1.65 億円が必要との説明だった。確かに、30 億円もかかる全面建替えと
なると、起債が大半になり、借金返済が今後の財政改革に支障を来すことにな
るだろう。だが、今の建屋の増築となると、話は違ってくるのではないか。
事実、既存の公共施設の改修(リファイン)に数多くの実績のある建築家青
木茂氏の講演会では、全面改築ではなくても、既存の構造体を活かしながら増
築をした事例などを映像で明らかにしていただいた。その後、同氏との話し合
3
いをした狛江市も、縦方向の増築の可能性もあることを議会でも認めたが、市
民への訂正はまだない。当面、本体の耐震補強は OK とのことだから、充分時間
をかけていろいろな可能性を検討してみるべきではないか。その上、市側の説
明では、今回改修したら、20 年位は、次の改修や増改築はないということであ
り、現状固定型の市案では、床面積が少ないままで今後も我慢しなければなら
ない羽目になってしまうが、果たしてそれで本当にいいのだろうかというのが、
多数の市民意見だった。以下に、私なりに、問題点を整理してみた。
① 狛江市の中央図書館の現状は、兎に角、お粗末すぎる・・・5 頁に東京都中央図
書館がまとめた、最新の「H25 年度版 公立図書館調査」から一部、図書総数・
来館者数・貸出総数を抜粋して、狛江市と類団 7 市との比較図表を作成してみ
た。改修計画を説明する前に、中央図書館の現状が、他の類似団体と比べてみ
てどんなレベルにあるのか位の情報は、判断の材料を市民に提供するのは当然
すべきではなかったか。実は、狛江市の図書館施設の状況は、類団の中では、
最低のレベルにあるのだ。財政状況の報告でも、他市比較や多摩 26 市の順位な
どは、当然の判断指標として、最近は明らかにされてきたが、それに類する図
書館の比較情報の提供は、これまでなかった。
その実態提示を避けたままで、現状固定型ともいえる「改修計画」の提案だ
けでは、市民は、適切な判断はできない。以前にも、狛江市の図書館の蔵書数
が非常に少ないことは、財政研の会報でも取り上げたことがある。今回、市民 1
人当りの数値とその順位も算出してみた。4 頁の図表からわかることは、どの数
値をとってみても、類団の中で、最低レベルであり、最下位ともいえる実態で
あることだ。都中央図書館の集計の決まりとしては、図書館法に基づいて設置、
運営される図書館を調査の対象としている。狛江市の場合、地域センターや西
河原公民館の分は、本来対象外となってしまうのだが、仮にその分 12.5 万冊を
加えた数値(30.3 万冊)を参考に狛江市 K2 として、図表に載せてもみたが、そ
れでも、とても類団 7 市の平均値の 44.6 万冊には届かず、最低レベルであるこ
とに変わりはないのだ。
*身の丈にも達しない狛江市の図書館・・・「身の丈にあった暮らし」が大事なこ
とは、いうまでもないことだが、狛江市の図書館の現状は、類団 7 市と比較し
ても、はるかに「身の丈以下」のお粗末な市民サービスの状況にあることを、
市は「改修計画」を説明する前に、先ず明らかにすべきだろう。矢野前市長の
新中央図書館建設案は、無理なところが多く、挫折せざるを得なかったが、他
市と比較して、狛江市の図書施設が、お粗末すぎ、新たな図書館建設もやむを
得ないとの判断があったのではないか。図書数が少なければ、来館者数も貸出
数も少ないのは、当然だろうが、図書数は、蔵書スペースがなければ、増やす
ことも物理的にできない。狛江市の場合、旧四小校舎を仮置き場にしているが、
4
H25年度 狛江市と類団7市の市立図書館の図書総数・来場者数比較 <東京都中央図書館資料より>
人口
P
7 7 2 0 9 狛江市K1 (中央図書館のみ)
図書総数
来館者数
貸出総数
A (千冊)
B (千人)
C (千冊)
178
303
446
696
440
433
470
402
294
565
520
2.5
1.5
3.9
2.3
狛江市K2 (地域センター含む)
75962 類団7市平均 R
157290
74381
59055
84671
74010
71975
85841
81804
0.98
多摩26市平均 T
国立市
福生市
東大和市
清瀬市
武蔵村山市
稲城市
あきる野市
類団平均の倍率 R/K1
類団平均の倍率 R/K2
2.04 多摩26市平均の倍率T/K1
多摩27市平均の倍率T/K2
101
166
453
785
市民1人当り比較
A/P(冊)
B/P(回)
C/P(冊)
2.3
3.9
5.9
4.4
5.9
7.3
5.5
5.4
4.1
6.6
6.4
2.6
1.5
1.9
1.1
1.3
2.2
6.0
5.0
4.2
6.7
9.5
9.1
7.5
11.6
9.0
8.6
5.1
15.4
8.7
2.3
1.4
2.2
1.4
321
517
719
1433
556
682
761
636
366
1321
714
2.2
1.4
4.5
2.8
不明
284
193
443
不明
859
485
4.5
2.7
7.8
4.7
市民1人当り類団順位
4.8
2.3
6.0
10.0
5.9
4.6
2.7
3.8
2.3
A/P
B/P
C/P
⑧
⑧
⑥
⑥
⑧
⑦
④
①
⑤
⑥
⑦
②
③
⑥
②
③
⑤
⑧
①
④
④
⑤
②
①
③
H25 狛江市と類団7市の市立図書館関連データ比較
(都中央図書館資料より)
1433
図書総数 A (千冊)
719
517
321
178
101
303
166
1321
来館者数 B (千人)
696
446453
440
556
貸出総数 C (千冊)
433
284
859
761
682
470
636
402
193
714
520485
565
294
366
H25 狛江市と類団7市の市民1人当り比較
図書総数 A・来館回数 B・貸出総数 C
A/P(冊)
B/P(回)
C/P(冊)
15.4
11.6
9.5
6.7
4.2
2.31.3
3.9
2.2
5.96.0
9.1
4.45.0
5.9
7.5
7.3
4.8
9.0
5.5
2.3
8.6
5.46.0
10.0
4.1
5.1
6.6
8.7
6.45.9
類団7市と比較してみた狛江市の市立図書館の現状 (H25年度版都中央図書館「公立図書館調査」資料より)
① 狛江市の図書総数も来館者数も貸出総数も類団8市(人口平均8.18万人)では、最低レベルである。
② 市民1人当りの上記の3つの数値でも、類団8市の中で最低レベルである。
③ 類団7市の平均との比較では、総数でも市民一人当たりでも、狛江市は半分以下である。 ④ 中央図書館と地域センター等も含めた数値も狛江図書館に確認してK2として追記した。
*都中央図書館としては、設置条例に合致しない地域センター等はカウントしないとしているとのこと。
類団8市で最低レベルの数値も、主な原因は、図書館施設がスペースが狭小であることだろう。
市の文化と生涯学習の中核施設として、「身の丈にもはるかに及ばない」お粗末施設である。
5
それでも蔵書数が、少な過ぎるのだ。一部には、今後、図書類は、フェースブ
ック(FB)に置き換えられるから、蔵書数を増やす必要はなくなるとの意見も
あるが、パソコン(PC)や FB を使わない、或いは、使えない市民がいなくなる
わけではない。
これからも読書は好きだが、FB は使わないという人も必ずいる。
市立図書館は利用したことがないという市民もいる。だからといって、社会教
育や文化教養のための中核施設としての図書館が、類団の中でも最低レベルの
ままでいいということにはならない。今回、ようやく改修する機会ができたわ
けであるから、広く市民アンケート等を実施して、声なき市民の意見も聞いて、
増築を含めた改修案をじっくり検討すべきだろう。いずれにしても、これから
高齢者は確実に増えてくる。高齢者の居場所としてだけでなく、多くの市民に
とって、図書館を含めた市民センターのスペースや設備を拡充すれば、他市と
同じように、利用者は確実に増え、利用価値も高まるのだ。行政としても、市
民センターの拡充の絶好の機会と捉えるべきではないか。
*市民センターの現行の床面積の数値がない市側の説明資料・・・ところで、狛江市
の中央図書館の床面積は、1623 ㎡(*)で、類団 6 市の平均の 2550 ㎡より、927
㎡(△約 36%)も少ないのだ。なお、武蔵村山市には、中央図書館がなく、分館
6 館体制のため、類団の平均値から外した(日本図書館協会発行の「日本の図書
館 2012」より)。しかし、このような数値比較は、図書数も含め、手持ち改修検
討委員会や市民説明会の資料には、意図的に記載しなかったと疑いたくはない
が、何もなかった。(註 この狛江市の数値についても改めて確認したい)
2 月の市民説明会の資料には、
「公民館機能を充実させる」ために、30.8 ㎡の
増大と「図書館施設規模の拡充」として、市民センター建物部分を配置転換に
よる 101.2 ㎡の増加と市民センター建物以外として、市役所近倉庫の新設 77.8
㎡と倉庫の増設 70.4 ㎡で計 148.2 ㎡、併せて 179.0 ㎡の増床となることは述べ
ているが、これでは、他の類団と比較しても、現在の最低レベルのスペースの
改善は、微々たるものでしかない。改修の結果、図書館部分と公民館部分の床
面積は、この改修によって現状からどうなるのかという数値や他市との比較は、
市の説明資料のどこにも明記されていないのだ。やはり、これでは適切な資料
とはいえない。基本データは、きっちり整理して提示する必要があるのだ。
② 狛江市の財政事情はどうなのか・・・「公共施設整備計画」にある整備費用の推
移(H25~H31)と狛江市の中期財政計画の H24 年 11 月版(H23~H27)とそれを
見直し(ローリング)した H25 年 10 月版(H24~H28)の中の市債発行額推移を
7 頁の図表にまとめてみた。「整備計画」にある整備費用は、H25・H26 年度は、
各 15.6 億円だが、H27 年度は 11.2 億円、H28 年度は 6.8 億円、H29 年度は 6.5
億円と減少する。更に、H30 年度 3.1 億円、H31 年度 2.3 億円と減少は続く計画
だ。一方、中期財政計画の市債の発行額の見直しでも、H27 年度は、16.6 億円、
6
狛江市の公共施設整備計画の整備費用とH24/H25年度中期財政計画の市債発行額計画推移
H23
(単位:億円)
H24
H25
H24/11版
H24/11版
H24/11版
H25/10版
H25/10版
H25/10版
11.6
13.2
24.8
事業債
臨財債
市債合計
事業債
臨財債
市債合計
億円 H24/11版 市債合計,
24.8
25
H26
15.6
7.2
12.5
19.7
8.6
12.5
21.1
公共施設整備計画の整備費用
9.4
11.5
20.9
8.8
11.5
20.3
15.6
8.5
11.0
19.5
8.1
12.0
20.1
H27
H28
11.2
8.0
6.0
14.0
8.1
8.5
16.6
H29
6.8
H30
6.5
H31
3.1
2.3
4.8
5.5
10.3
狛江市の公共施設整備計画の整備費用推移(H25~H31)
と
中期財政計画の市債発行額推移(H23~H28)
H24/11版 事業債
20.9
21.1
20.1
H25/10版 事業債
20
20.3
19.7
19.5
H25/10版 市債合計,
16.6
公共施設整備計画の
整備費用, 15.6
15
公共施設整備計画の整備費用
H24/11版 臨財債
15.6
H24/11版 臨財債,
13.2
11.6
11.5
9.4
10
H24/11版 市債合計
12.5
14.0
12.0
11.2
11.0
8.8
8.6
8.5
H25/10版 臨財債
8.1
7.2
8.5
8.0
8.1
H25/10版 市債合計
10.3
6.8
6.0
5
6.5
5.5
4.8
3.1
2.3
0
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
28 年度は、10.3 億円と急減することがわかる。更に、公債費の元利償還額は、
H26 年度は、23.4 億円から毎年度漸減し、H31 年度には 18.0 億円の見込み(但
し H27 年度以降の新規起債分の償還は除く)となり、利子との合算である公債
費も、8 年間も続いた 25 億円台から 20 億円近くとなり、約 5 億円減少するので
はないか。
前述の中期計画の通り、起債額が減少するなら、狛江市の財政の課題であっ
7
た公債費、市債残高や、公債費比率も着実に改善が見込まれることになる。高
橋市長の確固たる財政再建の道筋と成果が見えてきたわけだ。従って、子育て
や高齢者の医療・福祉経費等は、増加するとしても、まちづくりのための事業
として、市民センターの増築の予算化が非常に困難という状況ではないように
思う。勿論、市は、他に優先度が高い事業があるとすれば、公共施設整備計画
や中期財政フレームの改定版で提示し、議会のチェックも受けるべきである。
*狛江市実行プラン(H26 年度ローリング版)の要約が掲載されているが・・・8 月 1 日
付け狛江市の広報には、「事業 No.14 市民センター改修事業」について HP を見
てみると、28 年度までの年次計画がでている。H26 年度 改修工事等実施設計
23.2100 万円、H27 年度 改修工事 148.1 百万円、H28 年度 改修工事 345.5
億円 総額 516.8 百万円 となっている。H25 年度版では、H27 年度に改修工
事は終了で、総額は 318.5 億円だった。1 年遅れで、約 2 億円増額ということに
なる。但し、事業概要及び事業展開として、
「・・・公民館・図書館の機能及びサ
ービス提供のあり方の検証、意見集約等を踏まえた改修工事を実施する」という文言が追
加されている。しかし、今回のローリングの範囲では、現状固定型の改修の域を越えては
いない。逆に 5 億円もかけて、中途半端な改修で済ますことの方が、ムダになるのではな
いか。繰返すようだが、もう少し枠を離れた可能性について、時間をかけて喧々諤々の議
論をやって決めていくべきではないか。
*PFI の活用方法を利用すれば、全面改築の可能性もある・・・ところで、稲城市の
新中央図書館や調布市の室内プール(市民にも開放されている)付き調和小学
校のように、民間の資金と運営 KNOW-HOW を活用すれば、狛江市でも、市の財源
を使わなくても、PFI(Private Finance Initiative=民間資金等活用による公共施設
の整備等の促進をする事業)の手法で取り組めば、増築でなく全面改築(地上 4
階+地下 1 階建?)の可能性もでてくる。市の概算見積りでは、30 億円といった
改築費用も削減できる可能性も充分ある。「民間活力の導入」は、高橋市長の財
政改革推進の一つの柱であり、PFI の検討も一つの有力な選択枝だろう。PFI の
手法には、建物の完成までだけの場合も、その後の運営まで民間事業者に任せ
るやり方もある。稲城市のように、後者の場合には、建築完成後の運営費も効
率的化の可能性が高い。内閣府民間資金活用事業推進室の HP を見れば、事業例
等のくわしい内容が掲載されているので、この際、研究しておくのも、今後の
ために有効となろう。
④ その他の市民センター改修案の課題について
*業者選定は、随意契約でなく、コンペ方式がいい・・・これまでの改修計画では、耐
震診断を委託した業者一社との随意契約で、現状固定型の方針の中でまとめら
れてきたものである。この業者は、増築については、消極的というよりは、否
定的であった。しかし、計画の見直しすることになったら、公募として、例え
8
ば、床面積の建て増し分を仮に 2000 ㎡(約 1.7 階分)とするか、又は、増築の
予算枠を、10 億円(50 万円/㎡として 2000 ㎡分)というような条件を提示して
募集し、その中から、業者選定をしたらどうか。斬新なアイデアが提案される
ことも期待できるかもしれない。前述したように、PFI での全面改築の選択であ
ってもいい。但し、青木氏が、解説していたが、国も地方も財源の余裕がなく
なってきており、これからは、既存施設を全面取り壊して、新規に立て直すの
ではなく、既存施設の一部をできるだけ利用して、リフォームしていくことを
国も重視するようになってくるとのこと。やはり、増築が現実的な選択かもし
れない。
*市民センターの改修期間中の代用スペースの確保・・・市案の改修だけでも、市民
センターは 9 カ月間も、閉館になるとのこと。その間、何か代案はないのか考
えてみた。図書館の代案としては、市立保育園の改修改築が一回り終われば、
狛江駅南側にある保育園仮園舎は、教育研究所になる予定のようだが、その前
に一時仮園舎を代用するのはどうか。スペースは限られるが、ないよりマシだ
ろう。図書室位の機能は、果たせるのではないか。
公民館の会議室の代用スペースとしては、所有者の協力も得て、市内の空家・
空室の活用を検討してほしい。特に、以前から着目していたが、公民館前の市
道の斜め向かいの空き地は、しばしば、市内の新規マンションの販売期間中、
モデルルームが建てられて内覧用にも使われている。販売終了後には、取り壊
されるが、時期的なタイミングが合えば、取り壊さずに、会議室として市が一
時借用することはどうだろうか。勿論、土地の所有者の了解も得て、机と椅子
だけは、公民館から持ちこんで、格安に借用できるのではないだろうか。電研
跡地にできるマンションについても、もし、モデルルームができる場合は、同
様に借用を検討してみたらどうか。
勿論、利用率の低い地域センターや小中学校の体育館、空き教室なども時間限
定で利活用を考えたらどうだろうか。私が、ここで言いたいのは、このような
話をきっかけとして、いろいろなアイデアが生まれてくるのではないかという
ことだ。
◇ところで、8 月 1 日・2 日の新たな市民説明会で流れが変わった・・・今までに述べてきたこ
とは、7 月末までの経過を述べてきたのだが、広報にも掲載された通り、8 月 1 日と 2
日に市民センターの改修について、再度、市民説明会が開かれた。この説明会でこれま
での市民センター改修の流れが、大きく変わった。(この会報の発行を慣例だった奇数
月の末日から、今号では、8 月 4 日に延ばしたのも、実は、この市民説明会を聞いてか
らの方がいいだろうと考えたからです)
冒頭、市側が、これまで市民センター改修計画に拘わりすぎて、対案についての配慮
が足りなかったことについて、企画財政部長・教育部長以下出席者の謝罪から始まった
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のは、やや唐突で、予想外であった。計画の変更があってはいけないというわ
けではないし、謝罪の是非については、特別な思いは私にはない。
続いて、市側は、これまでの改修案について、公民館分と図書館分にわけて、
総括的な説明をした。説明は、写真で改修前後の比較を示し、それなりにわか
りやすかった。プレゼンの最後に、企財部長が、この案は、必ずしも最終案で
はなく、会場でも意見が多かった増築を含めた、実質見直しの場を設け、ワー
クショップや市民アンケート、パブコメ等を通じて、再検討したいとの発言が
あった。その後、質疑の時間となったが、会場の市民の質問内容も、増築する
必要があるのではないかという発言が圧倒的であったように思う。財政の裏付
けのある実現性や増築の技術的な面についても、今後、検討が必要だが、これ
までの動きとは違って大きな方向転換、或いは、前進があったといってもいい。
勿論、当日の市側の代表者だけのその場での判断だけではないだろう。今思
い返せば、6 月議会で、山田議員の一般質問に対して、市長が、それまでの改修
検討委員会や市民説明会で、一方的な押しつけ的な説明に終始したことや多く
の市民から、市の改修計画に反対の意見が多かったこともあり、
「暫く立ち止ま
って考えてみたい」という趣旨の答弁があった。耐震補強工事を緊急に行う必
要がなくなったことも考慮して、市長は、多少時間をかけてでも、現行案の見
直しを、する方向に舵を切り直したのではないかと思う。工事を急がなければ、
財政的な負担ややり繰りもそれだけ、余裕がでてくる。これまでの市長の議会
での対応には、頑固なイメージがなきにしもあらずの印象があったが、今回は、
市長の柔軟な判断があったのではないか。今後、最終的な結論がどうなるかは、
まだわからないが、この方針の修正は、市長の英断だと私は思う。今後どのよ
うなステップを踏んで、最善の改修・増改築案をまとめていくか、強い関心を
もって、一市民の立場から、成り行きを見守っていきたいし、場合によっては、
市民の検討の場に参加することも考えたい。詳細については、次号以下で紹介
していくつもりだ。
付記・・・今後、話を進める場合は、会場で私も発言したのだが、改修を検討する前に、市
民センターの現況がどうなのか、公民館と図書館、共用部分の配置や床面積の数値はどう
なっているのか、又、図書館の場合、他市との比較ではどうなっているのか等の基本的な
データの提示をすべきだろう。今回、初めて多摩 26 市の図書館の蔵書数と市民一人当りの
図書数の比較表が示されたが、この数値は、町田市や八王子市のように、人口の多い市の
数値は、図書数が実際充実していても、少なくなる傾向がある。逆に、人口の少ない狛江
市や類似団体の数値は、高くなる。類団間の比較こそが、より実態を示すものであるのだ
が、狛江市の図書数は、類団 8 市の中では、最低レベルである。そういう客観的なデータ
をしっかり用意することが、今後の検討のために、大変参考になるのだ。
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