2003(日本語Pdfファイル)

[P3.1.4]等圧燃焼ディーゼルエンジンの研究開発
等圧燃焼グループ
尼崎第501研究室
吉川 滋、○秋本成太、半田哲士
1,
研究開発の目的
ディーゼル機関は、熱効率が高く、重質燃料の使用が可能なことが利点としてあげ
られる。一方、環境問題の観点から見ると、CO2 の排出量は少ないが、NOx、PM の
排出量は多い。通常、NOx の排出量を抑制した場合、熱効率が悪化し、PM の排出量
は増大する。
そこで、本研究開発では、高い熱効率を維持した状態で、NOx、PM の排出量を抑
制し、ランニングコストの低減、環境適応性の向上を図る。本研究開発は、コージェ
ネレーション、発電機セットの普及促進を考え、大都市周辺の地方自治体地域で台数
の多い 1000∼2000kW クラスの機関をターゲットとする。
表1.1
本研究開発の目標値値
本研究開発の目標値
最終目標値
熱効率(η) NOx+THC
PM
現 状
41%
9.8 g/kWh
(950ppm)
0.4 g/kWh
目標値
44%以上
3 g/kWh
0.2 g/kWh以下
等圧燃焼システム 6 g/kWh
NOx+THC
再燃焼システム 3 g/kWh
PM
現状の計測値から見直し
表1.1に、本研究開発の目標値を示す。現状の値は、国内の大気汚染防止法に対応し
た時の値である。ただし、PM 値については、実測値ではなく、参考文献による4サイク
ル中速機関の平均の値を採用した ( 1 )( 2 )( 3 )( 4 )( 5 )。このクラスの機関では、PM の実測
例が少なく、PM に関する規制も現在のところない。PM の目標値については、平成15
年度に現状レベルを実測し、妥当性を確認した。目標値は、NOx+THC を現状の約1/3
とし、PMは半減を目指す。また、このクラスのディーゼル機関の最大メリットである熱
効率が高いことは生かし、熱効率は3%の向上を目指すことを目標とする。なお、NOx+
THC の目標値は、エンジン本体で行う等圧燃焼システムに目標値を6g/kWh、最終的な目
標値として再燃焼システムにより3g/kWh と二段階に分けて設定した。本研究開発を進め
るにあたり、燃焼解析の一部を近畿大学工学部の廣安博之教授に依頼した。
2.
2.1
研究開発の内容
本研究開発の技術概要
図2.1に、本研究開発の技
本研究開発の技術概要
術概要を示す。本研究開発の技
クリーンな排気
術は、大きく2つに分けられる。
エンジン本体で行う部分の等圧
ステムに分けられる。
システムは、エンジン内の燃焼
排気エネルギ
の回収
エンジン本体
等圧燃焼技術
給排気特性
最適噴射
燃料噴射系システム
制御
エンジン本体で行う等圧燃焼
システム
排気をクリーン化する再燃焼シ
最適空気量
過給機
気を再燃焼させることによって、
低エミション
再燃焼システム
燃焼システムと、エンジンの排
等圧燃焼システム
高効率
で行う等圧燃焼技術を基本に燃
焼を基本に燃焼に必要な適正な
図2.1 本研究開発の技術開発
空気を供給する過給・給排気シ
給排気弁タイミングの適正化(内部EGR)
過給機・給排気
システムの検討
過給機の実機適用・信頼性調査
実機調査(燃焼室・燃料弁)
等圧燃焼技術
の検討
PM低減技術の開発
ンジン本体で行う過給・給排気
システム、等圧燃焼技術、電子
電子制御式燃料
噴射システムの
検討
システム選定・制御系・単体試験装置の設計
単体試験
制御式燃料噴射システム、再燃
焼システムについて開発した。
2.2
システム・単体試験装置の設計
再燃焼
単体試験
システムの検討
等圧燃焼システム
等圧燃焼システムは、等圧燃
図2.2
平成15年度計画と実績
焼技術を基本に、過給・給排気
システムと電子制御式燃料噴射
システムから構成される。図2.
3に、等圧燃焼システムの概要
を示す。PEC3次の「高効率
技術概要 等圧燃焼システム
等圧燃焼技術
過給・給排気
課題 : 低負荷時の排気色が悪い
システム
コージェネ用ディーゼル機関の
低負荷時のNOx高い
研究開発」で開発した等圧燃焼
低負荷時の熱効率が低い
電子制御式燃料噴射
システム
技術では、高負荷時の熱効率及
び排気色は、研究目標値をクリ
全負荷域で高効率、低エミッション
アできたが、さらにNOx を低
減しようした場合、低負荷時の
図2.3
等圧燃焼システムの概要
排気色が悪くなり、低負荷時の熱効率が低いなどの課題点があった。
3月
2月
1月
月
月
月
9月
8月
10 11 12
項 目
画と実績を示す。平成15年度
は、これらの技術の中から、エ
7月
6月
5月
図2.2に平成15年度の計
年 月
4月
う電子制御式燃料噴射システム
から構成される。
計画
実績
H15年度計画と実績
ステム、また、適正な噴射を行
そこで、本研究開発は、低負荷時の熱効率、排気色、NOxも考慮に入れ、全負荷域で
高効率低エミッションを達成する技術の開発を目的とする。従来の等圧燃焼技術は高負荷
時のみ等圧燃焼が可能であったが、それに過給・給排気システムと電子制御式燃料噴射シ
ステム組み合せることによって、全負荷域で等圧燃焼が可能にすることを考えた。
2.3
過給・給排気システムの開発
等圧燃焼を達成するためには、圧縮圧力の増大、燃焼開始時期の遅延、燃焼期間の短縮
することが必要である。そこで、燃焼期間の短縮するためには、十分な空気量が必要不可
欠である。そのため、平成14年度は、主として過給システムの開発をした。過給システ
ムの開発として、高圧力比過給機、可変ノズル機構を有した過給機のメーカーを調査購入
し、実機試験による評価を行い、また、ツインターボシステムについても製作し、実機試
験による評価を行った。その結果、可変ノズル機構を有した過給機、または、ツインター
ボシステムが有効であることが判明した。
平成 15 年度は、過給機システムに最適な給排気弁タイミングの検討、また、さらに低
NOx化と熱効率の向上を目指すため、給排気弁タイミング変更による内部 EGR 技術の開
発を行った。
図2.4に、平成 14 年度に達成
平成14年度の等圧燃焼技術による結果
した等圧燃焼技術による NOxと熱
効率の関係を示す。図2.4に示す
46.0
平成14年度の等圧
燃焼技術採用結果
ように、等圧燃焼技術の目標値を達
成値に対して、さらに NOxを3割
程度削減し、熱効率を約2%向上す
る必要がある。そこで、熱効率の悪
熱効率 (%)
成するためには、平成 14 年度の達
等圧燃焼技術の
研究目標値
44.0
42.0
40.0
標準(現状)
38.0
化を極力抑えた NOx低減方法とし
て EGR 技術を検討した。このクラ
36.0
4
6
8
10
12
14
16
NOx (D2cycle) g/kWh
スのエンジンでは、主として燃料は
A 重油を使用するため、燃料性状が
平成 14 年度の達成値
図2.4
悪く、通常採用されている外部 EGR
技術の検討をした。
図2.5に内部 EGR 技術の概略
を示す。図2.5は、エンジンのシ
リンダ内(5シリンダ)のガス交換
特性と弁タイミングを示す。通常の
場合は、他シリンダ(6シリンダ)
からの排気パルスがオーバーラップ
時にシリンダ内に逆流しないように
C
1 2 3 4 5 6
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
-2.0
-2.5
-3.0
30
T
排気マニホ−ルド
25
給排気弁リフト mm
弁 タ イ ミ ン グ 変 更 に よ る 内 部 EGR
給気ダクト
(エンジン本体)
シリンダ内圧力
給排気圧力 kg/cm2
することが予測されるため、給排気
I/C
内部EGR技術
では極端にエンジンの信頼性が低下
20
① 再啓開弁リフトの適用
→ 排気ガス再流入(EGR) 15
→低NOx化
(給気弁リフト)
排気弁リフト
10
再啓開用排気弁
2次リフト 5
0
0
90
180
図2.5
270
360
クランク角度
450
Deg CA
540
630
内部 EGR 技術の概略
720
(5 シリンダに6シリンダの排気パ
EGR技術
ルス)、排気弁を閉じるように弁タイ
ミングを設定するが、内部 EGR は
外部EGR
逆流するように、排気弁を閉じた後
排気管
再度排気弁を開くようにする。排気
弁を再度開くことにより、オーバー
C
エンジン本体
クーラー
給気管
積極的に他シリンダの排気パルスが
T
内部EGR
ラップ時にシリンダ内へ排気ガスが
給気管
逆流する。排気ガスの逆流効果によ
エンジン本体
って、EGR効果が発生する。
C
コスト・信頼
性を考慮する
と内部EGR
と内部EGR
排気管
T
内部EGRは、図2.6に示すよ
うに、シリンダ内と排気管内で完結
図2.6
外部EGRと内部EGR
できるため、エンジン信頼性を損な
わず達成することができる。平成 15
等圧燃焼技術
年度は、内部EGRについて、給排
気シミュレーションを実施し、弁タ
燃料弁
イミングを変更した給排気カムを製
0.46
145 °
8-φ0. 46 ×
°
上部噴孔角度、
0.47
150
噴孔径
0.48
155
作し実機調査を実施した。
2.4
0.32 ×90° 下部噴孔径
+ 4-φ0.
0.33
0.34
等圧燃焼技術の開発
平成 14 年度は、等圧燃焼技術の
燃焼室
コンセプト、性能シミュレーション、
圧縮比同一
燃焼室開口比
深皿燃焼、千鳥燃料弁の開発を行い、
72,70,68%
図2.4に示すように、NOxと熱
効率の改善を行った。
平成 15 年度は、さらにNOxと
図2.7
等圧燃焼技術(変更諸元)
熱効率の改善を行うため、図2.7に示すように、燃焼室形状の変更、千鳥燃料弁の諸元
変更による実機調査を実施した。また、内部EGR適用時の最適燃焼マッチングを実機調
査した。
2.5
電子制御式燃料噴射シス
技術概要 電子制御式燃料噴射システム
テムの開発
本研究開発の対象であるクラスの
エ ン ジ ン ( 1000~2000kW ) で は 、
電子制御式の噴射システムを採用し
ているエンジンはほとんどないため、
平成 14 年度は、電子制御式燃料噴
射システムのメーカー調査と、商品
調査を実施した。その結果、本研究
開発では、図2.8に示すように、
噴射系メーカーとして実績がある
図2.8
EDISシステムの概略
WOODWARD社のEDISシステムの
採用を決定した。平成 15 年度は、EDI
Sシステムを購入し、単体試験を実施し、
技術概要 再燃焼システム
システム概略図
機関に取付けて実機調査を実施した。
2.6
エンジン本体
発電機
再燃焼システムの開発
ECU
I/C
図2.9に、再燃焼システムの概略を示
燃
焼
器
す。再燃焼システムはエンジンからの排ガ
調量弁
過給機
燃料タンク
(マイクロ発電装置)
スを燃焼器で燃料と空気で再燃焼すること
高速発電機
タービン
圧縮機
で排ガス成分を低減するシステムである。
コージェネシステムへ
図2.10 に燃焼器内の排ガス低減原理を示
す。燃焼器内で二段燃焼させることで排ガ
排気
給気
図2.9
再燃焼システムの概略
ス成分を低減する。一段目の燃焼は還元剤
技術概要 再燃焼システム
として燃料を使用し過濃燃焼によりNOx
還元しNOxを低減する。二段目の燃焼は、
二段燃焼器概略図
希薄燃焼させ一段目の燃焼で発生するTH
C、CO、Soot を酸化燃焼させ低減させ、
二次供給用排気
一次供給用排気
最終的に燃焼器から排出される排ガスをク
リーン化する。また、燃焼器の燃焼で得ら
希釈用排気
タービンへ
一次燃焼領域
燃料
れた排気エネルギーを回収するため、燃焼
還元(過濃)燃焼
λ< 1.2
T > 800℃
二次燃焼領域
希薄燃焼
λ > 1.4
T <1400℃
器をエンジンと過給機のタービン入口の間
に配置し過給機のタービン軸にマイクロ発
電機を取付け電気的に回収するシステムで
図2.10
燃焼器内の排ガス低減原理
ある。
平成 15 年度は、この再燃焼システムの単体試験装置を設計製作し、まず、燃焼器の再
燃焼による排ガス成分の低減効果を確認した。
3.
研究開発の結果
平成15 年度は、エンジン本体で行う給排気システム、等圧燃焼技術と、電子制御式燃
料噴射システム、再燃焼システムの単体試験によるシステム開発を行った。また、実機で
の現状レベルのPMを実測した。
3.1
過給・給排気システムの開発
平成 15 年度は、給排気弁タイミング変更による内部EGRについて、給排気シミュレ
ーションを実施し、弁タイミングを変更した給排気カムを製作し実機調査を実施した。図
2.11 に弁タイミング変更時の4種類のカムプロフィールと、図2.12 に各々の場合の
給排気シミュレーションの結果を示す。給排気シミュレーションの結果は、シリンダ内の
空気量の低下と、残留ガス量について示す。内部EGRのEGR率は、残留ガス量が多い
ほど多くなるがシリンダ内の空気量も減少するため、適正な残留ガス量を見積もる必要が
ある。今回の場合は、約 2 割程度のNOxを低減したいため、残留ガス率が約4%程度が
望ましく Type 4 のカムプロフィールでカムを製作し実機調査を実施した。
内部EGR計算例(GT-POWER) Type 1
18
10
8
6
4
14
12
10
8
6
4
2
2
0
0
180
270
360
450
540
630
90
180
270
360
450
540
Type 4
18
16
カムリフト mm
16
14
12
10
8
6
14
12
10
8
6
4
4
2
2
0
8
6
4
2
630
クランク角度
Type 3
18
Ty pe1
Ty pe2
Ty pe3
Ty pe4
10
0
0
シリンダ内λ低下率
90
残留ガス率 %
カムリフト mm
カムリフト mm
12
クランク角度
カムリフト mm
12
16
14
0
1.10
1.00
Type4
Type3
Type2
Type1
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0
0
0
90
180
270
360
450
540
630
0
90
クランク角度
図2.11
3.2
内部EGR計算例(GT-POWER) Type 2
18
16
180
270
360
450
540
20
40
60
80
100
120
負荷率 %
630
クランク角度
カムプロフィール
図2.12
給排気シミュレーション結果
等圧燃焼技術の開発
NOxと熱効率の改善を行うため、
図2.13 に示すように、燃焼室形状の
等圧燃焼技術
変更、千鳥燃料弁の諸元変更による実
燃料弁
機調査を実施した。その結果、燃料弁
諸 元 は 8 − Φ 0.48 × 150 ° + 4 − Φ
0.46
145 °
8-φ0. 46 ×
°
上部噴孔角度、
0.47
150
噴孔径
0.48
155
0.34×90°、燃焼室形状は燃焼室開口
0.32 ×90° 下部噴孔径
+ 4-φ0.
0.33
0.34
比 70%が 最 も エ ン ジ ン 性 能 が 良 か っ
燃焼室
た。
圧縮比同一
72,70,68%
燃焼室開口比
図2.14 に、給排気弁タイミング変
8-φ0. 48 ×150 °
更による内部EGRと等圧燃焼技術の
+ 4-φ0. 34×90°
組み合わせによる達成結果を示す。
等圧燃焼技術で、熱効率44%、
図2.13
燃焼室開口比 70%
等圧燃焼技術
NOx8.5g/kWh を達成し、内部E
GRの採用により、熱効率44%で、
EGR技術採用時の予測
NOx6.1g/kWh を達成した。等
46.0
研究目標値 (等圧燃焼技術)
圧燃焼システムの目標値である熱効
電子制御式燃料噴射シス
テムの開発
電子制御式噴射システムとして、
EDISシステムを購入し、単体試
験を実施し、機関に取付けて実
熱効率 (%)
3.3
平成14年度の等圧
燃焼技術採用結果
44.0
率44%、NOx6g/kWh をほぼ達
成することができた。
等圧燃焼技術の
達成値(現時点)
42.0
標準(現状)
40.0
内部EGR適用時
38.0
36.0
4
6
8
10
12
14
16
NOx (D2cycle) g/kWh
機 調 査 を 実 施 し た 。 図 2 . 15 に 、
電子制御式燃料ポンプの構造を示す。
図2.14
等圧燃焼技術と内部 EGR 採用結果
燃料ポンプ本体はヤンマー製を使用し、その上部にWOODWARD製の電磁ソレノイド
バルブを装着した構造である。図2.16 に、制御システムの概要を示す。電磁ソレノイド
バルブのコントローラには、燃料カム、TDC、クランク角度信号を取り込み、バルブ開
閉タイミングを制御する構造となっている。
構造概要
制御システムの概要
110VDC電源
ソレノイド
WOODWARD製
WOODWARD製
コントローラ
スピルバルブ
ヤンマー製
カム
図2.15
電子制御式燃料ポンプの構造図
図2.16
TDC クランク
制御システムの概要
この電子制御式燃料ポンプの単体試験装置を製作し、単体試験によって燃料ポンプの噴
射特性を調査した。図2.17 に、単体試験装置の外観を示す。図2.18 に、定格運転時
(100%負荷)の噴射量を想定して噴射特性計測した結果を示す。噴射圧力のパターン が
通常の機械式ポンプに比べてシャープである。
噴射特性
単体試験装置 外観写真
定格時
試験用高圧管
100% Load
電磁弁
N18用ノズル
配管板
FOP
図2.17
単体試験装置の外観
図2.18
噴射特性計測した結果
噴射量にバラツキが発生するとエンジンの運転状態が不安定となるため、噴射系の重要
な評価基準であり単体試験で調査実施した。図2.19 は、低負荷運転時を想定した噴射量
で、噴射量のバラツキ調査の結果である。バラツキの程度は比較的小さいが、エンジン運
転範囲でエンジン回転数900min -1 (カム速度450min -1 )の低負荷時に一部バラツキ
量が大きいゾーンがあるため、噴射特性のバラツキ調査を実施した。また、この電子制御
式燃料ポンプで可能なパイロット噴射時の噴射特性のバラツキ調査を実施した。図2.19
に、エンジン回転数900min -1 の低負荷時のバラツキ調査結果を、図2.20 に、パイロ
ット噴射時のバラツキ調査結果を示す。パイロット噴射時には、図2.20 に示すように、
バラツキが大きくあるため今後改善が必要である。
噴射のバラツキ(パイロット噴射)
噴射のバラツキ調査結果
Pump Speed : 450rpm
3
Q : Pilot 30 mm /st
3
Main 672.75 mm /st
STD : Pilot 3.1
Main 8.9
Pilot-Main : 3ms
Pump Speed : 450rpm
3
Inj. Quantity : 100mm /st
STD : 13.12
電流
30A/DIV
0.5mm/DIV
バルブリフト
プランジャー
50MPa/DIV
デリベリ圧
50MPa/DIV
ノズル圧
ノズルリフト
0
電流
10
20
30
バルブリフト(吸引)時のバウ
ンシングにより、電磁弁の開く
タイミングがばらつく。
波形のバラツキが見られる。
バルブリフト
0.5mm/DIV
プランジャー
50MPa/DIV
デリベリ圧
50MPa/DIV
50MPa/DIV
ノズル圧
0.5mm/DIV
ノズルリフト
40
50
0
30A/DIV
0.5mm/DIV
10
20
30
40
50
カム角度 (°cam)
噴射量のバラツキ調査結果
図2.20
(エンジン回転数900min -1 の低負荷時)
3.4
噴射圧力の立ち上がりにば
らつきが見られる
50MPa/DIV
カム角度 (°cam)
図2.19
パイロット噴射後のバウンシ
ングによりメイン噴射の立ち
上がりがばらつく
噴射量のバラツキ調査結果
(パイロット噴射時)
再燃焼システムの開発
平成 15 年度は、再燃焼システムの単体試験装置を設計製作し、まず、システムの燃焼
器の再燃焼による排ガス成分の低減効果を確認した。図2.21、図2.22 に、再燃焼シス
テムの単体試験装置の外観を示す。図2.21 は単体試験装置全体、図2.22 は燃焼器で
ある。
試験装置の外観
再燃焼システム(燃焼器単体試験装置)
再燃焼器の外観
再燃焼システム(燃焼器単体試験装置)
ディーゼルエンジン
排気
二次空気
燃料噴射弁
点火栓
還元部
酸化部
冷却装置
保炎用空気
燃料微粒化用補助空気
図2.21
単体試験装置の外観(全体)
図2.22
単体試験装置の外観(燃焼器)
エンジンから排出された排ガス成分(NOx,THC,CO,BSN)を100として、
還元剤である燃焼器内への燃料供給量を変更して、燃焼器の再燃焼による排ガス成分の低
減効果を単体試験装置で調査した。その結果を図2.23 に示す。排ガス成分でも、THC,
CO,BSNは燃焼器内への燃料供給量の影響はほとんどなく90%以上除去できること
がわかる。ただし、NOxは、燃焼器内への燃料供給量(還元領域λ)の影響を大きく受
け、NOxを半減(50%)にするためには、還元領域のλ(空気過剰率)を1.15以
下にする必要があることがわかった。
3.5
実機のPM計測結果
PM計測装置を購入し、現状レベルの実機エンジンのPMを計測した。このクラスのエ
ンジンでの実機のPM計測例は少なく、PMの計測方法も規制上では明確ではない。本研
究開発では、マイクロトンネルを導入し計測した。運転サイクルは、このクラスのエンジ
ンの舶用の発電機仕様の運転サイクルであるD2サイクル(ISO)で運転し、PMを計
測した。計測結果を図2.24 に示す。D2サイクル値でPM値は0.38g/kWh となっ
た。目標値の現状値は参考文献から約0.4g/kWh と見積もっていたが、ほぼ同等な値と
なった。よって、目標値は現状の半減値の0.2g/kWh とする。
D2サイクル
重み
係数
100
CO
BSN
100
0.05
THC
75
0.25
50
0.3
25
10
0.3
90
80
70
60
NOx
50
40
0.80
0.85
0.90
0.95
1.00
1.05
1.10
1.15
1.20
1.0
D2サイクル値 0.38
PM g/kWh
各成分の低減率(再燃焼システム入口ー出口)
再燃焼システムによる各排ガス成分の低減効果
0.8
実測値
0.6
実測値×重み係数
0.4
0.2
0.1
100
回転数 %
0.0
10
25
50
75
100
Load %
還元領域 λ
図2.23
3.5
排ガス成分の低減効果
図2.24
PM計測結果
委託研究
電子制御燃料噴射システムに要求する噴射特性を調査するため、近畿大学工学部の廣安
博之教授に、噴射率パターンを変更した場合の燃費とNOxの関係を燃焼シミュレーショ
ン計算による調査を依頼した。その結果を図2.25 と図2.26 に示す。図2.25 に示す
ように、噴射パターンを大きく4つのパターンに分けて、その時の燃費とNOxを図2.
26 に示す。平成 15 年度の開発技術から、最も考慮するのは燃費であり、この噴射パター
ンでいうとパターン①の初期の噴射率を高めたものが最適であることがわかった。
図2.25
噴射パターン(4種類)
図2.26
燃費とNOxの関係
4.まとめ
4.1
平成 15 年度の研究開発
① 過給・給排気システムについて、給排気弁タイミング、カムプロフィール変更によ
る内部EGR技術を開発した。
② 給排気弁タイミング、カムプロフィール変更による内部EGR技術と、等圧燃焼技
術を組み合わせることによって、熱効率44%、NOx6g/kWh の等圧燃焼シス
テムの目標値を達成した。
③ 電子制御式燃料噴射システムについて、WOODWARD 社製の EDIS システムを購
入し、単体試験装置を製作し噴射特性調査を実施した。ほぼ要求特性を満足してい
るが、ある領域の噴射量のバラツキについては改善が必要であることがわかった。
④ 再燃焼システムについて、単体試験装置を製作し、再燃焼システムによる排ガス低
減効果を確認した。排ガス成分THC,CO,Soot は約90%以上減少し、NO
xは還元剤の供給量によって低減率が変化し約75%∼50%減少する。本研究開
発の再燃焼システムのターゲットであるNOx50%低減のためには、還元領域の
空気過剰率は1.15以上必要であることがわかった。
⑤ 委託研究により、本研究開発で要求される燃料噴射率パターンは初期に噴射率が高
いパターンが望ましいことがわかった。
4.2
今後の課題
等圧燃焼システムの目標値はほぼ達成することができたが、最終目標値には達成す
るためには、今後、電子制御式燃料噴射システムの実機への適用、再燃焼システムに
よる排ガス低減効果を明確にする必要がある。また、PMの計測についても実機計測
の計測方法を信頼性高いものにする必要がある。最終的に全体のシステムとして、最
終目標値を達成し、エンジンの信頼性、耐久性についても調査する予定である。
4.3
来年度の重点事項
① 電子制御式燃料噴射システムを実機へ適用し、熱効率の改善とNOx低減を図る。
② 再燃 焼シ ス テム の単 体 試験 で、 排 気温 度の 影 響、 還元 剤 の影 響を 調 査し 、実 機 に
適用 した 場 合の 効果 を 明確 にす る 。ま た、 燃 焼器 の排 気 エネ ルギ ー を回 収し た 場
合の回収率を予測を明確にする。
③ 実機 のP M 計測 デー タ の蓄 積、 計 測方 法に よ るバ ラツ キ 調査 を実 施 し、 計測 方 法
の信頼性向上と、PM低減効果を明確にする。
④ 最終的にシステムを統合し、システムとしての信頼性、耐久性を調査する。
付表
参考文献リスト
注釈番号
参考文献
(1)
Y.Nskajima ほか
(2)
Mollenhauer,K.ほか
(3)
前田、高崎ほか
(4)
(5)
塩出
ISME2000(2000)pp.313-318
ISME Yokohama 1995 Vol.1,(1995),pp416-421
日本マリンエンジニアリング学会誌 Vol.38 NO.1 2003
日本舶用機関学会 特別基金講演会前刷 pp60−65
中島
日本マリンエンジニアリング学会誌 Vol.37 NO.1 2002