日消外会誌 28(10):2007∼ 2011,1995年 門脈走行異常 (膵前十 二指腸後門脈)を 伴 った胆管癌 の 1例 厚生連周東総合病院外科 松井 則 親 金沢 守 守田 知 明 中村 丘 原 田 幹 彦 兼 行 俊 博 森 景 則 保 門脈 の走行異常 は極 めて まれで あ る。 今 回,門 脈 が膵頭 前面 で十 二 指腸後面 を走行 す る胆管癌症例 を経験 したので,門 脈走行異常 の発生 学 的 な考察 を加 え報告 す る。症例 は66歳の女性 で,上 腹部痛 を 主訴 に来院 された。黄疸 を認 め諸検査 よ り中下部胆管癌 と診 断 した。血管造影 で 門脈 は膵頭部下縁 で 右方 へ著 明 に偏位 して L字 型 を呈 し,膵 上縁 で既 に左右 に分岐 して肝臓 に向か って 出折 して いた。陣 静脈 は左 門脈 へ 流入 し,そ の流入 部 に腫瘍浸潤 を認 めた。手術 は門脈合併膵頭十 二 指腸切 除 を施行 し た。門脈 は膵前面 ,十 二 指腸後面 を走行 し,膵 上縁 で左右 に分岐 して肝 十 二 指腸 間膜 内 で は胆管 の腹 側 に位 置 して い た。 門脈 は消化器外科領域 において臨床 上極 めて重要 な血管 で あ るが,本 症例 の よう に門脈 が胆管 の腹側 を走行 す る こ とも発生学的 に起 こ りうるので留意 が必 要 で ある。 Key words: anomaly of the portal venoussystem, prepancreaticpostduodenalportal vein, anteroposi tion of the portal vein は じめ に 消化器外科領域 において門脈 は臨床上極 めて重要 な 血 管 で あ る。腹腔動脈 の分岐異常 は認 識 されてい るが, 門脈 の走行異 常 は極 めて まれで あ り,小 児外科領域 で ll め が 散 見 され るの みで あ 十 二 指腸前 門脈 の症例 報 告 る。 しか しなが ら門脈 の走行異常 も有 りうる ことを認 識 してお くことは診 断 あ るい は治療面 において,外 科 医 に とって非常 に重要で あ る。今 回,門 脈 が膵頭前面 を通 り十 二 指腸球部後面 を走行 す る胆管癌症例 を経験 したので,門 脈走行異常 の発生学 的 な考察 を加 え報告 す る。 症 例 患者 :66歳 ,女 性 主訴 :上 腹部痛 既往歴 ・家族歴 :特 記 す べ きこ とな し. 異常 を指摘 で きなか った。 経皮経肝胆管造影 (以下,PTCと 略記)な らび に逆 行性膵胆管造影 (以下,ERCPと 略記):入 院時 の PTC &ERCP所 見 で は下部胆 管 に閉塞 を認 めたが膵 管 に は異常 なか った。減黄後 の胆道造影所見 で,胆 裏 は造 影 されず 中部胆管 よ り下部胆管 にか けて壁 の硬化 ・不 整 が み られた (Fig。1). 腹部血管造影所見 :上 腸 問膜 動脈造影 で は,門 脈 は 膵頭部 下縁 で右 方 へ著明 に偏位 して L字 型 を呈 し,膵 上縁 ですで に左 右 に分岐 し,肝 臓 に向 か って 曲折 して いた (Fig。2).腹 腔動脈造影 で は,動 脈 主要分枝 に形 態異常 はなか ったが,後 上膵十 二 指腸 動脈 に encase‐ mentを 認 めた (Fig.3A).牌 静脈 は左門脈 へ流入 し, そ の流 入 部 に腫 瘍 塞 栓 と思 わ れ る透 亮 像 を認 め た (Fig.3B). 現病歴 :平 成 3年 2月 下句 よ り上腹部痛 お よび食欲 不振 を覚 え当院 を受診 .黄 疸 を指摘 され 3月 4日 入院 とな った。 入院時現症 :身 長 143cm,体 重40kg.限 球結膜 な ら び に皮膚 に黄染 あ り.心 肺 に異常 な く,表 在 リンパ 節 腹部造影 CT所 見 :中 部胆管 よ り膵 内胆管 にか けて その内部 に腫瘍 像 を認 めた。血管造影所見 と合 わ せ る と胆管 の腹側,腫 瘍右側 で膵 前面 に位 置 し,膵 下縁 で 横走 す る太 い血管 が 門脈本幹 と考 え られた (Fig,4). 以上 の所見 よ り門脈走行異常 を伴 った 中下部胆管癌 の腫脹 はな し.腹 部 は平坦 だが右季肋部 に圧痛 を認 め た。肝 ・陣,腫 瘤 な どは触知 しなか った。 入院時検 査成績 :総 ビ リル ビン値 8.8mg/dlと 上 昇 し,胆汁 うっ滞型 の肝機能 障害 を認 めた。腫瘍 マ ー カー と診 断 し, 3月 27日に開腹 した。 手術 所 見 :門 脈 本 幹 は L字 状 に膵頭 部 前 面 を膵 内 に埋 没 す るように走行 し,十 二 指腸球部後面14 上 縁で 左右 に分岐 し,さ らに肝十 二 指腸 間膜 内 で は胆管 の腹 側 に位置 して いた。牌静脈 は左 門脈 へ 流入 しその流入 はいずれ も正常 で あった。 腹部 エ コー所見 :胆 婁腫大,肝 内胆管 ・総胆 管 の拡 張 と膵 内胆管 での閉塞 を認 めた。 エ コー で は門脈走行 <1995年 6月 14日受理>別 刷請求先 :松 井 則 親 〒742 柳 井市大字古 開作 1000-1 厚 生連周 東総合 病院外科 部 に腫瘍 浸潤 を認 め,ま た膵前門脈 も壁 が脆 弱 で剣離 困難 で あ り,門 脈合併膵頭十 二 指腸切 除術 (R2)を 施 行 した (Fig.5). 4),BimCPh,結 切 除標本所見 :胆 道癌取扱 い規約上 節浸潤型,20× 1.5cm,S3,Hinf。,HO,Ginfl,Panc2, 36(2008) 門脈走行異常 を伴 った胆管癌 の 1例 Fig. I Percutaneoustranshepaticand endoscopic retrograde cholangiogramshowsthe obstruction of the inferior bile duct (A) . After cholangiodrainage,the rigidity with stenosisof the wall is proved over the middle bile duct (arrows) and gallbladder is not shown (B). Fig. 2 Superiormesenteric-portalvenogram: The portal vein deviatesto the right below the margin of the head of the pancreasshowing L-shape, branchesoff in the right and left just above the head of the pancreasand streams zigzag into the liver. 日 消外会誌 28巻 10号 Fig. 3 Celiac angiogram shows no abnormal morphogenesisof the artery (A), but the splenic vein streamsin left branch of the portal vein and tumor embolism is proved at the confluence (arrow) (B). の発育 が 非常 に悪 く,壁 の厚 さは150/mと 正 常門脈 の 約 3分 の 1で あった (Fig.8). 考 察 発生学 的 に,門脈 は発生第 4週 か ら第 6週 にか けて, 十 二 指腸 の左 右 を走 る一 対 の卵 黄 静脈 とそ の交 通 枝 (cranial ventral, dorsal, caudal ventral) よ り形成 され る。O。 また 門脈 が形 成 され る と同時期 に総胆管 と 腹側膵臓芽 は背側 に移動 し背側膵臓芽 と合体 し膵 臓 が 形成 され る。通 常 の 門脈 は,十 二 指腸 の 回転 に伴 い, 右卵黄静脈 で は Dorsal交 通枝 と Caudal ventral交 通 枝 間 の部分,左 卵 黄静脈 で は近位 の部分 が消失 して形 成 され ,右 卵 黄静脈 の遠位部 は上 膜 間膜静脈,左 卵黄 静脈 の遠位部 は陣静脈 となる。.背 側膵臓芽 は Dorsal 交通枝 の腹側 に成長増殖 して背側膵臓 とな り,そ の近 位部 の尾 方 に接 して位置 す るようになった腹側膵臓 と 合体 して膵頭部 が形 成 され,通 常 の問脈走 行 と膵頭部 の位置 関係が成立 す る (Fig.9). D3, V3, PO, Nl(十 ), M (一 ), St(一 ), Stage lv で あつた。膵頭部 前面 に問脈 に よる切 痕 を認 め,割 面 で は陣静脈 内腔 に癌 浸潤 を認 めた (ng.6). 病理組織学 的所見 :陣 静脈血管壁 は結合織 を伴 った 腫瘍組織 に置換 され血 管 内腔 に腫瘍組織 が 突 出 してい た。腫瘍 の大 部分 は高分化型管状腺癌 で si,panc2,d3, VS3,nl(十 )で あった (Fig.7).剖 検例 にお ける正 常 門脈 と比 較 す る と,自 験例 の膵前門脈 で は中膜 ・外膜 門脈 の走 行異常 は極 めて まれで あ るが ,最 も頻 度 の 高 い の は十 二 指腸 前門脈 で,1921年 に Knightのが初 め て剖検例 で報 告 してい る。十 二 指腸前門脈症 の85%に 腸 回転 異常,内 蔵逆位症,膵 奇形 (輪状膵,腹 側膵, 尾部欠損 ),十 二 指腸 閉鎖 。狭 窄,牌 奇形 (多陣症), 胆道 閉鎖 な どが合併 す るll め た め,報 告例 の大 部 分 は 小児例 で あるが,胆 石 的りや 胃癌手術 時 1のに偶然発見 さ れた成人 例 の報告 も散見 され る。 また Matsusueら lD は,十 二 指腸 前門脈 に輪状膵,左 側胆裏,多 陣症,腸 1995+108 Fig. 4 Computed tomogram shows the tumor lesion in the bile duct from the middle to the intrapancreas.The large vein diagnosedto be portal vein in the light of angiogram is shown at anteropositionof the bile duct and pancreasand below the margin of the pancreas. PV : Portal vein, CBD: Common bile duct 37(2009) Fig. 5 Intraoperative photogram (A) and the schematic presentation of the portal venous system (B) : The portal vein situates in position showing Lprepancreatic-postduodenal just the margin of the above shape,branchesoff head of the pancreasand lie in anterior position to the common bile duct in the hepatoduodenal ligament. The splenic vein conffuentsleft branch of the portal vein. The splenicvein is involved in the tumor and the wall of the portal vein is with comflimsy, so pancreaticoduodenectomy performed. portal is the vein resection of bined PV: Portal vein, RPV: Right branch of the portal vein, LPV: Left branch of the portal vein, CBD: Common bile duct 門脈 の左右分岐部 が膵上縁 に位 置 して い た こ と,陣 静 脈 が左 門脈 に流入 して いた ことか ら,左 右卵黄静脈 の 近位 の部分 が その まま残存 した もの と考 え られ る。肝 臓 が 十 二 指陽 の腹 側 壁 か ら発 生 す る こ とを考 慮 す る と,十 二 指腸 の 回転後 も左卵黄静脈 の近位 部 が残 存 す るため には,通 常 よ りも左卵黄静脈 が十 二 指腸 の背側 よ りに位 置 し十 二 指腸 の回転 も早 め に生 じた こ とが推 管 回転異常 な どの合併 を有 した膵癌 に対 し膵全摘 を施 行 した症例 を報告 し,術 前画像診 断 の有用性 と術 式 の 一 注意点 を強調 して い る。十 二 指腸前 門脈 は 般 に cau に よ る。と考 り発生す dal ventral anastomosisの 遺残 との関 い で は に胆道閉鎖症 しか し え られて る。 特 本邦 二 る胆道 が を合併 す 閉鎖 連性 注 目され,十 指腸 前門脈 測 され る (Fig.9).文 献上検索 しえた限 り,自 験例 の 1り 本 ら1ゆ ような膵 前十 二 指腸後門脈 は,Brookら ,松 の報告 しか見 当た らず,極 めて まれ と思われ る。 自験 例 の膵前 門脈壁 の厚 さは150″mと 正 常 門脈壁 の 約 3 13)も 門脈壁 は薄 くか つ その 分 の 1で あったが,松 本 ら の68%に 多陣症 を伴 う事実 よ り,臓 器左側優位性 が働 き右側卵黄静脈 が消失 し cranial ventral anastomosis が 残 存 して十 二 指 腸 前 門 脈 に な る とい う考 え もあ るl12). 大 さは不 規 則 で正 常 な門脈壁 の性 状 とは判 定 で きな か った と述 べ て い る。 門脈 は消化器外科領域 において臨床 上極 めて重要 な 血管 で あ る。特 に肝胆膵領域 の悪 性腫瘍 に対 して積極 的 に門脈合併切 除 が施行 されて い るが ,門 脈 系 へ の外 科 的ア プ ロー チ を決定 す るた めには,各 種画像診 断 を 自験例 で は,門 脈本幹 が膵前面十 二 指腸球部後面 を 走行 して いた こ とか ら,ま ず背側 膵臓 芽 が Dorsal交 通枝 の背側 で成長増殖 した ことが 考 え られ る。さ らに, 詳細 に検討 しなけれ ばな らな い。十 二 指腸前 門脈 の診 CTで 門脈 が前方 に位置 し,血 管造影 で L 断 はエ コー ・ に向 けて突 出 した形態 を とるこ とよ り し尾側 を呈 字状 38(2010) 円脈走行異常を伴った胆管癌の 1例 Fig. 6 Resectedspecimen (A) and cut surface of the tumor (B) : The incisureof the portal vein is seenin the anterior surfaceof the pancreas.The carcinoma of the bile duct involves the solenic vein. PV: Portal vein, CBD: Common bile duct, T: Tumor, SV: Splenic vein 日消外会誌 28巻 10号 Fig. 8 Microscopic findings (HE, x 100) : The thicknessof the prepancreaticportal vein of this case (B) is 150am becauseof underdeveloped media and adventitia compared to the normal portal vein (A) of the autopsy. Fig. 9 The schematic illustration of the develop. ment of the portal vein 10.膵 診 断可能 であ る14淳 前十 二 指腸後 門脈 の診 断 に関 して は,い まだ特徴 的 な画像所 見 の報告 は見 当た らな い。 自験例 で は CTで 門脈 が胆管 お よび膵頭部 の前 方 4 6 G Fig. 7 Microscopic findings (A) Tumor embolism of the splenic vein (HE, x 40). (B) well differenciated tubular adenocarcinoma of the bile duct (HE, x 100) に位 置 し,血 管造影 で は十 二 指腸 前門脈 と同様 に L字 状 を呈 していたが,左 右分岐部 が膵上縁 にあ り肝臓 に 向 か って 曲折 していた点 が十 二 指腸 前門脈 と異 な って 39(2011) 1995年10月 いた 。 また 自験 例 で は胆 管 癌 を合 併 して い た が ,手 技 的 に は膵 前 門脈 の剣 離 は非 常 に 困難 で あ り,膵 頭 部 領 域 癌 を併 発 して い る場 合 は門脈 合 併 切 除 を要 す る と思 わ れ た 。術 前 に血 管 走 行 の検 討 を しな い で 肝 十 二 指 腸 間膜 の剣 離 ・郭 清 を施 行 す る こ と も多 い が ,問 脈 が 胆 管 の腹 側 を走 行 す る こ と も発 生 学 的 に起 こ り う る の で ,手 術 に 際 して は十 分 な注 意 が 必 要 で あ る。 なお本論文 の要 旨は第42回日本消化器外科学会総会 にお いて発表 した. 文 献 1)中 平公士,玉手信治,竹 内 敏 ほか :十 二指腸前門 脈 を合併 した 胆 道 閉鎖症 の 1例 。 日小児 外 会誌 20: 1403--1409, 1984 2)河 野美幸,伊川廣道,和 田知久 ほか :十 二指腸前門 脈 と多陣 を合併 した先栞 性胆道閉鎖症 の 1例 一 と くに肝門部 の位 置 と門脈走行 の発生学 的関連 につ いての考察 ―.日 小児外会誌 26:1271-1277, 1990 MJH,Lichtendahl DHE et 3)Prenger KB,Sloo何 al: A preduodenal portal vein and its surgical implications Neth」 Surg 33:115-118, 1981 4)日 本胆道外科研究会編 :胆 道癌取扱 い規約.金 原 出版,東 京,1993 5)Marks C: Developmental basis of the portal venous system Am」 Surg l17:671-681,1969 6)本 陣良平 :人 体発生学入門.朝 倉書店,東 京,1973, p190-264 7)Knight HO: An anomalous portal vein with its surgical dangers Ann Surg 74:697-699, 1921 8)NIakey DA, Bowen JC: PreduOdenal portal vein i lts surgical signiltcance Surgery 84:689 --690, 1978 9)Stevens JC, MOrton D, McElwee R et al: Preduodenal portal vein t Two cases with differing presentation Arch Surg l13:311313, 1978 浦住幸治郎,遠藤清次,二瓶光博 ほか :十二指腸前 門脈 の 1例 。 日消外会誌 21:1316-1318,1988 Matsusue S, Kashihara S, Koizumi S: Pan‐ createctomy for carcinoma of the head of the ith multiple anornalies pancreas assoctated H′ including the preduodenal portal vein 」 pn J Surg 14:394十-398, 1984 12)Brook W,Gardner A/1: AnterOposition of the portal vein and spontaneous passage of gall‐ stones;Case report and embryological hypothe‐ sis Br J Surg 59:737-739,1972 1 3 ) 松 本 由朗 , 菅 原克彦 , 井 田 健 ほか : 門 脈走行 異常 一 臨床 的意義 とその発 生機 序 に関 す る考 察 ― . 日 消外会誌 1 6 : 2 1 1 2 - 2 1 2 1 , 1 9 8 3 14)巾 IcCarten KA/1, Littlewood Teele R: ′ enography, Preduodenal portal vein i ヽ ultrasonOgraphy, and revie、v of the literature Ann Radio1 21:155-160, 1978 15)Sasai K,Sano A,Nishizawa S et al: Angiogra‐ Preduodenal portal vein in an adult一 ― Radiat Med 3:87-89, 1985 phy and CT一 16)Fernandes ET,Burton EMI,DOugias Hixon S et al: Preduodenal portal vein i Surgery and radiographic appearance J Pediatr Surg 25: 1270--1272, 1990 A Case of Carcinoma of the Bile Duct with Anomaly of the Portal Venous System -Prepancreatic, Postduodenal Portal VeinNorichika Matsui, Tomoaki Morita, Mikihiko Harada, Noriyasu Morikage, Mamoru Kanazawa, Takashi Nakamura and Toshihiro Kaneyuki Department of Surgery, Kouseiren Shuhtoh General Hospital Anomalies of the portal venous system are rare. We report a very rare surgical case of the carcinoma of the bile duct associated with the portal vein, namely the prepancreatic postduodenal portal vein, being abnormally situated. A 66-year-old woman came for treatment of upper abdominal pain. On admission, she was found to have jaundice, and found after various examinations, carcinoma at the middle and inferior bile duct. The superior mesenteric-portal venogram revealed very unusual sight. The portal vein, which was deviated to the right below the margin of the head of the pancreas forming an L-shape, branched off to right and left just above the margin of the head of the pancreas and streamed,in azigzag pattern into the liver. The spleno-portal venogram showed that the splenic vein was streamed in left portal vein and a tumor embolism was discerned at the confluence. Pancreaticoduodenectomy combined with resection of the portal vein was performed. The portal vein was situated in a prepancreaticpostduodenal position, and lay in a position anterior to the common bile duct in the hepatoduodenal ligament. Clinically, the portal vein is very important in digestive surgery, and therefore it is essential to recognize and be aware of anomalies in the portal venous system such as anteroposition seen in this case, in order to avoid accidental injuries during operations. Reprint requests: Norichika Matsui Department of Surgery, Kouseiren Shuhtoh General Hospital 1000 1 Kogaisaku, Yanai, 742 JAPAN
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