下肢動脈 - 超音波検査法フォーラム

《 第 2 回下肢血管エコー実技スクール
予習資料 》
本資料は、超音波検査法フォーラム主催「第 2 回下肢血管エコー実技スクール」の予習
用に作成されたものであり、本セミナーを受講する方が予習のために使用するものです。
当日の研修会の予備知識として、ご活用ください。
下肢動脈
★検査の目的を知っておこう!
動脈血管における狭窄・閉塞を評価する。
①
狭窄の程度(高度狭窄か否か)
②
病変長(狭窄や閉塞の長さと位置)
③
狭窄・閉塞の性状
④
側副血行路の有無(本幹との関係)
⑤
閉塞部より末梢側の血流の状態
★解剖を覚えておこう!
講義・実技ではたくさんの血管名称がでてきます。略号もあわせて、覚えておきま
しょう。
①
②
④
③
A
⑤
⑦
⑥
⑧
⑨
⑪ ⑩
B
C
①
②
腹部大動脈
総腸骨動脈
AA
CIA
③
④
⑤
内腸骨動脈
外腸骨動脈
総大腿動脈
IIA
EIA
CFA
⑥
⑦
深大腿動脈
浅大腿動脈
DFA
SFA
⑧
膝窩動脈
Pop.A
⑨
⑩
前脛骨動脈
後脛骨動脈
ATA
PTA
⑪
腓骨動脈
Pero.A
腹部領域
膝上領域
Above Knee
膝下領域 BK
Below Knee
④と⑤の間には鼠径靱帯
⑦と⑧の間には内転筋管がある。
D
AK
下肢静脈
★検査の目的を知っておこう!
下肢静脈血栓の有無・性状の評価
①血栓存在の有無(位置と範囲)
②血栓の性状(急性か慢性か?)
③肺塞栓の推定(肺動脈圧の評価)
★解剖を覚えておこう!
講義・実技ではたくさんの血管名称がでてきます。略号もあわせて、覚えておきま
しょう。
総腸骨静脈(CIV)
鼠径靭帯
内腸骨静脈
(IIV)
外腸骨静脈(EIV)
深大腿静脈
(DFV)
総大腿静脈(CFV)
大伏在静脈(GSV)
浅大腿静脈(SFV)
内転筋管
膝窩静脈
(Pop.V)
腓骨
脛骨
腓腹静脈
(GV)
脛骨
前脛骨静脈
(ATV)
小伏在静脈
(SSV)
大伏在静脈
(GSV)
後脛骨静脈
(PTV)
足背静脈弓
【 正面 】
【 背面 】
小伏在静脈
(SSV)
腓骨
前脛骨静脈
(ATV)
腓骨静脈
(PeV)
下肢静脈略語集
DEEP VEIN:(深部静脈)
IVC(inferior vena cava):下大静脈
CIV(common iliac vein):総腸骨静脈
IIV(internal iliac vein):内腸骨静脈
EIV(external iliac vein):外腸骨静脈
CFV(common femoral vein):総大腿静脈
SFV(superficial femoral vein):浅大腿静脈
DFV(deep femoris vein):大腿深静脈
PopV(popliteal vein):膝窩静脈
GV(gastrocnemius vein):腓腹静脈
mGV(medial GV):内側腓腹静脈
lGV(lateral GV):外側腓腹静脈
ATV(anterior tibial vein):前脛骨静脈
PTV(posterior tibial vein):後脛骨静脈
PeV(peroneal vein)
:腓骨静脈
SV(soleal vein):ひらめ静脈
mSV(medial SV):内側ひらめ静脈
lSV(lateral SV):外側ひらめ静脈
cSV(central SV):中央ひらめ静脈
SUPERFICIAL VEIN:(表在静脈)
GSV(great saphenous vein):大伏在静脈
SSV(small saphenous vein):小伏在静脈
dPF(direct perforator):直接型穿通枝
idPF(indirect perforator):間接型穿通枝
superficial circumflex iliac vein:浅腸骨回旋静脈
superficial epigastric vein:浅腹壁静脈
external pudendal vein:外陰部静脈
medial accessory saphenous vein:内側副伏在静脈
lateral accessory saphenous vein:外側副伏在静脈
下肢静脈 逆流性疾患
★検査の目的を知っておこう!
1)静脈瘤の原因静脈を同定
超音波検査で大・小伏在静脈各部の血管径測定とパルスドプラ法で逆流テストを行い
原因静脈の同定をする。静脈瘤の原因静脈の決定は①静脈拡張・逆流があること②静
脈瘤が原因静脈に連続することとしている。
2)伏在静脈本幹の逆流範囲を決定
超音波検査は選択的ストリッピング術(伏在静脈本幹の逆流のない部分は切除せず温
存する術式)のために行う。パルスドプラ法を用いて伏在静脈本幹の逆流時間が 0.5
秒以上持続する部分を“逆流あり”とし、手術で抜去する大・小伏在静脈の範囲を決
秒以上持続する部分を“逆流あり
定する。
★解剖を覚えておこう!
講義・実技ではたくさんの血管名称がでてきます。略号もあわせて、覚えておきま
しょう。
浅腸回旋静脈
伏在大腿静脈接合部(SFJ)
大腿静脈
浅下腹壁静脈
外陰部静脈
外側副伏在静脈
大伏在静脈
内側副伏在静脈
Dodd 穿痛枝
膝窩静脈
小伏在静脈
前弓静脈
Boyd 穿痛枝
後弓静脈
大伏在静脈
足背静脈弓
Cockett 穿痛枝
伏在膝窩静脈接合部
(SPJ)
小伏在静脈
下肢静脈
深部静脈
表在静脈
穿通枝(深部と表在を連絡)
下肢静脈は以上のように分類される。穿通枝で病的に意味のあるのは Dodd、Boyd,
Cockett である。
クモの巣状静脈瘤
真皮層
網目状静脈瘤
側枝静脈瘤
伏在静脈
浅在筋膜
交通枝
(伏在静脈と交通)
深在筋膜
交通枝
表在静脈は原則として浅在筋膜と深在筋膜に囲まれて走行する。
《静脈の特徴と基本手技》
検査法・検査手技
静脈の特長
①血管壁が薄く伸展性が高い
・内圧が低い
圧排により内腔が虚脱、閉鎖する
・血管径は体位により変化する
・逆流範囲では圧が高まり拡張する
→ 表在静脈:探触子の保持法に注意する
深部静脈:探触子による圧迫法
→ 体位(仰臥位<座位<立位)
→ 逆流時間の測定は立位で行う
②血流速度が遅い
→ 体位
・血流は体位により変化する
・血流の誘発が必要である
→ 深呼吸、バルサルバ手技、ミルキング法、
カフインフレーターデフレーター法
③静脈弁がある
・中枢から末梢への逆流防止
・交通枝にも弁がある
→ 逆流テスト
定性 : カラードプラ法
定量 : パルスドプラ法
以上のような特徴があるため他のカテゴリーにない手技が行われる