インダストリーコラム http://www.semiconductorportal.com メモリーの成長とともに成長する ALD 装置 半導体メモリーの成長性がはっきりしてきたことで、バッチ式の ALD(原子層エピタキシ ャル)技術が新たな展開を見せている。日立国際電気は、DRAM 製造向けの装置が 2006 年にブレークし、12 月には累計出荷台数が 100 台を突破した。もともと、薄い膜の製造に 向く技術であったため DRAM のキャパシタ絶縁膜に使われていた。誘電率の高いシリコン 窒化膜の形成からガスを変えることで High-k 膜にも適用できる。DRAM だけではなく NAND などのフラッシュメモリーも薄い膜を使うため、ALD 技術が使える。 Global Market Opportunity UnitsMillions World Wide Memory Production Forecast 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2006 2007 2008 DRAM 2009 2010 2011 2012 Flash Source: VLSI R esearch, May 2007 <Confidential > 1 薄い膜の形成だけではない。日立国際によると、ALD 技術の特長はコンフォーマルな膜、 すなわちシリコン表面の凹凸に忠実に膜が成長することである。特にアスペクト比の高い 部分に有効だ。これはマイクロローディング効果、すなわちパターンの密度の高い場所と 低い場所で堆積速度が違うという効果がないことによる。もともと、ALD はシリコン表面 に 1 原子層ずつ形成する技術であるため、表面に原子層が吸着すると次の原子はもう入り こむ余地がなくなる。このため、ステップカバレージがよい、すなわちコンフォーマルな 膜を形成できる。 このことはメモリーだけではなく、ロジック半導体でも有効になる。ALD は 400℃程度の 低温で膜形成ができるため、温度を上げたくないロジックの製造にも向く。従来の LPCVD 技術ならマイクロローディング効果はあるため、パターン密度の高い SRAM 部分と密度の 低いロジック部分とで堆積速度が違ってしまい、膜厚が異なってしまう。低温で形成でき Copyright(C)2007 Semiconductor Portal, Inc. All Rights Reserved. http://www.semiconductorportal.com インダストリーコラム る上にマイクロローディング効果のない ALD なら、こういった問題がない。 米国の Aviza Technology 社は、メモリーメーカーがアジアに集中していることでセミコン 台湾に積極的に出展している。メモリーは価格へのプレッシャーが強いため微細化への移 行が著しい。形成する膜はやはり DRAM キャパシタ膜だけではなくメモリーセルに必要な 膜の形成に利用する。例えばキャパシタの上部電極の TiN も ALD で形成する。コンフォー マルの特長を生かしトレンチ/スタックいずれにも使える。加えて、シリコン窒化膜から High-k 膜への移行にも有効である。キャパシタをオンオフするトランジスタのゲート酸化 膜も ALD で形成するとしている。 NAND のトンネル酸化膜の形成にも有効で、トンネル酸化膜のようなきわめて薄い膜は下 地のシリコンの結晶面方位に従うと、同社製品ディレクタの Vivek Rao 氏は言う。この性 質を利用すると、トレンチやスタックのように水平面と垂直面を使うメモリーセルでは結 晶面方位が異なるため、酸化する膜厚が違ってしまい、薄い部分ではリーク電流が増加す る。これを防ぐため、Aviza は酸素ラジカルを利用する酸化膜を形成し結晶面依存性を減ら している。 フローティングゲート型 NAND セルに加えて、MirroBit 構造の NOR 型セルではキャパシ タ膜に ONO 膜を使う。この酸化膜、窒化膜の形成や、これらの膜を High-k 膜に置き換え ても ALD が使える。 同社は当面メモリー応用が主体だが、低温プロセスが使える点でロジックにも有効だとみ ている。 (2007/09/14 セミコンポータル編集室) Copyright(C)2007 Semiconductor Portal, Inc. All Rights Reserved.
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