低学年でも楽しく覚えられる「百人一首の指導法」

研究主題
低学年でも楽しく覚えられる「百人一首の指導法」
小牧市立北里小学校
大俣
信一
小学生のうちから、百人一首などの「古典」に親しませるのは、豊かな情操を育む上で意義
のあることだと思います。しかし、聞き慣れない言葉遣いや、使い慣れない歴史的仮名遣いな
どにより、百人一首は、小学生にとって、敷居の高いのも事実です。
ここでは、小学2年生の学級に、百人一首ブームを引き起こし、百人一首を知ってわずか1
か月余りの小学2年生が、小学6年生の校内チャンピオンをうち倒すまでに至った過程をお知
らせします。
私は、今までに小学1年生から中学3年生まで、全ての学年を担任したことがあります。そ
して小学3年生以上のクラスにおいては、3学期に百人一首に親しませてきました。昨年度、
小学2年生を担任しましたが、初めて2年生に百人一首に取り組ませてみたのです。30名の
2年生たちは「いろはかるた」のような、かるた取りの経験はありましたが、百人一首をやっ
たことのある児童はいませんでした。(坊主めくりの経験者は3名いました)
そこで、次のような資料を用意して指導を始めました。
「はじめて百人一首をする人のために・・・」
百人一首は5・7・5・7・7の31文字で書かれた短歌(たんか)を使ってカルタとりをするも
のです。よみ札(ふだ)には、5・7・5・7・7のすべてが書かれていて、取り札には7・7の下
(しも)の句だけが書かれています。
いろはカルタの場合「いぬもあるけば
ね。でも、百人一首では 、「うかりける
ぼうにあたる」といわれたら、「い」の札をさがしますよ
ひとをはつせの
ぬものを」といわれたら 、「はげしかれとは
やまおろしよ
はげしかれとは
いのら
いのらぬものを」と書かれた札をさがします。
いろはカルタなら、だれでも最初の1文字を聞いただけで取り札をさがし始めることができますが、
百人一首の場合は、ちがいます。初心者の場合は、下の句がよみあげられるまでは、取り札がわかり
ません。
そこで、百人一首の短歌を覚えているととても有利になるのです。「うかりける」といわれただけ
で、この短歌を知っている人は「はげしかれ・・・」の札をさがし始めることができるんです。
反応のはやい人は「 う 」といわれただけで「 はげしかれ・・・」の札を取っちゃうかも知れませんね。
でもちょっと待ってください。実は「うらみわび
ほさぬそでだに
あるものを
こひにくちなむ
なこそおしけれ」という短歌もあるのです。つまり、2文字目まで聞かないと、どちらを取ったらよ
いのか、わからないのです。これを「きまり字」といいます。この場合は「2字きまり」ということ
になります。中には6文字目まで聞かないと区別できないものもありますから気をつけて下さい。
しかし簡単なものでは、1文字聞いただけで取れるもの( 1字きまり)もあります 。
「む 」
「す」「め」
「ふ」「さ」「ほ 」「せ」で始まる7枚です。
取り札にも似たものがあり 、「ひと」で始まる取り札は特にたくさんあるので気をつけて下さい。
また下の句が「いまひとたびの
ころもでは
みゆきまたなむ」と「いまひとたびの
つゆにぬれつつ」と「わがころもでに
る札もあるので気をつけましょう。
-1-
あふこともがな 」、「わが
ゆきはふりつつ」のように、とてもよく似てい
「おぼえかたのコツ」
百人一首を丸暗記(まるあんき)してしまえばよいのですが、それは、かんたんなことではありま
せんよね。そこで、さきほど説明(せつめい)した「きまり字」を意識(いしき)すれば、丸暗記な
んて必要なくなるのです。先ほどの「うかりける
ひとをはつせの
やまおろしよ
はげしかれとは
いのらぬものを」の場合は 、「うか」まで聞いて「はげ・・・」という札を取ればよいので「うか
れている
はげ」とおぼえます。
このおぼえ方なら、あっという間に20∼30枚は覚えられます。あとは実践(じっせん)あるの
みです。知っている札が20∼30枚あると 、百人一首がとても楽しくなります 。くりかえし対戦(た
いせん)しているうちに、おぼえていなかった短歌も、何となく耳についてきて、知らず知らずのう
ちに、おぼえてしまいます。こうして、知っている札がふえてきます。また、きまり字だけおぼえて
いたはずなのに、知らないうちに31文字すべてを、ちゃんとおぼえてしまっていることにも気づく
はずです。お正月に限らずいつでも家族で楽しんで下さいね。
「百人一首のおぼえかた」
上の句
うかりける
ひとをはつせの
下の句
やまおろしよ はげしかれとは
いのらぬものを
おぼえ方
う かれてい
る
ももしきや
ふるきのきばの
しのぶにも
なほあ まりある
むかしなりけり
ハゲ
も もひき
なお余り
おくやまに
もみぢふみわけ
なくしかの
こゑきくときぞ
あきはかなしき
奥 山君の
声を聞く
きりぎりす
なくやしもよの
さむしろに
ころもかたしき
ひとりかもねむ
き りぎりす
の衣は固い
あはぢ しま
かよふちどりの
なくこゑに
いくよねざめぬ
すまのせきもり
淡路島に
行くよ
あしびきの
やまどりのをの
しだりをの
ながな がしよを
ひとりかもねむ
足が
長々しい
かささぎの
わたせるはしに
おくしもの
しろきをみれば
よぞふけにける
傘が
白い
こぬひとを
まつほのうらの
ゆふなぎに
やくやもしほの
みもこがれつつ
来 ぬ人を
焼く
ながら へば
またこのごろや
しのばれむ
うしとみしよぞ
いまはこひしき
長 良川に
牛がいる
なげき つつ
ひとりぬるよの
あくるまは
いかにひさしき
ものとかはしる
なげきの
イカ
ゆらのとを
わたるふなびと
かぢをたえ
ゆくへもしらぬ
こひのみちかな
ゆ らちゃん
が
めぐりあいて みしやそれとも
わかぬまに
くもが くれにし
-2-
よはのつきかな
ゆく
め ぐりあい
雲かくれる
おもいわび
さてもいのちは
あるものを
うきにたへぬは
なみだなりけり
重い
浮き
さびしさに
やどをたちいでて ながむれば
いづこもおなじ
あきのゆふぐれ
さ びしい
伊豆
をぐらやま
みねのもみぢば
こころあらば いまひとたびの
みゆきまたなむ
お ぐら
み
ゆきちゃん
あらざ らむ
このよのほかの
おもひでに
いまひとたびの
あふこともがな
あらざ
あ
ふこちゃん
たまのをよ
たえなばたえね
ながらへば
しのぶることの
よわりもぞする
玉野
しの
ぶちゃん
あまの はら
ふりさけみれば
かすがなる
みかさのやまに
いでしつきかも
天野
ミカ
ちゃん
たごのうらに うちいでてみれば しろたへの
ふじのたかねに
ゆきはふりつつ
田 子ノ浦
富士子ちゃ
ん
あらし ふく
みむろのやまの
もみぢばは
たつたのかわの
にしきなりけり
嵐が
立つ
あはれ とも
いふべきひとは
おもほえで
みのいたづらに
なりぬべきかな
あわれな
いたずら
すみのえの
きしによるなみ
よるさへや
ゆめのかよひぢ
ひとめよくらむ
炭の
夢
しのぶれど
いろにいでけり
わがこひは
ものやおもふと
ひとのとふまで
忍ぶ
者
たちわかれ
いなばのやまの
みねにおふる まつと しきかば
いまかへりこむ
立 ち別れる
松と
あきの たの
かりほのいほの
とまをあらみ わがころもでは
つゆにぬれつつ
秋の
露に
ぬれつつ
なげけ とて
つきやはものを
おもはする
かこちがほなる
わがなみだかな
嘆け
過去
ながか らむ
こころもしらず
くろかみの
みだれてけさは
ものをこそおもへ 長 か ら ん
乱れてけ
ふくからに
あきのくさきの
しをるれば
むべやまかぜを
あらしといふらむ 吹 く
山風
やまざ とは
ふゆぞさびしさ
まさりける
ひとめ もくさも
かれぬとおもへば 山 ざ と は
一目見たい
かぜそ よぐ
ならのをがはの
ゆふぐれは
みそぎぞなつの
しるしなりける
風 そよぐ
みそ
せをはやみ
いはにせかるる
たきがはの
われてもすゑに
あはむとぞおもふ せ が
割れる
ひとは いさ
こころもしらず
ふるさとは
はなぞ むかしの
かににほひける
人は
花ぞ
-3-
しらつゆに
かぜのふきしく
あきののは
つらぬきとめぬ
たまぞちりける
白 露を
つらぬく
むらさめの
つゆもまだひぬ
まきのはに
きりたちのぼる
あきのゆふぐれ
村の
霧
あきか ぜに
たなびくくもの
たえまより
もれいづるつきの かげのさやけさ
秋 かぜが
もれる
はるす ぎて
なつきにけらし
しろたへの
ころもほすてふ
あまのかぐやま
春 過ぎて
衣ほす
わすれ じの
ゆくすゑまでは
かたければ
けふを かぎりの
いのちともがな
忘れじ
けふを
あひみての
のちのこころに
くらぶれば
むかしはものを
おもはざりけり
愛は
昔
たきのおとは たえてひさしく
なりぬれど
なこそながれて
なほきこえけれ
滝の
名こ
そ流れる
みせばやな
をじまのあまの
そでだにも
ぬれにぞぬれし
いろはかはらず
店
濡れる
これやこの
ゆくもかへるも
わかれては
しるもしらぬも
あふさかのせき
これや
知る?
ほととぎす
なきつるかたを
ながむれば
ただありあけの
つきぞのこれる
ほ ととぎす
は
ただ(無
料)
みよしのの
やまのあきかぜ
さよふけて
ふるさとさむく
ころもうつなり
見よ
ふるさと
こころにも
あらでうきよに
ながらへば
こひし かるべき
よはのつきかな
心に
恋しい
こころあてに をらばやをらむ
はつしもの
おきまどはせる
しらぎくのはな
心 当てに
置き
はなさ そふ
あらしのにはの
ゆきならで
ふりゆくものは
わがみなりけり
花誘う
ふり
みかの はら
わきてながるる
いづみがは
いつみきとてか
こひしかるらむ
ミカの
いつ?
なつのよは
まだよひながら
あけぬるを
くもの いづこに
つきやどるらむ
夏の
雲の
はなの いろは うつりにけりな
いたづらに
わがみよにふる
ながめせしまに
花の
わが身よ
ひとも をし
ひともうらめし
あぢきなく
よをお もふゆゑに ものおもふみは
人も
よを思う
このたびは
ぬさもとりあへず たむけやま
もみぢのにしき
かみのまにまに
この
もみぢ
たかさごの
をのへのさくら
さきにけり
とやまのかすみ
たたずもあらなむ 高 砂の
戸
あけぬれば
くるるものとは
しりながら
なほう らめしき
-4-
あさぼらけかな
開 けぬ!
なお恨めし
あまつ かぜ
くものかよひぢ
ふきとぢよ
をとめのすがた
しばしとどめむ
あまつ風
を止める
わがい ほは
みやこのたつみ
しかぞすむ
よをう ぢやまと
ひとはいふなり
わがいほは
宇治山
なにはえの
あしのかりねの
ひとよゆゑ
みをつくしてや
こひわたるべき
難波江の
身 を尽くし
た恋
いにしへの
ならのみやこの
やへざくら
けふこ このへに
にほひぬるかな
い にしへの
けふここ
よをこめて
とりのそらねは
はかるとも
よにあふさかの
せきはゆるさじ
よ をこめて
も
関は許
さん
みちのくの
しのぶもぢずり
たれゆゑに
みだれそめにし
われならなくに
道が
乱れ、
われ泣く
ありあ けの
つれなくみえし
わかれより
あかつきばかり
うきものはなし
ありあけの
あかつき
やまが わに
かぜのかけたる
しがらみは
ながれ もあへぬ
もみぢなりけり
山 がわに
流れる
ひさかたの
ひかりのどけき
はるのひに
しづごころなく
はなのちるらむ
久 方の
静
心
おほえ やま
いくののみちの
とほければ
まだふみもみず
あまのはしだて
大 江山は
ま だ踏みま
せん
やへむぐら
しげれるやどの
さびしきに
ひとこそみえね
あきはきにけり
八 重?
人
こそ三重ね
いまこ むと
いひしばかりに
ながつきの
ありあけのつきを まちいでつるかな 今来む
ありあけ
はるの よの
ゆめばかりなる
たまくらに
かひなくたたむ
なこそおしけれ
春 の夜の
かひなく
よのなかは
つねにもがもな
なぎさこぐ
あまの をぶねの
つなでかなしも
よのなかは
あまの
つきみれば
ちぢにものこそ
かなしけれ
わがみひとつの
あきにはあらねど 月 見 る
わ
が身ひとつ
ちぎりきな
かたみにそでを
しぼりつつ
すゑのまつやま
なみこさじとは
ちぎりきな
すえのま
つ
きみがため
をしからざりし
いのちさへ
ながく もがなと
おもひけるかも
きみがため
を
きみがため
はるののにいでて わかなつむ
わがころもでに
ゆきはふりつつ
ながく
きみがため
はる
きはふる
-5-
ゆ
ちはやぶる
かみよもきかず
たつたがは
からくれなゐに
みづくくるとは
ち はやぶる
からくれ
ない
わびぬれば
いまはたおなじ
なにはなる
みをつくしても
あはむとぞおもふ わ び ぬ れ ば
みをつく
してもあは
む
ちぎりおきし させもがつゆを
いのちにて
あはれ ことしの
あきもいぬめり
ちぎりおき
し
こひすてふ
わがなはまだき
たちにけり
ひとし れずこそ
おもひそめしか
あはれ
こ いするち
ょうは
ひ
としれず
わすら るる
みをばおもはず
ちかひてし
ひとの いのちの
をしくもあるかな わ す ら れ る
ひとのい
のち
わたのはら
やそしまかけて
こぎいでぬと ひとにはつげよ
あまのつりぶね
や そしまさ
んに
つげ
よ
わたのはら
こぎいでてみれば ひさかたの
くもゐ にまがふ
おきつしらなみ
こ ぎいでて
みたら
し
らなみ
あさぼらけ
ありあけのつきと みるまでに
よしののさとに
ふれるしらゆき
あ りあけの
月が
よし
ののさとに
あさぼらけ
うぢのかはぎり
たえだえに
あらはれわたる
せぜのあじろぎ
う じの川が
現れる
おほけ なく
うきよのたみに
おほふかな
わがた つそまに
すみぞめのそで
大 きなク
ワガタ
みかき もり
ゑじのたくひの
よるはもえて ひるはきえつつ
ものをこそおもへ ミ カ 気 も
昼は消え
あふこ との
たえてしなくば
なかなかに
ひとを もみをも
うらみざらまし
会う事
人を
なにし おはば あふさかやまの
さねかずら
ひとにしられで
くるよしもがな
何塩
人に知られ
いまは ただ
おもひたえなむ
とばかりを
ひとづ てならで
いふよしもがな
今は
人づてなら
なにはがた
みじかきあしの
ふしのまも
あはで このよを
すぐしてよとや
難波方
泡で
かくとだに
えやはいぶきの
さしもぐさ
さしもしらじな
もゆるおもひを
書くと
刺し
うらみわび
ほさぬそでだに
あるものを
こひに くちなむ
なこそをしけれ
恨み
恋に朽ちる
-6-
たれをかも
しるひとにせむ
たかさごの
まつも むかしの
ともならなくに
誰を
待つも昔
もろともに
あはれとおもへ
やまざくら
はなよ りほかに
しるひともなし
も ろ友に
花よ
おとにきく
たかしのはまの
あだなみは
かけじやそでの
ぬれもこそすれ
音 に聞く
賭け
つくばねの
みねよりおつる
みなのがは
こひぞ つもりて
ふちとなりぬる
つ くばねの
恋ぞ積もる
よのなかよ
みちこそなけれ
おもひいる
やまのおくにも
しかぞなくなる
世 の中よ
山の奥も
かぜを いたみ いはうつなみの
おのれのみ
くだけてものを
おもふころかな
風を
くだく
ありま やま
ゐなのささはら
かぜふけば
いでそよひとを
わすれやはする
有馬は
いーで
あさぢ ふの
をののしのはら
しのぶれど
あまり てなどか
ひとのこひしき
朝 、十の
余り
よもすがら
ものおもふころは あけやらで
ねやのひまさへ
つれなかりけり
よも
ねや
わがそ では
しほひにみえぬ
おきのいしの ひとこそしらね
かわくまもなし
わ が袖は
人 こそ知ら
ねえ
やすらはで
ねなましものを
さよふけて
かたぶくまでの
つきをみしかな
や すらは
傾く
ゆふされば
かどたのいなば
おとづれて
あしのまろやに
あきかぜぞふく
夕
足
実際に百人一首の札を使いながら、ルールを確認し、読めない文字「ゐ 」や「 ゑ」などを説明した
り、「こひ 」「てふ 」「あふさか」などの読み方などを説明します。日本語なのに日本語ではない感じ
のところが、たいへん目新しく感じられたようで、とても興味を持って聞くことができました。あと
は、生活科の昔遊びなどの時間を活用して、週に2時間程度を目途に、対戦を続けました。
対戦の形式は以下の通りです。4組の百人一首を用い、30人を4つのグループに分けて最初の対
戦(個人戦)をします。その結果を基にして、能力別に4グループを作り、対戦します。その後は、
各グループの最上位の児童と、一つ上のグループ
の最下位の児童を入れ替えます。もちろん、これ
は「ゲーム」ですので、百人一首の結果は、頭の
善し悪しなどに一切関係ないこと、成績には入れ
ないことを明言しておきます。実際、意外な子が
上位にいたり、意外な子が下位に甘んじたりする
事もあります。
( ちなみに上から順にDグループ 、
Cグループ、Bグループ、Aグループです)
以上のような指導の進め方は、この年に限らず
今まで行ってきたものです。また、歌の意味につ
いては、小学生には特に指導せず、歌のリズムや
-7-
響きを味わわせるようにしました。最初は、まるで呪文のように聞こえたかも知れませんが、だんだ
んと耳に慣れ、口ずさむ?ことができるようにもなってきました。
テレビゲームなどと違って、集団で競う個人戦なので、とても新鮮であり、子供たちは、とても意
欲的に取り組みました。家で覚えてくれば次の競技ですぐに結果につながるので、暗唱しながら覚え
たり、家庭でも友達や家族と百人一首を楽しんだりと、百人一首の大ブームとなりました。子供たち
にとっては遊びの「百人一首」でも、親から見れば学習と言うイメージが強いので、家庭での大きな
協力が得られたのも追い風でした。ゲームソフトにくらべれば、3分の1ほどの価格で購入できるた
め、家族団らんのために百人一首を購入する家庭も多かったのは嬉しいことでした。また、家庭では
親が読み手となる場合が多いのですが、最近はCD付きの百人一首も多く、これをランダム再生すれ
ば読み手が必要なくなり、少人数の場合でも、手軽に全員が競技を楽しめるのです。さらに驚くべき
事は、小学二年生の児童でも、ほぼ全員が読み手までできるようになったのでした。まさに百人一首
の三十一文字のリズムが体に染みついたという感
じでした。
百人一首に取り組み初めて1ヶ月が過ぎ、Dグ
ループのメンバーは、100首全てを覚えるほど
になりました。飛び入り参加した私は3位になっ
てしまいました。本気で対戦して小学生に負けた
のは、初めてです。このレベルの高さに驚いた私
は、百人一首クラブの精鋭たちとの対戦を計画し
ました。「かるた」の「K」と「百人一首」の「1
00」をとって「K−100グランプリ」と名付
けました。「百人一首クラブ」のメンバーですか
ら当然高学年です。しかも、その精鋭メンバー
は過去に私の担任した子供たちばかりです。正
直なところ誰が勝つのか、全く予想が付きませ
んでした。しかし言えるのは、勝った児童は、
実質的に校内チャンピオンだということです。
見学者もたくさん集まった中での白熱した戦
いとなりました。結果は僅差で、2年生男子児
童の優勝。40日ほど前には百人一首など全く
知らなかった児童が、校内チャンピオンになっ
たのです。6年生にとっても、良い刺激になり
ました。
2年生の感想です・・・
さいしょはいみがわかんなかったけど、だんだんうまくなりました。おぼえかたは、どうしてこう
やっておぼえるのかということがわかりませんでした。でも、だんだんおぼえてくうちに、いみがわ
かるようになりました。百人一首はおもしろかったです。おかあさんは、むかしのひとだから百人一
首しっていると思いました。でも、しっていませんでした 。さいしょはおもしろくないと思いました 。
でも、おぼえていくうちにおもしろくなってきました。ぼくはまだ百人一首をやってほしいです。百
人一首は、かるたよりおもしろいです。ぼくは、毎日百人一首をやりたいんです。ほんとうは、毎日
-8-
「百人一首をやりたい。」と、ねがっているんです・・・
わたしは、百人一首ってなんだろうと思いました。でも、やってみたらなんかかるたみたいなかん
じがしました。さいしょは「あらしふく」といったら、へんな百人一首と思ったけど、だんだんなれ
て「春すぎて」と言ったら、すぐとります。けっこうおもしろい、たのしい、と思ってお母さんに百
人一首の本を買ってもらいました。
今はAチームに下がったけど、すぐに上がってBチームに上がったり下がったりしておもしろいと思
います。Bチームにはいると、さいこう14まいぐらいです。Aチームにはいると23まいぐらいと
れます。こんどはCチームに入りたいです・・・
国語科「春の広場」の学習における作品です。春について調べたり感じたりしたことを、短歌で表
現し、さし絵を入れる活動を行った。百人一首に親しんでいたため、自然に5・7・5・7・7のリ
ズムで表現することができました。また、自分たちの作った短歌で「三十人一首」を作って楽しんだ
りしました。
ゆきとけて
こうえんにでる
はやくおおきく
春の風
やえむぐら
くんしょうぐさとも
ゆうけどね
ふしぎなはっぱ
花がさいたら
お花は虫の
春がきて
よびおこす
めざましどけい
ふくにもつくよ
春が来て
なってほしいな
花やどうぶつ
春の野原の
つくしのめ
はちがとぶ
レストランだね
へびがでるから
へびにかまれる
こわいんだ
いたいんだよね
そのころ世間では、幼児の間で「じゅげむ」のブーム。日本語の古典に親しむのに早すぎると言う
ことはないのだということを実感しました。百人一首を手軽に覚えられる暗記法を提供し、みんなで
百人一首を楽しみ、競い合える場を提供したことが良かったのかなあと思います。
-9-