12/18 の講義の補足 12/18 の行列の対角化の例の説明が不十分だったため,以下に対角化の手順の流れを説明する. 1 2 −2 例. 行列 2 1 2 を直交行列で対角化せよ. −2 2 1 [対角化の手順] (I) A の固有値を求める. φA (t) を A の特性多項式として,φA (t) = 0 を解くと t − 1 −2 2 φA (t) = |tE − A| = −2 t − 1 −2 = (t + 3)(t − 3)2 = 0. 2 −2 t − 1 ∴ t = −3, 3; A の固有値 (II) 1 次独立な 固有ベクトルを求める. a) 固有値 −3 に対応する固有ベクトル 同次連立方程式 (−3E − A)x = 0 の解を求めると 1 x = α −1 (αは任意). 1 3 に対応する固有ベクトルとして,特に次のようにとる: 1 a1 = −1 . 1 b) 固有値 3 に対応する固有ベクトル: 同次連立方程式 (3E − A)x = 0 の解を求めると 1 −1 x = α 1 + β 0 (α, β は任意). 0 1 −3 に対応する 1 次独立な固有ベクトルとして,特に次のようにとる: 1 −1 a2 = 1 , a3 = 0 . 0 1 (III) 各固有値に対応する固有ベクトルを Gram-Schmidt 直交化法で直交化する. a) 固有値 −3 に対応する固有ベクトル a1 の直交化 a1 を正規化すると √ 1/ 3 √ 1 a1 = −1/ 3 . p1 := √ |a1 | 1/ 3 1 b) 固有値 3 に対応する固有ベクトル a2 , a3 の直交化 a2 を正規化すると √ 1/ 2 1 √ p2 := a2 = 1/ 2 . |a2 | 0 b3 を以下で定義: √ √ −1 −1 1/ 2 1/ 2 1/2 √ √ b3 = a3 − (a3 , p2 )p2 = 0 − 0 , 1/ 2 1/ 2 = 1/2 . 1 1 0 0 1 b3 を正規化すると √ 1/ 6 1 √ p3 = b3 = 1/ 6 . √ |b3 | 1/ 6 注意: i)Ap1 = −3p1 , Ap2 = 3p2 , Ap3 = 3p3 . ii) p1 と p2 , p3 は異なる固有値に対応する固有ベクトルなので (p1 , p2 ) = 0, (p1 , p3 ) = 0. した がって,p1 , p2 , p3 は 3 次元列ベクトル空間における正規直交基底. (IV) 直交行列による対角化 (III) の注意 i) より −3 0 0 A[p1 p2 p3 ] = [p1 p2 p3 ] 0 3 0 . (∗) 0 0 3 √ √ √ 1/ 3 1/ 2 1/ 6 √ √ √ P = [p1 p2 p3 ] = −1/ 3 1/ 2 1/ 6 とおくと,(III) の注意 ii) より P は直交行列.よって √ √ 1/ 3 0 1/ 6 (∗) より −3 0 0 P −1 AP = 0 3 0 . 0 0 3 2
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