連鎖反応、臨界・未臨界 IABS-IBARAKI 1 水素と炭素の中性子断面積 炭素(Carbon) 水素(Hydrogen) 2 鉄の断面積 3 鉄の断面積 4 原子炉の構成 核燃料:235Uを含む天然U、濃縮U、239Pu、233U 固体燃料(酸化物UO2、セラミックUC,UN)、 液体燃料 減速材:軽水、重水、黒鉛、ベリリウム 冷却材:炭酸ガス、ヘリウム、軽水、重水、液 体金属(ナトリウム、鉛ビスマス) 制御材:ボロン(B4C)、カドミウム(Ag-In-Cd)、 ハフニウム、ガドリニウム 反射体:軽水、重水、黒鉛、ベリリウム ブランケット:(高速炉のみ)238U 遮蔽材:鉄、鉛、コンクリート 5 臨界とは 漏洩 吸収 核分裂生成 物 keff=1:臨界 critical keff<1:臨界未満 subcritical β β 238U 核分裂生成物 N ( prod ) 実効増倍率 k N ( loss ) 239Np keff>1:臨界超過 super-critical 239Pu N(prod):核分裂で生成する中性子数 N(loss):漏洩や吸収によって失われる中性子数 6 臨界とは その2 無限に大きな反応系の 増倍係数 k 中性子が反応系から 漏 れ出さない確率 P k eff 臨界:k∞ P=1 Pを出来るだけ1に近づける 大きな炉心が必要となる。 比較的小さな炉心を実現したいならば k∞>1 を目指して反射体を周りに置く k 1個の中性子が燃料物 質に吸収された後に放 出される中性子数 N ( fiss ) c N ( fiss ) N ( c ) 1 f η=2.5x1/1.19=2.11 239Pu:α=35%/65%=0.54 η=3.0x1/1.54=1.95 天然ウラン η=1.32 235U:α=16%/84%=0.19 7 増倍率の4因子公式 無限媒質における増倍 率 k 核分裂で発生する中性 子 p f 吸収された中性子数 全ての核分裂で発生し た高速中性子の数 熱中性子による核分裂 で発生した高速中性子 の数 熱中性子になる中性子 の数 共鳴を逃れる確率 p 減速を始める中性子の 数 燃料に吸収される熱中 性子の数 熱中性子利用率 f = 原子炉内での全ての媒 質に吸収される熱中性 子の数 熱中性子核分裂で発生 す る高速中性子の数 核分裂中性子数 = 燃料に吸収される熱中 性子の数 高速核分裂効果 = k P keff 8 反応度 反応度 原子炉が臨界状態からずれている程度を示す無次元の量で、 次の式で定義される P kex keff 1 kex : 過剰増倍率 keff keff 反応度(P)が正の場合は、原子炉内部の中性子の数(原子炉 出力)が時間とともに増加し、臨界超過の状態と呼ばれる。 反応度(P)が負の場合は、時間とともに中性子の数が減少し、 臨界未満の状態と呼ばれる。 9 遅発臨界 235Uの核分裂の場合、0.75%は核分裂生成物核種の崩壊に より遅れて、遅発中性子として放出される。遅発中性子を 発生する核種は約30種類あり、遅発中性子は0.4秒から 数10秒遅れて放出され、平均で 0.14秒遅れて放出される。 遅発中性子ならば制御棒操作等で中性子吸収量を 加減し核分裂制御ができる。実際の原子炉ではこの遅発 中性子が原子炉の制御に大きな役割を果たしている。 10 即発臨界 核分裂による中性子の99%強は瞬時に放出される即発 中性子。 未臨界にある体系に核分裂性物質の追加により反応度を 徐々に増加すると、最初に遅発中性子の数も入れて 臨界(遅発臨界)となり、さらには即発中性子のみで 臨界となる。 この状態(即発臨界)では、即発中性子の再生のみで 連鎖反応が維持され、急激な出力上昇が観測される。 11 中性子の収支 k L f L f keff 12 中性子の時間変化 単位時間での中性子密 度の変化量 nkex dn n( k eff 1 ) dt l l 原子炉周期(reactor period) T l /( k eff 1 ) l / k ex t n n0 exp T e(2.718)倍になる時間 炉周期 軽水炉:0.001秒 高速炉:10-7秒 過剰増倍率 k ex k eff 1 l~1ms:即発中性子が減速されて 熱中性子として燃料に吸収される までの時間 遅発中性子の平均寿命は0.6~80 秒と様々 lの実効値leffは0.1秒 遅発中性子割合:235Uでβ=0.0075 n n0 exp( 10kex t ) keff=1.005の場合n/n0=1010 遅発7~8min、即発のみ4~5sec 13 核分裂核種の熱中性子による反応断面積(b)と 核分裂中性子数 14 235Uの反応断面積 15 原子炉内の中性子スペクトル 16 物質との散乱による中性子の軌跡 n 発生項 - 吸収項 - 漏洩項 S a divJ t divJ D 2 D : 拡散係数 2 2 2 x y z 2 2 2 2 拡散方程式 17 中性子の輸送方程式 1 (r , E , ) grad ( r , E , ) dE' d ' s ( r , E' E , ' ) ( r , E' , ' ) v t ( s ( r , E ) a ( r , E )) ( r , E , ) dE' d ' ( r , E' E ) ( r , E' ) f ( r , E' ) ( r , E' , ' ) 4 Q ( r , E , ) 左辺は中性子密度の時間変化を表す。 右辺 第1項はΩ方向の中性子の流れ密度の変化。 第2項は散乱衝突によって生成される中性子の割合、 第3項は吸収と散乱で消減する中性子の割合、 第4項は核分裂によって生成する中性子の割合を表す。 第5項は中性子源からの寄与。 臨界条件を求める場合は左辺をゼロとして、右辺のQ(r,E,Ω)を ゼロとし、v(r,E)をC倍して生成と消滅がバランスするCを求める。 C=1の時、臨界である。 18 (1) v エネルギーEの中性子の速度=(2E/Mn)1/2=1.389*(E/Mn)1/2*107m/s Eの単位MeV Mn中性子の質量 単位amu φ(r,E,Ω)/v は中性子の密度を表す。 (2) φ(r,E,Ω) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) r点の単位中でエネルギーEで、単位時間にΩ方向に向かう 中性子の数(中性子束) Σs(r,E’→E、Ω’→Ω) r点でエネルギーEで、Ω方向に向かう中性子が 散乱によってエネルキーE’となり、Ω方向に向かう確率 Σs(r,E) r点でエネルギーEの中性子が散乱される確率 Σa(r,E) r点でエネルギーEの中性子が吸収される確率 Σf(r,E) r点でエネルギーEの中性子が核分裂を起こす確率 ν(r,E) r点でエネルギーEの中性子による核分裂で発生する中性子 の数' χ(r,E’→E) r点でエネルギーE中性子による核分裂で発生する中性 子のスペクトル(エネルギー分布) Q(r,E,Ω) r点の中性子源からエネルギーEの中性子がΩ方向に放出 される割合 19 中性子が熱エネルギーになる(減速)までの弾性衝突 E 2 v 22 A 2 2 A cos( ) 1 1 ( 1 ) ( 1 ) cos E1 v12 2 ( A 1 )2 Emax=E1 cos(θ)=1 前方散乱 Emin=αE1 cos(θ)=-1 後方散乱 A 1 A 1 2 中性子が衝突によってE1からE2にエネルギーを変化 lethargy エネルギーと運動量の保存則 E2 E1 θ A log( E1 / E 2 ) log 1 1 ξは減速能率を示す尺度 平均の衝突回数 log(2x106/0.025)/ξ=18.2/ξ 20 熱中性子の減速時間と拡散時間 減速時間:2MeVの中性子 が0.025eV間で減速される 時間 拡散時間:熱中性子が媒 質中を拡散して吸収され るまでの時間平均自由 行程λ=1/Σを平均速度vで 割った値 巨視的断面積: N 0 A N0:1cm2あたりの原子数 21 熱中性子の移動距離(単位cm) 22 FCA(Fast Critical Assembly) 23 TCA(Tank Type Critical Assembly) 24 NUCEF(Nuclear Fuel Cycle Safety Engineering Research Facility) 25 原爆の爆発する条件 広島型爆弾:約60kg の235Uが使われたと いわれ、またその 濃縮度は約90%で あったといわれる。 半球状に2分割した 固まりの一方を固定し、 他方を大砲の弾のように 一方に打ち込んで 合体させる 26 臨界質量 純粋な239 Pu金属球の臨界量は、 約10kg。このプルトニウム球を 厚さ約10cmの天然ウランで 包んで、中性子を反射するように すると、臨界量は約4.4kgに減る。 この場合半径は約3.6cmという。 この反射体は一方で、慣性に よってプルトニウムの集合体が バラバラになるのを防ぐ。 核兵器級プルトニウムは6%の240 Pu を含み、これは1.34×1011年で自発 核分裂をする。10kgのPuのなかでは、 このため、平均して1msごとに数回 程度の自発核分裂が起っている。 十分な破壊エネルギーを蓄積する 前に爆弾が壊れてしまう可能性が ある。これを防ぐためには、レンズを 使って、瞬時に超臨界状態を作り 出し、しばらく維持する必要がある。 27 28
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