数値計算結果を用いて安全性を評価する論理

数値計算結果を用いて安全性を評価する論理
空 白
Theorem for safety evaluation by numerical calculation
(株)ナイス
(縦横 30mm のスペー
○ 内藤 俶孝
Yoshitaka NAITO
スを必ず空ける)
計算結果を用いて安全性を判断するためには、使用された全ての計算の誤差要因の誤差の範囲を押さえることが必要である。
臨界安全性は、評価式として核断面積を用いた中性子輸送方程式を解くことにより、その固有値の計算結果から判断される場
合がある。この手法は、他の水力計算等が使用される安全解析の評価にも使用できることが期待される。
キーワード:安全評価の方法、評価式、数値計算誤差の要因、臨界安全評価の方法
1.はじめに「2006 年春の年会」で「数値計算結果を用いた臨界安全評価の方法の論理」と題して口頭発表させ
ていただいた。そこでは、発表の意義に対して、疑義が出された。発表の趣旨と意義が伝わらなかったと考え、約
10 年経った今日、この発表の趣旨と今後の展望について述べる。
2. 本報告の論理 Luebill の方程式に 4 つの仮定を設定して求められる下記の質量分布式の右辺の衝突項
に Boln 近似の解である核断面積を構成式として近似したのが基礎式となるボルツマン方程式である。

f
f
1
1

  { f (1 ) f ( 2 )  f (1 ) f ( 2 )}Vdd 2  J ( f , f ) = f ( 0)  in,k H i( n ) ak( n )
t
x m
n 1 n!
1 f ( E, )
   gradf ( E, )  f ( E, ){ S ( E )  a ( E )}  S ( E, )   dEdf ( E, ) S ( EE, ,)

t
ここで、 S ( E, )   ( E ) / keff

f
( f ( E, )dEd
以上の基礎式の成り立ちから、keff の計算結果の誤差の要因は核断面積であることが分かる。
衝突項 J ( f , f ) の近似において、n=0:Eueler Eq. ,n=1:Navier-Stokes Eq., n=2:Burnett Eq.である。
これらの方程式も構成式を作成して解が求められているが、Reynold-averaged Navier-Stokes analysis 方
程式(RANS analysis)の数値解析を求める際に、流れ変数の時間平均操作と乱流応力のモデル化により
計算を単純化することが行われている。また、電磁流体力学における物性値としての誘電率も一種の構成式
である。構成式を導入して、基礎式を単純化することが、計算結果と対象物の関連を見やすくしており、誤
差評価も構成式の影響評価に焦点を当てればよいことになる。単純化された基礎式は計算機により、正解に
近いものが得られるようになってきている。
3.誤差の主要因と評価の方法:
(臨界計算の例)核断面積(巨視断面積)の精度に関するものが検討の対象と
なる。基礎式の数値計算法としては、連続エネルギーモンテカルロ法によるとする。以上2つが誤差の主要
因であるが、後者(モンテカルロ計算の誤差)は計算機の進歩により、前者(核断面積の誤差)より keff の
計算誤差に対する影響が小さくなってきている。誤差評価の道具としては、下記のものがある。
(1)核データの covariance 評価(核データ実測時の誤差)と Error-J による影響評価
(2) 評価対象系と実験ベンチマークデータの相似性。
(TSUNAMI)
4.検討 :評価対象系の keff の計算結果から臨界安全を判定するためには、誤差を系統的に
評価する必要が有る。誤差の要因をコンパクト集合でカバーし、その合算から誤差の上限を見
出す。誤差の要因を見落とさないようするためには、構成式と基礎式の関連を明確にすること
が重要である。