日本と東アジア貿易専題研究(一) 日本對東亞貿易專題研究(一) 1 今日の内容 第9章 変わる産業構造 Ⅰ.1. グローバル化と日本の産業 2. 進む製造業の国内回帰 2 Ⅰ.1. グローバル化と日本の産業 ●産業構造の転換 (1) 戦後日本の産業構造は、第一次産業から 第二次産業や第三次産業へのシフトとい う形をとった。 ●産業構造調整の困難さ (1) 衰退産業から新しい産業への労働力移動 の問題。 (2) 衰退産業の過剰設備の廃棄問題。 3 Ⅰ.1. グローバル化と日本の産業 ●石炭産業の衰退 • 石炭産業は、戦後比較的早い時期に衰退した。 • この要因は、石炭から石油へのエネルギー利用 の変化がある。 • また、海外からの安価な石炭の輸入によって国内 の石炭は競争力を維持できなくなった。 ●構造調整問題 • 石炭産業の大量の労働力の移動問題。 • 炭鉱労働者の技能は他の産業で生かしにくい。 4 Ⅰ.1. グローバル化と日本の産業 ●繊維産業の衰退 • 高度成長下で重化学工業化が進み、繊維産業な どの軽工業が衰退した。 ●構造調整問題 • 多くの労働力は、未婚の女性で占められていた。 彼女たちは、結婚や出産によって退職する場合が 多かったため、雇用問題は深刻化しなかった。 • 軽工業衰退後の過剰設備の廃棄が大きな課題で あった。 5 予備知識 ●経常収支の内訳 (1) 経常収支=財サービス貿易収支+所得収支+経 常移転 (2) 所得収支は、出稼ぎ労働者の雇用者報酬と外国 債の利子収入などの投資収益から成る。99%以 上は、投資収益。 (3) 投資収益=直接投資収益+証券投資収益+そ の他 (4) 直接投資収益は、海外子会社や支店からの収益 を表す。 (5) 証券投資収益とは、外国株や外国債からの配当 金、利子の純収益を表す。 6 予備知識 ●国際収支 経常収支+資本収支+外貨準備高=0 ⇒外貨準備高は無視できるほど小さいとき、 ●経常収支 ①内需=国内消費+国内投資 ②GNP=内需+経常収支(外需) ③GNP=国内消費+貯蓄 ⇒④貯蓄ー投資=経常収支 ●経常収支黒字=資本収支赤字(債権国) ●経常収支赤字=資本収支黒字(債務国) 7 Ⅰ.1. グローバル化と日本の産業 ●所得収支が稼ぐ時代 (1) 2005年には、所得収支黒字が貿易収支黒字を上 回った。 (2) 2006年の所得収支黒字は13.7兆円で、前年比 20%を超える伸び。経常収支を4兆円も上回る。 ●所得収支拡大の背景 (1) 製造業の海外進出による直接投資収益や海外の 株式、債券への投資による証券投資収益が拡大 しているため。 8 日本の産業構造調整を 国際収支の発展段階説で考える ●国際収支の発展段階説(教科書377頁の表9.1) ⇒この説によると、一国の国際収支構造は、貿易収支 黒字の減少から所得収支黒字が増える構造に変化 する。 第一段階 未成熟な債務国 第二段階 成熟した債務国 貿易黒字の拡大期 第三段階 債務返済国 第四段階 未成熟な債権国 所得収支の拡大期 第五段階 成熟した債権国 減少期 第六段階 債券取り崩し国 9 国際収支の発展段階説 ●第一段階 未成熟な債務国 (1) 経済が未発達な国は、貿易サービス収支、所得収支がい ずれも赤字で、経常収支赤字国である。海外からの債務を 背負っており、資本収支黒字国である。 (2) メキシコなどの中南米諸国はこの段階にある。 (3) この地域は、1970年代に政府の財政支出拡大で工業化を 進めた。 (4) 国内の貯蓄不足のため、アメリカなどからの債務で資本を 調達。 (5) 80年代の一次産品価格の下落により、輸出が減少。 (6) 米国の金利上昇によって、債務の返済が困難となる。 (7) 貿易制限などのよって経常収支の均衡化政策を行ったが、 これによって国内投資が減少し、経済成長を阻害させてし まった。 10 11 国際収支の発展段階説 ●第二段階 成熟した債務国 (1) 経済が発展し、財サービス収支が黒字にな る段階である。 (2) 経常収支は赤字であり、資本収支黒字のま まである。 (3) カナダ、ニュージーランド、タイ、マレーシア など。 (4) 海外からの資本流入によって、輸出産業が 育成され、経済成長がもたらされている。 12 13 国際収支の発展段階説 ●第三段階 債務返済国 (1) 輸出が拡大し、財サービス収支黒字が大幅 に拡大。 (2) 債務の利払い費の減少によって、所得収支 赤字が減少する。 (3) 経常収支は黒字に、資本収支は赤字に転 じる。 (4) ノルウェー、スウェーデン、デンマークなど の北欧諸国。 14 15 国際収支の発展段階説 ●第四段階 未成熟な債権国 (1) 経常収支黒字が拡大し続ける。 (2) 対外純資産が拡大し、所得収支が黒字化 する。 (3) 国内貯蓄超過で、資本収支赤字も拡大する。 (4) フランス、オランダ、日本、シンガポールなど。 16 17 国際収支の発展段階説 ●第五段階 成熟した債権国 (1)蓄積された対外純資産が大規模になり、そ こから得られる所得収支も膨大となる段階。 (2)財サービス収支が赤字化していく。 なぜ? ⇒所得収支が拡大すると収益は消費にも充当 されるようになる。 ⇒さらに、高齢化や賃金上昇等もあって国際競 争力が低下するから。 (3) スイスなど。 18 19 国際収支の発展段階説 ●第六段階 債券取り崩し国 (1) 所得収支黒字を超える消費を行うため、財 サービス収支は大幅な赤字。 (2) 経常収支は赤字化し、資本収支は黒字の 債務国に移行。 (3) イギリス、アメリカなど。 20 日本の国際収支発展段階 21 海外生産比率の上昇 ●海外生産比率 教科書380頁 (1) 国内法人の売上高に対する現地法人の売上高の 比率。 (2) 海外生産比率 =現地法人売上高/国内法人売上高×100 ●海外生産比率上昇の背景 (1) 80年代半ばの円高以降、生産費用削減のため安 価な労働資源を求めてアジアに進出し始めた。 教科書378頁 表9-2 (2) 90年代の不況で、国内消費向けの生産も価格競 争が厳しくなり、アジア進出が加速化された。 22 参考文献 ●経済産業省(2002)『通商白書』 http://www.meti.go.jp/hakusho/tsusyo/soron/ H14/02-03-01-02.html 23
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