化学 - メビオ

川崎医科大学 2017年度入学試験 解答速報 化学
2017年1月22日 実施
1
(1) 与えられた選択肢のうち水素結合をするのは HF,NH3 ,CH3 OH で,このうち ア=⑥メタノール が
H
H C O H と非共有電子対を 2 対持つ.
H
(2) 18 族希ガスに属する元素のうち,He 原子は最外殻電子を 2 個しか持たないのに対し,他の原子では最外殻
電子を 8 個持つため, イ=④典型元素で,同じ族に属する元素の原子は最外殻電子の数が等しい が
誤り.
(3) ウ=③海水から蒸留により塩化ナトリウムを取り出す が誤り. 海水を蒸留して取り出すことが出
来るのは塩化ナトリウムではなく水の方である.
(4) 錯イオンの配位子となりうる分子やイオンは必ず非共有電子対を持つため, エ=④ NH4 + が配位
子とならない.
(5) A の中性子数が B の中性子数より 2 個多いことと二つの原子の質量数の和が 2m であること
a
100 − a
から,これらは m+1 A と m−1 B と表され,原子量は (m + 1) ×
+ (m − 1) ×
=
100
100
a
オ=③ m +
− 1 と求まる.
50
(6) 1) 中性子数 = 質量数 − 原子番号 = 278 − 113 = カキク=①⑥⑤
2)
70
30 Zn
+
209
x Bi
−−→
279
113 Uut
の関係より,x = 113 − 30 = ケコ=⑧③ ,1 回の α 崩壊によって原
子番号が 2 減少するため,y = 103 − 2 = サシス=①⓪①
(7) 1) CaC2 + 2H2 O −−→ Ca(OH)2 + C2 H2 の反応により セ=③アセチレン が発生する.
2) 反応式より発生した気体と炭化カルシウム(CaC2 = 64)のモル数は等しいため,発生した気体
0.32
× 22.4 = ソ=⑤ 1.12 × 10−1 L .
は
64
(8) 中和点の pH が 7 より高いことと滴定開始時の pH カーブから,この滴定は弱酸を強塩基で滴定し
たものとわかるため, タ=①酸は強酸である が誤り.
2
(1) 1) 選択肢の金属単体の中で唯一常温の水と反応するのが ア=② Ca
2) X と Y は塩酸と反応しているので水素よりもイオン化傾向が大きいが,反応しない Z は最もイオ
ン化傾向が小さい.さらに 4 の記述の実験ではそれぞれの金属が極板の電池が出来ていることにな
るが,その際,イオン化傾向の小さい方の金属が正極となる.よって イ=② Y > X > Z
(2) 1) Q1 = 394 + 286 × 2 − 891 = 75 kJ/mol =⇒ ウエ=⑦⑤
. 416 kJ/mol =⇒ オカキ=④①⑥
2) 4Q2 = 436 × 2 + 715 + 75 = 1662 より,Q2 = 415.5 =
.
−
−
→
(3) ①:N(気)
+ O(気)
←
−
− 2NO(気)は,反応の前後で気体の物質量に変化がないので圧力変化で
2
2
平衡は移動しない.
−
−
→
③:反応 2NO(気)
が平衡状態にあるところに,体積一定条件で Ar を加えても反
←
−
− N2 O(気)
2
4
応に関与する気体の分圧に変化はないので平衡は移動しない. ク=① , ケ=③ (順不同)
(4) 第 1 データと第 2 データの比較で v は [A] の 2 乗に比例し,第 1 データと第 3 データの比較で v は
[B] に比例することがわかるので,求めるデータは,第 3 データを [A]2 に比例させて 4 倍すればよ
い.v = 4.8 × 10−4 [mol/(L·s)] =⇒
コサシ=④⑧④
(5) 1) 陰極では Al3+ + 3e− −−→ Al が起こっており,酸化数が +3 → 0 に減っている. ス=② 還元
2) 2O2− + C −−→ CO2 + ( )e− に当てはまる係数は両辺の電荷の釣り合いから, セ=④
3
(1) A は BaCl2 aq で沈殿を生じず,NH3 aq で沈殿(Al(OH)3 )を生じることから AlCl3 ,B は BaCl2 aq
で沈殿(BaSO4 )を生じることから ZnSO4 ,炎色反応が黄色であったことから C は NaNO3 とわか
るので, ア=② A:塩化アルミニウム,B:硫酸亜鉛,C:硝酸ナトリウム
(2) 起こる反応は NaCl + H2 SO4 −−→ NaHSO4 + HCl で,HCl は無色.空気よりも重いため上方置換
で集めることは出来ず,酸化力を持たないためヨウ化カリウム水溶液に通じてもヨウ素は遊離しな
い. イ=① a のみ が当てはまる.
(3) 1) 起こる反応は MnO2 + 4HCl −−→ MnCl2 + 2H2 O + Cl2 の酸化還元反応.反応後の気体
に含 まれ る HCl を 水 で,H2 O を濃 硫酸 で 取り 除 くこ とで 純 粋な Cl2 を得 るこ と が出 来 るた
め, ウ=⑧反応の種類:酸化還元反応,洗気びん A の液体:水,洗気びん B の液体:濃硫酸 が正
しい.
2) 必要最低限の MnO2 (= 87 )を w g とすると反応式より,1 : 1 =
w
224
:
を解いて,
87
22400
w = エ.オカ=⓪. ⑧⑦ .
(4) ベンゼンを混酸でニトロ化しニトロベンゼンを作り,それをスズと塩酸で還元してアニリン塩酸塩
とした後 NaOH で弱塩基遊離してアニリンとし,亜硝酸ナトリウムと塩酸でジアゾ化して塩化ベン
ゼンジアゾニウムを得る.それをナトリウムフェノキシドとカップリングすることで p–ヒドロキシ
アゾベンゼンが得られる. キ=⑦ A:ニトロ化,B:還元,C:ジアゾ化 が正しい.
CH2 CH3
CH3
CH3
CH3
(5) C8 H10 の芳香族には
,
,
CH3
,
の 4 種類があるが,このうちベ
CH3
CH3
ンゼン環に結びついている水素原子一つを臭素原子に置換した化合物が 1 種類だけであるのはパラ
二置換体である ク=④ p–キシレン である.
(6) ケ=④ナイロン 66 はポリアミド系合成繊維であり,エステル結合を含まない.
(7) コ=②エタノールと濃硫酸の混合物を 160 ℃ ∼ 170 ℃ に加熱する ことで得られる気体はエチレ
ンであり,水に溶けにくく,常温で容易に臭素が付加する.
(8) 1) アニリン,安息香酸,キシレン,フェノールのうち塩酸を加えることで中和され水層 a に移動する
のはアニリン,その後炭酸水素ナトリウム水溶液と反応することでエーテル層から水層 b に移動す
るのは安息香酸,その後水酸化ナトリウム水溶液を加えることで中和されエーテル層から水層 c に
移動するのはフェノールであることから, サ=⑤化合物 A:アニリン,化合物 C:フェノール が
正しい.
2) 化合物 B は安息香酸であるため,
シ=⑤化合物 B にメタノールと濃硫酸を加え反応させると,エステルが生成する が正しい.
OH
CH3
(9) 1) CH3 C∗ H CH2 CH CH3 の不斉炭素は C∗ の炭素なので, ス=②
2) タンパク質生成の際に,アミノ酸どうしの脱水縮合でできるのは, セ=① ペプチド結合
3) ジスルフィド結合(S–S)を生じるアミノ酸はシステインであり,構造は ソ=④ HS CH2 CH COOH
NH2
4) ファントホッフの式 Π V = nRT を変形すると,Π = CRT (C はヘモグロビンの体積モル濃
Π
763
度)となるので,C =
=
= 3.08 × 10−4 mol/L であり,最も近いの
RT
8.3 × 103 × 298
は タ=③ 0.30 × 10−3
(ちなみにこのデータからヘモグロビンの分子量 M を計算でき,M =
20
. 6.49 × 104
=
.
3.08 × 10−4
は実際のヘモグロビンの分子量(約 64500)と一致している.)
講評
問題の難易度は昨年と変わっていないが,長い文章の問題が増えており,昨年よりさらに要領の良さが
求められている.問題文の長文化はここ最近の川崎医大の化学の出題の流れであり,国語力をもつ生徒を
獲得したいという大学側の意図がくみ取れる.正規合格には昨年と同様 8 割 5 分欲しいところだが,8 割
でも合格圏内である.
医歯学部進学予備校
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