内需拡大を背景に高成長が続くインド ~世界経済の牽引役としても要注目

楽読
(ラクヨミ)
2016年6月2日
Vol.
1,106
内需拡大を背景に高成長が続くインド
~世界経済の牽引役としても要注目~
インドでは、中間層の台頭などに伴ない、個人消費の堅調が続いているほか、機動的な金融政策や経済改
革および景気配慮型の財政政策などが採られていることもあり、内需を主な牽引役として高成長が続いていま
す。5月31日に発表されたGDPは、今年1-3月期で前年同期比+7.9%と、前四半期の伸びを0.7ポイント上回り、
2015年度(15年4月~16年3月)全体では前年度比+7.6%と、2年連続の7%超えとなりました。
中央銀行のインド準備銀行は、2013年9月にラジャン総裁が就任して以降、インフレ目標の導入や利上げに
より、物価と通貨の安定化に成功しました。さらに、原油の価格下落による恩恵もあり、物価上昇率が一段と鈍
化すると、15年1月には金融緩和に転じ、今年4月に追加利下げを行なった際には、物価上昇率が低水準にと
どまる見通しとなっていることから、今後も緩和姿勢を続け、成長を支える意向を明確にしています。
また、14年5月に発足したモディ政権は、財政規律を維持しつつ、インフラ整備の推進、製造業の強化、海外
からの直接投資の促進、事業環境の改善などを通じた経済システムの近代化に取り組んでいます。さらに、今
年2月に発表した16年度の政府予算案では、経済成長などを背景とした税収増にも支えられ、歳出規模が前
年度比11%増と6年ぶりの大きさとなり、中でも農業関連は84%増となっています。こうした、景気や地方に配
慮した予算などを背景に、今後、与党連合の地方での支持率が向上すれば、州ごとに異なる間接税を一本化
する物品・サービス税(GST)の導入や、インフラ投資の加速に向けた土地収用法の改正という重要政策実現
の可能性が高まり、海外からの資金流入のさらなる増加や一層の景気拡大への期待も高まると考えられます。
今後も7%台の高成長が予想されているインドは、同様に高成長を遂げているものの、成長率が鈍化傾向に
ある中国に代わり、世界で最も急速な成長を期待されている大国と言えるでしょう。そして、「インドが世界の原
油市場の成長エンジンという地位を中国から引き継ぎつつある」と国際エネルギー機関(IEA)が評しているよう
に、今後は、世界の成長の牽引役という観点からも、インドの動向に注目する必要がありそうです。
インドの主要指標の推移
9
インドの株価と直接投資、為替の推移
(%) (2012年4-6月期~2017年1-3月期予想)
6
3
0
-3
GDP成長率(前年同期比)
消費者物価指数(前年同月比)
経常収支(対GDP比)
市場予想
30,000
(ポイント) (2014年1月初~2016年6月1日) (億米ドル)
SENSEX指数(左軸)
100
28,000
80
26,000
60
24,000
政策金利
22,000
40
海外からの直接投資*(右軸)
注:経常収支の予想は16年度 20,000
*
月次ベース、2016年3月まで
GDP(前年同期比)
(%)
(円)
(ルピー)
12
58
経常収支(対GDP比)
ルピー高
消費者物価指数(前年同月比)
60
ルピー安
9
62
市場予想
64
政策金利
6
66
インド・ルピー(対米ドル、左軸)
いずれも月次ベース
68
ただし、予想は四半期ベース
インド・ルピー(対円、右軸)
3
70
12年度 13年度 14年度 15年度 16年度
14年
15年
16年
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
-6
20
0
2.0
1.9
1.8
1.7
1.6
1.5
1.4
※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
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