平成28年10月18日実施分

労働安全コンサルタント試験
(電
気
安
全)
電気安全
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注: 試験問題は、全部で4問です。問1又は問2から1問、問3又は問4から1問、合計2問を選択して解答用紙
に解答を記入してください。また、問3及び問4の解答は、計算過程も記入してください。
問
1
交流アーク溶接機による感電災害防止には交流アーク溶接機用自動電撃防止装置(以下「自動電撃防止装
置」という。)が活用されている。自動電撃防止装置に関し、以下の設問に答えよ。
㋺
㋑
S1
200V
㋩
溶接棒ホルダ
S2
㋥
出力電圧
溶接棒
㋭
交流アーク溶接機本体
図1 自動電撃防止装置の例
図2
自動電撃防止装置が動作したときの出力電圧の時間的な変化
(1)図1は交流アーク溶接機に自動電撃防止装置が取り付けられた例を示す。㋑~㋭が選択肢 A ~ E のど
れに該当するか解答用紙の表に記号を記入せよ。
選択肢
A 制御装置
B 補助変圧器
C 主接点
D 変流器
E 母材
(2)図2は図1の自動電撃防止装置が動作したときの出力電圧の時間的な変化を示している。図2の①~⑤
の電圧又は時間の名称を述べよ。また、図2に示す②、⑤及びⓐの時間において自動電撃防止装置はそれ
ぞれどのような状態であるか述べよ。
(3)図2の⑤の時間での感電危険性について述べよ。
(4)自動電撃防止装置の始動感度には上限が設けられている。上限が設けられている理由を述べよ。
(5)自動電撃防止装置には、低抵抗始動形と高抵抗始動形とがある。低抵抗始動形、高抵抗始動形が使用さ
れる場合の母材や人体の状態などとの関係を始動形ごとにそれぞれ簡潔に述べよ。
電気安全
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問
2
ある化学工場においては、図のように、金属製反応釜にフレキシブルコンテナ(以下「FIBC」という。)
から原料の粉体を投入する作業工程がある。その際に、金属製反応釜にあらかじめ引火性有機溶剤を仕込む
場合がある。このような工程においては、静電気放電による着火・爆発災害の危険があるのでこれに対する
対策が不可欠である。これに関し、以下の設問に答えよ。
図 粉体投入作業
(1)ポリプロピレン製の FIBC を使用し、かつ、FIBC の内側にポリエチレン製の内袋を装塡している場合、
これを用いた投入作業において静電気が蓄積し、放電する可能性のある場所は、図中の(イ)FIBC の本体、
(ロ)内袋が金属製反応釜と接触している箇所及び(ハ)作業員の身体と考えられる。これらの場所における
それぞれの主たる帯電機構を述べよ。
(2)上記の(イ)、(ロ)及び(ハ)において発生する可能性の高い放電の名称を第Ⅰ群から選択するとともに、
それらの一般的特性について、第Ⅱ群の放電機構及び第Ⅲ群の放電の着火性から選択し、それぞれ該当す
る記号を解答用紙の表 A に記入せよ。
第Ⅰ群(名称)
(A) 沿面放電
(B) コーン放電
(C) ブラシ放電
(D) 火花放電
第Ⅱ群(放電機構)
(a) 帯電した導体に、曲率半径が比較的大きい接地導体が接近したときに発生するほぼ単発の放電
(b) 容器内に堆積した帯電粉体の表面上で、その容器の器壁に向かって放射状に発生する筋状の放電
(c) 正極性と負極性の電荷が、薄い不導体層をはさんで対向して存在する場合に、不導体の絶縁破壊
をきっかけとして生じる、面的な広がりをもつ放電
(d) 帯電した不導体に、曲率半径が比較的大きい接地導体が接近したときに発生する、空間的な広が
りをもつ多数のパルス状放電からなる放電
電気安全
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第Ⅲ群(放電の着火性)
(i) 容器の径及び粒子径に依存するが、数十 mJ 程度の放電となり、ガス・蒸気及び浮遊粉じんの
着火源となることがある。
(ii) 通常、ガス・蒸気に着火するには十分な放電エネルギーをもつ。浮遊粉じんへの着火性はほと
んどないが、ガス・蒸気と浮遊粉じんが混在する場合には、着火性をもつことがある。
(iii) 放電エネルギーは、帯電物体の静電容量及び帯電電位によってほぼ推計できる。ガス・蒸気及
び浮遊粉じんへの着火性は高い。
(iv) 電荷量が大きいと放電エネルギーは数百 mJ 程度になることがある。ガス・蒸気及び浮遊粉じん
はもちろん、堆積した粉じんの着火源となり得る。
(3)図の(ロ)において発生する放電を防止する方法を二つ挙げよ。
(4)図に示す作業において、作業員が着用しなければならない帯電防止用品を二つ挙げ、その帯電防止原理
と使用上の注意点を述べよ。
(5)粉体の投入作業において、静電気放電の防止対策以外に、爆発・火災を防止するために講じることが望
ましい措置について述べよ。
(6)静電気対策用 FIBC として、JIS C 61340-4-4:2015(静電気-第 4-4 部:特定応用のための標準的試験方
法-フレキシブルコンテナの静電気的分類)において、タイプ A、タイプ B、タイプ C 及びタイプ D が規
定されており、それぞれ下の表に示す構造上又は性能上の特徴を有している。
次のような作業条件①~⑤のそれぞれにおいて、タイプ A ~ D のうち使用可能なものを全て選択し、
解答用紙の表 B に記入せよ。
① 反応容器にはあらかじめ仕込まれている有機溶剤はなく、投入する粉体は不燃性である。
② 反応容器にはあらかじめ仕込まれている有機溶剤はなく、投入する粉体の最小着火エネルギーは
10 ~ 30 mJ の間である。
③ 反応容器にはあらかじめ仕込まれている有機溶剤はなく、投入する粉体は、最小着火エネルギーが
10 ~ 30 mJ の間であり、引火性有機溶剤(トルエン)を含浸している。
④ 反応容器に引火性有機溶剤(トルエン)があらかじめ仕込まれており、投入する粉体は不燃性である。
⑤ 反応容器に引火性有機溶剤(テトラヒドロフラン)があらかじめ仕込まれており、投入する粉体の最
小着火エネルギーは1 mJ 以下である。
表
FIBC の型
FIBC のタイプと特徴(概要)
構造上又は性能上の特徴
タイプA
静電気対策をしていない、又はタイプB ~D のいずれにも該当しない。
タイプB
通常、不導体の基布で製造し、その基布の絶縁破壊電圧は6 kV 未満でなければな
らない。
タイプC
不導体の基布に導電性繊維を特定の間隔で縫い込んだ布、又は導電性をもつゴム引
き布で製造し、使用時にはFIBC 本体を接地する。
タイプD
構造は任意であるが、指定のガス・空気混合気に着火しないことを試験で証明しな
ければならない。また、通常、接地しないで使用する。
電気安全
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問
3
ある印刷工場において、リスクアセスメントを実施したところ、ローラ搬送しているプラスチックフィル
ム(以下「フィルム」という。)に可燃性溶剤を含むインクを塗布する工程で、フィルムに静電気が帯電し、
火災が発生する可能性があることがわかった。そこで、静電気対策として、図のようにインクを塗布する手
前に自己放電式除電器を取り付け、除電電流 I e 及び除電後のフィルムの電位 Ve を測定してその効果を調べ
た。これに関して、以下の設問に答えよ。ただし、フィルムの帯電電位及び帯電電荷密度は均一であり、ば
らつきはないものとする。また、フィルムの走行速度は毎分 120 m、フィルムの幅及び自己放電式除電器の
長さはともに1 m とする。
図 フィルムのローラ搬送工程
(1)フィルムの除電後の電位 Ve は 3,000 V であった。フィルム 1 m 2 当たりの見掛けの静電容量を 100 pF
としたとき、除電後、このフィルム1 m 2 当たりに帯電している電荷量及び静電エネルギーを求めよ。
(2)塗布するインクには、最小着火エネルギー 0.4 mJ の低導電性有機溶剤が使用されている。除電後、フ
ィルムの帯電に起因してこの溶剤に着火するかどうか考察せよ。
(3)上記(1)の状態における自己放電式除電器の除電能力を調べるため、接地体へ流れる電流 I e を測定した
ところ、8.5 µA であった。除電前のフィルムの帯電電位 V を求めよ。
(4)この自己放電式除電器を長期間使用していたところ、ある日、フィルムの帯電が原因で火災が発生した。
火災発生直前のデータを見ると、I e は 1.5 µA となっていた。このときの除電後の表面電位 Ve を求めよ。
また、自己放電式除電器の使用開始時に比べて I e が小さくなった理由を考察せよ。
(5)更に除電能力を高め、かつ、長期間安定的に除電性能を維持することを目的として、自己放電式除電器
を電圧印加式除電器に交換することとした。このとき、電圧印加式除電器の選択に際して、安全上、最も
考慮しなければならないことを挙げよ。
(6)電圧印加式除電器には、原理的に交流式と直流式とがある。それぞれの長所及び短所を一つずつ挙げよ。
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問
4
電気機器からの感電災害の防止には、機器の絶縁と接地が重要な対策である。接地電極の接地抵抗に関し、
以下の設問に答えよ。
(1)図1に示すように、金属製の半球状接地電極(半径 a)が体積抵抗率ρの均質な土壌の大地に埋設されて
いるとするとき、次の問に答えよ。
電極中心からの距離が x である位置の、厚さ d x の球殻状の部分(網かけで表示した部分)の土壌の
①
抵抗 d R を式で表せ。なお、半径 r の球の表面積は4πr 2 である。
半球状接地電極の接地抵抗 R は、土壌の抵抗 d R を電極表面から無限遠(∞)まで積分した値として
②
求めることができる。接地抵抗 R を求める式を示し、a = 0.5 m、土壌の体積抵抗率ρ= 100 Ωmで
あるときの接地抵抗 R を計算せよ。なお、円周率πは 3.14 とし、答は小数点以下第2位を四捨五入
して小数点以下第1位まで求めよ。
電極中心
接地電流
半球状接地電極
a
x
dx
大地
図1 接地の模式図
(2) 図2は、ホイートストンブリッジの原理を用いて未知抵抗 R x を測定する計器の原理図である。図中 R
は既知の抵抗、辺 AC は均一の体積抵抗率を有する抵抗辺であり、点 B を検流計 G の針が振れないよう
しゅう
に抵抗辺 AC 上を摺動させて抵抗辺 AB 、 BC の比(L2/L1)を読み取ることができる。
この計器を用いて、図3に示すような接地電極 E の接地抵抗 R E を、以下の問に従って求めよ。
ただし、土壌は均一の媒質(体積抵抗率ρ)で接地電極 E、補助接地電極 P1、P2 は土壌中に互いに影響
し合わない程度に十分離れた位置に打ち込まれているものとする。
① 図2の回路から未知抵抗 R x を既知抵抗 R、抵抗辺の比(L2/L1)を用いて求める式を示せ。
② 未知抵抗 R x を外して、その間に接地電極 E と補助接地電極 P1 を接続したとき、既知抵抗 R = 200
Ωで検流計 G の針が振れない抵抗辺の比(L2/L1)が 1.05 であった。このときの接地電極(E と P1)間の抵
抗 RE1 を求めよ。
③ 同様にして、接地電極 E と補助接地電極 P2 を接続したとき、既知抵抗 R = 200 Ωで検流計 G の針
が振れない抵抗辺の比(L2/L1)が 0.9 であった。このときの接地電極(E と P2)間の抵抗 RE2 を求めよ。
④ 同様にして、補助接地電極 P1 と補助接地電極 P2 を接続したとき、既知抵抗 R = 200 Ωで検流計 G
の針が振れない抵抗辺の比(L2/L1)が 1.35 であった。このときの接地電極(P1 と P2)間の抵抗 R12 を求め
よ。
⑤ 接地電極 E の接地抵抗 RE を電極間抵抗 R E1、R E2、R 12 より求めよ。
電気安全
6/6
E
V
B
A
L1
P1
P2
C
L2
RE1
R12
G
RE2
R
図2
Rx
未知抵抗 R x を測定する計器の原理図
図3 大地に打ち込まれた接地電極