米国大統領選挙結果を受けた海外市場の動向

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2016年11月10日
マーケットレポート
米国大統領選挙結果を受けた海外市場の動向
~米国では、株高・米ドル高・長期金利上昇~
11月9日の内外金融市場は米国大統領選挙での予想外の共和党ドナルド・トランプ氏(以下、同氏)勝利
を受けて大きく変動しました。同氏優勢との報道を受けて東京市場はリスク回避一色の展開となり、日経
平均株価は取引時間中に一時16,100円台まで下落、為替市場では101円台前半まで円高・米ドル安が進
行しました。NYダウも先物市場で前日比800米ドル以上下落する場面がありました。しかし日本時間の夕
刻に同氏の当選が確実となり勝利宣言を行うと、株価や米ドルは徐々に反発に転じました。
9日の海外市場では、米国や英国、ドイツの株式市場が前日比で上昇した一方、米国の10年国債利回り
は0.2%上昇し、2%台となりました。為替市場では米ドルが対円、対ユーロで上昇しました。
これら海外市場の動きの背景としては、以下の点が考えられます。
① 同氏が勝利宣言した際、これまでの過激な発言を封印して「大統領」らしく振る舞い、また米国内での
融和を訴え、経済を優先する姿勢を示したことなどで、ひと先ず市場心理が落ち着いたこと。
② 米国株式市場では同氏のかかげるインフラ投資や規制緩和などの恩恵を受けるセクターや銘柄へ
の物色が強まったこと。また同氏の政策と共和党主流派の考え方との乖離は大きいものの、元来親
ビジネス的とされる共和党が上下院を制したことで、今後は民主党政権と比較して株式市場にとって
プラスとなる政策が打ち出されるとの期待が高まったこと。
③ 同氏はインフラ投資に加えて大幅な減税実施も表明しており、債券市場では先行きの景気回復や財
政赤字の拡大が金利上昇要因と意識されたこと。また為替市場では米金利上昇がドル買い材料と
なったこと。
◆今後見通し、注目ポイント等
当面、内外の金融市場はやや値動きの大きい展開が続きそうです。同氏の政策が共和党との協調のも
とでどの程度実現するのか現時点では不確実性が高い状況です。9日の海外市場では米国の長期金利
が急上昇しましたが、大幅な財政赤字の拡大を伴う政策で共和党がまとまるのか懐疑的な見方もあります。
今後の金融市場は、来年1月の大統領就
任へ向けて同氏がどの程度、現実的な路線
に政策方針を切り替えていくのか注視しつつ、
神経質な反応を繰り返すこととなりそうです。
また同氏が民主党寄りだと繰り返し批判し
てきたFRB(米連邦準備理事会)の対応が注
目されます。
各国市場および為替の推移
内外金融市場
日経平均株価 (単位:円)
株式
NYダウ(米) (単位:米ドル)
FTSE100(英)
DAX(ドイツ)
日本10年国債利回り
今後、金融市場が混乱した場合は12月の
利上げは見送られる可能性が高い一方、落
ち着いた状態となった場合、利上げの可否に
ついてFRBは難しい対応を迫られそうです。
以上
債券
米国10年国債利回り
英国10年国債利回り
ドイツ10年国債利回り
為替※
商品
REIT
米ドル/円(単位:円)
ユーロ/円(単位:円)
WTI原油先物(単位:米ドル)
東証REIT指数
S&P先進国REIT指数(除く日本)
11月9日
終値
16,251.54
18,589.69
6,911.84
10,646.01
-0.08%
2.06%
1.26%
0.20%
105.67
115.28
45.27
1,754.39
243.46
前日比
変化幅
▲ 919.84
256.95
68.71
163.69
▲ 0.00
0.20
0.02
0.02
0.51
▲ 0.67
0.29
▲ 8.67
▲ 3.60
騰落率(%)
▲ 5.36
1.40
1.00
1.56
0.48
▲ 0.58
0.64
▲ 0.49
▲ 1.46
※為替は米国市場の終値
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
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