短期予報解説資料1 2016年11月10日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①発達した低気圧はオホーツク海を東進、 日本海には高気圧が進み、北日本の冬型気 圧配置も緩んできた。 ②10 日 09 時の高層観測で、アムール川上 流には500hPa5400m 付近から南に延びるト ラフがあり、-30℃以下の寒気を観測。この トラフ南側では、上空の偏西風の下降が明 瞭で、華北の 500hPa 面の 5580m のトラフ 付近では水蒸気画像の暗化域が明瞭。また、 東シナ海には 500hPa の 5700m 付近にトラ フがあり、東進している。 ③東シナ海に 12 時に低気圧を解析、その前 面では降水帯が広がる。 ④台風第 24 号が、10 日 15 時に南鳥島近海で発生。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項①の低気圧は 10 日夜には千島近海に進み、日本海にある高気圧が北日本を次第に覆うため、冬 型の気圧配置は緩む。北海道から東北では高波に注意。11 日朝は冷え込むため、路面凍結等にも留意。 ②1 項②の 500hPa の 5700m 付近のトラフの接近に伴い 11 日朝までには、東海道沖に前線を伴った低 気圧が明瞭化し、発達しながら東北東進する。この低気圧周辺には、850hPa の相当温位で 327K の気 塊が入り、伊豆諸島を中心に雷を伴った短時間強雨となるおそれがある。東日本太平洋側でも降水量 が多くなる可能性もある。この低気圧周辺では、強風や高波にも注意。 ③また、1 項②の Jet 下降域は東進と共に不明瞭となるため、11 日に日本海に発生する低気圧の位置に は不確実な所があり、モデルのイニシャル間でのずれとなっている。この低気圧の東側では、気圧の 傾きが大きく、強風や高波に注意。 ④1 項③の低気圧は、上空トラフとの対応が悪く、10 日夜以降は不明瞭となる。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とする。11 日の日本の南や日本海の低気圧は不確実性がある。 4.防災関連事項 [量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間):伊豆諸島 120mm。2 項の短時間強雨に注意。 ②波浪(明日まで):北海道 5、沖縄 4m 小笠原諸島 4、 東北、北陸、伊豆諸島・関東沿岸、奄美・沖縄 3m。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はない。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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